VYMは新NISAで買える?——つみたて投資枠✕・成長投資枠◯の理由と、HDVが買えなくなった今の乗り換え判断【配当1,000万円シミュレーター付き】

VYMは新NISAで買えるか——つみたて投資枠✕・成長投資枠◯の違いと、HDVからの乗り換え判断を解説するイメージ。階段状に積み上がる配当コインと月城ミオ 投資戦略・制度

HDVが、新NISAの成長投資枠から外れました。毎月分配型に変わったからです。長く高配当ETFの一角として名前が挙がってきた銘柄が、制度の側から弾かれた。「じゃあ、次は何を買えばいいんだ」——そう検索してこのページにたどり着いた方も多いと思います。

私は高配当ETFを1本も持っていません。投資歴は18年、中核はVOOとQQQ。それでも今回、腰を据えてVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)を調べました。理由は単純で、「いつか自分が買う番が来る銘柄」だと思っているからです。この記事は、その検討の記録です。「VYMは新NISAで買えるのか」という当事者の疑問に正確に答えたうえで、なぜ私が”まだ”買わないのか、そしてどうなったら買うのかを、数字で書きます。

この記事は、HDVが新NISA成長投資枠から外れた話の続きとして書いています。HDVを持っていた方・買おうとしていた方が「次にどこへ行くか」を考えるための一枚です。

先に結論:VYMは”つみたて枠”では買えない。でも私はまだ買わない

細かい話に入る前に、この記事の結論を3つ先に置きます。

  1. VYMは「つみたて投資枠」では買えません。これはVYMに限らず、高配当ETF・高配当インデックスファンドは投信版を含めて1本もつみたて投資枠に入っていません。制度の構造上の話です。
  2. VYMは「成長投資枠」では買えます。HDVのように除外されてはいません。四半期ごとの分配で、毎月分配型ではないからです。
  3. それでも、私は今は買いません。見送ったのではなく、まだそのステージに来ていないだけです。ただしVYMは、私にとって”次のステージ”の筆頭候補です。

この3つを、順番にほどいていきます。

VYMは新NISAで買える? 答えは”どの枠か”で変わる

「VYMは新NISAで買える?」——この問いには、実は一言で答えられません。新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの部屋があって、VYMが入れるのは片方だけだからです。しかも、同じ高配当でも”本体(米国ETF)”か”投信版”かで話が変わる。まず全体像を表で整理します。

商品 つみたて投資枠 成長投資枠 ひとこと
VYM(米国ETF本体)四半期分配。除外されていない
楽天・米国高配当株式(楽天VYM・投信)円で買えるVYMの中身
SBI・V・米国高配当株式(投信)同上
HDV2026年6月に毎月分配化→除外
JEPI・JEPQ など毎月分配・カバードコール型

ここで一番つまずきやすいのが、「積立設定はできる」と「つみたて投資枠で買える」は別物だという点です。VYM(や楽天VYM)は成長投資枠を使って毎月コツコツ買う「積立設定」自体はできます。でもそれは成長投資枠を積立に使っているだけで、いわゆる”つみたて投資枠”の対象商品ではありません。「積立できる=つみたてNISAで買える」と思い込むと、枠の使い方を間違えます。

HDVについては、毎月分配型に変わったことで成長投資枠からも外れ、NISA口座での新規の買い付けができなくなりました。詳しくはHDVの記事に書いています。VYMとSPYDはこの影響を受けていません。

なぜ制度は、高配当をつみたて枠に入れないのか

「高配当ETFがつみたて枠に1本もない」——これは金融庁の嫌がらせではありません。つみたて投資枠は、金融庁が指定した特定の指数(インデックス)に連動する商品だけが入れる部屋で、VYMが連動する「FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス」が、その指定リストに入っていないからです。だから本体だけでなく、楽天VYMのような投信版まで揃ってつみたて枠に入れない。

私はここに、制度からの無言のメッセージを感じます。つみたて投資枠は、これから資産を作る人が全世界株やS&P500で”土台”を積む部屋。高配当は、その土台ができた人が”使い方”を選ぶ段階の道具。制度自身が「高配当はコア(資産形成期)ではなく、サテライト(資産活用期)だ」と線を引いている。

この線引きは、私の実感と完全に一致します。ここから、私が高配当を”まだ”買わない理由の本題に入ります。

VYMとは何者か——大金を預けるに足る”退屈さ”

まず、VYMという商品そのものを冷静に見ます。数字を並べます。

運用会社バンガード(世界最大級・投資家所有の構造)
純資産総額約845億ドル(約12兆円)。オルカン(eMAXIS Slim全世界・約5兆円)の2倍超
構成銘柄数約590銘柄に自動分散
経費率年0.06%(SPYD 0.07%・HDV 0.08%より安い。高配当ETF最安水準)
分配利回り約2.6%(高配当としては控えめ)
増配実績2011年以降、13年以上の連続増配

正直に書きます。VYMは無敵ではありません。リーマンショックの傷が残った2009年と2010年、VYMは2年連続で分配金を減らしています。高配当ETFに「絶対に減配しない」はない。ここは目をそらさずに書いておきます。

ただ、その後は右肩上がりで、コロナショックの2020年ですら分配金は増えました。約590銘柄・純資産12兆円・経費率0.06%・バンガード運用という組み合わせは、派手さは一切ないけれど、大金をまとめて預けるには、この”退屈さ”こそが正解だと感じます。利回りは低い。でも、利回りの高さより「減配しにくさ」と「分散の広さ」が効くステージが、いずれ来る。

キャピタルか、インカムか——私が”成長”を取った本当の理由

投資のリターンには2種類あります。キャピタルゲイン(値上がり益)インカムゲイン(配当・分配)。VOOやQQQは前者、VYMのような高配当ETFは後者を主に狙う道具です。

私は、キャピタルを取ってきました。かっこいい理由があるように聞こえるかもしれませんが、本当のところは違います。配当で意味のある金額を得られるほどの、元本がなかった。それだけです。

数字にすると身も蓋もありません。利回り2.6%で計算すると、こうです。

元本年間の配当(税引前)月あたり
500万円約13万円約1.1万円
1,000万円約26万円約2.2万円
3,000万円約78万円約6.5万円

元本が数百万〜数千万の段階で高配当に寄せても、生活は変わりません。月1万円の配当のために、値上がりで元本を膨らませるチャンスを手放すのは、割に合わない。まず成長で元本という”畑”を大きくする。配当という”収穫”は、畑が広がってから。順番の問題であって、高配当が悪いのではない。

資産形成期(今の私) キャピタル重視:VOO・QQQで畑を広げる 資産活用期(次のステージ) インカム重視:VYMで収穫を受け取る 配当1,000万が見えたら

高配当は「見送る」のではなく、ステージが来たら「切り替える」もの。

私が切り替える”線”——年間配当1,000万円という到達点

では、いつ切り替えるのか。私の中では、はっきり決めています。年間の配当(税引前)が1,000万円に届くようになったら、資金を高配当に大きく寄せてもいい。そう考えています。

1,000万円の配当を利回り2.6%で得るのに必要な元本は、約3億8,462万円。とんでもない金額に見えます。でも、私はこの数字を別の記事で一度見ています。取り崩しシミュレーターの記事で「年2,000万円を100歳まで使い切るには、いくら要るか」を計算したとき、答えは約3.88億円でした。

ほぼ同じ数字なんです。「資産を売って使い切る」ルートと、「配当を受け取り続ける」ルートは、ほぼ同じ山頂の、別ルートだった。これは私にとって、ちょっとした発見でした。出口は「売る」か「配当」かの二択で対立するものだと思っていたのに、必要な元本で見ると、同じ地点に立っている。

あなた自身の”切り替えライン”はいくらでしょうか。目標の配当から必要な元本と到達年数を逆算できるように、シミュレーターを置いておきます。数字を動かして、自分のステージがいつ来るのか、確かめてみてください。

⭐ 配当ステージ逆算シミュレーター

目標の年間配当から「必要元本」と「到達年数」を逆算します(税引前・分配金再投資なしの簡易計算)。

※簡易シミュレーションです。税・為替・増配・暴落は考慮していません。将来の成果を保証するものではありません。

配当には"隠れコスト"がある——二重課税の話

高配当ETFを検討するとき、利回りの数字だけ見て「2.6%か」と判断すると足をすくわれます。米国ETFの配当には、二重課税という隠れコストがあるからです。

米国株・米国ETFの配当は、まず米国で10%が引かれ、その残りに日本で20.315%がかかります。二段階で削られる。ここで効いてくるのが、口座の種類です。

税引前の配当 100万円が、手取りいくらになるか 特定口座(確定申告あり) 外国税額控除で米国分をおおむね取り戻せる → 約79.7万円 NISA成長投資枠 日本分は非課税。でも米国10%は取り戻せない → 約90万円 米10% ※特定口座の外国税額控除には控除限度額があり、全額戻るとは限りません。NISAは日本側が非課税のため、外国税額控除自体が使えません。

意外に思われるかもしれませんが、NISAは配当と相性が完璧ではありません。日本の税金はゼロになりますが、米国で引かれた10%は取り返せない。NISA口座では「日本で非課税になった配当」について外国税額控除が使えないからです。一方、特定口座なら確定申告で外国税額控除を使い、米国分をおおむね取り戻せます(ただし控除限度額があり、全額とは限りません)。

「配当は二重課税だけど、確定申告で取り返せるんだよね?」——これは半分正解で半分違う、というのが答えです。取り返せるのは特定口座。NISAでは米国10%はあきらめる。高配当を大きく持つステージでは、この10%が効いてきます。だからこそ、口座の設計まで含めて考える必要がある。

最悪の乗り換え——利回り1位のSPYDに飛びつくな

HDVが買えなくなった今、いちばんやってはいけないのが「利回りが一番高いから」という理由でSPYDに乗り換えることです。SPYDは高配当御三家の中で利回りが最も高い。でも、その高さには理由があります。

  • 2020年のコロナ禍、SPYDの9月期分配金は前年同期比で約40%減
  • 2021年12月の分配金は、四半期で約80%の大減配
  • 設定来36四半期のうち、増配12回に対して減配14回。右肩上がりとは言えません。

これに対してVYMは、リーマン直後の2年をのぞけば増配を続け、コロナでも減らさなかった。利回りに釣られた乗り換えは、HDV難民の"二次遭難"になりかねません。VYM・HDV・SPYD・DVYを横並びで数字比較した記事を別に書いているので、乗り換え先で迷っている方は高配当ETF4本の徹底比較を読んでから決めてください。「利回りの高さ」と「配当の安定」は、別の話です。

私の保有と、あなたの選択肢は違う

誤解のないように、私が今持っているものと、読者のあなたが検討していいものを、分けて書きます。

 私(Hiro・投資歴18年)これから検討する読者へ
中核VOO・QQQ(米ドル建て・資産形成期)つみたて投資枠でオルカン/S&P500が土台
高配当未保有(まだステージ前)土台ができた後、成長投資枠でVYMも選択肢
買い方配当1,000万が見えたら大きく寄せる予定まずは少額で"感触"を確かめる

そして、出口についても正直に書いておきます。資産を使うステージの実装には、2つの方式があります。

  1. 売って崩す:資産を少しずつ取り崩して現金化する(取り崩しシミュレーターの記事で書いた変動定率法)。
  2. 配当で受け取る:元本を売らず、VYMのような高配当から入ってくる配当で暮らす(この記事)。

私は、まだどちらにするか決めていません。正確には、両方を天秤にかけている最中です。ただ、配当が1,000万円ステージに届いたら、②の「配当で受け取る」が筆頭候補になる——そう思っています。使わないまま資産を残して去るのは、私にとってはむしろ辛い。使い切りたい。だから、いつか高配当が見えてくる。これは私個人の考えであって、あなたに真似をすすめるものではありません。

VYMを買うなら、どの口座か

最後に実務です。VYMは米国ETFなので、買うには米国株を扱える証券口座が要ります。ただ、正直に言えば新NISAでの売買コストは、SBI証券・楽天証券が米国株・海外ETFの売買手数料も為替手数料も実質0円で最強です。大半の人はここで十分。私の主軸もSBIです。

そのうえで、米国株・投信の情報の厚さや、少額・相談のしやすさで使い分けたい人向けに、口座の選択肢を並べておきます(保有≠推奨。ご自身の設計で選んでください)。

米国高配当ETF・投信を買える主要ネット証券(用途別)

私の主軸はSBI証券ですが、用途で使い分けています。米国株・投信の情報が厚いマネックス証券、サポートが手厚く少額・相談向けの松井証券、外国株の取扱いが広いサクソバンク証券という並びです(保有≠推奨。ご自身の設計で選んでください)。

マネックス証券の口座開設

マネックス証券の口座開設はこちら(公式)

サクソバンク証券の口座開設。外国株・海外ETFの取扱いが広い外資系ネット証券

もう一つ、この段階の学びとして手元に置いておくと効くのが、投資雑誌です。ダイヤモンドZAiは高配当ETFやNISAの特集を毎号のように組んでいて、点検の"型"を安く手に入れられます。私が今回参照した号も挙げておきます。

今回の点検で参照した投資雑誌(ダイヤモンドZAi)

8月号は「NISAで買える日米の高配当ETF12本」、6月号は別冊付録「配当利回りトップ250の配当余力大診断」。高配当とNISAの"型"を毎号安く手に入れられます。

ダイヤモンドZAi 2026年8月号 NISAで買える日米の高配当ETF12本特集 ダイヤモンドZAi 2026年6月号 配当利回りトップ250 配当余力大診断

まとめ:VYMは"次のステージ"の筆頭候補

今日の内容を、1つのメッセージに畳みます。

高配当を見送ったのではない。まだ、そのステージに至っていないだけだ。

VYMはつみたて枠では買えないが成長枠では買える。利回りは低いが、大金を預けるにはその"退屈さ"が正解になる。配当1,000万円ステージが見えたら、私はここに寄せる。それまでは、成長で畑を広げる。

HDVが買えなくなったからといって、利回りの高いSPYDに慌てて飛びつく必要はありません。順番を間違えなければ、高配当はいつか必ず「次のステージ」で待っています。私も、あなたと同じ場所を目指しています。たまたま勝った話ではなく、再現できる道を一緒に歩けたら、と思って書きました。


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免責:本記事は投資判断の参考情報であり、特定商品の購入を勧誘するものではありません。数値は2026年7月時点の各種公開データ・報道に基づく概算で、利回り・純資産・税制は変動します。NISA制度・税制の適用は個別事情により異なります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。私(筆者)はVYMを保有していません。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(GLDM)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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