金は米国ETFで買わない|信託報酬が安いGLDMより、投資歴19年の私がサクっと純金を選ぶ理由【2026年10月】

セーラー服姿の月城ミオが定規を手に、机に並んだ3つの箱と硬貨を前にしている マーケット・相場分析
安い方より、出口までの手順が少ない方

2026年5月13日公開/2026年10月19日更新(基準価額は2026年10月16日時点、騰落率は2026年9月30日時点)

金を持つなら、信託報酬が安い米国ETFのGLDMより、私は国内の投資信託「サクっと純金」を選びます。

コストの差は、100万円を1年持って838円です。安いのはGLDMのほうです。それでも安い方を選ばない理由は、持っている間ではなく、売るときにあります。

この記事は、2026年5月に書いた同じ記事を、10月の数字で書き直したものです。5月の版で挙げた理由のうち、今は使わないものが2つあります。それも、なぜ外したかと一緒に書きます。

シリーズ「投資歴19年の私が買わない理由」の5本目です。金がこれから上がるか下がるかは、この記事では当てません。比べるのは、金を入れる「器」だけです。

先に結論:差は年838円。私は「出口までの手順が少ない方」を選ぶ

  1. 金を持つ器は3つ:現物(純金積立や地金)、国内の投資信託(サクっと純金など)、米国ETF(GLDMなど)
  2. 持っている間のコストだけなら、GLDMが一番安い:年0.10%。サクっと純金は年0.1838%。100万円なら年1,000円と年1,838円です
  3. それでもサクっと純金を選ぶ理由は2つ:①売ったお金が円で返ってくる ②円の金額で、100円から積み立てられる

判断の分かれ目は、1つの問いで決まります。その金を売ったお金、円で使いますか。ドルで使いますか。

動画でも解説しています

この記事の内容を、10分ほどの動画にまとめました。通勤や家事の「ながら聴き」にどうぞ。

動画版:金は米国ETFで買わない(シリーズ「投資歴19年の私が買わない理由」⑤)

5月の版から変えたこと

5月の版では、GLDMを選ばない理由を3つ書きました。「円建てで完結したい」「100円から積み立てたい」「税金がシンプル」です。そして、GLDMには「金と為替の二重リスク」がある、とも書きました。

読み返して、2つは理由として弱いと分かりました。

  • 「為替の二重リスク」は外しました。サクっと純金も「為替ヘッジなし」です。円安になれば上がり、円高になれば下がるのは、GLDMを円で見たときと同じです。為替で差がつくわけではありません。7月のGLDMのデメリット3つでも、この点は訂正しています
  • 「税金が一段複雑」も外しました。GLDMを特定口座(源泉徴収あり)で売れば、証券会社が円に直して計算し、税金を差し引いてくれます。確定申告は要りません

もう1つ、5月の版には「円安方向の力は当面続く」と書いていました。私は9月から、為替の方向は予測しないと決めています。この一文も消しました。

残ったのは「円で完結する」と「100円から積み立てられる」の2つです。この記事では、この2つがいくらの差なのかを、10月の数字で測り直します。

金を持つ3つの器を並べる

金に投資する方法は、大きく3つあります。

  • 現物:金地金(インゴット)を買う、または純金積立で少しずつ金を貯める方法です。引き出せば本物の金が手元に来ます
  • 国内の投資信託:代表がサクっと純金です。正式名は「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」。SBIアセットマネジメントが運用し、中身は世界最大の資産運用会社ブラックロックの金ETC(金の現物を裏付けにした上場商品)です
  • 米国ETF:代表がGLDMです。米国の運用会社ステート・ストリートの「SPDRゴールド・ミニシェアーズ」で、米国の取引所に上場しています
項目 現物(純金積立・地金) サクっと純金(国内投資信託) GLDM(米国ETF)
持っている間のコスト年会費・買付手数料・売買の価格差(会社による)年0.1838%程度年0.10%
いくらから買えるか純金積立は月数千円から100円から(円の金額で)1株単位(10月16日で約13,000円)
NISA成長投資枠✕ 使えない◯ 対象証券会社の画面で確認(買えると案内している会社がある)
売ったお金の通貨円円ドル(円に戻す一手間)
売ったときの税金譲渡所得(年50万円の特別控除あり・原則申告)特定口座なら申告不要/NISAなら非課税特定口座なら申告不要
金を持つ3つの器(2026年10月16日時点・各社の公表資料から筆者作成)。GLDMの1株は終値82.46ドル×1ドル157.99円で計算

現物には、本物の金が手元に来るという、ほかの2つにない良さがあります。ただ、売ったときの税金は給料などと合算する「譲渡所得」になり、原則として自分で申告します。現物の出口は金の売却に税金はいくらかかるかに書いたので、ここでは投資信託とETFの2つに絞ります。

持っている間のコスト差は、100万円で年838円

まず、GLDMが安いという事実から確認します。

100万円を1年持ったときのコスト サクっと純金 1,838円 GLDM 1,000円 差は年838円 信託報酬0.1838%と経費率0.10%から計算。値動きは含みません
筆者計算。金額が10倍なら差も10倍です

差は年838円です。10年持てば約8,400円になります。小さくはありません。コストは大事です。ただし、それはほかの条件が同じときの話です。ここからは、ほかの条件が同じではない部分を見ていきます。

それでも安い方を選ばない理由①:売ったお金が円で返ってくる

サクっと純金を売ると、お金は円で証券口座に戻ります。そのまま生活費にも、ほかの投資信託にも使えます。

GLDMを売ると、お金はドルで戻ります。円で使うなら、もう1回「ドルを円に替える」操作が要ります。

サクっと純金を売る 売る → 円で戻る(終わり) GLDMを売る 売る → ドルで戻る → 円に替える いつ・いくらで・手数料 円で使うなら、GLDMは判断が1つ多くなります
売るときの流れ(筆者作成)

手数料は、証券会社で0円から約1,600円まで分かれる

ドルを円に替える為替手数料は、証券会社によって違います。9月に証券8社を並べて調べたときは、こうでした。

  • SBI証券・松井証券:ドルを円に戻す手数料は0銭
  • マネックス証券:1ドルあたり25銭

100万円分のGLDM(約6,300ドル)を売って、マネックス証券で円に戻すと、手数料は約1,580円です。1年分のコスト差838円の、ほぼ2年分になります。SBI証券なら0円です。

つまり、お金の差は、使う証券会社次第で消えることもあります。消えないのは、「いつ円に替えるか」を自分で決める手間のほうです。

ドルのまま置くと、円に戻す日にもう一度損益が出る

売ったドルを「今は円高だから、円安になるまで待とう」と口座に置いておくこともできます。ただ、ドルのまま置いた期間の為替の損益は、円に戻すときに別の所得として計算されます。

私は7月に、配当で受け取った500ドルを円に替えたとき、銀行の画面が「利益25,689円」と表示したのに、実際の為替差益はその25分の1ほどだった経験をしました。その話は配当500ドルを円転したら、利益が「幽霊」だったに書いています。ドルのまま置く判断が、あとで計算を1つ増やします。

ドルで使う予定がある人、ドルのまま持ち続けたい人にとっては、これは手間ではありません。GLDMは、ドルで使う人には合理的な器です。私は円で使うので、出口まで円で完結する方を選んでいます。

それでも安い方を選ばない理由②:円の金額で、100円から積み立てられる

サクっと純金は、100円から円の金額で買えます。毎月決まった金額を自動で買う「積立」も、円の金額で設定できます。

GLDMは1株単位です。10月16日の終値は82.46ドル、1ドル157.99円で約13,000円でした。たとえば「毎月5,000円ずつ金を増やす」という買い方は、そのままではできません。

金を少しずつ持ちたい会社員にとっては、ここの差のほうが、年838円より大きいと私は考えています。買い方が生活に合わないと、そもそも続かないからです。

NISAは、差の理由にしません

「サクっと純金はNISAで持てるから」という理由も、よく挙げられます。サクっと純金がNISAの成長投資枠の対象なのは確かです(つみたて投資枠は対象外です)。

ただ、GLDMについても、成長投資枠で買えると案内している証券会社があります。もしGLDMをNISAで持てるなら、売ったときの利益はどちらも非課税で、差になりません。

GLDMがNISAで買えるかどうかは、使っている証券会社の注文画面で、口座区分に「NISA(成長投資枠)」が出るかで確かめてください。私の結論は、どちらの場合も変わりません。理由は①と②にあるからです。

サクっと純金の今の数字

項目 2026年5月(前の版) 2026年10月(今回)
基準価額26,697円(5月8日)23,553円(10月16日)
純資産総額約3,571億円(5月7日)約3,310億円(10月16日)
信託報酬年0.1838%程度年0.1838%程度(変わらず)
騰落率―1年+14.40%/3年+131.03%(9月30日時点)
金の店頭価格(1g・税込)26,288円(三菱マテリアル・5月8日)23,667円(田中貴金属・10月16日)
各社の公表資料から筆者作成。店頭価格は5月と10月で出典の会社が違います
サクっと純金の基準価額(月末・2023年10月〜2026年10月16日) 1万円 1.5万 2万 2.5万 3万 2024年 2025年 2026年 最高 29,876円(3月3日) 前の版 26,351円(5月13日) 23,553円(10月16日)
SBIアセットマネジメント公表の基準価額(月末値)から筆者作成。3月3日の最高値と10月16日の値を加えています

3年で見れば、基準価額は2倍以上になりました。ただ、2026年3月3日の最高値29,876円からは、10月16日時点で約21%下にいます。5月にこの記事を書いた日からも、約11%下がりました。

私の金:現物とサクっと純金の二段構え。サクっと純金は大きな含み損です

ここからは、私自身の話です。

昔、三菱マテリアルで純金積立をしていました。当時の金は1g2,000〜3,000円でした。その金は、途中で手放してしまいました。理由はもう覚えていません。

コロナが流行り始めたころ、三菱マテリアルで最低限の金額から現物の積立を再開しました。今も、少しずつ積み立てています。三菱マテリアルを選んでいるのは、上場していて、財務を自分で確かめられるからです。

そして2025年の秋、現物だけでは積み立ての効率が悪いと感じて、サクっと純金に主力を移しました。NISAの成長投資枠で持っています。

正直に書くと、サクっと純金は今、大きな含み損です。高値の近くで、まとめて買ってしまいました。7月のGLDMのデメリット3つで2割近いマイナスと書いた状態から、まだ抜けていません。

それでも、器の選び方は変えていません。含み損は買った値段の問題で、器の問題ではないからです。GLDMで同じ時期に買っていても、同じように含み損になっていたはずです。

1g18,000円は、狙っているだけです

9月に金1g18,000円で買い増すと先に決めました。純金上場信託(1540)に指値を置き、10月4日の途中経過でも「置いたまま」と書きました。

その指値は、期限が切れて消えました。今は置き直していません。18,000円は、狙っているだけです。10月16日の田中貴金属の店頭価格は1g23,667円で、18,000円はそこから約24%下です。

5月の版で書いた「25,000円・22,000円・20,000円」の3段の押し目の目安は、9月にこの18,000円の1本に置き換えました。

あなたはどの器を選ぶか:売ったお金を円で使うか、ドルで使うか

私の保有と、読者へのおすすめは分けて書きます。

私(Hiro)の保有 読者へのおすすめ
投資信託サクっと純金(NISA成長投資枠・大きな含み損)売ったお金を円で使うなら、まずここ。少額の積立から
現物三菱マテリアルの純金積立(少しずつ)本物の金を持ちたい人だけ。売るときの税金を先に確認
米国ETFGLDMは持ったことがありませんドルで使う、ドルのまま持ち続ける人には合理的
保有とおすすめは別物です。金を資産の何割にするかは、人によって違います(私は目標30%に、とても届いていません)
  • 円で使う人:サクっと純金のような円建ての投資信託が、出口まで手順が少なく済みます
  • ドルで使う人・ドルのまま持ち続ける人:GLDMは年838円安く、合理的な選択です
  • すでに現物を持っている人:現物を売るときは、年50万円の特別控除を使える売り方があります。現物からNISAへ移す順番を参考にしてください

金を持つかどうか自体に迷っている人は、4月の金は危ない資産なのかから読んでみてください。

口座を開くなら、用途で選んで構いません

サクっと純金は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券で買えます。私はSBI証券で持っています。商品はどこで買っても同じなので、使っているクレジットカードの積立と相性の良い口座を選ぶのが現実的です。米国株や海外ETFも触りたいならマネックス証券、電話で相談しながら少額から始めたいなら松井証券という選び方もあります。

マネックス証券の口座開設

▶ マネックス証券の口座開設はこちら(公式)

松井証券の口座開設

▶ 松井証券の投資信託はこちら(公式)

※マネックス証券はドルを円に戻す為替手数料が1ドル25銭です(2026年9月時点)。GLDMなど米国ETFを売って円に戻す予定がある人は、手数料も比べてください。

よくある質問

Q1. GLDMは悪い商品ですか?

いいえ。経費率0.10%は金のETFで最安水準で、中身も優秀です。ドルで使う人には合理的な器です。私が選ばない理由は、円で使う私の出口に合わないからです。

Q2. 為替ヘッジありのサクっと純金を選ぶべきですか?

私は「為替ヘッジなし」を持っています。ヘッジありは円高の影響を抑えられる代わりに、ヘッジのコストがかかり、値動きも円建ての金価格からずれます。どちらが得かは為替の方向で決まるので、私は予測せず、金の値動きをそのまま受け取るほうを選んでいます。

Q3. 含み損なのに、なぜ売らないのですか?

金は、株が大きく下がったときの保険として持っています。保険は、使う場面が来る前に手放すと意味がありません。含み損は私が高値でまとめて買ったせいで、器を変えても消えないからです。

まとめ:安い方より、出口までの手順が少ない方

  • 金を持つ器は、現物・国内の投資信託・米国ETFの3つ。持っている間のコストはGLDMが一番安く、サクっと純金との差は100万円で年838円です
  • それでも私がサクっと純金を選ぶのは、①売ったお金が円で返ってくる ②円の金額で100円から積み立てられる、の2つの理由からです
  • 5月の版の「為替の二重リスク」「税金が複雑」は、理由から外しました。NISAも差の理由にしていません
  • サクっと純金は、私は大きな含み損です。それでも器は変えません。1g18,000円は、指値ではなく狙っているだけの値段になりました

まずは、ご自分の金について1行だけ書き出してみてください。「売ったお金を、円で使うか、ドルで使うか」。器は、その1行で決まります。

19年前の私に一言だけ伝えるなら、こう言います。持っている間の安さより、売る日の手順で器を選べ。

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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。基準価額・純資産・金価格は2026年10月16日時点、騰落率は2026年9月30日時点の公表資料と筆者計算によるものです。為替手数料は2026年9月時点の筆者調べで、変わることがあります。NISAの対象かどうかは、ご利用の証券会社でご確認ください。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。