2026年10月18日公開(ETFの数字は2026年10月16日時点)
HDVは今、NISAで新しく買えません。JEPIの利回り8%は、株の配当だけではありません。SCHDは良いETFですが、私は買いません。
3本とも、悪いETFではありません。それでも投資歴19年の私は、3本とも持ったことがありません。買おうと検討したこともありません。
しかも、この1年に限れば、SCHDとHDVは私の主力のVOOより大きく上がっていました。正直に言うと、凄く伸びたと思いました。VOOが負けています。
それでも、乗り換える予定はありません。この記事では、その理由を3つの物差しで並べます。NISAで持てるか、分配金の中身、受け取るたびの税金の3つです。
シリーズ「投資歴19年の私が買わない理由」の4本目です。売れ、買えと言う記事ではありません。
先に結論:3本とも買いません。ただ、理由は3本とも違います
- HDV:NISAで持てないから。2026年6月16日に、分配が年4回から毎月に変わりました。毎月分配型はNISAの成長投資枠に入れないルールです
- JEPI:分配金の中身が違うから。利回り8.00%には、オプションを売って得たお金が入っています。上がる相場の値上がり益を手放す代わりの収入です
- SCHD:良いのに選ばない。経費率0.06%で中身も優秀です。日本では投資信託の形でNISAでも持てます。それでも、私の戦略と税金の物差しに合いません
3本に共通する私の理由は1つです。今の私は「配当で暮らす段階」ではなく、「資産を増やす段階」にいます。増やす段階なら、分配の少ない指数(S&P500やオルカン)で足りると考えています。
3本を同じ物差しで並べる
まず、3本がどんなETFかを確認します。ETF(上場投資信託)は、株のように取引所で売り買いできる投資信託です。3本とも米国の取引所に上場しています。
- HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF):世界最大の資産運用会社ブラックロックのETFです。財務が健全で配当の高い米国株、74銘柄に投資します(2026年10月15日時点)
- SCHD(シュワブ米国配当株式ETF):米国の大手証券会社チャールズ・シュワブのETFです。10年以上配当を続け、財務の良い米国株約100銘柄に投資します
- JEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF):米国最大の銀行グループJPモルガンのETFです。米国の大型株を持ちながら、オプションを売ってお金を受け取ります
比べる相手として、S&P500に連動するVanguard S&P 500 ETF、通称VOOも並べます。私が2020年から持っている主力です。
| 項目 | HDV | SCHD | JEPI | VOO(比較用) |
|---|---|---|---|---|
| 経費率(年) | 0.08% | 0.06% | 0.35% | 0.03% |
| 分配金利回り(直近12か月) | 3.05%(9月30日時点) | 3.07% | 8.00% | 1.06% |
| 分配の回数 | 毎月(6月に年4回から変更) | 年4回 | 毎月 | 年4回 |
| NISA成長投資枠 | ✕ 対象外 | ◯ 投資信託版で(本体は日本で買えない) | ✕ 対象外 | ◯ |
| 1年の成績 | +28.14% | +33.82% | +9.32% | +16.84% |
| 3年の成績(累計) | +69.07% | +61.59% | +34.13% | +81.94% |
表の読み方で、先に1つだけ注意があります。SCHDそのものは、日本の証券会社では買えません。楽天証券は2025年3月の発表でこう説明しています。シュワブのETFは日本で届出がされておらず、国内の個人が直接買うのは難しい、という内容です。
日本からは、SCHDに投資する投資信託を通して買います。1つは楽天証券の「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」、通称楽天SCHDです。もう1つはSBI証券の「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」、通称SBI・SCHDです。どちらも年4回の分配で、成長投資枠で買えます。
物差し①:NISAで持てるか
1つ目の物差しは、NISAの非課税の箱に入れられるかです。私は、同じような中身をNISAで持てるなら、NISAで持てるほうを先に使います。
HDVは、毎月分配になって対象外に
HDVを運用するiシェアーズは、分配の回数を2026年6月16日に年4回から毎月へ変えたと公表しています。毎月分配の1回目は、7月15日の権利落ちでした。
NISAの成長投資枠は、毎月分配型を対象から外すルールです。日本証券業協会の説明では、海外の取引所に上場しているETFも含みます。そのためHDVは、どの証券会社でもNISAで新しく買えなくなりました。
ここは誤解が多いところです。買えなくなったのは新しく買う分だけです。すでにNISAで持っている分は、非課税のまま持ち続けられます。慌てて売る必要はありません。経緯と、持っている人がやることはNISAで買えないETFの見分け方にまとめています。
JEPIも対象外。SCHDは投資信託版なら持てる
JEPIも毎月分配なので、成長投資枠の対象外です。投資信託版の「楽天・JEPI」も毎月決算型のため、NISAでは買えません。JEPIを持つなら、課税される特定口座になります。
SCHDはこの物差しを満たします。楽天SCHDやSBI・SCHDなら、年4回の分配で成長投資枠に入ります。3本のうち、NISAで持てるのはSCHDだけです。
物差し②:分配金の中身は何か
2つ目の物差しは、分配金がどこから来ているかです。同じ「利回り」でも、中身が違えば意味が違います。
HDVとSCHDの分配金は、投資先の会社が払った配当です。会社の利益の一部が、株主に届いています。
JEPIは違います。運用会社JPモルガンの資料には、「オプションの売却と米国大型株への投資を組み合わせ、オプションのプレミアムと株の配当から毎月の収入を目指す」と書かれています。
コールオプションは、「決まった値段で買える権利」です。JEPIはS&P500について、この権利を他の投資家に売ります。売った代金(プレミアム)が分配金に回ります。株価連動債(ELN)という債券の形を使っているとも明記されています。
この図は、JEPIの分配金が2つの源から来ていることを示しています。
オプションを売ると、相場が横ばいのときは、受け取った代金がそのまま上乗せになります。代わりに、相場が大きく上がったときの値上がり益を、権利を買った人に渡すことになります。
この1年がちょうどその形でした。VOOが+16.84%のとき、JEPIは+9.32%でした。3年では+81.94%に対して+34.13%です。分配金の8%は、値上がり益と交換して受け取ったお金とも言えます。仕組みの図解はJEPI・JEPQの“利回り10%超”の正体で詳しく書きました。
念のため書くと、JEPIは悪質な商品ではありません。毎月の現金がほしい人のために、仕組みを公開して作られた商品です。私の目的と違う、というだけです。
物差し③:受け取るたびの税金
3つ目の物差しは税金です。米国ETFの分配金には、まず米国で10%の税金がかかります。そのうえ特定口座なら、残りに日本で20.315%がかかります。
NISAなら日本の税金はゼロです。ただし米国の10%は戻ってきません。外国税額控除(外国で払った税金を日本の税金から差し引く仕組み)も使えません。SBI証券は、NISAでは二重課税にならないため控除は受けられない、と説明しています。
100万円分を持ったとき、1年でいくら税金を通るかを並べます。
| 100万円分・1年 | 分配金 | NISAで引かれる税金 | 特定口座で引かれる税金 |
|---|---|---|---|
| SCHD型(利回り3.07%) | 30,700円 | 3,070円 | 8,683円 |
| JEPI(利回り8.00%) | 80,000円 | (NISAでは持てない) | 22,627円 |
| S&P500型(利回り1.06%) | 10,600円 | 1,060円 | 2,998円 |
NISAで持てるSCHD型でも、毎年3,070円が米国で引かれます。S&P500型の約3倍です。特定口座なら差は約5,700円に広がります。JEPIは特定口座で年2万円を超えます。
引かれた分は、もう複利で増えません。分配の少ない指数は、税金を通る額が小さいぶん、残りが中で増え続けます。税金を払う日を、売る日まで後ろにずらせるということです。
私のVOOも、配当は出ています
公平のために、私自身の話も書きます。VOOとQQQ(NASDAQ100に投資するETF)は、NISAの外の特定口座で持っています。年1%前後ですが、配当は出ていて、そのたびに税金が引かれています。
受け取った配当は、少し使って、少し溜まったままです。2026年7月には、溜まった配当500ドルを円に換えました。そのとき為替差益の計算で、思わぬ手間がかかりました。配当は、受け取ったあとにも手間が残ります。
ですから、分配の少ない指数が「税金ゼロ」なわけではありません。差は程度の差です。ただ、100万円あたり年数千円の差が、何十年も毎年続きます。私が税金を物差しに入れているのは、そのためです。
この1年、SCHDとHDVはVOOに勝っていた。それでも乗り換えない
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
このグラフは、1年で見た成績と、3年で見た成績を並べたものです。期間を変えると、順位が入れ替わります。
1年で見ると、SCHDは+33.82%、HDVは+28.14%でした。VOOの+16.84%の、ほぼ2倍です。数字を見たとき、私は「凄く伸びたな」と思いました。VOOが負けています。
3年で見ると、順位は逆になります。VOOが+81.94%で1位です。ただ私は、これを「だからVOOが正しい」という根拠にはしません。期間を選べば、順位はどちらにも動くからです。
だからと言って、乗り換える予定はありません。理由は、私の物差しに「直近1年の成績」が入っていないからです。
SCHDを買わない理由は、5月から1つ増えました
2026年5月のSCHDの分析記事で、私は買わない理由を2つ書きました。
- 戦略が違う:SCHDには、マグニフィセント・セブンと呼ばれる米国の巨大IT企業のほとんどが入りません。私は、未来の成長の中心をS&P500とNASDAQ100で取りに行っています
- 余力がない:限られた枠とお金を、自分の戦略の順番で配っています
この2つは今も変わりません。今回、そこに3つ目を足します。増やす段階では、受け取るたびに税金を通る分配は少ないほうがいい、という物差し③です。
1年の成績がSCHDに傾いても、この3つは1つも動いていません。動いていないものを理由に、持ち物は変えません。「何を最大にしたいか」で答えが変わる話は、配当株を売らずに持ち続ける条件でも書きました。
増やす段階と、使う段階で、選ぶものは変わる
「いいETF」と「今の私に合うETF」は別です。5月に書いた「私は買わない、でもあなたは買っていい」を、3本に広げるとこうなります。
高配当ETFを「不労所得」と呼ぶ人の気持ちは分かります。毎月や毎四半期にお金が入ると、それだけで安心できます。配当で暮らす段階の人にとっては、売らなくても現金が入ること自体に価値があります。
ですから、迷ったら先に1つだけ決めてください。その配当金、受け取ったら使いますか。それとも再投資しますか。
- 使うなら:高配当ETFは選択肢になります。NISAで持てるか(楽天SCHDやSBI・SCHDなどの投資信託版)を先に確かめてください
- 再投資するなら:分配の少ない指数ファンドで足ります。受け取って、税金を払って、また買い直す手間が要りません
- HDVをNISAで持っている人:慌てて売る必要はありません。持っている分は非課税のままです
私の保有と、読者へのおすすめは分けて書きます
| 私(Hiro)の保有 | 読者へのおすすめ | |
|---|---|---|
| 中心 | VOO・QQQ(特定口座・2020年から) | 増やす段階なら、オルカンかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)をNISAで |
| 高配当ETF | HDV・SCHD・JEPIとも、持ったことも検討したこともありません | 配当を使う段階なら、楽天SCHD・SBI・SCHDを成長投資枠で検討する価値があります |
| JEPI | 持っていません | 仕組みを理解したうえで、毎月の現金がほしい人だけ(特定口座) |
オルカンは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の通称です。どちらも分配金を出さずに中で再投資する投資信託で、NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方で買えます。
口座を開くなら、用途で選んで構いません
私の主軸の口座はSBI証券ですが、これから口座を開くなら、用途で選んで問題ありません。米国株や海外ETFも触りたいならマネックス証券、電話で相談しながら少額から始めたいなら松井証券という使い分けができます。どちらもオルカンやeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を買えます。
※楽天SCHDは楽天証券、SBI・SCHDはSBI証券の専売です。SCHD系の投資信託を買いたい場合は、取扱いのある口座を選んでください。
まとめ:いいETFと、今の私に合うETFは別
- HDVはNISAで新しく買えません。JEPIの8%はオプションの代金を含みます。SCHDは良いETFで、投資信託版ならNISAでも持てます
- この1年はSCHDとHDVがVOOのほぼ2倍上がりました。3年では順位が逆になります。私はどちらの期間も、乗り換える理由にはしていません
- 増やす段階の私は、NISAで持てるか・分配の中身・受け取るたびの税金の3つで選んでいます。使う段階なら、高配当ETFも選択肢になります
まずは、ご自分が「配当を使う段階」か「増やす段階」かを、1行で書き出してみてください。選ぶETFは、その1行で決まります。
19年前の私に一言だけ伝えられるとしたら、こう言います。去年いちばん伸びたものより、自分の物差しに合うものを持て。
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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。ETFの成績・利回りは2026年10月16日時点(HDVの利回りは2026年9月30日時点)の公表資料と筆者計算によるもので、ドル建てです。税金の試算は簡略化した目安です。制度や取扱いは変わることがあります。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
