楽天SCHDと本家SCHD、私は信託報酬だけで比べていました——総経費率で見たら差は2倍、分岐は口座と金額で変わります【シミュレーター付き】

楽天SCHDと本家SCHDの総経費率を見比べる月城ミオ 投資戦略・制度
楽天SCHDと本家SCHD、比べるのは信託報酬ではなく総経費率でした

楽天SCHDと本家SCHD、どちらが得なのか。私はずっと信託報酬の差で考えていました。0.1238%と0.06%。差は0.06%です。

でも、この比べ方が間違っていました。

総経費率(信託報酬を含めた、実際にかかった費用の合計)で見ると、差は0.13%。2倍以上あります。そして本家を買うときの初期費用まで入れると、答えは「いくら買うか」と「どの口座で買うか」で変わりました。

この記事では、コストと税金と手間だけを扱います。SCHDという商品そのものの中身(何に投資しているか、増配率はどうか)は、高配当SCHDを徹底分析した結論——「私は買わない、でもあなたは買っていい」で書きました。そちらを先に読んでいただくと、この記事は「その次の話」として読めます。

結論:答えは「いくら買うか」と「どの口座か」で変わります

先に答えを出します。

楽天SCHDは毎年のコストが高いかわりに、買うときの費用がゼロです。本家SCHDは毎年のコストが安いかわりに、買うときに費用がかかります。

ですから「何年持つか」で有利不利がひっくり返ります。その境目が分岐年数です。

NISAで買うなら、金額がいくらであっても約1.3年です。特定口座なら100万円で約3.8年、500万円で約1.8年、1,000万円で約1.5年になります。

ここでいちばん大事なのは、NISAでは金額をいくらに変えても分岐が動かないことです。動くのは特定口座だけです。理由は最後まで読むと分かります。

以下のグラフは、その差を並べたものです。投資額が大きいほど、特定口座の分岐年数がNISAの水準に近づいていきます。

本家SCHDが安くなるまでの年数(短いほど本家有利) NISA(金額不問) 1.3年 特定口座 100万円 3.8年 特定口座 500万円 1.8年 特定口座 1,000万円 1.5年 ※1ドル150円・円貨決済・売却しない前提
投資額と口座で分岐年数がどう動くか(出典:各社の手数料表と目論見書をもとに筆者計算)

私は、信託報酬だけで比べていました

2026年5月、私はSCHDの分析記事を書きました。そこで楽天SCHDと本家SCHDのコストをこう並べています。

楽天SCHD 0.1238%、本家SCHD 0.06%。差は0.06%。

間違ってはいません。ただし、比べていたのは信託報酬(運用会社などに毎年支払う手数料)だけでした。

投資信託には、信託報酬の外側にも費用があります

投資信託には、信託報酬のほかに「その他費用」がかかります。売買のときの手数料、監査費用、海外の保管費用などです。

これらを全部足したものが総経費率です。運用報告書や目論見書(その商品の説明書)に、実績値として載っています。

楽天SCHDの交付目論見書(2026年4月9日版)には、こう書かれています。総経費率は年0.19%。内訳は運用管理費用0.12%とその他費用0.07%です。

この0.19%は2025年8月26日から2026年2月25日までの実績値です。運用の状況で変わりますから、次の運用報告書で数字が動く可能性があります。

いっぽう本家SCHDの経費率は0.06%です(2026年7月時点)。

つまり毎年の差は0.06%ではなく、0.13%。私が見ていた差の、2倍以上ありました。

項目 楽天SCHD 本家SCHD
信託報酬・経費率 年0.1238% 年0.06%
総経費率(実績) 年0.19% 年0.06%
購入時手数料 なし 口座による(後述)
為替の手間 なし(円で買える) あり
新NISA 成長投資枠のみ 成長投資枠のみ
分配金 年4回・受取と再投資を選べる 年4回・ドルで受け取る
楽天SCHDと本家SCHDの基本比較(出典:楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド 交付目論見書 2026年4月9日版、Schwab Asset Management)

ここで用語をそろえておきます。この記事で楽天SCHDと書いたら「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」のことです。本家SCHDと書いたら、米国に上場しているETF「Schwab U.S. Dividend Equity ETF」のことです。

「0.1238%+0.06%」と足してはいけません

ここで多くの人がつまずく話をします。私も一度そう考えました。

楽天SCHDは、中身として本家SCHDを買っている商品です。ファミリーファンド方式(親ファンドを通じて投資する仕組み)で、最終的にはシュワブのETFを保有しています。

ならば「楽天の信託報酬0.1238%」と「本家の経費率0.06%」を足して0.18%が本当のコストではないか。そう考えるのが自然です。

しかし、これは誤りです

目論見書に「充当します」と書いてあります

交付目論見書には、投資対象とする投資信託証券の報酬について、こう明記されています。

投資対象とする投資信託証券における報酬 年0.0%程度

年0.06%程度の報酬が日々控除されますが、委託会社が合理的に見積った当該報酬相当額をファンドに充当します

つまり本家SCHD側で引かれる0.06%は、運用会社が肩代わりして戻してくれます。二重取りにはなりません。

だから足し算をしてはいけません。実際にかかっているものの合計が総経費率0.19%であり、それがそのまま比較に使う数字です

私が信託報酬だけを見ていたのも、足し算をしてしまうのも、原因は同じです。見る場所が信託報酬で止まっているということでした。

NISAで買うなら、本家SCHDの買付手数料は0円です

ここからが、私が今回いちばん驚いた話です。

本家SCHDのような米国ETFを買うときは、ふつう買付手数料がかかります。主要ネット証券はどこも同じで、約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドルです。

ところがNISA口座では、この手数料が無料になります

楽天証券の公式ページには「米国株式(米国ETFを含む)取引手数料 無料」と書かれています。買うときも売るときも無料です。SBI証券もマネックス証券も同じ扱いです。

この話は私も米国株はどこで買う?“手数料0円”に釣られない証券の選び方で触れていました。ただ、そのときは証券会社選びの話として書いていて、商品比較の結論をひっくり返す事実だとは思っていませんでした

残るコストは為替だけになります

買付手数料が消えると、本家SCHDを買うときに残る費用は為替だけです。

楽天証券の円貨決済(日本円のまま注文して、証券会社に両替してもらう方法)は、片道25銭です。1ドルにつき0.25円です。

100万円ぶんを1ドル150円で買うと、為替コストは約1,667円。投資額に対して0.167%です。

毎年のコスト差は0.13%ですから、1,667円 ÷ 1,300円で約1.3年。それを超えて持つなら本家のほうが安くなります。

そして為替コストは金額に比例します。500万円でも1,000万円でも、率は0.167%のままです。だからNISAでは分岐年数が金額で動きません

特定口座では「上限22ドル」が逆転を起こします

特定口座(税金を証券会社が計算してくれる、NISA以外の課税口座)だと、話が変わります。買付手数料0.495%が復活するからです。

ただし、この手数料には上限22米ドルがあります。ここが面白いところです。

約67万円を超えると、手数料は頭打ちになります。0.495%が22ドル(1ドル150円で3,300円)に達するのは、投資額が約66万7千円のときです。それを超えると、いくら買っても手数料は3,300円のまま増えません。

だから投資額が大きいほど、手数料の「率」は下がっていきます。

以下のグラフは、100万円を買ったときの初期費用の内訳です。NISAでは買付手数料の部分がまるごと消えます。

100万円ぶん買うときの初期費用(1ドル150円・円貨決済) 為替 1,667円 NISA 合計 1,667円 買付手数料 3,300円(上限22ドル) 為替 1,667円 特定口座 合計 4,967円
口座による初期費用の違い(出典:楽天証券の手数料表をもとに筆者計算)

100万円の特定口座なら初期費用は4,967円。年間のコスト差1,300円で割ると、分岐は約3.8年です。

500万円なら初期費用は11,633円。年間差は6,500円に増えるので、分岐は約1.8年まで縮みます。

金額を上げていくと、特定口座の分岐はNISAの1.3年に近づいていきます。上限22ドルの効き目が薄まっていくからです。

「金額で答えが変わる」の正体は、この上限22ドルでした。そしてそれが効くのは、特定口座だけです。

私は、買付手数料を意識したことがありませんでした

ここで正直に書きます。

私は米ドル建てのETFを直接持っています。VOO(S&P500に投資するETF)とQQQ(NASDAQ100に投資するETF)を、2020年のコロナショックのときから足掛け6年です。

つまり本家ETFを買った経験があります。それなのに、買付手数料を意識したことが一度もありませんでした

今回、理由を調べて分かりました。私が持っているSBI証券には、買付手数料が無料になる米国ETFのリストがあります。VOOもQQQも、そこに入っています。

ただしQQQがそのリストに加わったのは2022年3月末です。私が買ったのは2020年ですから、そのときは対象外だった可能性があります。

つまり私は、払ったのかどうかすら覚えていないということです。意識していないというのは、そういうことでした。

そしてSCHDは、どこの無料リストにも入っていません。楽天証券の対象15銘柄にも、マネックス証券の対象22銘柄にも、SBI証券の対象銘柄にも、SCHDの名前はありません(2026年7月時点)。

本家SCHDを特定口座で買うなら、上の3,300円は必ず払うことになります。

分岐年数シミュレーター

ご自身の金額で計算できるようにしました。投資額と口座を入れて、ボタンを押してください。

楽天SCHD vs 本家SCHD 損益分岐シミュレーター

投資額(円):

口座:

為替レート(円/ドル):

この計算は投資額が一定・総経費率0.19%(2025年8月26日〜2026年2月25日の実績値)・為替は楽天証券の円貨決済 片道25銭・分配金の再投資は考慮しない、という前提です。

為替のルートを変えると、分岐はもう少し縮みます

ここは注意して読んでください。為替コストは証券会社ごとに違います。同じ会社の中で選べる話ではありません。

証券会社 円をドルに替えるルート 為替コスト 分岐(特定・100万円)
楽天証券 円貨決済(この記事の前提) 片道25銭 約3.8年
SBI証券 住信SBIネット銀行で両替して入金(私のルート 片道6銭 約2.8年
マネックス証券 円で買う場合も米ドルで買う場合も 買付時0銭 約2.5年
楽天証券 リアルタイム為替 表示は0銭(下記参照) 測定できません
為替ルート別の比較(出典:楽天証券・SBI証券・住信SBIネット銀行・マネックス証券の公表値をもとに筆者計算。特定口座・100万円・売却しない前提)

私が使っているのはSBI証券で、円をドルに替えるのは住信SBIネット銀行です。片道6銭で、SBI証券への外貨入金は無料です。

ただしこの記事の計算は、楽天SCHDとの比較ですから楽天証券の既定動作である円貨決済25銭で行っています。6銭にするには銀行口座を別に開いて、両替して、証券口座に移す手間がかかります。

私はやっていますが、勧めません。年に数千円のために毎回その手順を踏むかどうかは、人によります。

なお楽天証券のリアルタイム為替は手数料の表示が0銭ですが、公式に「買レート・売レートには乖離があります」と書かれています。コストがレートの中に入っていて、幅が公表されていないということです。だから数字を出せません。

公平のために書いておくと、マネックス証券の0銭にも同じ注記があります。同社は「レートの差額には業者間レートのスプレッドが含まれる」と説明しています。表示が0銭でも、まったくの無料ではないと考えておくのが正確です。

また、これらの為替手数料は各社が定期的に見直します。マネックス証券は次の見直しを2026年9月に予定していると公表しています。買う前にご自身で最新の数字を確認してください。

口座を作るなら(私の主軸はSBI証券ですが、用途で使い分けています)

買付手数料の体系(0.495%・上限22ドル・NISAは無料)は主要ネット証券で横並びですから、結論は会社を変えても動きません。差が出るのは為替のほうです。マネックス証券は円をドルに替えるときの為替手数料が0銭で、日本円のまま買っても0銭です(2026年7月時点。同社は2026年9月に見直しを予定と公表しています)。少額から相談しながら始めたい方には松井証券が向いています。

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税金の差は消えます。残るのは手間です

コストの次は税金です。ここでよく話題になるのが二重課税です。

米国の高配当ETFの分配金には、まず米国で10%の税金が引かれます。そのあと日本でも約20%引かれます。これが二重課税です。

投資信託には、この重複を自動でならす仕組み(分配時調整外国税相当額控除)があります。特定口座で楽天SCHDを持っていれば、確定申告をしなくても調整されます

いっぽう本家SCHDを直接持っている場合、米国で引かれた分を取り戻すには外国税額控除という手続きが要ります。これは確定申告が必要です。

ところがNISAでは、この差が消えます

NISA口座では、この調整の仕組みが使えません

理由は単純です。NISAは日本の税金がゼロです。日本で課税されていないのですから、二重課税という状態が起きていません。相殺する相手がいないので、調整のしようがないのです。

これは楽天SCHDでも本家SCHDでも同じです。米国で引かれる10%は、どちらも戻ってきません。

ですからNISAで比べる限り、税金の差はゼロです。

私は取得利回りの記事で「NISAは判断を銘柄の実力だけにする」と書きました。ここでも同じことが起きています。税という要素が消えて、残るのはコストと手間だけになります。

口座 楽天SCHD 本家SCHD
NISA 調整なし(米国10%は戻らない) 調整なし(米国10%は戻らない)
特定口座 自動で調整・申告不要 外国税額控除・確定申告が必要
二重課税の扱い(出典:楽天証券、日本証券業協会、日本取引所グループの解説)

まとめると、こうなります。NISAで比べるなら差はコストと手間だけ。特定口座で比べるなら、差がつくのは税金ではなく、確定申告をするかどうかという手間です。

それでも、私が楽天SCHDを買っていない理由

ここまで数字を並べておいて言うのも変ですが、私は楽天SCHDを持っていません。

いちばん簡単な理由は、私が楽天証券を使っていないことです。だから選択肢にすら入りませんでした。

でも、それは本当の理由ではありません。

実はSBI証券にも、同じ中身の投資信託があります。SBIアセットマネジメントが出しているもので、私はSBI証券の口座を持っています。買おうと思えば買えます

それでも買っていない理由は、口座ではありません。時価総額加重のインデックス(市場全体を規模の大きさどおりに持つ形)と比べたときに、自分には合わないと思ったからです。

私の資産の中心はVOOとQQQで、これは高配当を狙う設計ではありません。そこに高配当の枠を足す積極的な理由が、自分の中で立ちませんでした。

これは私の判断であって、読者に「買うな」と言っているのではありません。SCHDの分析記事で書いた「私は買わない、でもあなたは買っていい」というスタンスは変わっていません。

項目 私(Hiro)の実際 読者が検討するなら
SCHD 楽天SCHD・本家SCHDとも未保有 高配当を狙うなら選択肢に入ります
使っている証券 SBI証券(楽天証券は未使用) 楽天SCHDを買うなら楽天証券が要ります
為替のやり方 住信SBIネット銀行で両替(片道6銭) 手間を考えると円貨決済で十分です
資産の中心 VOO・QQQ(時価総額加重) 迷うならインデックスが先です
保有と推奨は別物です(筆者の自己申告にもとづく)

まとめ:先に決めるのは「どっちが得か」ではありません

  • 比べる数字は信託報酬ではなく総経費率です。楽天SCHD 0.19%と本家SCHD 0.06%で、毎年の差は0.13%になります。目論見書に充当の記載があるので、0.1238%と0.06%を足してはいけません。
  • NISAでは買付手数料が0円です。残るのは為替だけで、分岐は約1.3年。金額を変えても動きません。
  • 特定口座では上限22ドルが効きます。100万円なら約3.8年、500万円なら約1.8年。金額で答えが変わるのは、この口座だけです。

まずは、ご自身が使う口座を決めてください。NISAの成長投資枠で買うのか、特定口座で買うのか。それが決まらないと、上のどの数字を見ればいいのかも決まりません。

そのうえで、いくら入れるのか、そして売るつもりがあるのかを考えてみてください。

どっちが得か、ではありません。いくら買うのか、どの口座で買うのか、そして売るつもりがあるのか。先に決めるのは、そちらです

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。手数料・経費率・制度の内容は2026年7月時点のものです。最新の情報は各社の公式サイトと目論見書でご確認ください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。