保険を見直そうと思って、いちばん最初にやってしまうのが「この保険は必要か」を1つずつ考えることです。医療保険はどうか、がん保険はどうか、学資保険はどうか。
その順番だと、たいてい途中で疲れて終わります。1つずつ考えると、どれにも「もしものとき」の物語が付いているからです。
私は逆にしました。先に「保険は合計で月5,000円まで」と上限を決めました。上限が決まると、残るものは自動的に決まります。
結果として、いま私が自分の財布から払っている保険は1本だけです。この記事では、その決め方と、実際に何を解約したのかを書きます。
結論:どれが要るかではなく、合計いくらまでで決めます
先に答えを書きます。保険に払っていいのは、合計で月5,000円までです。
この金額に収めようとすると、選べるものは3つしか残りません。
| 残るもの | 残る理由 |
|---|---|
| 掛け捨ての死亡保険 | 自分が今日いなくなると、残された人の生活が成り立たなくなるからです |
| 火災保険 | 家を失うと生活の土台ごと消えるからです。賃貸ではほぼ契約条件になっています |
| 自動車保険(運転する人だけ) | 対人の賠償は1億円を超えることがあり、貯金では届かないからです |
| それ以外すべて | 起きても生活が破綻しないか、公的な制度と貯金で足りるかのどちらかだからです |
基準は1つだけです。起きる確率は低いけれど、起きたら生活が終わるもの。ここにだけ保険を使います。
逆に言えば、よく起きることに保険をかけてはいけません。よく起きるということは、保険会社もそれを見込んで保険料を決めているということです。集めたお金から会社の取り分を引いて配るので、確率が高いものほど手元に戻る割合は下がります。
かんたん解説:掛け捨てと貯蓄型の違い
掛け捨ては、払った保険料が戻ってきません。その代わり保険料が安くなります。貯蓄型は解約したときにお金が戻ってきますが、その分だけ保険料が高く設定されています。戻ってくるお金は、自分が多めに払ったお金です。
なぜ、削るなら保険なのでしょうか
お金に余裕がない理由は、突き詰めると2つしかありません。収入が少ないか、支出が多いかです。
そして収入は、望んでもすぐには上がりません。だから支出を見ることになります。
ところが支出のうち、食費や日用品といった生活費も、そう簡単には下がりません。下げると生活の質が落ちて、続きません。
節電と節水では、金額が動きません
ここで多くの人が手をつけるのが、節電や節水です。使っていない部屋の電気を消す、シャワーの時間を短くする。
努力の量に対して、動く金額が小さすぎます。毎日気をつけて、月に数百円です。
金額が大きく動くのは、家賃(住宅ローン)・保険・車の3つだけです。この3つは金額そのものが大きいので、1回の見直しで効きます。
そして保険は、やめても生活が変わりません
この3つのなかでも、保険には特別な性質があります。解約しても、生活が何も変わらないのです。
家賃を下げれば引っ越しが要ります。車を手放せば移動が不便になります。けれど保険をやめても、住む場所は変わりませんし、食べるものも変わりません。
それなのに、毎月確実に金額が減ります。生活の質を1ミリも落とさずに支出だけが減るのは、保険くらいです。
金額の規模も小さくありません。各社の解説によると、世帯の年間払込保険料は30〜40万円台という数字がよく出てきます。月にすると2.5〜3万円です。
私が上限にしている月5,000円と比べると、年間で20万円以上の差になります。
残るのは3つだけです
1. 掛け捨ての死亡保険
入る理由は1つです。自分が今日いなくなったときに、残された人の生活が成り立たなくなるからです。
逆に言うと、その心配がない人には要りません。独身で扶養している人がいないなら、優先度は下がります。
金額の目安は、遺族年金や配偶者の収入で足りない分です。子どもが小さいほど大きく、子どもが独立すれば小さくなります。だから期間を区切ります。私は60歳までにしています。
2. 火災保険
賃貸の場合、建物の火災保険は大家さんが加入します。借りる人が入るのは、自分の家具や家電を補償する「家財保険」です。
賃貸契約ではほぼ必須の扱いになっています。ただし不動産会社に指定されたものをそのまま契約する必要はありません。自分で選べる場合が多いです。
保険料の相場は、賃貸で年5,000円〜2万円程度です。家財の補償額を最低限に設定すれば、年5,000円前後(月400円台)に収まることもあります。
3. 自動車保険(運転する人だけ)
車に乗るなら、これは外せません。対人の賠償は1億円を超える判決が出ることがあり、貯金では絶対に届かないからです。
入るときの基準は3つです。
- 対人・対物は無制限にします。ここを削る意味がありません
- 弁護士特約は付けます。もらい事故のとき、自分の保険会社は交渉できません
- 車両保険は原則として外します。自分の車が壊れても、生活は破綻しないからです
自転車の賠償も忘れないでください。ただし自転車保険に単独で入る必要はありません。自動車保険の特約や、クレジットカードに付いている個人賠償責任保険で足りることが多いです。
上限は、車に乗るかどうかで変わります。ここは正直に分けます。自動車保険は金額が大きいので、乗る人は月5,000円には収まりません。
| 内訳 | 車に乗らない場合 | 車に乗る場合 |
|---|---|---|
| 掛け捨ての死亡保険 | 必要な人だけ | 必要な人だけ |
| 火災保険(賃貸・家財) | 月400円〜1,700円程度 | 月400円〜1,700円程度 |
| 自動車保険 | 不要 | 等級と車種で大きく変わります |
| 上限の目安 | 月5,000円 | 月5,000円+自動車保険 |
大事なのは、自動車保険を別枠にしても、それ以外は月5,000円に収まるということです。収まらないなら、3つ以外の何かが混ざっています。
消えるものは、消える理由が全部同じです
ここからは「要らない」と判断したものです。数が多いので驚くかもしれませんが、理由は2つに集約されます。
理由A:保険と貯蓄と投資を、混ぜているから
貯蓄型保険、個人年金保険、養老保険、ドル建て終身保険、学資保険。名前は違いますが、中身は同じです。保険と投資を1つの商品にまとめたものです。
これが不利になる理由は、はっきりしています。まとめた分だけ手数料が見えなくなるからです。保険の部分にいくら、運用の部分にいくら払っているのかが、契約書からは読み取れません。
増やしたいなら投資、備えたいなら保険。分けたほうが、どちらも安くなります。私自身が14年間このタイプの保険に入っていて、その顛末は別の記事に全部書きました。
理由B:公的な制度と貯金で、すでに足りているから
医療保険、がん保険、所得補償保険。これらが要らないのは、日本の公的な制度がすでに同じ役割を果たしているからです。
| 制度 | 何をしてくれるか |
|---|---|
| 高額療養費制度 | 医療費の自己負担に上限を設けます。2026年8月からは年間の上限も新設されました |
| 傷病手当金 | 病気で働けない間の給料を補います。標準報酬月額の30分の1の3分の2が1日あたり。支給開始から通算1年6か月です(会社員・待期3日) |
| 障害年金 | 障害が残った場合に受け取れます。会社員なら障害厚生年金が上乗せされます |
つまり1年で取られる金額に、制度で天井があるということです。天井が見えているものは、貯金で受け止められます。だから保険ではなく積立の対象になります。
高額療養費の2026年8月の改定については、医療保険はいらないで数字ごと解説しています。私ががん保険の解約を決めたのも、この改定を読んだからでした。
ついでに消えるもの
ペット保険は、払う保険料と受け取る給付が近すぎます。よく起きることに保険をかけている状態です。
先進医療特約も外しました。先進医療は、効果が実証されると公的保険に「卒業」していきます。つまり残っているのは、まだ効果が確定していないものです。
私が実際に払っている保険は、1本だけです
ここからは私の話です。
2026年7月29日の記事で、私は「がん保険を解約します」と書きました。そして実際に解約しました。
書いてから実行するまで、少し時間がかかりました。不要だと計算で分かっていても、手を動かすのは別の話だからです。おそらくこれが、多くの人が保険を見直せない理由でもあります。
解約して、生活は何も変わりませんでした。心細くもなりませんでした。ただ毎月の引き落としが減っただけです。
| 私(筆者)の実際 | 読者への提案 |
|---|---|
| 掛け捨ての死亡保険に1本だけ加入。60歳までで区切っています | 扶養する人がいるなら検討します。期間は必要な年数で区切ります |
| 火災保険は自分では負担していません(住まいの事情によるもので、一般的ではありません) | 賃貸ならほぼ必須です。持ち家なら外せません |
| 運転しないので自動車保険は持っていません。車が必要なときは都度レンタルしています | 乗るなら必須です。対人対物無制限と弁護士特約を優先します |
| 自転車の賠償はクレジットカードの付帯でまかなっています | 単独で入る前に、カードや自動車保険の特約を確認します |
| がん保険は2026年に解約済み。医療保険は持っていません | 公的制度を確認したうえで、ご自身で判断してください |
合計は月5,000円を超えていません。そして払っているのは、掛け捨ての死亡保険1本だけです。
実践:3つの手順で終わります
手順1:いま合計いくら払っているかを出します
まずここからです。金額を知らないまま見直しはできません。
やり方は簡単で、通帳やクレジットカードの明細から「保険」と名の付く引き落としを全部書き出すだけです。年払いのものを忘れないでください。12で割って月額に直します。
この時点で、多くの人が自分の金額に驚きます。私が上限にしている月5,000円と比べて、何倍でしょうか。
手順2:3つ以外を止めます
掛け捨ての死亡保険、火災保険、(乗るなら)自動車保険。この3つ以外を解約します。
迷ったときの判断基準は1つです。それが起きたとき、貯金で受け止められるか。受け止められるなら、保険は要りません。
貯蓄型で「解約すると損をする」と感じる場合も、考え方は同じです。すでに払ったお金は戻りません。判断すべきなのは、これから先も払い続けるかどうかです。
手順3:残す3つを、比較して買い直します
同じ保障でも、会社によって保険料は違います。だから比べます。
- 掛け捨ての死亡保険:価格.comなどの比較サイトで、保障額と期間を決めてから並べます
- 自動車保険:一括見積もりを使います。等級は引き継げます
- 火災保険(賃貸):不動産会社の指定にそのまま従わず、自分で選べるか確認します
そして、無料相談には行きません。ここで1つだけ、構造の話をします。
保険の無料相談は、相談する側は無料です。では相談員の収入はどこから出ているのでしょうか。契約が成立したときに、保険会社から支払われる手数料です。
これは誰かが悪いという話ではありません。そういう仕組みだ、というだけの話です。契約が決まらないと収入にならない人に「何も契約しないのが正解です」と言ってもらうのは、構造的に無理があります。
だから私は、比較サイトと一括見積もりで完結させています。
浮いたお金の置き場所について
保険を見直すと、毎月まとまった金額が浮きます。ここで気をつけたいのは、浮いたお金が生活費に溶けてしまうことです。引き落としが減っただけでは、家計は変わりません。
私の主軸はSBI証券ですが、用途で使い分けています。保険をやめた分をそのまま積立に回すなら、口座を作るところまで一度に済ませておくほうが確実です。
関連書籍
保険の販売側にいた人が、内側から仕組みを書いた1冊です。この記事で「構造の話」として書いたことが、もっと具体的な事例で並んでいます。
保険は、資産が積み上がるまでの橋です
最後に、保険との付き合い方について書きます。
保険は一生持ち続けるものではありません。貯金や資産が積み上がっていくと、「起きたら破綻する」ことの範囲は少しずつ狭くなります。破綻しなくなったものから、順に降りていけます。
この順番は、そのまま良い循環になります。保険をやめると毎月お金が浮きます。浮いたお金を投資に回すと資産が増えます。資産が増えると、さらに保険が要らなくなります。
逆の順番だと、この循環は始まりません。保険料を払い続けている限り、投資に回すお金は生まれないからです。
ついでに書いておくと、保険はお守りではありません。お守りが欲しいのであれば、神社で買うほうが安く済みます。
まとめ
- 保険は「どれが要るか」ではなく「合計いくらまで」で決めます。上限を先に決めれば、残るものは自動的に決まります。
- 残るのは3つだけです。掛け捨ての死亡保険、火災保険、そして車に乗るなら自動車保険になります。
- 解約しても生活は変わりません。生活の質を落とさずに支出だけが減るのは、保険くらいです。
まずは、いま保険にいくら払っているかを書き出してみてください。合計額が出た時点で、この記事の半分は終わっています。あとは3つ以外を止めるだけです。
私は「解約します」と記事に書いてから、実際に解約するまで少し時間がかかりました。計算で分かることと、手を動かすことのあいだには距離があります。その距離を縮めるのに一番効くのは、金額を目で見ることでした。
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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への加入・解約を推奨するものではありません。保険の要否はご家族の状況・収入・資産によって変わります。判断はご自身の責任のもとで行ってください。記載の制度内容は2026年8月時点のものです。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
