死ぬまで入るお金を太くする。老後対策はこれだけ【5つの選択肢】

死ぬまで入るお金を太くする5つの選択肢を示すアイキャッチ画像 投資戦略・制度
終身収入が生活費を上回れば、資産は「使うためだけのお金」に変わります

ねんきんネットで、自分の見込額を見たことがあります。

思ったより、少なかった。

正直な感想はそれだけです。ただ、ゼロではありませんでした。18年ぶんの記録が、そこにはちゃんと残っていました。

老後のお金の話になると、たいてい「いくら貯めるか」から始まります。2000万円、いや3000万円、最近は4000万円という数字も見かけます。

私はその発信に、ずっと違和感がありました。金額が大きすぎるからではありません。問いの立て方が違うと思うからです。

この記事では、老後対策を「貯める額」ではなく「死ぬまで入り続けるお金」で設計する方法を書きます。増やせる選択肢は5つ、そして入ってはいけないものが1つあります。

結論:目標は金額ではなく、ひとつの不等式です

先に結論を書きます。老後の目標は、貯金の金額ではありません。

終身収入が、生活費を上回っている。

この状態を作ることです。金額ではなく、大小関係で考えます。

ここでいう終身収入とは、生きている限り、死ぬまで入り続けるお金のことです。年金がその代表ですが、あとで見るとおり、それだけではありません。

この状態を作れた人は、資産残高を毎月数えなくてよくなります。生活費は勝手に入ってくるお金でまかなえているので、貯めた資産は「減ってはいけないお金」ではなくなるからです。

逆に、終身収入が生活費に届いていないと、どれだけ貯めていても不安は消えません。残高が減るたびに、寿命と残高を見比べることになるからです。

「2000万円問題」の数字が間違っているとは言いません。間違っているのは、その先です。貯めて取り崩すしかない、という前提のほうが問題でした。

「2000万円」は、どこから出てきた数字か

まず、あの数字の出どころを確認します。

2019年6月、金融庁の金融審議会・市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表しました。ここでいう金融審議会とは、金融庁に置かれた有識者の会議体で、制度の方向性を議論する場です。

根拠になったのは、2017年の総務省の家計調査でした。夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯を想定して、こう計算しています。

項目金額(月額)
収入209,188円
支出263,717円
差し引き▲54,529円

毎月およそ5万5千円の赤字。これが30年続くと、およそ2,000万円足りません。

報告書は国会で問題になり、当時の麻生金融担当相が「表現が不適切だ」として受け取りを拒否しました。数字だけが独り歩きしたのは、そのあとです。

危ういのは金額ではなく、「30年」のほうです

この試算の30年は、夫が95歳、妻が90歳になるまでという仮定から来ています。

では、それより長く生きたらどうなるのでしょうか。

厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、90歳まで生存する割合はこうなっています。

女性50.2%、男性25.8%。

女性の2人に1人は、90歳まで生きます。男性でもおよそ4人に1人です。しかもこれは、今の高齢者の数字です。今40代・50代の人が同じ年齢に達するころには、もう少し伸びている可能性があります。

ここに、貯めて取り崩す設計の弱点があります。

貯蓄を取り崩す設計は、割り算です。貯めた額を、残りの人生の年数で割る。分母が伸びれば、答えは小さくなります。長生きは、この設計にとって計算が狂う出来事になってしまいます。

一方、終身収入には分母がありません。90歳でも100歳でも、同じ額が入り続けます。長生きしても壊れないのは、こちらだけです。

2つの老後設計の違い 貯めて取り崩す設計 資産は減り続ける 65歳 何歳まで? 長生き=計算が狂う 終身収入で満たす設計 毎月、同じ額が入り続ける 65歳 100歳でも同じ 長生き=怖くない 左は「割り算」。分母(寿命)が伸びると壊れる。右には分母がない。
貯める設計と、終身収入の設計。長生きに対する強さが根本的に違います

貯める設計には、終わりがありません

もうひとつ、貯める設計には困ったところがあります。

ゴールが動くのです。

2000万円と言われて貯め始めた人が、3000万円という記事を読む。今度は4000万円という数字を見る。インフレの話が出ればまた増えます。数字が上がるたびに、自分の準備が足りないように感じます。

そして、仮に目標額に届いたとしても、そこで安心は来ません。取り崩しが始まった瞬間、今度は減っていく残高を見ることになるからです。

私はこの構造を、以前に別の記事で「崩せない恐怖」として書きました。増やせるのに崩せない。使うために貯めたのに、いざ使う段になると手が止まる。

当時は心理の問題だと思っていました。今は違う見方をしています。崩せない恐怖の正体は、終身収入が細いことでした。

生活費が入ってこないから、資産が生活費の唯一の供給源になる。唯一の供給源は、減らせません。

死ぬまで入るお金を太くする、5つの選択肢

では、どうやって終身収入を太くするのか。方法は5つあります。上から順に、公的なものほど手堅く、下にいくほど自分で決められる幅が広がります。

終身収入の3階建て 1階:国民年金(全員) 2026年度の満額は月70,608円/繰下げで最大+84% 2階:厚生年金・企業年金・国民年金基金 働き方で決まる/勤務先の制度/自営業は基金 3階:高配当株の配当金 唯一、太さを自分で決められる 自由度 手堅さ 1階と2階は制度で決まる。3階だけは、自分の判断で厚くできる。
終身収入の3階建て。まず自分の1階と2階を測り、足りない分を3階で埋めます

①国民年金——2026年度の満額は、月70,608円

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の人が全員入る制度です。老齢基礎年金として、原則65歳から死ぬまで受け取れます。

2026年度(令和8年度)の満額は月70,608円、年間847,300円です。前年度の69,308円から1.9%引き上げられ、月額で初めて7万円台に乗りました。

満額を受け取るには、20歳から60歳までの40年間、保険料を納め切る必要があります。未納や免除の期間があると、その分だけ減ります。

ここで重要なのが繰下げ受給です。受給開始を65歳より遅らせると、1か月あたり0.7%ずつ増額されます。

受給開始増額率満額の場合の月額
65歳70,608円
70歳+42%約100,263円
75歳+84%約129,918円

75歳まで待つと、生涯にわたって受け取る月額が1.84倍になります。しかもこれは死ぬまで続きます。長生きするほど有利になる仕組みです。

ただし2つ注意があります。ひとつは、増えるのは額面だということ。年金額が増えれば税金や社会保険料も増えるので、手取りの増え方は84%より小さくなります。もうひとつは、繰下げている期間は当然ながら受け取れないので、その間の生活費を別に用意する必要があることです。

それでも私は、この制度を高く評価しています。民間の金融商品で「死ぬまで1.84倍」を確実に約束できるものは存在しません。

加えて国民年金には、老齢年金以外の機能もあります。障害を負ったときの障害基礎年金、亡くなったときに遺族へ支払われる遺族基礎年金です。保険としての性能で見ると、かなり優秀な部類に入ります。

②厚生年金——「平均年収 × 加入年数 × 0.005481」

会社員と公務員は、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取ります。

金額の決まり方は、実はシンプルな掛け算です。2003年4月以降の期間については、次の式で計算されます。

平均年収 × 加入年数 × 0.005481

正式には「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」ですが、年収と年数に直すと上の形になります。標準報酬額とは、月給と賞与をもとに決められる、保険料や年金額の計算に使う金額のことです。

たとえば平均年収500万円で40年働いた人なら、こうなります。

500万円 × 40年 × 0.005481 = 年間およそ109万円

この式が教えてくれるのは、年収と加入期間の両方が効くということです。年収が同じでも、働く年数が5年違えば受給額も変わります。逆に、年数が同じでも年収が上がれば増えます。

言い換えると、厚生年金は「今の働き方」が直接反映される唯一の終身収入です。転職や独立で厚生年金から抜ける判断をするとき、この式のことは頭の隅に置いておく価値があります。

③企業年金——自分の会社の制度を、私は知りませんでした

3つ目は企業年金です。勤務先が独自に用意している、公的年金への上乗せ制度を指します。

大きく2種類あります。

  • 確定給付企業年金(DB):受け取る額があらかじめ決まっている型。終身で受け取れる設計のものもあります
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC):会社が拠出したお金を自分で運用する型。受け取り額は運用結果で変わります

受け取る額が決まっている手厚いDBは、大企業が中心です。ただし「大企業にしかない」わけではありません。中小企業でも企業型DCを導入しているところは増えています。

ここで正直に書いておきます。私は自分の勤務先の退職金規程を、一度も開いたことがありませんでした。施工管理の仕事を18年やってきて、現場の図面は何百枚と読んできたのに、自分の老後に直結する書類は読んでいなかったわけです。

この選択肢だけは、調べれば今日わかります。人事か総務に聞けば済みます。確認していない制度は、無いのと同じです。

④国民年金基金——掛金が全額控除になる終身年金(自営業・フリーランス向け)

4つ目は国民年金基金です。自営業やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者だけが入れる、上乗せの年金制度です。

会社員には厚生年金という2階がありますが、自営業にはありません。その空いた2階を埋めるために作られた制度です。

特徴を整理します。

項目内容
予定利率1.5%(2014年以降)
受け取り方終身年金の型を選べる(確定年金型もある)
掛金の上限月68,000円 ※2027年1月から75,000円へ
税制掛金が全額、社会保険料控除
加入できる人国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランス等)

注意点として、掛金の上限はiDeCo(個人型確定拠出年金)と共通の枠です。iDeCoで月2万円を拠出しているなら、基金に回せるのは4万8千円までになります。

いくらもらえるかは、加入する口数と年齢で決まります。全国国民年金基金の公式サイトでシミュレーションできるので、検討する人は自分の年齢で試してください。

そして、この制度でいちばん効くのは利率ではありません。掛金が全額控除になることです。年間で数十万円払うなら、その全額が課税所得から引かれます。次の章で、この差がどれくらいになるかを数字にします。

なお、控除を使い切るには確定申告が必要です。自営業やフリーランスで、申告のたびに領収書の山と格闘している人は、会計ソフトを入れたほうが早く終わります。私が使うとしたらこのあたりです。

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⑤高配当株の配当金——太さを自分で決められる、唯一の終身収入

ここまでの4つは、制度が金額を決めます。自分で動かせる余地はほとんどありません。

5つ目だけが違います。高配当株の配当金です。

株式は保有し続ける限り配当を出します。売らなければ元本は残ったまま、現金だけが定期的に入ってきます。構造としては、これも終身収入です。

ただし、公的年金とは決定的に違う点があるので、先にリスクを書きます。

リスク内容
元本割れ株価は下がる。年金と違い、元本は保証されない
減配企業の業績が悪化すれば、配当は減る・止まる
為替米国株なら、円高で円ベースの受取額が減る

その代わり、公的年金にはない強みがあります。

メリット内容
インフレに強い企業の売上と利益が物価とともに増えれば、配当も増える
増配受け取る額そのものが、年々増えていく可能性がある
元本が増える配当を受け取りながら、元本の株価も成長しうる

債券ではなく株を挙げているのには理由があります。債券のクーポン(利息)は、発行時に決まったら増えません。インフレが来ても同じ額です。そして今の利回り水準では、債券のクーポンは配当より低いことが多い。定期的な現金がほしいなら、株式のほうが合理的だと私は考えています。

では、いくら必要なのか。仮に65歳の時点で年間100万円の配当を狙うとします。税引き後の利回りで計算すると、必要な元本はこうなります。

手取り利回り年100万円に必要な元本
3.0%約3,333万円
2.6%約3,846万円
2.0%5,000万円

大きい数字に見えるかもしれません。ただ、思い出してください。この記事の冒頭で出てきた「2000万円」は、使えば無くなる2000万円でした。こちらの3,333万円は、減らさずに毎年100万円を生み続ける3,333万円です。性質がまったく違います。

どの銘柄で組むかは、この記事の範囲を超えます。VYM・HDV・SPYD・DVYの実データ比較はこちらの記事に、新NISAでの買い方と「配当1,000万円に必要な元本」の計算はVYMの記事にまとめてあります。

配当を受け取る口座をこれから作る人は、米国株を扱っていて、配当の再投資や外国税額控除の手続きがしやすい証券会社を選んでください。証券会社ごとの総コスト比較はこの記事にまとめてあります。

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【入ってはいけない】民間の個人年金保険

最後に、選んではいけないものを書きます。民間の個人年金保険です。

保険会社に毎月保険料を払い、老後に年金形式で受け取る商品です。「公的年金だけでは足りないので」という説明とともにすすめられます。

私はこれを勧めません。理由は感情ではなく、計算です。

いちばん大きいのが控除の頭打ちです。個人年金保険料控除には上限があります。

個人年金保険国民年金基金
控除の上限所得税4万円/住民税2.8万円
(年8万円払うと頭打ち)
全額
年24万円払った場合の
税の軽減額(税率30%想定)
10,800円72,000円
30年続けた場合の差約184万円

個人年金保険は、年間8万円を超えて払っても、控除は1円も増えません。同じ「老後のために積む」行為なのに、税制上の扱いがここまで違います。税率は人によって違うので金額は変わりますが、差が出る向きは変わりません。

控除以外にも、確認しておきたい点があります。

  • 途中でやめると元本割れする。10年、20年と払い続けることが前提の設計になっており、事情が変わって解約すると払った額を下回ります
  • 予定利率が低い。国民年金基金の1.5%を下回る商品が多く、増える速度で公的な制度に勝てません
  • インフレに弱い。受け取る額が契約時に決まる型は、物価が上がっても増えません

この「途中でやめられない」という性質については、私自身に前科があります。低解約返戻金型の保険を、14年間払い続けていました。詳しくはこの記事に書きましたが、貯蓄と保障を同じ商品で解決しようとすると、たいてい両方が中途半端になります。

外貨建ての個人年金保険も同じです。「利率が高い」と説明されますが、その高さは為替リスクを契約者が引き受けた対価です。高い利回りには、必ず理由があります。

老後のために毎月お金を積むこと自体は正しい。正しいのは行為で、間違っているのは入れ物です。

「当てにしない」と「測らない」は、別のことです

ここで、私自身の立場を正直に書いておきます。

私の投資設計は、年金がゼロでも生きられることを前提に組んでいます。制度が今のまま続くとは思っていませんし、支給開始年齢や金額が動く可能性も想定しています。年金なしでも成り立つくらいには稼ぎたい、というのが本音です。

そう書いたうえで、この記事では終身収入を数えることを勧めています。矛盾しているように見えるかもしれません。

私はこの2つを分けて考えています。

当てにしないとは、配られる前提で人生を組まないこと。

測るとは、配られたぶんはちゃんと数えること。

この2つは両立します。年金は、届かない可能性もあるが、届く可能性もある。届いた場合にどうなるかを計算していないほうが、設計としては雑です。

ちなみに、その年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の中身は、パッシブ運用が約8割を占めるインデックス投資でした。この話は別の記事に詳しく書いています。制度を信じるかどうかとは別に、運用の中身は知っておいて損がありません。

使い切れない後悔より、途中で尽きる恐怖のほうが重い

なぜ終身収入にこだわるのか。ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

私は「DIE WITH ZERO」の考え方に共感しています。資産を残して死ぬのは、使えたはずの経験を捨てることだ、という主張です。

ただ、正直に言えば、2つの失敗は同じ重さではありません

使い切れずに死ぬのは、たしかに惜しい。けれど、生きている途中で資金がショートするほうが、はるかにきつい。90歳で貯金が尽きても、そこから稼ぎ直すことはできません。

だからといって、貯め込んだまま何も使わずに終わるのも避けたい。資産を持ったまま、節約したまま人生を終えて「もっと使っておけばよかった」と思うのは、別種の失敗です。

この2つを同時に避ける方法が、終身収入でした。

順番に見ると、こうなります。

  1. 終身収入が生活費に届いていないとき、資産は「生活費の唯一の供給源」になる。だから減らせない。持っていても使えない
  2. 終身収入が生活費を上回った瞬間、生活は勝手に回るようになる。資産は「使うためだけのお金」に変わる
  3. つまり終身収入を太くすることは、DIE WITH ZEROを実行するための前提条件だった

取り崩しの設計そのものを否定しているのではありません。私は今も、株価に応じて取り崩し率を変える方法を自分のルールとして持っています(取り崩しシミュレーターの記事)。

否定しているのは、取り崩すしかない、という状態のほうです。終身収入という土台があってはじめて、取り崩しは「不安の作業」から「使うための作業」になります。

私自身は、まだ答えを出していません

ここまで5つの選択肢を並べましたが、私自身がどう組むかは、実はまだ決まっていません。

繰下げ受給については、繰り下げる方向で考えています。年金を当てにしない設計にしているからこそ、受け取るなら保険としての性能を最大化したい、という理屈です。

迷っているのは5つ目、配当のほうです。私の主軸はVOO(バンガードS&P500 ETF)とQQQで、高配当ETFは保有していません。新NISAの枠も、当初の予定どおりインデックスで埋めたいと思っています。

一方で、配当という現金が毎年入ってくる魅力も理解しています。NISAの枠を高配当株で埋めるという選択も、それ自体はありです。枠がどこまで埋まるかを見ながら決める、というのが今の正直なところです。

誤解のないように、保有と推奨を分けて書いておきます。

私(投資歴18年)これから始める人へ
中核VOO・QQQ(米ドル建てETF)eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)等の低コスト投信
高配当未保有(検討中)受け取り期が近い人は検討する価値あり
公的年金繰下げる方向で検討まず見込額を確認するところから
個人年金保険入らない入らない

私はドル建てETFを直接持っていますが、これは18年かけて慣れた結果です。同じことを最初からやる必要はありません。

今日やること、3つだけ

最後に、この記事を読み終わってからやることを3つに絞ります。

①ねんきんネットで、自分の見込額を見る

日本年金機構のねんきんネットに登録すると、自分の年金記録と将来の見込額が確認できます。

冒頭に書いたとおり、私も見ました。思ったより少なくて、正直がっかりしました。それでも見てよかったと思っています。得体の知れない不安が、具体的な数字に変わったからです。数字になれば、足りない分を計算できます。

②今の生活費と、老後の生活費を把握する

次に、支出側です。今いくらで暮らしているのかがわからないと、いくら足りないのかも計算できません。

老後の生活費は、今の生活費がそのまま続くわけではありません。通勤にかかる費用や、仕事関係の出費は減ります。一方で、医療や住まいの費用は増える可能性があります。まずは今の数字を押さえて、そこから差し引きしてください。

③「終身収入 − 生活費」の不足分を、配当で埋める設計にする

①と②が出たら、引き算するだけです。下の計算機に入れてみてください。入力した数字がこのページの外に送られることはありません。

終身収入の不足分 計算機

ねんきんネットの見込額と、家計簿の生活費を入れてください。

不足がゼロ以下になった人は、もう老後対策は終わっています。あとは、貯めた資産をどう使うかという楽しい問題だけが残ります。

不足が出た人も、絶望する必要はありません。必要なのは「4000万円貯めること」ではなく、その不足分だけを埋める設計です。目標が具体的な金額になった時点で、話はぐっと現実的になります。

なお、この記事は出口——受け取る側の話です。そもそも何をどう積むかという入口の部分は、私がXでフォローしているマサニーさんの本が漫画で読めるぶん早いと思います。


まとめ

老後対策は、貯金額を競う競技ではありません。

  • 目標は終身収入 > 生活費。2000万円という金額ではなく、この不等式が成立するかどうか
  • 取り崩す設計は割り算で、分母(寿命)が伸びると壊れる。女性の2人に1人は90歳まで生きる
  • 終身収入を太くする手は5つ。国民年金(繰下げで最大+84%)/厚生年金/企業年金/国民年金基金/高配当株の配当金
  • 民間の個人年金保険は選ばない。控除が年8万円で頭打ちになり、全額控除の制度と30年で約184万円の差がつく
  • 終身収入が生活費を超えた瞬間、資産は「減らせないお金」から「使うためだけのお金」に変わる

私も、まだ途中です。ねんきんネットの数字は思ったより小さかったし、配当をどこまで組み込むかも決めきれていません。

それでも、数える対象を「貯金残高」から「死ぬまで入ってくる額」に変えただけで、老後の話はずいぶん扱いやすくなりました。

動画でも解説しています

この記事の内容を、11分57秒の動画にまとめました。章ごとに「耳に残す数字」を1つだけ置いてあるので、手が離せないときは音声だけでも追えます。

動画版(11分57秒):繰下げ受給の+84%と、入ってはいけない1つを音声で追えます

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※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。制度の内容・数値は2026年8月時点の公表情報にもとづきます。年金額・控除額は個人の加入状況や所得によって異なります。投資判断は必ずご自身の責任でお願いします。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(サクっと純金)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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