暴落が来たとき、私は3回どう動いたか——リーマン・コロナ・関税ショックの実録

:黒セーラー服に赤リボンの月城ミオが、リーマン・コロナ・関税ショックの3回の暴落と回復を描いた折れ線チャートの前に静かに立っている。規律ある長期投資家の冷静な雰囲気. 投資戦略・制度

暴落のニュースが流れた瞬間、私たちは「いま、何をすべきか」を考えます。けれど、私が3回の暴落を経験して気づいたのは、その場の判断は思ったほど自分の自由にはならない、という事実でした。

2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック、そして2025年の関税ショック。私が下した行動は3回ともまったく違いました。違いを生んだのは、性格でも知識でもなく、前の暴落のあとに自分が何を準備していたかでした。

2008年リーマンショック——動けなかった私が、唯一決めたこと

当時、私は個別株を少しだけ保有していました。すでに含み損を抱えており、リーマン破綻のニュースが流れた頃には、すでに評価額はマイナスです。

結論から書くと、暴落の最中、私は何もできませんでした。売る勇気もなく、買い増す資金もなく、ただ画面を眺めていました。

S&P500(アメリカの代表500社で構成される株価指数)は、2007年10月の高値から2009年3月の底値まで約57%下落します。底値からピーク水準を回復するまでには5年5ヶ月かかりました。

不思議だったのは、自分の感覚でした。怖さよりも、「こんなに安くなっているのに、誰も買わないのか」という違和感の方が強かったのです。ニュースは恐怖一色、知人は全員逃げ腰、それでも私は冷静でした。

けれど、何もできなかった。資金がなかったからです。

その日、私は1つだけ決めました。「次に来る暴落のために、資金を貯めておこう」。これが、リーマンから持ち帰った唯一のものでした。

12年の準備期間——ルールを破らなかった理由

そこから12年、私は淡々と入金を続けます。途中、「この資金を別の用途に回そうか」と思う場面もありましたが、ルールを破りませんでした。

続けられた理由は単純で、リーマンで動けなかった感覚をもう一度味わいたくなかったからです。あの「冷静なのに、何もできない自分」が悔しかった。だから、次は必ず動けるようにしておきたかった。

市場に勝とうとしたわけではありません。むしろ「市場に負けない側に回る」だけのために、ルールを固定しました。

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プロでさえ市場平均に勝てない理由がわかると、余計な売買を繰り返していた自分がいかに無駄なことをしていたか気づかされます。

インデックス投資をただの「妥協策」だと思っていた人ほど、読み終わったあとに考え方がガラッと変わるはずです。

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2020年コロナショック——VOOとQQQを、迷わず買えた

2020年2月、コロナの感染拡大が世界に広がり、S&P500は1ヶ月で約34%下落しました。世界中の投資家がパニックに陥った1ヶ月間です。

このとき、私は迷いませんでした。迷う必要がなかった、という方が正確です。12年前の自分が、すでに準備を済ませてくれていたからです。

買ったのはVOO(バンガード社のS&P500 ETF)とQQQ(NASDAQ100のETF、米国ハイテク中心)でした。役割を明確に分けて、VOOは「守り」、QQQは「攻め」と位置づけ、VOOの方を気持ち多めにしました。

QQQを抑えた理由は、攻めに寄せすぎると、買った後さらに下げたときに自分自身が動揺しやすくなると思ったからです。コントラリアン体質(下落時に冷静になりやすい性格)でも、買い増した後にさらに減れば不安は出ます。だから、自分が壊れない比率でVOOに寄せました。

正直に書くと、本当の底値では拾えませんでした。少し反転を確認してから、まとめて買いました。買付できる時間が短かったので、分散はあきらめて一括で入りました。

S&P500はその後わずか6ヶ月で高値を回復します。リーマンの5年5ヶ月とは段違いの速さでした。

この経験は別記事「皆がマスクを買っていた時、私は株を買った」と、銘柄選定の根拠を整理した「VOO|バンガードS&P500 ETF、ドル建てで買う理由」で詳しく書いています。

2025年関税ショック——なぜ私は動かなかったか

2025年4月、トランプ政権の関税発表で市場は急落しました。4月3日と4日の2日間でS&P500は約10%下げ、過去最大級の2日連続下落となります。最大下落幅はピークから約19%でした。

それでも、私はほとんど動きませんでした。「資金がなかった」のではなく、「動く必要がない」と判断したからです。

理由はシンプルで、関税は政治判断の産物だと考えていたからです。誰かの一言で局面が戻りうる。事実、4月9日にはトランプが90日延期を発表し、相場は急反発しました。

リーマンやコロナのような構造的なショックではない、というのが当時の私の読みでした。いまも関税自体は続いていますが、市場は概ね消化済みです。

本音を1つだけ書くと、「もう少し下げてほしい」という気持ちはあります。これは煽りではなく、純粋にもっと安く買いたいというコントラリアン体質の声です。詳しい1年後の総括は「トランプ関税ショックから1年、積立継続者が得た真の教訓」にまとめています。

暴落対応は「前の暴落での準備」で決まる

3回の暴落を時系列で並べると、自分でも驚くほど動きが違います。けれど、違いを生んだのはその場の判断ではなく、前の暴落のあとに何を準備していたかでした。

暴落 下落率 回復期間 私の対応
リーマン(2008) 約-57% 約5年5ヶ月 何もできず → 準備を決意
コロナ(2020) 約-34% 約6ヶ月 VOO・QQQをまとめ買い
関税(2025) 約-19% 数ヶ月 動かない判断
3回の暴落と私の対応(出典:S&P500の高値・底値はWikipedia・各種市場データより筆者集計)

下落率と回復期間を並べて見ると、暴落のスケールにかなりの開きがあるのが分かります。

S&P500: Drawdown vs Recovery Period Lehman 2008 -57% / 65 mo. COVID 2020 -34% / 6 mo. Tariff 2025 -19% / a few mo. Bar length = drawdown depth (%) Label after bar = recovery period to previous peak
3回の暴落の下落率と回復期間の比較。リーマンは別格、コロナは速く、関税は浅く短い(出典:S&P500市場データより筆者集計)

2008年に動けなかった私が2020年に動けたのは、12年間ルールを守って資金を貯めていたからです。2020年に買えていたから、2025年は焦らずに「動かない」を選べました。

つまり、いま起きている暴落で何をするかは、もう半分以上、過去の自分が決めています。今日の入金額・現金比率・買う銘柄ルールが、5年後・10年後の暴落であなたを動かしてくれます。

まとめ

  • 暴落への対応は「その場の判断」ではなく「前の暴落での準備」で決まります。
  • リーマンで動けなかった経験が、コロナで迷わずVOO・QQQを買えた起点になりました。
  • 関税ショックのような一時的・政治要因の暴落では、動かない判断もまた「準備の使い方」になります。

まずは、次の暴落のために「動かさない暴落用資金」を月の入金ルールに1行加えることから始めてみてください。金額の大きさよりも、ラベルを貼って動かさないルールを持つほうが、5年後の自分を助けます。

暴落のニュースは怖いものではなく、12年前の自分からの贈り物を受け取る瞬間です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(GLDM)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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