貯蓄率は「手取り÷5」でいい|月5万円貯めて生活が詰んだ私の暗算式【投資歴18年】

電卓とお金を背に、手取りを5で割る暗算式「÷5」を示す月城ミオ。貯蓄率は手取り÷5でいいという記事テーマを表したアイキャッチ画像。 節約・節税

「貯金って、毎月いくらすればいいんだろう」。新NISA(少額投資非課税制度。投資の利益に税金がかからない国の制度)を始めた人ほど、この問いで一度つまずきます。

私の答えは、ひとつの暗算式です。貯蓄率(%)=月の手取り(万円)÷5。手取り30万円なら30÷5で6%、月18,000円。これだけです。

なぜこんな低い数字なのか。それは私自身が、若い頃に手取り20万円弱で月5万円も貯めて、生活を詰まらせたからです。1年で100万円は貯まりました。でも、まったくゆとりがありませんでした。あのときの自分に、この「÷5」を渡したかった。そう思っています。

この記事では、その失敗から導いた貯蓄率の決め方を、早見表とグラフで具体的にお見せします。読み終えるころには、あなた自身の「毎月いくら」が暗算で出せるようになります。

結論:貯蓄率は「手取り(万円)÷5」でいい

先に答えを出します。毎月いくら貯蓄に回すかは、次の式ひとつで決めてください。

貯蓄率(%)= 月の手取り(万円)÷ 5
振替額 = 手取り × その貯蓄率(給料日に自動で先取り)

手取りの金額を5で割るだけ。手取り25万円なら5%、35万円なら7%、50万円なら10%です。暗算で出せることが、この式の地味な強みです。

具体的な金額は、次の早見表で確認してください。

月の手取り 貯蓄率(手取り÷5) 毎月の貯蓄額
15万円3%4,500円
20万円4%8,000円
30万円6%18,000円
50万円10%50,000円
75万円15%112,500円
手取り別「÷5」貯蓄率の早見表(筆者作成)

ポイントは2つあります。1つ目は、この式が決めるのは「給料から強制的に先取りする土台の貯蓄」だということ。2つ目は、残業代やボーナスはこの式に一切入れないこと。理由はこのあと順番に説明します。

なぜ”÷5″なのか——固定額の自動積立が「家計を詰まらせる」から

「毎月3万円ずつ自動で積み立てよう」。よくあるアドバイスです。でも、この固定額こそが落とし穴になります。

先取り貯蓄(給料が入ったら先に貯蓄分を抜き、残りで暮らす方法)は、強制力があるほど貯まります。ここは私も賛成です。ただ、金額の決め方を間違えると一気にしんどくなります。

残業が多い月の感覚で金額を決めると、収入が落ちた月に効く

たとえば手取りが残業代で60万円まで膨らんだ月に、「よし、10%の6万円を自動積立に」と決めたとします。

問題は、残業のない月です。手取りが30万円に戻っても、設定した6万円は容赦なく引き落とされます。すると実質の貯蓄率は6万円 ÷ 30万円 = 20%。生活がぐっと締まります。これが「自動積立がしんどい」の正体です。

同じ手取り30万円の月でも、「÷5」なら貯蓄額は1.8万円(6%)。負担は3分の1以下です。手取りに式が貼りついているので、収入が落ちれば貯蓄額も自動で軽くなります。下のグラフで比べてみてください。

手取り30万円に落ちた月の「実質の負担」 6万円(実質20%) 固定額6万円のまま 1.8万円(6%) 手取り÷5(率で連動) 同じ「収入が落ちた月」でも、率連動なら負担は3分の1以下に軽くなります
固定額の自動積立と「手取り÷5」の負担比較(筆者作成)

昇給したときは逆に働きます。手取りが増えれば貯蓄率も自動で上がるので、生活を膨らませる前に貯蓄が締まります。これは「支出は収入の額まで膨らむ」というパーキンソンの法則(手元のお金は、あればあるだけ使ってしまうという経験則)への防御にもなります。

私の失敗——手取り20万円弱で月5万円貯めて、生活が詰んだ

なぜ私が「率は低くていい」と言い切れるのか。自分が逆をやって失敗したからです。

働き始めたころ、私の手取りは20万円あるかないかでした。それなのに、毎月5万円を貯蓄に回していました。ボーナスもほとんど使わず、まるごと貯金に。

結果、1年で100万円が貯まりました。数字だけ見れば優等生です。でも、生活はかなり厳しかった。友人の誘いも、ちょっとした外食も、いちいち我慢する。貯まっていく残高を見ても、心はまったく豊かになりませんでした。

あのとき私は、手取り20万円弱で貯蓄率25%(5万円÷20万円)をやっていたわけです。今の「÷5」で計算すれば、手取り20万円の適正は月8,000円(4%)。1年で約10万円です。

100万円と10万円。差は大きい。でも私は今、はっきりこう考えます。あの1年は、もっとゆとりを持って暮らすべきだったと。削りすぎて続かない強制貯蓄より、軽くても止まらない強制貯蓄のほうが、長い目で見れば強い。これが18年かけて出した結論です。

実践——「÷5」を回す3つの手順

では、どう実装するか。順番が大事です。

手順1:まず「生活防衛資金」を土台にする

投資の前に、生活防衛資金(病気や失業に備える、数か月分の生活費の現金)を用意します。これが土台です。土台のないうちは、「÷5」で先取りした分も、まずは現金として貯めてください。

土台が固まってから、投資へ加速する。私の「絶望は買い(暴落時こそ買い増す姿勢)」も、この順番と同じで、足元が固まってから攻めます。

手順2:「÷5」の額を、給料日に自動で先取りする

生活防衛資金ができたら、「÷5」で出した額を毎月の自動積立に設定します。新NISAのつみたて投資枠で、インデックスファンド(市場全体にまとめて分散投資できる低コストの商品)を淡々と買うのが王道です。

口座は、用途で使い分けるものです。私自身の積立は手数料の安いネット証券で実質0円ですが、米国株や個別株を厚めに見たい人、サポートや少額相談を重視したい人には、別の選び方もあります。下に2社を挙げておきます(私が使っているから勧める、という話ではありません。口座の「性格」の違いです)。

先取り自動積立の「受け皿」になる証券口座(用途で選ぶ)

どちらも口座開設・維持は無料です。米国株・個別株を厚めに見るならマネックス証券、サポートや少額・相談を重視するなら松井証券、という性格の違いがあります。私の主軸とは別に、用途で持つのは合理的です。

マネックス証券 口座開設 松井証券 口座開設

手順3:残業代・ボーナスは「式の外」に置く

ここが、この式のいちばん大事な部分です。残業代・ボーナス・臨時収入は、「÷5」の計算に一切入れません。

この第二の財布は、丸ごと「使う側」に回します。自己投資、自分へのごほうび、家族との思い出。私の場合は、実用書を買ったり、毎日の仕事で使うAIに課金したり。便利な道具にためらわず使うことが、結局いちばん効くお金の使い方だと感じています。

こうして「締める財布(手取り÷5)」と「使う財布(賞与・残業代)」を分けると、矛盾が消えます。土台の貯蓄は強制で締めつつ、増えた収入の果実はちゃんと人生に使える。「貯められない」と「使えない」を、同じ財布で混ぜないことがコツです。

  第一の財布(締める) 第二の財布(使う)
対象毎月のベース手取り残業代・ボーナス・臨時収入
ルール手取り÷5を自動で先取り式の外。使う前提
行き先生活防衛資金→新NISA積立自己投資・思い出・ごほうび
2つの財布を分ける(筆者作成)

そして、この強制貯蓄にはもう1つの顔があります。好況や昇給の局面で、貯蓄が自動的に積み上がる。その原資が、次の暴落で買い向かう弾薬になります。締めつけが目的ではなく、「絶望は買い」に飛び込むための余力づくり。家計術が、そのまま投資戦略につながります。

「締める」と「使う」を考えるための2冊

アート・オブ・スペンディングマネー」は、世界的ベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー』の著者モーガン・ハウセルが、”どう使うか”だけを掘り下げた一冊です。第二の財布の使い道に迷ったときに。もう1冊は、先取りした種銭をどの投資信託に置くか迷う人へ。新NISAの商品選びの判断材料になります。

よくある不安Q&A

Q. 「÷5」は少なすぎませんか?一律10%という目安も聞きます

たしかに、お金の教育で有名な両学長(書籍『お金の大学』などで知られる発信者)のように、「一律で◯割を貯めよう」という分かりやすい目安もあります。削りすぎを防ぐ、という問題意識は私もまったく同じです。

違いは、一律か連動かだけです。下の表のように、「÷5」と「一律10%」は手取り50万円でぴったり交差します。それ未満では「÷5」のほうが緩く、それ以上では締まります。

手取り別の貯蓄額:「÷5」と「一律10%」 交差(手取り50万) 15万 30万 50万 75万 手取り(月) 手取り÷5 一律10%
手取り50万円で交差。低所得帯は「÷5」が緩く、高所得帯は締まります(筆者作成)

つまり「÷5」は、収入が少ない人ほど無理をさせず、増えてきたら自動で締める。一律の目安を、丸めずに連続でやっているだけです。どちらが正しいという話ではなく、自分の手取りで暗算したい人には「÷5」が向いています。

Q. 上限なしだと、手取りが増えるほど貯めすぎになりませんか?

計算上はそう見えます。でも、現実の手取りで暴れることはありません。日本の手取りの大半が収まる月20〜60万円の帯では、貯蓄率は4〜12%。むしろ穏当な水準です。式が過激な数字を出すのは月75万円を超えてからで、そこに届く人は、自分で配分を考えられる人です。

正直に言えば、理屈の上では月500万円で貯蓄率100%(生活費ゼロ)という破綻点があります。ただ、そこに当てはまる人はこの式に従いません。現実の家計では、実害はありません。

Q. ボーナスは貯金しなくていいんですか?

生活防衛資金がまだ薄い段階では、ボーナスを土台づくりに充てて構いません。土台ができたあとは、第二の財布として「使う側」に回す。これが私の考えです。貯蓄率の最大化が目的ではなく、使いたいときに使える状態をつくるのが目的だからです。

まとめ:貯蓄率は「手取り÷5」、強制で、でも締めすぎず

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 貯蓄率は「月の手取り(万円)÷5」で決める。手取り30万円なら6%、暗算で出せます。
  • 固定額ではなく率で連動させる。収入が落ちた月に自動で軽くなり、自動積立が家計を詰まらせません。
  • 残業代・ボーナスは式の外。締める財布と使う財布を分けると、「貯められない」と「使えない」が同時に解けます。

まずは、あなたの手取りを5で割ってみてください。出てきた金額を、給料日に自動で先取りする設定にするだけです。少額でも、止まらない仕組みのほうが、いつか必ず効いてきます。

削りすぎて続かなかった、20万円の手取りで月5万円を貯めていたあの頃の私へ。貯金は「我慢」ではありません。未来の自分のための「弾薬」です。だから、軽くて構いません。止めないことだけを、守ってください。


あわせて読みたい(属性別)

▶ これから始める人へ:投資家の正しいボーナスの使い方【2026年夏のボーナス】

▶ 固定費から種銭を作りたい人へ:7,458円→2,780円で年5万円浮く|格安SIM8社を本気で比較した結論

▶ 出口まで設計したい人へ:【無料シミュレーター】あなたは年いくら使える?──「崩せない」人の最適な取り崩し設計

「÷5」で先取りした種銭は、低コストのインデックスファンドで淡々と。浮いたお金を投資の弾薬に変えるのが、この家計術のゴールです。

🎥 動画でも解説しました(約10分):貯蓄率は「手取り÷5」でいい|月5万円貯めて生活が詰んだ私の結論

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(GLDM)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

hiroをフォローする
節約・節税
シェアする