結論:銀行でもNISAは買える。でも、選ぶ理由は正直ない
「NISAって銀行でも始められるんでしょ?」——母にも、職場の後輩にも、何度か聞かれた質問です。答えはシンプルで、はい、買えます。三菱UFJも、みずほも、三井住友も、窓口でNISA口座を作って投資信託を買えます。
ただし、買えることと、そこで買うのが得かどうかは、まったく別の話です。
私自身、NISAを始めるときに銀行は最初から候補に入っていませんでした。「メインバンクが三菱UFJなんだから、ついでにそこ で」と一瞬よぎったのですが、調べはじめて30分で「これは無理だ」と判断して切りました。今日はその「無理だ」と感じた3つの 理由を、データと一緒に置いていきます。これから始める方、あるいは「窓口で勧められて契約しちゃおうか迷ってる」方の参考に なれば。
理由①:銀行は、そもそも棚に商品がない
NISAで買える商品の数は、口座を作る金融機関によって大きく違います。これ、意外と知られていません。
| 金融機関 | 取扱投資信託数 | ノーロード本数 | 株・ETF・REITの取扱 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 574本 | 約30本 | ❌ 不可 |
| みずほ銀行 | 248本 | — | ❌ 不可 |
| 三井住友銀行 | 194本 | — | ❌ 不可 |
| SBI証券 | 約2,600本 | 全本数(100%) | ✅ 可 |
| 楽天証券 | 約2,500本 | 全本数(100%) | ✅ 可 |
三菱UFJで574本。多いように見えますが、SBI証券の約2,600本と並べると、棚の品揃えが4分の1以下です。みずほで248本、三井 住友で194本になると、もはや「ちゃんと選べる状態」とは言いづらい。
本数だけの話ではありません。銀行で「ノーロード(買付手数料ゼロ)」になる商品は、三菱UFJでも30本ほど。SBI・楽天はラインナップ全部がノーロードです。これは銀行が頑張れば追いつけるという話ではなく、ビジネスモデルが違うだ けなので、たぶん今後も埋まりません。
そしてもう一つ、地味に効いてくるのが、銀行のNISAでは投資信託しか買えないという点。「成長投資枠で個 別株もちょっと買ってみたい」「東証ETFを混ぜたい」と思った瞬間、銀行はその選択肢を持っていません。
理由②:銀行の「3.3%」は、聞き流しちゃいけない数字
NISAのつみたて投資枠は、法律で買付手数料がゼロに固定されています。問題は成長投資枠のほう。銀行で買 う場合、商品によっては最大3.3%(税込)の購入手数料が乗ってきます。
この「3.3%」、文字で見るとピンと来ないので、お金で書きます。
たとえば成長投資枠で100万円を一括投資したとして、3.3%の手数料がついていれば、3万3,000円が最初に消えます。残り96万7,000円からスタートする、ということです。これを取り戻すには、いきなり3.4%以上値上がりしてもらわないとい けない。インデックス投資の年平均リターンが5〜7%と言われる世界で、最初に3.4%のハンデを背負って始めるのは、正直しんどい 。
SBI・楽天をはじめとするネット証券は、取扱投信が全本数ノーロードなので、この「最初の3万円」が存在しません。同じ商品 を買うのに、入口で数万円差がつく構造です。
NISAは20年・30年と続ける制度です。長く回す前提なら、入口の数%は終盤に何十万にもなって効いてきます 。ここを「まあ気にしないか」で済ませるのは、さすがにもったいない。
理由③:取引が「平日昼間しかできない」のは、もう厳しい
銀行で投資信託を売り買いするとなると、基本は窓口が開いている時間、つまり平日の日中です。最近はネッ トバンキングでもある程度できますが、扱える商品や機能が限られていて、結局「窓口に行ってください」となるケースも残ってい ます。
働きながら投資する人にとって、これはわりと致命的です。買いたいと思ったタイミングが土曜の夜だったら、月曜まで待たな いといけない。設定変更ひとつで半休を取らないといけないこともある。
SBI・楽天などのネット証券は24時間365日、スマホで完結します。積立額の変更も、銘柄の入れ替えも、スポ ット買付も、夜寝る前にベッドの中でやれます。私はだいたい風呂上がりにビール飲みながら設定をいじっているので、窓口に並ぶ というフローはもう想像できません。
そして繰り返しになりますが、NISA口座は1人1口座。あとから「やっぱり個別株も買いたい」「ネット証券に 変えたい」となると、金融機関変更の手続きが必要で、これがけっこう面倒です。最初の選択が、想像以上に長く効きます。
余談:私が銀行を「検討すらしなかった」理由
正直に書きます。私はNISAを始めるとき、銀行という選択肢を一度も真剣に検討していません。これは銀行員さんを軽んじてい るわけではなくて、単純にインデックス投資の原則と銀行の商品構造が、噛み合わないだけです。
インデックス投資でやるべきことは、ざっくり「コストを下げる・分散する・長く持つ」の3つだけ。この物差しで金融機関を消 去法で削っていくと、銀行は3つともに弱い、という結論になります。商品が少ないから分散しにくく、手数料が高いからコストで 負け、取引時間が縛られているから長く持つ前の段階で挫折しやすい。
逆に言うと、これは銀行が悪いというより、銀行の本業(預金・融資・窓口対応)と、長期インデックス投資の相性が 悪いだけの話だと思っています。給料の振込口座として三菱UFJはこれからも使い続けます。ただ、NISAの母艦は別の場所 に置く。役割分担、というだけのことです。
もし窓口で「NISAいかがですか」と勧められて契約を考えている方がいたら、契約書にハンコを押す前に一度だけ、SBI証券か楽 天証券のサイトを開いて同じ商品が買えるか・手数料がどうかを並べてみてください。それだけで判断材料は十分そろいます。
まとめ:銀行のNISAは「買えるけど選ばない」が正解
記事の要点を一枚にまとめます。
| 比較項目 | 銀行 | ネット証券 |
|---|---|---|
| 商品ラインナップ | 194〜574本(投資信託のみ) | 約2,500〜2,600本+株・ETF・REIT |
| ノーロード商品 | 一部のみ(約30本程度) | 全本数ノーロード |
| 成長投資枠の購入手数料 | 最大3.3% | 0%(ノーロード) |
| 取引時間 | 窓口時間のみ(平日日中) | 24時間365日 |
銀行は「お金を預ける場所」としては今も信頼できる存在です。給与振込、家賃引き落とし、定期預金。そこは何も変わりませ ん。
ただ、「資産を長期で増やす場所」としてのNISAを置くなら、ネット証券のほうが構造的に有利です。商品が 多い、コストが安い、いつでも触れる。この3つが20年積み上がったときの差は、想像よりだいぶ大きい。
「じゃあネット証券のどこを選べばいいの?」については、別記事でSBI・楽天・マネックスあたりを比べています。
→ どのネット証券を選ぶかはこちら(公開予定)
※ 本記事の数値は各社公式サイトおよびNISA関連情報ページをもと に作成しています。最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。
余談ですが、「なぜ私は最初から銀行を選択肢に入れなかったのか」という心理的な部分の話を、デー タではなく感覚ベースでnoteに書いています。判断のプロセス側に興味がある方はあわせてどうぞ。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
