NISAの金融機関変更は10月1日から2027年分——証券8社を並べたら、変える理由があるのは3種類の人だけでした【楽天は9月14日で今年分が締切】

セーラー服姿の月城ミオが書類を手に静かに前を見ている。背後には長い時間軸が横に伸び、そのうち1か所だけが金色に開いており、さらに奥には8枚の同じ形のカードが並んで、8社を並べて比べる記事であることを示している 投資戦略・制度
NISAの金融機関を変えられる窓は1年に1回だけ開きます。2027年分の受付が10月1日に始まります

NISA(少額投資非課税制度)の金融機関を変えられる窓は、変えたい年の前年10月1日から、当年9月30日までです。

今年NISAで1回でも買い付けをしていれば、2026年分はもう変えられません。変えられるのは2027年分で、その受付が10月1日に開きます

そこで、対面4社(野村・SMBC日興・大和・みずほ)とネット4社(SBI・楽天・マネックス・松井)を並べてみました。結論を先に書きます。

変える理由があるのは、3種類の人だけです。

  1. NISAで米国ETFを買う人
  2. 単元未満株(1株単位)で高配当株を買う人
  3. 対面4社にNISAを置いていて、①か②に当てはまる人

オルカンやS&P500の投資信託を積み立てているだけなら、8社のどこにいても手数料の差はゼロです。変えなくていい、というのがこの記事の答えになります。

そのうえで、調べているあいだに3つ、想定していなかったことが出てきました。順番に書きます。

「9月30日が締切」は、正確ではありません

制度の条文はこうなっています。金融庁のNISA特設サイトから引用します。

「変更後の金融機関の非課税口座にNISA口座を設けようとする年(年分)の前年10月1日からその年の9月30日の間に提出する必要があります」

ここだけ読むと、締切は9月30日に見えます。ところが各社の実務は、そうなっていません。

楽天証券は、公式ページにこう書いています。9月15日0:00から9月30日23:59までは、金融機関変更の手続きができません。つまり2026年分の実質的な締切は9月14日23:59です。制度の日付より、16日早く閉まります。

参考までに、今回の8社には入っていないSBIネオトレード証券は、2026年分の受入期限を9月11日必着としています。

2026年分の窓(もう閉じかけています) 2027年分の窓 9/9 今ここ 9/14 楽天が閉まる 9/30 制度上の締切 10/1 2027年分が開く 12月中旬 ここまでに完了 制度の窓と、会社の窓は、同じ日に閉まりません 窓は「変えたい年の前年10月1日〜当年9月30日」。ただし各社の実務締切はこれより早い
NISA金融機関変更のスケジュール(出典:金融庁NISA特設サイト、楽天証券公式/2026年9月9日時点)

書類が動く時間が、日付に入っていません

締切が前倒しになる理由は、手続きが2段階だからです。まず今の金融機関で「勘定廃止通知書」(そのNISA口座での買い付けをやめたことを証明する書類)を受け取り、それを新しい金融機関に提出します。書類が郵便で往復します。

SMBC日興証券は、日興イージートレードの電子帳票で変更届出書を出せますが、勘定廃止通知書が郵送で届くまで約1週間かかると案内しています。大和証券にいたっては、8社のなかで唯一「まず電話で窓口に連絡してください」から始まります。書面手続きです。

マネックス証券は、翌年の年始から新しい会社で取引したいなら12月中旬までに手続きをと案内しています。10月1日に窓が開いてから、2か月半しか余裕がない計算になります。

「9月30日まで」という日付は、書類が動く時間を計算に入れていない日付です。9月に入ってから思い立つと、会社によっては間に合いません。

証券8社を並べました

下の表が本体です。網掛けの行が「差が出る行」で、網掛けのない行は8社で差がつきません。

項目 野村 SMBC日興 大和 みずほ SBI 楽天 マネックス 松井
米国株・ETFの
取扱銘柄数
外国ETFは
8本
取扱あり
一覧未公表
約2,000 135 4,263 4,496 5,035 5,014
米国株・ETFの
売買手数料(NISA)
71,000円以下は
11.00%
未公表 0.891〜
0.297%
最大1.155%
最低2,750円
0円 0円 0円 0円
為替手数料
(円→ドル/ドル→円)
未公表 未公表 未公表 未公表 0銭/0銭 NISAは
かからない
0銭/25銭 0銭/0銭
単元未満株
(新規に1株買えるか)
○ まめ株
1.10%
○ キンカブ
100円〜
△ 1株は
別会社
○ S株 ○ かぶミニ ○ ワン株 × 売却のみ
成長投資枠の
投資信託
未取得 未取得 未取得 85本 1,263本 1,483本 1,315本 1,278本
オルカン・S&P500の
積立(つみたて枠)
8社とも買えます。購入時手数料は0円、信託報酬も同じです ―― ここに差はありません
金融機関変更の
手続き
Web+郵送 電子帳票
通知書は約1週間
電話→書面 未確認 未確認 Web可
9/14締切
Web可 未確認
証券8社のNISA比較(2026年9月9日時点。出典:各社公式ページ、金融庁NISA特設サイト、Yahoo!ファイナンス証券会社カタログ2026年8月27日更新。「未公表」は各社が一覧を公開していない項目で、推定値は入れていません)

表を作りながら、手が止まった箇所が3つありました。

対面4社のなかで、野村8本と大和約2,000銘柄が並んでいます

2日前に書いた記事のとおり、野村證券のNISA成長投資枠(投資信託だけでなく個別株やETFも買える枠)で買える外国ETFは8本です。VT、SPY、VOO、QQQ、VTI、SPYD、VIG、VYM。公式のラインナップページに、その8本だけが載っています。

私はこれを「対面証券だから少ない」と理解していました。ところが大和証券は、2025年6月8日からオンライントレード経由でNISA口座でも米国株を取り扱っており、ETFを含めて約2,000銘柄あります。みずほ証券は135銘柄です。

同じ「対面4社」のなかで、桁が3つ違います。

私は4月28日の記事で、銀行のNISAには商品数・手数料・取引時間の3つで劣位があると書きました。あの構造は銀行には当てはまります。ただし「対面証券」でひとくくりにすると、事実とずれます。会社ごとに見るしかありません。

一覧サイトの「取扱あり」を信じると、間違えます

単元未満株の行です。大手のまとめサイトを見ると、松井証券は「単元未満株の取扱あり」と書かれています。

松井証券の公式ページには、こう書いてあります。

売却のみ受付けます。」「単元未満株式の買増しは、電話でのみ受付けます。」

つまり新規に1株から買うことはできません8月12日に高配当株の1株買いを書いたときと、状況は変わっていませんでした。

「取扱あり」と「新規に買える」は、別のことです。1株買いのために松井へ移ったら、目的が果たせません。

大和証券も同じ種類の注意が要ります。1株から買える「ひな株」は、大和コネクト証券という別の会社のサービスです。大和証券に口座があっても、1株を買うには口座をもう1つ作ることになります。

入口の手数料はそろいました。出口はそろっていません

ネット4社は、NISAでの米国株・ETFの売買手数料をすべて0円にしました。為替手数料も、円をドルに替えるところは各社ほぼ0銭です。入口の競争は、決着がついています。

ところが、ドルを円に戻すときは違いました。

  • 松井証券:米ドルと円の両替が、往復とも0銭(2023年12月に恒久無料化)
  • マネックス証券:円→ドルは0銭、ドル→円は1ドルあたり25銭

私は6月13日の記事で、守るべきは資産の種類ではなく「出口の自由度」だと書きました。6月22日のmoomoo証券の記事でも、証券会社は手数料ではなく態勢と出口で選ぶ、と書いています。

入口だけ見て比べると、出口の差を見落とします。買うときの表は各社が大きく出しますが、売って円に戻すときの表は、同じ大きさでは出てきません。

差が出る取引は、2つしかありません

ここが、この記事でいちばん言いたいところです。

8社で手数料の差が出る取引は、「米国ETFの買い付け」と「1株単位の買い付け」の2つだけです。投資信託の積立には差がありません。だから、投資信託しか買わない人には、動く理由がそもそも存在しません。

金額にすると、こうなります。

差が出るのは、2つの取引だけです ① 月3万円のオルカン積立(年36万円) ネット4社 0円 対面4社 0円 ―― 差はありません ② 年30万円ぶんのVTを、月1株ずつ12回買う ネット4社 0円 野村 本・支店 33,336円 1株25,257円 × 11.00% = 2,778円。それを12回 ③ 年10万円を、高配当株の1株買いで積む SBI・楽天・マネックス 買えます / 松井 そもそも買えません / 野村 まめ株 1,100円
同じ金額でも、取引の種類で差がまったく違います(筆者計算。VTの株価は2026年9月4日終値161.73ドル・1ドル156.17円で換算。野村の料率は本・支店の外国株式売買手数料および、まめ株の1.10%/2026年9月9日時点・税込)

同じ30万円でも、分けて買うほど高くなります

②の数字には、続きがあります。

野村の本・支店の外国株式手数料は、71,000円以下が11.00%、71,000円超75万円以下が7,810円の定額です。ということは、同じ年30万円を1回でまとめて買えば7,810円で済みます。12回に分けると33,336円です。4.3倍になります。

積み立てるという行為そのものが、この手数料表といちばん相性が悪い、ということです。少額を何回にも分けて買う人ほど、料率が跳ね上がります。

私は18年で、一度も変えていません

ここまで書いておいて、正直に書きます。私はNISAの金融機関変更を、一度もやったことがありません。

私のNISA口座はSBI証券です。VOOとQQQを6年持っている特定口座も、同じSBI証券にあります。野村證券にも特定口座がありますが、そちらは従業員持株会の受け皿で、NISAは置いていません。マネックス証券の口座は休眠したままです。

変えなかったのは、面倒だったからではありません。変える理由が、一度も立ち上がらなかったからです。米国ETFはSBIで0円で買えて、投資信託の積立にも差がない。動く先がありませんでした。

ただし、証券会社そのものは乗り換えています

正確に書いておきます。4月29日の記事で、私は「マネックスからSBIに乗り換えた」と書きました。これはNISAの金融機関変更ではありません。使う会社の主軸を移しただけです。

そのとき、マネックスの口座は解約していません。今も休眠したまま残っています。私がこの記事で「口座は増える」と書いているのは、自分がそれをやったからです。

もし私のNISAが野村にあったなら、10月1日に手続きをすると思います。私は米国ETFを買うので、①に当てはまります。上の33,336円は、私が実際に払うことになる金額です。

変更のコストは、手数料ではありません

ここが、この記事の核です。

NISAの金融機関を変えても、保有している商品は移せません。制度上、NISA口座から別のNISA口座への移管はできません。古い口座にそのまま残り、非課税のまま持ち続けることも、売ることもできます。焦って売る必要はまったくありません。

ただし、口座は残ります。変更のコストは手数料ではなく、口座が1つ増えることです。

私の実感を書きます。いま私の手元には、積極的に使っていない証券口座がいくつかあります。困ってはいません。ただ、あまりいい気持ちではありません。どこに何がいくらあるのか、全部を即答できる状態ではないからです。

これは損ではありません。数字にも出ません。それでも、6月20日に書いた「投資のゴール」の方向とは、はっきり逆を向いています。管理する物を増やす方向に進んでいます。

10年後、自分の資産がどこにいくらあるか把握できる自信がある人だけが、変えていいと思います。

「乗り換えは普通のイベント」ですが、「軽いイベント」ではありません

私は4月29日のネット証券の選び方で、「最初の1社は完璧じゃなくていい」「乗り換えは普通に起きるイベント」と書きました。その考えは変えていません。1社目で人生が決まるかのように悩む必要はない、というのは今もそう思います。

ただ、今回8社を並べて分かったことを足しておきます。乗り換えは年に1回しかできず、しかも口座が残ります。普通に起きるイベントですが、軽いイベントではありません。

変える理由がある3種類の人

今年、NISAで買い付けましたか はい → 変えられるのは2027年分 NISAで米国ETFか、1株買いをしますか いいえ → 変えません 投資信託の積立に、8社で差はありません 記事はここで終わって大丈夫です はい → 差額を計算します 年間の買付額 ×(旧社の料率 − 新社の料率) 年1万円未満なら、口座は増やしません 10月1日以降、旧社で廃止通知書を取る 新社に提出して申し込む(税務署審査) 12月中旬までに完了させる 2027年1月、新社で積立を設定し直す
NISAの金融機関を変えるかどうかの判定フロー(筆者作成)

差額の計算式は、1行です。

年間の米国ETF買付額 ×(今の会社の料率 − 移る先の料率)

私の基準は年1万円です。これを下回るなら、口座を1つ増やす価値はないと考えています。上の②の例は33,336円ですから、はっきり超えます。9月7日の記事で書いたとおり、料率は金額が大きくなるほど下がるので、自分の金額で計算しないと答えは出ません。

手続きで気をつける3点

  1. 2027年1月の積立が空くことがあります。手続きが年をまたぐと、1月分の買い付けに間に合いません。12月中旬までに終わらせてください(マネックス証券の案内)。
  2. 古い口座の商品は売らないでください。移管はできませんが、非課税のまま持ち続けられます。「移せないから売る」は、いちばんもったいない選択です。
  3. 会社ごとの締切を、必ず自分で見てください。楽天は9月15日から今年分が止まります。日興は通知書の郵送に約1週間、大和は電話が起点です。

証券会社の口座そのものの選び方は、6月17日に総コストで比較した記事4月29日のネット証券の選び方に書いています。あわせて読んでみてください。

私の主軸はSBI証券ですが、証券会社は用途で使い分けるのが合理的です(私の保有=万人への推奨ではありません)。上の表のとおり、米国株の取扱銘柄数ならマネックス証券が8社で最多で、円とドルの両替が往復とも0銭なのは松井証券だけでした。どちらもNISAでインデックス投信を積み立てられます。

マネックス証券の口座開設バナー 松井証券の口座開設バナー

よくある不安 Q&A

Q1. 今年もう買っています。2026年分は本当に変えられませんか

変えられません。金融庁の原文は「変更届出書を提出する日以前に、変更前の金融機関のNISA口座で既に上場株式等の受入れをしているときは、その年分についての金融機関の変更はできません」です。売却は関係ありません。買い付けの有無だけで決まります。10月1日から2027年分の手続きをしてください。

Q2. 変えたら、今の口座はどうなりますか

残ります。中の商品は非課税のまま持ち続けられますし、売ることもできます。ただしその口座で新しく買うことはできません。使わない口座が1つ増える、という状態になります。

Q3. 手数料ゼロのネット証券に移したほうが得ではありませんか

投資信託の積立しかしないなら、得にはなりません。差がゼロだからです。米国ETFか1株買いをするなら、上の式で自分の金額を計算してみてください。年1万円に届かないなら、私は口座を増やしません。

Q4. 対面証券は、やめたほうがいいということですか

そうは書いていません。moomoo証券の記事で書いたとおり、手数料だけで証券会社を選ぶと別のリスクを引きます。今回も、大和証券は約2,000銘柄を扱っていました。「対面だから」で決まる話ではなく、自分が何を買うかで決まる話です。

まとめ

  • NISAの金融機関を変えられるのは前年10月1日から当年9月30日。今年買い付けていれば2026年分は変えられず、2027年分の受付が10月1日に開きます
  • 「9月30日が締切」は正確ではありません。楽天は9月14日23:59で閉まり、日興は通知書の郵送に約1週間、大和は電話が起点です。書類が動く時間は、制度の日付に入っていません。
  • 8社で差が出る取引は「米国ETFの買い付け」と「1株単位の買い付け」の2つだけです。投資信託の積立に差はありません。だから、積立だけの人は変えなくていいのです。
  • 変更のコストは手数料ではありません。保有商品は移管できず、口座が1つ増えます。これは損として数字に出ませんが、確実に増えます。

まず、自分が今年NISAで買い付けたかどうかを思い出してください。買っていれば、話は2027年分です。焦る必要はありません。

そのうえで、自分が去年1年間に米国ETFを何円買ったかを見てください。ゼロだったなら、この記事は読み飛ばして大丈夫です。変えるかどうかを決める前に、変える理由があるかを見る。順番はそちらが先です。

手数料はいつか横並びになりますが、増えた口座は横並びになりません。10年後まで残るのは、料率ではなく口座のほうです。

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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の成果を保証しません。記事中の数値は2026年9月9日時点のものです。手数料・取扱銘柄数・受付期間は変更されることがあるため、実際の手続き前に各社の公式ページで必ずご確認ください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。