2026年10月25日公開(手数料・取扱本数は2026年10月24日時点)
私は野村證券に口座を持っています。でも、NISAはそこでは開きません。
大手が悪いからではありません。私がNISAでやることは、低コストの投資信託を積み立てて、何十年も持つことです。その使い方に、大手の強みが要らないからです。
調べてみて、1つ意外なことがありました。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、野村證券でも、SMBC日興証券でも、NISAのつみたて投資枠で買えます。「大手では低コストの投資信託が買えない」は、もう正しくありません。
では、何が違うのか。大手4社(野村・SMBC日興・大和・みずほ)とネット証券4社(SBI・楽天・マネックス・松井)を、2026年10月24日時点の各社公式ページで、同じ物差しに並べました。
特定の会社を勧める記事ではありません。窓口でNISAを勧められている人、親の代から大手に口座がある人に向けて、投資歴19年の私の選び方を書きます。
先に結論:差は「買えるか」ではなく、細かさと周りの手数料
- オルカンは大手でも買える。野村(オンライン限定)とSMBC日興は、つみたて投資枠でオルカンを扱っています。大和とみずほは扱っていませんが、似た全世界株式の投資信託があります
- 差が出るのは2つ。①毎月の積立をどこまで細かくできるか(最低額・頻度・クレジットカード)。②NISAの周りにかかる手数料(国内株・米国ETF)。ネット証券4社はどちらも条件がそろっています
- 大手の強みは、対面の相談です。相続や事業承継、まとまったお金の運用では意味があります。でも、毎月決まった額を積み立てて売らないNISAでは、出番が少ないと私は考えています
そしてもう1つ。口座はいくつ持っていても構いません。NISAだけは1人1社です。だから私は、野村の口座はそのままにして、NISAを開く1社だけを条件で選びました。
私の口座の使い分け
先に、私自身の口座を書いておきます。
- 野村證券:勤め先の持株会から来た口座です。特定口座として持っています。担当者からNISAや商品を勧められたことは、一度もありません
- SBI証券:主軸です。NISAも、2020年から持っているVOO・QQQの特定口座も、ここにあります
- 松井証券・マネックス証券:サブの口座です
野村の口座があるので、野村の手数料体系は自分の口座の画面で見ています。9月には、野村のNISAで買える米国ETFが8本しかないことを別の記事に書きました。
19年の間、NISAの金融機関を変えたことは一度もありません。最初に選んだ1社のまま来ています。
8社を同じ物差しで並べる
NISAで「低コストの投資信託を積み立てて、長く持つ」人に関係する物差しだけを選びました。為替手数料や単元未満株などの細かい比較は、証券8社を並べた9月の記事にまとめています。
| 物差し | 野村 | SMBC日興 | 大和 | みずほ | SBI | 楽天 | マネックス | 松井 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| つみたて投資枠の本数 | 19本 | 160本 | 37本 | 10本 | 248本 | 291本 | 284本 | 285本 |
| オルカンを買えるか(つみたて投資枠) | ○ オンライン限定 | ○ | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 積立の最低額・頻度 | 1,000円 毎月 | 1,000円 毎月 | 100円 毎日も可 | 1,000円 毎月 | 100円 毎日も可 | 100円 毎日も可 | 100円 毎日も可 | 100円 毎日も可 |
| クレジットカード積立 | なし | なし | なし | なし | あり | あり | あり | あり |
| NISAの国内株の売買手数料 | 通常の手数料がかかる (NISA専用の無料はなし) | 0円 | ||||||
| NISAの米国ETF | 8本だけ 手数料あり | 手数料あり | 手数料あり | 買えない | 0円 | |||
| 店舗での対面相談 | あり(大手の強み) | なし | ||||||
オルカンは、大手でも買える
この表で一番伝えたいのは、2行目です。オルカンは、野村でもSMBC日興でも、つみたて投資枠で買えます。野村の場合、信託報酬は年0.05775%以内で、ネット証券で買うのと同じ商品です。
ただし、野村のオルカンには「オンライン限定」と書かれています。窓口で担当者と相談しながら買う商品ではありません。大手でオルカンを買うときは、大手の強みである対面の相談を使わずに買うことになります。
大和とみずほには、オルカンがありません。代わりに、似た全世界株式の投資信託があります。大和ならiFree 全世界株式インデックス(大和の画面の表示で年0.176%)、みずほならたわらノーロード 全世界株式(年0.10989%以内)です。どちらも低コストの部類で、悪い商品ではありません。
「大手だから」で一括りにできない
同じ大手4社でも、中身はかなり違います。
- 大和:積立は100円から、毎日・毎週も選べます。この点はネット証券と同じです。NISAの成長投資枠で投資信託を積み立てる場合、購入時手数料も無料です
- みずほ:VOOのような米国の取引所に上場しているETFは、NISAで買えません(米国の個別株は買えます)
- 野村:NISAで買える米国ETFは、VT・SPY・VOO・QQQ・VTI・SDY・VIG・VYMの8本です
銀行のNISAについて書いた4月の記事の理屈を、そのまま大手証券に当てはめると、事実とずれます。会社ごとに見る必要があります。
差が出るのは2つ
①毎月の積立を、どこまで細かくできるか
野村・SMBC日興・みずほは、積立が1,000円から、毎月1回です。ネット証券4社は100円から、毎日も選べます。
毎月3万円を積み立てる人なら、1,000円単位でも困りません。差が出るのは、少額から始めたい人と、金額を細かく調整したい人です。
もう1つの差が、クレジットカード積立です。ネット証券4社は、月10万円までカードで積み立てられます。大手4社の公式の積立ページには、カードでの支払いが見当たりませんでした。
還元率はカードと条件でかなり変わります。たとえばSBI証券の三井住友カード(NL)は0.5%ですが、年間のカード利用が10万円に届かないと0%になります。還元はおまけで、選ぶ理由の主役にはしないほうがいいと私は考えています。
②NISAの周りにかかる手数料
オルカンの積立だけなら、大手でもネットでも買付手数料はかかりません。差が出るのは、NISAで国内株や米国ETFを買うときです。
同じ10万円を、NISAで買ったときの手数料を並べます。大手は、野村の本店・支店(対面)の料金表です。
野村の米国ETFは、7.1万円を超えて75万円までは一律7,810円です。7.1万円以下は約定代金の11%です。10万円なら、手数料だけで7.8%になります。
ただ、公平のために書いておきます。野村にもオンライン専用の支店があり、そこなら国内株10万円は152円です。SMBC日興も、ネットのダイレクトコースなら国内株10万円は137円です。大手の手数料は、どのコース・どの窓口かで十倍以上変わります。窓口で相談するほど、手数料は高い側になります。
手数料の考え方は、米国株をどこで買うかの記事に詳しく書きました。ただし、moomoo証券の処分のときに書いたとおり、手数料だけで証券会社を選ぶのも危ういと私は考えています。会社として続けられるか、出口の自由度があるかも見ます。
大手の強みは、何に効くのか
大手の強みは、店舗があって、担当者と対面で相談できることです。これが役に立つ場面は、確かにあります。
- 相続で、親の口座の株をどう引き継ぐか
- 会社の事業承継や、自社株の扱い
- 退職金など、まとまったお金をどう分けるか
どれも、一度きりで、金額が大きく、家族や税金が絡む話です。専門家と向き合って話す価値があります。
一方、私がNISAでやりたいことは、とても単純です。
毎月決まった額を、決まった投資信託に入れて、売らない。この使い方では、相談する場面がほとんどありません。だから、大手の強みにお金を払う理由がないのです。
逆に、相談の場では、毎月分配型の投資信託やファンドラップを勧められることがあります。どちらも、私がNISAで避けているものです。信託報酬が年1%を超える世界のベストのような商品も、窓口でよく名前が出ます。相談できることは強みですが、相談の場には、相談する側の都合もあると私は考えています。
口座はあっていい。NISAは別
ここが一番誤解されやすいところです。
証券口座は、何社に持っていても構いません。私も野村の口座を閉じるつもりはありません。持株会から来た口座で、使い道があるからです。
NISAは違います。金融庁の説明では、NISA口座は1人につき1口座で、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うこともできません。最初に選ぶ1社が、そのまま何年も続くことになります。私が19年で一度もNISAの金融機関を変えていないのは、最初の1社を条件で選んだからだと思っています。
すでに大手でNISAを開いている人へ
慌てて売る必要はありません。NISAで持っている商品は、金融機関を変えても、元の口座で非課税のまま持ち続けられます(日本証券業協会のNISAのQ&A)。
変える手続きにはルールがあります。
- 受付は、変えたい年の前年10月1日から、その年の9月30日まで(金融庁)
- その年に、元の口座のNISAで一度でも買っていたら、その年の分は変えられません
- 持っている商品は、新しいNISA口座に移せません
- 2026年10月24日の今から手続きすると、変わるのは2027年分からです
ただし、変えなくていい人もいます。野村やSMBC日興でオルカンを積み立てているだけなら、ネット証券と同じ商品を、同じ信託報酬で買っています。変える理由はほとんどありません。
大和やみずほで似た全世界株式の投資信託を積み立てている人も、差は年0.05〜0.12%ほどです。9月の記事で決めた目安「差が年1万円を超えるか」で計算すると、大和のiFreeなら残高約846万円、みずほのたわらなら約1,918万円で、やっと年1万円に届きます。それまでは、口座が1つ増える手間のほうが重いかもしれません。変えるべき人の見分け方は、証券8社の記事に書きました。
これからNISAを開く人への3つの確認
窓口でNISAを勧められたら、申し込む前に、次の3つを確かめてください。
- 買いたい投資信託は、その口座で買えるか。オルカンやS&P500の低コストの投資信託が、つみたて投資枠にあるか。野村なら「オンライン限定」かどうかも見ます
- 毎月いくら積み立てるか。最低額と頻度、クレジットカードが使えるか。少額から始めるなら、100円から積み立てられるかが効きます
- 勧められた商品の信託報酬は何%か。年1%を超えていたら、一度立ち止まってください。毎月分配型は、そもそもNISAの成長投資枠の対象外です
大手で米国ETFを買いたい人は、その会社のNISAで何本買えるかも確かめてください。NISAで買えないETFの見分け方にまとめています。
私の保有と、読者へのおすすめは分けて書きます
| 私(Hiro) | 読者へのおすすめ | |
|---|---|---|
| NISAの口座 | SBI証券(19年で一度も変えていない) | 3つの条件(買いたい投信・手数料・積立の細かさ)がそろう1社。会社名より条件で選ぶ |
| 大手の口座 | 野村に特定口座(持株会から)。閉じる予定はない | 相続・事業承継・まとまったお金の相談先として持っておく価値はある |
| すでに大手でNISA | 該当しない | オルカンなど低コスト投信の積立だけなら、変えなくていい |
口座を開くなら、条件で選んで構いません
私の主軸はSBI証券ですが、ネット証券4社はどれも、この記事の3つの条件を満たしています。サブで使っている松井証券も、その1社です。NISAなら国内株・米国株・投資信託の売買手数料が無料で、オルカンもつみたて投資枠で買えます。
まとめ:使い方を先に決めると、会社は決まる
- オルカンは、野村(オンライン限定)とSMBC日興でも、つみたて投資枠で買えます。「大手では低コストの投資信託が買えない」は、もう正しくありません
- 差が出るのは、積立の細かさ(最低額・頻度・カード)と、NISAの周りの手数料(国内株・米国ETF)です。大手4社の中でも、大和とみずほでは条件がかなり違います
- 大手の強みは対面の相談です。相続や事業承継では役に立ちますが、毎月積み立てて売らないNISAでは出番が少ない。だから私は、野村に口座があってもNISAはSBIで開いています
まずは、ご自分がNISAで何を買うか、毎月いくら積み立てるかを、1行で書き出してみてください。選ぶ会社は、その1行で決まります。
19年前の私に一言だけ伝えられるとしたら、こう言います。口座はいくつあってもいい。NISAの1社だけは、会社の名前ではなく、自分の使い方で選べ。
動画でも解説しています
この記事の内容を、動画にまとめました。通勤や家事の「ながら聴き」にどうぞ。
もっと読みたい方へ|あなたに合った記事
🔍 証券会社を細かく比べたい方へ
- NISAの金融機関変更、2027年分は受付中——証券8社を並べたら、変える理由があるのは3種類の人だけでした
- 野村證券のNISAで買える米国ETFは8本だけ——でも私なら、野村では1本も買いません
- 米国株はどこで買う?“手数料0円”に釣られない証券の選び方
- 大手は独立系、ネット証券は通信系——銀行8行+証券5社の関係性で見る投資家の最適解
🏦 窓口で勧められて迷っている方へ
- NISAは銀行で買えるけど、私が絶対ネット証券を選ぶ3つの理由
- ファンドラップ24兆円市場の罠——初心者が絶対に手を出してはいけない理由
- 世界のベストを私が買わない理由|毎月150円を出し続けるには、年21.9%の運用が要る
🧭 選び方の考え方を知りたい方へ
- moomoo証券の処分で分かった、証券会社を「手数料」だけで選んではいけない現実
- ネット証券の選び方【2026年】
- 高配当株は1株から買えます——単元未満株で月3,000円の配当お小遣いを作る手順と、松井では買えない話
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品や証券会社の利用を推奨するものではありません。手数料・取扱本数・サービス内容は2026年10月24日時点の各社公式ページ(ネット証券4社のつみたて投資枠の本数はYahoo!ファイナンス証券会社カタログ)によるもので、変わることがあります。手数料は税込です。お申し込みの前に、各社の最新の情報をご確認ください。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
