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日本の景気は、2020年からずっと拡大を続けていて、その長さは、戦後最長だった「いざなみ景気」を超えた可能性があると報じられています。日銀短観では、企業の景況感が大企業製造業で+24と、約8年半ぶりの高さです。数字の上では、景気はいいことになっています。
でも、街の店員やタクシーの運転手に聞く「景気ウォッチャー調査」は9月分で47.0。判断の分かれ目の50を下回っています。景気が悪くなったと感じている人の方が多い数字です。
私も、実感はありません。9月に自分の家計を数えたら、コンビニとアイコスで年633,600円、電気代は1か月で35,212円でした。10月からはたばこ税で、さらに年14,400円増えます。給料が上がった実感もありません。積立も、資金の都合で止めています。
それでも、私が持っているVOO(S&P500に連動するETF)は、9月末で年初から+11.8%動いていました。景気の果実は、私の給料より先に、私の持っている株の値段に届いていました。数字は2026年10月8日時点です。
結論:景気の果実には、届く順番がある
- 「景気がいい」は、企業の利益と、資産の値段の話。給料と生活の実感は、それより遅れて来る
- だから「いい」と「悪い」が同時に出る。聞いている相手が違う
- 実感が来るのを待たずに、果実を受け取る側に少しだけ立っておく。それが私にとってのインデックス投資
同じ国の景気が、「いい」と「悪い」に分かれている
まず、言葉を2つだけ説明します。
日銀短観は、日銀が全国の企業に「景気はいいか、悪いか」を聞く調査です。「いい」と答えた会社の割合から「悪い」の割合を引いた数字で、プラスなら「いい」と感じる会社の方が多いことになります。
景気ウォッチャー調査は、内閣府が、街で景気を肌で感じる仕事の人に聞く調査です。小売店、飲食店、タクシーの運転手など、景気の動きを肌で感じやすい仕事の2,050人に、3か月前と比べてどうかを聞きます。50が分かれ目で、50を下回ると「3か月前より悪くなった」と感じる人の方が多いことになります。
この2つの最新の数字を並べます。
| 指標 | 最新の数字 | 聞いている相手 |
|---|---|---|
| 日銀短観(9月調査・10月1日公表) | 大企業製造業+24(約8年半ぶりの高さ)/大企業非製造業+35/全規模・全産業+21 | 会社 |
| 景気動向指数(8月分速報・10月7日公表) | 基調判断「改善を示している」(一致指数は前月比−1.9ポイント) | 統計(生産・出荷など) |
| 月例経済報告(9月) | 「景気は緩やかに回復している」 | 政府 |
| 景気ウォッチャー調査(9月分・10月8日公表) | 現状判断47.0(50を下回る・5か月続けて上昇中) | 街で働く人 |
| 実質賃金(8月分速報・10月7日公表) | 前年比+1.5%(8か月続けてプラス) | 給料 |
表:2026年10月7日時点で公表されている最新の数字(出典は記事末尾)
どちらも正しい数字です。違うのは、聞いている相手です。短観は会社に聞いています。景気ウォッチャーは、毎日お客さんと話している人に聞いています。会社の利益は増えている。でも、財布を開く側の生活は、楽になっていない。同じ国の中で、温度が2つあります。
「戦後最長」についても、正確に書いておきます。時事通信とブルームバーグは9月7日、2020年からの景気拡大が74か月に達し、いざなみ景気(2002年〜2008年、73か月)を超えて戦後最長になった可能性がある、と報じました。景気の山と谷を正式に決めるのは、内閣府の景気動向指数研究会で、数年後に判定されます。今の時点では「戦後最長になった」とは言えず、「その可能性がある」までです。
景気の果実は、3段の階段で届く
なぜ、こうなるのか。私は、景気の果実には届く順番がある、と考えています。
- 1段目:企業の利益。物が売れて、値上げが通ると、まず会社の利益が増えます。短観の数字はここを測っています
- 2段目:資産の値段。利益が増えると、株価が上がります。株を持っている人は、ここで果実を受け取ります
- 3段目:給料と生活の実感。会社が利益を給料に回し、それが物価の上がり方を上回り続けて、初めて生活が楽になったと感じます
段と段のあいだには、時差があります。1段目から3段目まで、数年かかることもあります。
3段目の目安になるのが、実質賃金です。給料の伸びから物価の伸びを引いたもので、プラスなら、給料で買える物が増えていることになります。8月の実質賃金は前年比+1.5%で、8か月続けてプラスです(毎月勤労統計の速報)。数字の上では、3段目にも果実が届き始めています。ただ、日本の実質賃金は、1990年代の半ばから長く伸び悩んできました。その後の8か月のプラスでは、まだ生活の実感にはなりません。
物価も上がり続けています。8月の消費者物価(生鮮食品を除く)は前年比+1.7%です。10月からは、食品3,153品目の値上げが重なり(帝国データバンク)、東京電力の10月使用分の電気代は過去最高の水準になると報じられています。給料が少し増えても、出ていくお金も増えています。
リベ大の9月の総まとめ動画(10月7日公開)も、同じ整理をしていました。国全体(マクロ)は好景気、一人ひとりの生活(ミクロ)はまだ不景気。今、景気がいいと感じているのは、株や不動産を持っている人だ、という内容です。私の家計で数えても、その通りでした。
私の中でも、温度差が起きていた
9月に、家計の記事を3本書きました。並べると、こうなります。
- 9月12日の記事:コンビニとアイコスで、月52,800円、年633,600円。家の食費より多い
- 9月19日の記事:電気代は1か月で35,212円。私に動かせるのは、使う量だけ
- 9月30日の記事:10月からアイコスは1箱640円。年14,400円の増税
どれも、生活が楽になった話ではありません。給料が上がった実感もありません。投資信託の毎日の積立も、資金の都合で止めています。家計の側だけを見れば、私は3段目にいて、果実はまだ届いていません。
一方で、2020年から持っているVOOは、売らずに持ったままです。2025年末の終値627.13ドルが、2026年9月30日には700.86ドル。年初から+11.8%です(ドル建て・値段だけで、配当は含めていません)。10月7日には714.34ドルで、+13.9%になっていました。
同じ私の中で、家計は寒く、持っている株は暖かい。マクロとミクロの温度差は、私一人の中でも起きていました。私は2段目にも、少しだけ立っていたということです。
金額は書きません。大事なのは率でもなく、「家計の側と資産の側で、同じ時期に、温度が逆だった」ということです。
実感を待たずに、2段目に少しだけ立っておく
実感がないのは、景気が嘘だからではありません。果実が、まだ3段目に届いていないからです。
3段目に届くのを待つしかない人と、2段目でも受け取れる人がいます。違いは、株を持っているかどうかです。だから私は、景気の実感を待たずに、2段目に少しだけ立っておく、と決めています。それが、私にとってのインデックス投資の役割です。
景気を当てる必要はありません。会社の利益が伸びれば、その分を、時価総額の比率で受け取るだけです。10月1日の記事で書いた、エヌビディアの24兆円の自社株買いも同じです。会社が株主に返したお金を、私はインデックスの中で受け取っています。
ただし、「株を持っていない人は損をしている」とは思いません。生活が先です。2段目に立つのは、生活防衛資金を残したうえで、続けられる額だけです(8月27日の記事)。私自身、今は家計の都合で新しく買うのを止めています。立っている場所を広げられない時期もあります。持っている分を売らずに置いておくだけでも、2段目には立っていられます。
もう1つ。景気が悪くなるときも、果実は同じ順番で、逆向きに来ます。先に株価が下がり、給料は遅れて下がります。2段目に立っている人は、景気が悪くなるとき、真っ先に寒さを受けます。この記事は「景気はこの先も続く」と言っているわけではありません。
自分の温度差を、2行で測る
読者のあなたにも、自分の温度差を測ってみてほしいと思います。2行で足ります。
- 家計の側:今年、生活が楽になった実感はあるか(ある/ない)
- 資産の側:持っている株や投資信託は、年初からいくら動いたか(持っていなければ「なし」)
2つの差が、あなたにとっての「マクロとミクロの温度差」です。
資産の側が「なし」だった人へ。額は小さくて構いません。続けられる額だけです。7月2日の記事で書いた「手取り÷5」の貯蓄率や、10月3日の記事の「毎月いくら」から始められます。
資産の側が動いていた人へ。景気が悪くなるとき、果実は逆の順番で来ます。そのときに売らないための準備は、9月13日の記事と10月4日の記事で書いた「先に書いておく」です。
まとめ
- 日銀短観は大企業製造業+24で約8年半ぶりの高さ、景気ウォッチャーは47.0で50を下回る。同じ国の景気が、聞く相手で「いい」と「悪い」に分かれている
- 景気の果実は、企業の利益→資産の値段→給料と生活の実感、の順番で届く。段のあいだには時差がある
- 私の家計に実感はない。でも、持っているVOOは9月末で年初から+11.8%。私の中でも温度差が起きていた
- 実感を待たずに、2段目に少しだけ立っておく。ただし生活が先。景気が悪くなるときは、逆の順番で来る
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・コンビニで毎日いくら使っているか数えたら、年633,600円でした
・電気代35,212円の内訳を分解したら、私に動かせるのは使う量だけでした
・2026年に政府が上げる税金を並べたら、私が一番払うのはアイコスでした
・政策金利2.5%でも、普通預金は1.0%です
・日米が利上げした翌週、日経は5日続伸でした——株価=利益×何倍
・あなたのオルカン積立が、円安の燃料になっている
出典:日本銀行「短観」(2026年9月調査・10月1日公表)、内閣府「景気動向指数」(8月分速報・10月7日公表)・「月例経済報告」(9月29日)・「景気ウォッチャー調査」(9月分・10月8日公表)・「景気基準日付」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」(8月分速報・10月7日公表)、総務省「消費者物価指数」(8月分)、帝国データバンク(9月30日公表)、時事通信・ブルームバーグ(9月7日)。VOOの終値はYahoo Financeの値で、騰落率は筆者の計算です(ドル建て・配当を含まない)。数字は2026年10月8日時点です。 ※本記事は特定の銘柄や商品の売買を勧めるものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。本記事にはアクセストレードのアフィリエイトリンクが含まれています。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
