2026年8月28日の終値です。日経平均は6万6,405円56銭。S&P500は7,711.76。ドル円は159円97銭でした。
株価は高い。円安も続いている。そう感じている方は多いと思います。
正直に書きます。私も高いと思っています。
それでも私は、今日も積み立てています。理由は「高くない」と思っているからではありません。高いかどうかを、私が当てられないと知っているからです。
この記事では、まず私自身がおよそ4か月前に外した予想を、実額で開示します。そのうえで「最高値で買った人はどうなったか」を75年分のデータで確認し、最後に「タイミングが分かる」と言う人を私が疑う理由を書きます。
結論を先に置きます。最高の投資タイミングは、たしかに存在します。ただし、それが分かるのは後になってからです。
【追記:2026年9月3日】
この記事は8月28日の終値をもとに書きました。その後、日経平均は4日続けて下げ、9月3日の終値は64,214円48銭です。私が「高い」と判断した5月1日からの上昇率は、+11.6%から+7.9%に縮みました。
それでも、結論は変えません。私は「いつ下がるか」を当てていないからです。下がったことで私の5月の判断が正しくなったわけでもありません。当てられないという話をしているのに、当たったかどうかで評価しては本末転倒です。そして今日も、私の積立は止まっていません。
「株価は高い」「円安だ」——その実感は、正しいです
まず現在地を確認します。
| 指標 | 2026年8月28日 | 補足 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,405円56銭 | 前日比+273円58銭 |
| S&P500 | 7,711.76 | 8月中旬の最高値7,814.88から約1.3%下 |
| ドル円 | 159.97円 | 160円が目前 |
S&P500は8月中旬に、史上初めて7,800台で引けました。日経平均も、今年5月に初めて6万円台に乗せてから、さらに上にいます。
為替については、介入によって一時的に円高へ振れる場面はあります。ただし円安という方向そのものは変わっていません。
つまり「高い」「円安だ」という実感は、数字の裏づけがあります。気のせいではありません。
問題は、その次です。「高いから待つ」が正しいかどうかは、まったく別の話だからです。
私は日経6万円で買い増しを止めました。そこから11.6%上がりました
ここから、私自身の失敗を実額で書きます。
2026年5月9日、私が書いたこと
今年の5月9日、私は「日経6万円タッチ、私は買い増しを止めている話」という記事を書きました。
そこで宣言したのは、次の2つです。
- 機械的な積立は、そのまま続ける
- スポット買い(余剰資金で「ここだ」と思ったときに撃つ追加の弾)は、止める
止めた根拠として、私は3つの材料を並べていました。
- 日経6万円タッチ——2026年4月27日、終値ベースで初めて6万円台に到達しました(5月1日終値は59,513円)
- 午尻下がり——午年の年間騰落率は平均−5.0%という経験則
- 米国中間選挙年——夏から秋にかけて上値が重くなりやすい
今読み返しても、それらしい材料だと思います。数字も、経験則も、アノマリーも揃っています。
およそ4か月後の答え合わせ
8月28日の終値は66,405円56銭でした。
私が記事に書いた5月1日終値59,513円から、+6,892円56銭。率にして+11.58%です。
3つ目の材料だった「中間選挙年の夏から秋は上値が重い」も、8月末の時点では外れています。
ここで言いたいのは、反省ではありません
大事なのはここです。
根拠が雑だったから外れたのではありません。むしろ逆で、数字も経験則も揃えて、3つ並べて、それでも外れました。
もし「もっと丁寧に分析すれば当たる」のなら、この記事を書く意味はありません。「私の分析が甘かった」で終わります。
そうではないから書いています。まともな材料を3つ並べても外れる。それが相場の予想というものです。
そしてもうひとつ。このおよそ4か月で、私の資産は増えています。スポット買いを止めていたにもかかわらず、です。
理由は単純で、積立のほうは一度も止めなかったからです。ここは記事の後半で詳しく書きます。
最高値で買った人は、本当に負けたのでしょうか
「高値づかみ」という言葉があります。いちばん高いところで買ってしまうことです。
では、実際に最高値で買った人はどうなったのか。ここは感覚ではなく、データで見ます。
そもそも、最高値は珍しくありません
RBCグローバル・アセット・マネジメントの集計によると、1950年1月1日から2025年8月までの約75年間で、S&P500は最高値を1,325回更新しています。
年平均で17回超です。年間の取引日は約252日ですから、取引日のおよそ7%は最高値更新日という計算になります。
上がり続ける市場では、最高値は何度も出ます。最高値は「天井のサイン」ではなく、上昇トレンドの通過点です。
最高値の日にだけ買った人の成績
同じRBCの集計で、最高値の日にだけ買った人のリターンは、任意の日に買った人と、1年・3年・5年のいずれでもほぼ同じでした。
J.P.モルガンが1970年以降で調べた数字は、もう少し踏み込んでいます。
| 買った日 | 12か月後 | 24か月後 |
|---|---|---|
| 最高値を更新した日 | +9.4% | +20.2% |
| それ以外の日 | +9.0% | +18.5% |
最高値の日に買ったほうが、少しだけ成績が良かったのです。直感と逆だと思います。
さらにRBCの集計では、次の2つも確認されています。
- 最高値をつけてから1年以内に、10%を超える調整が起きたのは9%だけ
- 1950年以降、いかなる最高値からも「5年後に10%超のマイナス」だったことは一度もない
もちろん過去の話です。将来を保証するものではありません。それでも、75年分の記録が「最高値で買うと損をする」を支持していないことは、知っておいて損はないと思います。
待った人、すぐ買った人、いちばん高い日に買った人
ここからが本題です。
チャールズ・シュワブの研究部門が、2003年から2022年までの20年間を対象に、毎年2,000ドルずつ投資する5人を比較しました。有名な検証です。
5人の20年後
| やり方 | 20年後 | 順位 |
|---|---|---|
| 毎年いちばん安い日に買う(神業) | 138,044ドル | 1位 |
| 年の初めにすぐ買う(何も考えない) | 127,506ドル | 2位 |
| 12回に分けて毎月積み立てる | (2位と4位の間) | 3位 |
| 毎年いちばん高い日に買う(最悪) | 112,292ドル | 4位 |
| 買わずに待つ(現金・短期国債) | 43,948ドル | 5位 |
この表から読めること
3つあります。
1つめ。神業と「何も考えずすぐ買う」の差は、20年で10,537ドルしかありません。率にして7.6%です。言い換えると、何も考えずに買った人は、神の92%を取れています。
2つめ。毎年いちばん高い日に買い続けるという、人間に可能な最悪のタイミングですら、待ち続けた人の約2.6倍になりました。112,292ドル対43,948ドルです。
3つめ。この検証は1926年以降の78個の20年間で行われており、そのうち68個で順位が同じでした。残り10個の期間でも、「すぐ買う」が最下位になったことは一度もありません。
タイミングを外すことより、待つことのほうがはるかに高くつく。これがデータの言っていることです。
ただし「待つのは必ず損」ではありません
ここは正直に書きます。十分に大きな下落を的中させれば、待ったほうが勝ちます。「待つのは常に間違い」という言い方は、単純に嘘です。
問題は、その下落が何%必要かです。計算してみました。
毎月3万円を20年積み立てる方が、3年間だけ待つとします。待っている間の3万円は現金で貯めておき、暴落が来た瞬間に全額を投入する。この作戦が報われるために必要な下落率は——
13.1%です。
3年待った先で、13.1%以上の下落を当てて、そこで全額を入れられれば勝ちます。それ未満なら、今日から始めたほうが多く残ります。
先ほど見たとおり、最高値をつけてから1年以内に10%超の調整が起きたのは過去9%だけでした。下げ幅そのものより、「3年後」という時期まで指定して当てることのほうが、はるかに難しいと思います。
ご自身の条件で確かめてみてください。
「待つコスト」計算機
下がるのを待つのは、必ずしも損ではありません。十分に大きな下落を的中させれば、待ったほうが勝ちます。では、その下落は何%必要でしょうか。条件を入れて確かめてみてください。
待った甲斐があったと言えるために必要な下落率
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※ 概算です。想定年率は待っても待たなくても同じと仮定し、待機中の現金には金利を付けていません。貯めた現金は待機終了時に「下落した価格で」一括投入し、その後は毎月の積立を続ける前提です。実際の相場は一定の年率で動きませんし、税金・手数料も考慮していません。
※ 参考:1950年以降のS&P500では、最高値をつけてから1年以内に10%を超える調整が起きたのは9%だけでした(RBC GAM)。
「タイミングが分かる」と言う人を、私が疑う理由
ここからは、データではなく私の考えです。
世の中には「儲かる買い方を教えます」という商材があります。相場の転換点を当てる方法、下がる前に逃げる方法。そういうものです。
私はこう考えています。
もし本当に当てられるなら、教える理由がありません
仮に、その手法で6割を超える確率で当てられるとしましょう。しかも再現性がある。
そのとき、その人がやるべきことは教材を売ることではありません。
自分の資金を投じて、複利で回すことです。6割超の的中率を再現性をもって出せるなら、増え方は教材の売上とは桁が違います。しかも自分ひとりで完結し、顧客対応もクレームもサポートも要りません。
にもかかわらず教えるほうを選んでいるとしたら、答えは1つです。その手法のいちばん確実な収益源が、「教えること」そのものだからです。
ただし、才能を否定はしません
誤解のないように書きます。
相場で継続的に勝つトレーダーは、実在します。一部の才能ある人には可能です。私はそれを否定しません。
問題は再現性です。
その人にできることと、それを教わったあなたにできることは、別です。手順を書き出せる技術なら再現できますが、相場の判断は手順に落ちません。だから教材を買った人の大半は、同じ結果になりません。
つまり「詐欺師」と呼ぶべきなのは、当てられない人ではなく、「あなたにも当てられる」と言う人です。ここが線引きです。
見分ける質問は、1つです
「その手法で、あなたはいくら増えましたか」——これは聞いても意味がありません。数字はいくらでも作れます。
聞くべきはこちらです。
「それだけ当たるなら、なぜ教えるのですか」
この問いに、経済合理性のある答えが返ってこないなら、それが答えです。
積立の弾と、スポットの弾——私が分けている2つの財布
ここで、自分から矛盾に触れます。
「タイミングを計るな」と書いてきた私が、5月には「高いからスポット買いを止める」と書きました。矛盾しているように見えると思います。
私は弾を2種類に分けています。
| 積立の弾 | スポットの弾 | |
|---|---|---|
| 何で決めるか | 決めない(自動設定) | 価格で決める |
| 止めるか | 一度も止めない | 熱狂では撃たない |
| 予想するか | しない | しない(ルールで撃つ) |
| 私の実例 | 新NISAの積立(継続中) | 日経6万円で停止/米国債は表面5.7%待ち |
決定的な違いは「いつ」を言っていないこと
私が5月にやったのは、「日経が6万円という価格になったので、追加の弾は撃たない」という判断です。
ここで私は「いつ下がるか」を一言も言っていません。9月に下がるとも、年内に調整が来るとも書いていません。
だから外れようがない、とは言いません。実際、11.58%の上昇を取り逃しました。これは機会損失です。
ただし、失ったお金はありません。撃たなかった弾は、まだ手元にあります。そして積立のほうは止めなかったので、この11.58%の上昇には乗っています。
米国債で、私は5年待つかもしれません
もうひとつ実例を出します。
私は米国債を表面利回りおよそ5.7%(税引後で実質5%)になったら買う、と決めています。
今年5月、SBI証券で表面5.111%が出ました。ニュースとしては十分な水準です。それでも買いませんでした。税引後で計算すると4.47%まで落ちるからです。
8月2日には30年債が5.2%という、19年ぶりの見出しも出ました。それでも私は動いていません。
このラインが来るのは来年かもしれないし、5年後かもしれないし、二度と来ないかもしれません。私には分かりません。分からなくていいのです。
なぜなら私が待っているのは「時期」ではなく「利回り」だからです。来なければ買わない。それだけです。
「いつ」を当てると言う人は、疑ってください。
「いくらなら買う」は、予想ではありません。
今日やることは、3つだけです
読んでいる方を3つに分けて書きます。
① これから始める方(時間が長く残っている方)
やることは3ステップです。
- 指数を1つ決める。条件は「長期で成長してきた市場か」だけです。S&P500か全世界株(オルカン)のどちらかで、大きく外しません
- 毎月の積立を自動設定する。金額は家計から無理なく出せる額。新NISAのつみたて投資枠なら利益に税金がかかりません
- 画面を閉じる。毎日見る必要はありません。見るほど余計なことをしたくなります
「今が高いから、下がってから」——その気持ちは分かります。ただ、この記事の前半で見たとおり、待つコストのほうが高くつきます。
② すでに続けている方
続けてください。それだけです。
今日の株価が高いことは、積立を止める理由になりません。私自身、5月に「高い」と判断した局面でも、積立だけは一度も止めませんでした。結果として、それが正解でした。
③ 現金を抱えたまま、動けない方
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
弾は、持っていていいと思います。
一般的な「タイミングを計るな」という話は、たいてい「だから全額入れろ」で終わります。私はそこまで言いません。現金を持っておく安心感には、数字に出ない価値があります。
ただし、条件を1つ付けます。
「いくらになったら撃つのか」を、今日、書き出してください。
「もっと下がったら」ではなく、具体的な数字です。日経で何円か。S&P500で何ポイントか。私の場合、米国債は表面5.7%と決めて公表しています。
数字を書けない場合、それは待っているのではなくただ決めていないだけです。決めていない弾は、暴落が来ても撃てません。私はコロナショックで買えましたが、それは度胸があったからではなく、撃つ条件と資金を先に分けてあったからです。
私が持っているものと、私がおすすめするもの
| 私(投資歴18年) | これから始める方へ |
|---|---|
| VOO・QQQ(米ドル建てETF) | eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) |
| eMAXIS Slim S&P500・オルカン(少額) | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
「今日、自動設定する」ところまでが手順です
口座開設と入金には数日かかります。「下がったら始めよう」と思っている間に下がると、たいてい間に合いません。私の主軸はSBI証券ですが、用途で使い分けています。米国株や外国債券まわりまで見るならマネックス証券、少額から始めたい方や電話で相談したい方には松井証券が向いています。どこで買っても、同じ指数なら中身は同じです。続けられる場所を選んでください。
よくある不安 Q&A
Q1. やっぱり暴落を待ってから始めたほうがよくないですか
暴落は必ず来ます。問題は「いつ」が分からないことです。
そして待っている間も市場は動きます。ようやく暴落が来たとき、その水準が自分が待ち始めたときより高いということが普通に起きます。私の5月がまさにそれで、11.58%上がってから下がったとしても、59,513円までは戻りません。
Q2. 一括で入れるのと、積み立てるのと、どちらがいいですか
シュワブの検証では「年初にすぐ買う」が2位、「毎月に分ける」が3位でした。数字の上では、すぐ買うほうがわずかに有利です。
ただし差は小さく、どちらも「待つ」より圧倒的に上です。続けやすいほうを選んでかまいません。毎月の積立は、続けやすさという点で優れています。
Q3. 円安なので、円高になってから買うべきでは
これも「いつ」の問題です。円高がいつ来るかは、株価と同じく分かりません。
なお、円建ての投資信託(オルカンやeMAXIS Slim S&P500)を積み立てている場合、為替の影響は毎月ならされていきます。為替のタイミングを別途計る必要はありません。
Q4. 「5年後に10%超のマイナスはない」は、今後も続きますか
分かりません。過去75年の記録がそうだった、というだけです。
だからこそ、この記事は「絶対に大丈夫」ではなく「タイミングを当てようとするほうが確実に損をしやすい」という書き方をしています。確実なのは後者です。
まとめ
- 最高の投資タイミングは存在します。ただし分かるのは後からです。私は5月に材料を3つ並べて「高い」と判断し、日経はそこから11.58%上がりました。根拠が雑だったからではなく、まともな材料を揃えても外れます
- 最高値は珍しくありません。1950年以降の75年で1,325回、取引日の約7%です。しかも最高値の日に買った人のリターンは、それ以外の日に買った人とほぼ同じか、わずかに上でした
- 毎年いちばん高い日に買い続けた人(112,292ドル)ですら、待ち続けた人(43,948ドル)の約2.6倍でした。タイミングを外すコストより、待つコストのほうが高くつきます
- 「あなたにも当てられる」と言う人を疑ってください。本当に再現性があるなら、教えるより自分で回すほうが桁違いに増えます
- 積立の弾は日付で決めず、スポットの弾は価格で決める。「いつ」を当てるのが予想で、「いくらなら買う」はルールです。弾は持っていていい。ただし数字を先に書いてください
相場は、これからも高く見えたり安く見えたりします。そのたびに「今か、まだか」を考える人と、決めた設計を続ける人がいます。
20年後に差がついているのは、当てた人と外した人ではありません。市場にいた人と、待っていた人です。
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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。株価・利回り・為替は執筆時点(2026年8月28日終値)のもので、変動します。過去の実績は将来の成果を保証しません。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
