GLDMのデメリット3つ——0.10%の最安金ETFを、投資歴18年の私が買わなかった理由【2割の含み損も公開】

黒いセーラー服の月城ミオが、下向きに転じた金価格チャートと金塊を背に、落ち着いた表情で正面を見ている。GLDMのデメリットを数字で解剖する記事のアイキャッチ画像。 マーケット・相場分析

暴落に備えるために買ったはずの金で、私はいま数十万円の含み損を抱えています。取得単価はおよそ2万8千円台、いまの基準価額はおよそ2万3千円台。率にして2割近いマイナスです。

買った当時、高値だという感覚はありました。それでも「まだ上がる」と思って買いました。読み違えです。

この記事は、そういう人間が書くGLDMの解剖です。私はGLDMを持っていません。調べた上で、買わないことを選びました。その理由を、3つのデメリットとして数字で並べます。

結論:GLDMは優れた商品です。ただし日本の個人には合いません

先に結論を書きます。

  • GLDMという商品自体に欠点はほとんどありません。経費率0.10%は金ETFの中で最安水準、純資産も約300億ドルあり、金の現物に裏付けられています
  • 問題は商品ではなく、日本に住む個人が使うときの摩擦です。ドル建てであること、少額の定期購入がしにくいこと、そして最安のはずのコスト差が実務の手間で簡単に消えること
  • 同じ金を持つなら、円建ての投資信託を定期購入するほうが素直です。私はSBI証券で「サクっと純金」を買っています

そして最後に、いちばん大事なことを書きます。買うタイミングは読めません。2割近い含み損を抱えている私が、その実物の証拠です。だからこそ、一度に買わず、定期購入で少しずつ買うことを勧めます。

GLDMとは何か

GLDM(SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト)は、米国の運用会社ステート・ストリート系列が運用する、金の現物に裏付けられたETF(証券取引所に上場していて株式のように売買できる投資信託)です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。

数字で見ると、かなり優秀な商品です。

項目GLDM
経費率年0.10%(2022年2月に引き下げ)
純資産総額約300億ドル
裏付け金の現物
上場市場ニューヨーク証券取引所
株価79.45ドル(2026年7月17日終値)
分配金なし

経費率0.10%は、同じ運用会社の兄貴分にあたるGLD(純資産はさらに大きい老舗の金ETF)より安く、金ETFの中でも最安の部類です。分配金を出さないため、米国で配当に課される10%の源泉徴収も基本的に発生しません。

つまり商品としては文句のつけようがありません。この記事は「GLDMは危ない」という話ではありません。そこは最初にはっきりさせておきます。

デメリット①:ドル建てという壁

GLDMを買うには、まず円をドルに換え、外国株式の口座で注文を出す必要があります。

ここで誤解されがちな点を先に潰しておきます。「ドル建てだから為替リスクがある」という指摘は、実は的外れです。円建ての金投資信託であっても、為替ヘッジなしの商品であれば為替の影響は同じように受けます。金はもともとドルで値段がつく資産だからです。私が持っているサクっと純金も為替ヘッジなしなので、そこは同条件です。

本当の差は、リスクではなく手間です。

  • 円をドルに換える操作が要る(為替手数料は証券会社によって差があり、条件次第で無料の場合もあります)
  • 外国株式の口座を開き、注文画面の使い方を覚える必要がある
  • 資産額がドル表示になるため、円でいくらなのかを自分で換算しながら管理することになる
  • 確定申告が必要になる場合、外貨建ての取引は計算がひと手間増える

ひとつひとつは小さな摩擦です。ただ、投資を始めたばかりの人にとって、この摩擦は「今日はやめておこう」と手が止まる理由になります。続けられない仕組みは、コストが安くても意味がありません。

デメリット②:定期購入がしにくい

これが、私がGLDMを選ばなかった最大の理由です。

GLDMは株式と同じように「1株いくら」で売買します。2026年7月17日の終値は79.45ドル。1株からは買えますが、金額を指定して「毎月1万円ずつ」という買い方は、円建ての投資信託ほど自由にできません。投資信託なら100円単位の金額指定で、毎月自動で積み立てる設定が数分で終わります。

ここに、この記事でいちばん皮肉な構造があります。

タイミングが読めない人ほど、定期購入で買うべきです。
ところがGLDMは、その定期購入がいちばんやりにくい。

そして「タイミングが読めない人」の実例が、この記事を書いている私です。次の章でその答え合わせをします。

デメリット③:0.10%の安さは、決め手になりません

GLDMを勧める記事は、たいてい「経費率0.10%が最安」を推します。では実際、円建て投信と比べていくら違うのか。数字で見ます。

GLDMサクっと純金
年間コスト0.10%0.1838%(実質)
0.0838%
100万円あたりの年間差額838円

100万円を1年間持って、差は838円です。月にすると70円ほど。

私はコストにうるさいほうです。信託報酬は年0.2%が限界、できれば0.1%以下という基準を持っています。その私が言いますが、この838円は、ドル転の手間や管理の煩雑さと引き換えにするには小さすぎます。為替の交換で少し不利なレートを踏んだら、それだけで消える金額です。

コストは大事です。ただしコストが大事なのは、それ以外の条件が同じときだけです。

NISAで買えるかどうかが、はっきりしない

もうひとつ、初心者にとって地味に重い問題があります。

円建ての「サクっと純金」は、新NISAの成長投資枠の対象だと公式に明記されています(つみたて投資枠は対象外です)。調べる必要すらありません。

一方でGLDMは、私が調べた範囲では情報が錯綜していました。「成長投資枠で買える」とする解説もあれば、「対象外」とする記述もあります。米国に上場しているETFがNISAで買えるかどうかは、証券会社ごとの取り扱いと時期によって変わるためです。国内籍の商品を対象とする協会の一覧にも載りません。

実は私自身、2026年3月にこの記事の旧版を書いたとき「NISAは使えない」と判断して書いています。いま同じことを断定はしません。買う前に、自分が使う証券会社の注文画面で確認してください。

これは以前、証券会社の行政処分について書いたときにも触れた話ですが、NISAの対象かどうかは制度で決まるもので、画面の表示が最終保証ではありません。最後は自分で確かめる。それが原則です。

そして「自分で確かめないと分からない」という状態そのものが、初心者にとってのコストです。

そもそも、中身は同じ金です

ここまでGLDMのデメリットを3つ挙げました。では代わりに何を買うのか。私が持っているサクっと純金と並べます。

項目GLDMサクっと純金
正式名称SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラストSBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)
形態米国上場ETF国内の投資信託
買う通貨ドル
連動対象金価格LBMA金価格指数(※1)
裏付け金の現物金の現物(※2)
年間コスト0.10%0.1838%
新NISA要確認成長投資枠の対象
金額指定の積立しにくいできる

※1 LBMA金価格は、ロンドン貴金属市場協会が1日2回決める金の国際的な基準価格です。世界中の取引がこの値段を目安にしています。

※2 サクっと純金は、ブラックロック社(世界最大の資産運用会社)が運用する「iシェアーズ・フィジカル・ゴールドETC」という商品に投資する形をとっています。ETCは、金や原油などの商品(コモディティ)の値動きに連動させるために発行される、上場された証券のことです。運用会社はGLDMとは別ですが、最終的に裏付けているのは同じ金の現物です。

ここは正確に書いておきます。「サクっと純金の中身がGLDMだ」というのは誤りです。別の会社の別の商品です。ただ、投資家が最終的に手にしている値動きは、どちらも金そのものの値動きです。

同じものを手に入れるのに、片方はドルに換えて外国株の口座で買い、片方は円のまま毎月自動で積み立てられる。それなら後者でいい、というのが私の結論です。

同じ金にたどり着くまでの道のり GLDM(米国上場ETF) 円を用意 日本円 ドルに両替 手数料・手間 外国株口座で買う 1株単位 サクっと純金(国内投資信託) 円を用意 日本円 両替は不要 円のまま買う 100円から積立可 同じ「金の現物」 値動きはどちらも金そのもの ※運用会社は別(GLDM=ステート・ストリート系/サクっと純金=ブラックロックの金現物商品に投資)

答え合わせ:私は自分の記事を2つ読み違えていました

ここからが、この記事でいちばん書きたかったことです。

2026年3月、私はこの記事の旧版でこう書いていました。

私は野村證券の口座を使っている。そして、この商品(サクっと純金)は野村證券では買えない。(中略)実際に自分が買える商品の中で最適解を探す必要がある。

そして「だからGLDMを選ぶ」と結論づけました。

読み違いの1つめ。そもそも私にとって野村證券は、勤務先の持株会の関係で持っている口座です。それ以外は遊びの範囲でしか使っていません。主力の口座は最初からSBI証券でした。主力口座では、サクっと純金は普通に買えたのです。「買えないから代わりを探す」という前提そのものが間違っていました。自分の持ち物を、自分で正しく把握できていなかったということです。

ついでに、はっきり書いておきます。私は野村證券を勧めません。手数料がネット証券と比べて高いからです。私が口座を持っているのは持株会という事情があるからで、投資の主戦場として選んだわけではありません。同じ商品を買うなら、手数料の安いところで買うべきです。

実際、その後の私はGLDMを買っていません。SBI証券でサクっと純金を買いました。

読み違いの2つめ。そこで一度に買ったことです。

買った時点で「高値だな」という感覚はありました。それでも上がると思って買いました。結果は冒頭のとおり、買値がおよそ2万8千円台、いまがおよそ2万3千円台。2割近いマイナスです。

2026年の金は、年初につけた最高値からドル建てで4〜6月に3割弱調整しました。6月下旬には7カ月ぶりに一時4,000ドルを割っています。円建てでは円安が緩衝材になって歴史的な高値圏を保っていますが、それでも私の買値には届いていません。

暴落に備えるために買った資産で、暴落前に含み損を作った。格好はつきません。ただ、これを隠して「金は守りの資産です」とだけ書いても、読む人の役には立たないと思っています。

では、どう買えばよかったのか

同じ期間を、一度に買った場合と、毎月分けて買った場合で比べます。

私の実際の買値から現在の水準まで、およそ2割下がっていく10か月を想定し、毎月同じ金額ずつ買っていたらどうなったかを計算しました。

買い方平均取得単価損益率100万円が
一度にまとめて(私の実際)約2万8千円台約−18%約82万円
毎月同じ金額ずつ10回約2万6千円台約−9%約91万円
下がっていく相場で100万円を投じたら 買値からおよそ2割下がった10か月を想定 100万円 0 約82万円 約−18% 一度にまとめて (私が実際にやったこと) 約91万円 約−9% 毎月10回に分けて (定期購入) 差 約8万円 ※下落局面の例です。上昇局面では一度にまとめて買ったほうが有利になります

差はおよそ8万円。下がっていく相場では、分けて買ったほうが平均の買値が下がるため、傷が浅くなります。

ここは正直に書きます。これは下落局面の話です。上昇局面なら、一度にまとめて買ったほうが有利になります。定期購入は「勝つための方法」ではありません。

定期購入の値打ちは別のところにあります。読み違えたときの傷を浅くしてくれることです。そして私たちは、読み違えます。投資歴18年の私が、この記事の旧版で2つ読み違えたように。

だから私の答えはこうなります。安くなったら買えばいい。ただしタイミングは読めないので、定期購入で少しずつ買っていく。

「金を30%持て」と、実際に積める額は違う

金の記事では「資産の10%を金に」「いや30%は必要だ」といった比率の議論をよく見ます。私自身、目標は現物と投資信託を合わせて30%に置いています。

ですが、実際のところ3割にはまるで届いていません。

理由は単純で、資金が足りないからです。いま私が積み増したいものは3つあります。まだ埋め切れていないオルカン(全世界株式)、同じく埋め切れていないS&P500、そして金です。

そのための原資は、要らない物を売ったり、月々の支出を切り詰めたりして作っています。それでもまだ足りません。

比率の理想を語るのは簡単です。ただ、新NISAの枠を埋めること自体が、多くの人にとって簡単ではありません。年間360万円という枠は、平均年収の75%にあたる金額です。金に30%を回せる人は、その階段のさらに上にいます。

だからこの記事の勧め方は「30%持ちましょう」ではありません。少額でいいので、定期購入の設定を1本入れておく。それだけです。積める額は人によって違いますが、積む仕組みを持っているかどうかは、金額に関係なく今日決められます。

現物という選択肢について(私は持っていますが、勧めません)

私は投資信託とは別に、現物の金も持っています。二段構えです。具体的には三菱マテリアルの純金積立で、こちらも毎月少しずつ買っています。まとめて地金を買ったわけではありません。

つまり私は、投資信託でも現物でも、やっていることは同じです。少しずつ、定期的に買う。買うタイミングを当てにいかない、という一点だけは揃えています。

現物の強みは、制度の外側にあることです。証券口座も運用会社も介さず、金そのものとして存在する。金融システムそのものが揺らぐ場面を想定するなら、これに勝るものはありません。

それでも読者の方には、あまり勧めていません。理由は3つあります。

  • 買う値段と売る値段に差(スプレッド)があり、これが実質的な手数料になります
  • 売却して利益が出たときの税金の扱いが、投資信託と違います(給与などと合算する総合課税になります)
  • 保管や受け取りの管理を、最終的には自分で引き受けることになります

金に触れるのが初めてなら、まず円建ての投資信託で十分です。仕組みがシンプルで、NISAも使えます。現物は、資産が育って「制度の外側にも置いておきたい」と思うようになってから考えれば間に合います。

私が現物を持っているのは、そう思うようになったからであって、最初の一歩として勧めているわけではありません。保有していることと、勧めることは別です。

私の実装と、読者の方への推奨は違います

混同されると困るので、並べて書いておきます。

役割私(Hiro)の実装読者向けの実装(例)
金(投資信託)サクっと純金(SBI証券・2割の含み損を保有継続)サクっと純金など、円建て・低コストの金投信を少額で
金(現物)三菱マテリアルの純金積立推奨しません(まずは投資信託で十分)
米国の金ETF保有していません推奨しません(ドル転の手間に見合いません)
目標比率現物と合わせて30%(未達・積み増し中)比率より先に、少額でも積立の設定を1本

私は投資歴18年で、ドル建ての資産を直接持つことにも慣れています。これから始める方が同じ形を真似る必要はありません。大事なのは商品でも比率でもなく、買うタイミングを当てにいかない仕組みを持つことです。

まとめ

  • GLDMは優れた商品です。経費率0.10%、純資産約300億ドル、金現物の裏付け。商品を疑う必要はありません
  • デメリットは3つ。①ドル建てゆえの手間 ②金額指定の定期購入がしにくい ③0.10%の安さは100万円で年838円にすぎず、手間で簡単に相殺される
  • NISAの扱いは自分で確認してください。円建て投信は成長投資枠の対象と明記されていますが、GLDMは情報が錯綜しています
  • 中身はどちらも同じ金です。ならば円のまま積み立てられるほうが素直です
  • タイミングは読めません。私は2割近いマイナスです。だから定期購入で少しずつ買う。下がったら、売るのではなく買い増します

金は、増やすための資産ではありません。他の資産が崩れたときに、一緒に崩れないでいてくれる資産です。だから含み損が出ていても、私は売りません。むしろ、もっと下がってくれたほうが買い増せます。

動画でも解説しています

この記事の内容を、約10分の動画にまとめました。GLDMの数字、私が読み違えた2つのこと、一括購入と分割購入の差まで、順を追って話しています。作業中の「ながら聞き」でも内容が分かるように作ってあります。

🎥 GLDMのデメリット3つ|最安の金ETFを、投資歴18年の私が買わなかった理由【2割の含み損も公開】

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ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理【電子書籍】(バートン・マルキール著)
市場を出し抜こうとせず、幅広く持って待つ。この記事で書いた「タイミングは読めない」を、半世紀分のデータで裏づけてくれる一冊です。私が金でやった読み違いも、この本の言う「予測はできない」の実例にすぎません。

口座の開設先(用途で使い分け)

金の投資信託を含め、これから口座を用意する方向けに、私が用途で使い分けている証券会社を置いておきます。米国株・海外ETFならマネックス証券、サポート重視なら松井証券という使い分けです。私の主軸はSBI証券ですが、用途で選んで問題ありません。

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免責事項:本記事は筆者個人の経験と分析に基づく情報提供であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。記事中の数値は2026年7月時点のものであり、市況等の変化により情報が古くなる可能性があります。NISAの対象商品や各証券会社の取扱いは変更される場合がありますので、購入前に必ずご自身でご確認ください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(サクっと純金)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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