2026年11月1日公開・数字は2026年10月31日時点(指数は報道の日付を付けています)
中国株が弱気相場に入りました。でも私は、中国株の投資信託を買いません。もう持っているからです。
中国の代表的な株価指数、CSI300が、2026年10月22日に6月の高値から20.2%下がりました。20%下がると「弱気相場」と呼ばれます。
このニュースを見て、私が最初に気になったのは「買い時かどうか」ではありませんでした。自分のオルカンが、どれくらい下がるのかでした。
計算すると、答えは約0.5%でした。この記事では、その計算と、中国株を足さない理由を数字で書きます。中国株の下落を「チャンス」とも「終わり」とも言いません。売買を勧める記事でもありません。
用語 オルカン=eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。世界の株およそ2,400社を、会社の大きさ(時価総額)の割合で持つ投資信託です。CSI300=上海と深センの市場に上場する大型株300社の指数。弱気相場=高値から20%以上下がった状態を指す、市場の慣用的な呼び方です。
先に結論:中国株を足さない3つの理由
- オルカンを持っていれば、中国株はもう入っている。指数の会社の基準で約2.4%(2026年9月30日時点)
- 中国が20%下がっても、オルカン全体への影響は約0.5%。実際、同じ4か月でオルカンと同じ指数のETFは−0.1%だった
- 足すのも、外すのも、「中国の割合を自分で決める」ことになる。国の割合は市場に決めてもらう
中国株に何が起きたのか
ロイターの配信によると、CSI300は2026年10月22日の終値が4,036.30でした。6月22日につけた終値の高値から20.2%の下落で、2025年7月以来の安値です。その後も下げは止まらず、10月30日の終値は3,985.50でした(年初からは−13.9%)。
報道で挙がっている下落の理由は、主に4つです。
- AI関連株の成長と、株価の高さへの疑い
- アジア全体でハイテク株が売られたこと
- 7〜9月の景気が予想より強く、政府の追加の景気対策への期待がしぼんだこと
- 海外の信託にかかる所得の課税が強まり、創業者が税金を払うために持ち株を売っていること
数字も大きく出ています。ロイターは、CSI300が12週連続で下がった(2005年の指数の算出開始以来、最も長い)と伝えました。ハイテク企業が多い上海の科創板の指数(STAR50)は、7月の高値から4か月足らずで約40%下がり、時価総額で約4,800億ドルが消えたとされています。
政府系の資金(「国家隊」と呼ばれます)も動いたと見られています。ブルームバーグによると、国家隊がよく使う9本のETFに、10月26日までの1週間で約1,287億元(約190億ドル)が流れ込みました。2025年4月以来の大きさです。ただし、当局は買ったことを公式には認めていません。
一方で、モルガン・スタンレーは10月下旬、香港やアメリカに上場している中国株は、過去の底の水準(予想の利益の約8倍)まで、さらに10〜15%下がる可能性があると指摘しました。
上がると言う人も、まだ下がると言う人もいます。私はどちらの土俵にも乗りません。理由は、次の計算を見てもらえれば分かります。
オルカンの月次レポートに「中国」が出てこない
自分のオルカンへの影響を知るには、まず中国が何%入っているかが要ります。そこで、運用会社(三菱UFJアセットマネジメント)の月次レポート(2026年9月30日現在)を開きました。
「組入上位10ヵ国・地域」の表を見て、少し驚きました。中国がいないのです。
アメリカ63.4%、日本5.2%、台湾3.3%……10位のオーストラリアが1.3%です。中国は、この表の中にいません。
理由は、レポートの小さな注記に書いてありました。新興国の株は「法人登録地」で国を分けている、というのです。中国の大きな会社であるテンセントやアリババは、会社の登記がケイマン諸島にあります。だから、この表では「中国」に数えられません。
オルカンが連動を目指す指数(MSCI ACWI)を作っているMSCIは、テンセントもアリババも中国の会社として数えます。MSCIの資料(2026年9月30日)にある時価総額から計算すると、中国は全体の約2.4%でした。テンセントが約0.33%、アリババが約0.22%です。
つまり、オルカンを持っている人は、レポートの表に出てこなくても、中国株をもう持っています。
中国が20%下がると、オルカンはどれだけ下がるか
割合が分かれば、計算は掛け算1回です。
約2.4% × −20% = 約−0.5%。100万円のオルカンなら、中国の部分は約2万4,000円です。それが20%下がっても、減るのは約4,800円です。
実際の値動きでも確かめました。6月22日から10月22日までの同じ4か月で比べると、こうなります。
CSI300が−20.2%のあいだ、オルカンと同じ指数に連動するETF(ACWI)は−0.1%でした。ほとんど動いていません。
もう一つ分かったことがあります。オルカンの中の中国は、CSI300とは中身が違います。MSCIの中国の指数は、香港やアメリカに上場しているテンセントやアリババが中心です。この指数のETF(MCHI)は、同じ4か月で−7.3%でした。オルカンの中の中国は、ニュースの「−20%」ほどは下がっていません。
これは、7月20日に書いた「半導体株の暴落でも、S&P500は週−1.5%だった」と同じ計算です。あのときは業種、今回は国です。割合 × 下落で、自分への影響は先に出せます。
私は19年間、中国株を一度も買っていない
正直に書きます。私は投資を始めてから19年、中国株の投資信託もETFも個別株も、一度も持ったことがありません。買おうか迷ったことも、一度もありません。
それでも、中国株はずっと持っていました。オルカンの中に、中国の会社の大きさの分だけ入っていたからです。いま私は、VOOやQQQのほかに、オルカンもしっかり持っています。
だから、弱気相場のニュースを見ても、「買うか、売るか」は頭に浮かびませんでした。浮かんだのは「自分のオルカンへの影響はどれくらいか」だけで、計算したら約0.5%でした。それで、この件で私がやることは何もない、と決まりました。
読者がよく取る3つの道
中国株が下がったとき、考えられる道は3つあります。
1つ目:足す(20%下がった今が買い時)
たとえば東証に上場しているETF「上場インデックスファンド中国A株(パンダ)E Fund CSI300」(1322)は、CSI300に連動します。信託報酬は年0.53%(税込、2026年2月27日現在)で、NISAの成長投資枠の対象です。オルカンの信託報酬(年0.05775%)の約9倍です。
これを買い足すと、あなたの持ち物の中の中国の割合は、約2.4%から増えます。何%にするかは、あなたが決めることになります。
2つ目:除く(中国は危ないから外す)
反対に、「中国を外した全世界株」に乗り換える考え方もあります。ただ、日本で買える投資信託では、私が調べた範囲では見つかりませんでした。アメリカには新興国から中国だけを外したETFがありますが、それは新興国だけの商品で、全世界ではありません。
そして、外すのも「中国を0%にする」と自分で決めることです。
3つ目:そのまま(中国の割合は市場が決める)
私はこれです。足すのも外すのも、「中国はこれから上がる」「中国はこれから下がる」という判断を、自分でしていることになります。相場の方向を当てる勝負です。
オルカンなら、中国の会社が回復して大きくなれば、中国の割合も自動で増えます。小さくなれば、自動で減ります。2026年2月末には約2.87%だった中国の割合が、9月末には約2.4%になっていました。私は何もしていませんが、割合はもう市場が調整してくれています。
6月に書いたSpaceXはオルカン・新NISAで買える?と同じ考え方です。指数の中に入るものは、指数で持てばいい。1つの国でも、1つの会社でも同じです。
AIへの期待の反転は、中国で先に出た
今回の下落の理由の1つ目は、AI関連株への疑いでした。STAR50が4か月で約40%下がったのは、AIと半導体の会社が多い指数だからです。
10月27日に書いたAnthropicのIPOの記事でも、同じことを書きました。期待が高すぎる値段で買うと、期待がしぼんだときの下げも大きい、ということです。中国のAI株は、それが一足先に起きた例に見えます。
ただし、私はこれを「アメリカのAI株も次に下がる」という予想には使いません。オルカンの6割強はアメリカです。アメリカのAI株が下がれば、私のオルカンもVOOもQQQも下がります。それを避けるために、何かを売り買いするつもりもありません。
あなたに確かめてほしいこと
最後に、一つだけ問いを置きます。
その中国株の投資信託は、オルカンの中の中国と、何が違いますか?
答えが「中国の割合を自分で決めたい」なら、その判断を毎年続けられるかを考えてみてください。下がったときに足し、上がったときに減らす。それを何年も続けるのは、思ったより大変です。
- オルカンを持っている人:何もしなくて大丈夫です。中国の割合は市場が決めてくれます
- 中国株の投資信託をすでに持っている人:慌てて売る必要はありません。持ち物全体の中で、中国が何%になっているかを一度だけ確かめてください。オルカンの中の約2.4%と比べて、多いか少ないかが分かります
- これから始める人:オルカンを1本買えば、中国も含めて世界の株を持てます
| 私(投資歴19年) | 読者のあなたへ | |
|---|---|---|
| 持っているもの | VOO・QQQ・オルカン。中国株の投資信託・個別株は一度も持っていない | 迷うならオルカン1本で、中国も入っている |
| 今回やったこと | 影響を計算しただけ(約−0.5%)。売買はしていない | 割合 × 下落で、自分への影響を先に出す |
| 中国の割合 | 市場に任せる | 自分で決めるなら、毎年続けられるかを考える |
買い続ける人のための1冊
「下がったから買う」「危ないから売る」と考えそうになったとき、私が思い出すのはこの本の題名です。何を買うかより、買い続けることのほうが大事だと、データで説明しています。
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楽天で見るオルカンを持つなら、口座は1つでいい
私の主軸はSBI証券ですが、松井証券もサブで使っています。ネット証券なので、新NISAでオール・カントリーの投資信託を、手数料をかけずに買えます。中国も、世界のほかの国も、時価総額の分だけ自動で入ります。
動画でも解説しています
この記事の内容を、動画にまとめました。通勤や家事の「ながら聴き」にどうぞ。
まとめ
- CSI300は2026年10月22日に4,036.30。6月22日の高値から−20.2%で弱気相場入り。10月30日は3,985.50
- オルカンの月次レポートの上位10か国に中国は出てこない。新興国株を「法人登録地」で分けるため
- 指数の会社(MSCI)の基準では、中国は約2.4%(9月30日)。オルカンを持っていれば、中国株はもう持っている
- 約2.4% × −20% = 約−0.5%。同じ4か月で、オルカンと同じ指数のETFは−0.1%だった
- 足すのも、除くのも、中国の割合を自分で決めること。私はそのまま、割合は市場に任せる
- 私は19年間、中国株の投資信託も個別株も持ったことがない。それでも、オルカンの中でずっと持っていた
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・NISAで買えないETFの見分け方
※CSI300の数字・下落の理由・12週連続の下落・STAR50の下落はロイターの配信(2026年10月22日・26日・30日)、国家隊のETFへの資金流入はブルームバーグ(10月26日)、モルガン・スタンレーの見通しはサウスチャイナ・モーニング・ポスト(10月下旬)の報道によります。オルカンの国別の比率は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート」(2026年9月30日現在)によります。中国の約2.4%・テンセント・アリババの割合は、MSCIの資料(MSCI ACWI Index・MSCI China Index、2026年9月30日)の時価総額から筆者が計算しました。ACWI・MCHIの騰落率はYahoo Financeのドル建ての終値から筆者が計算したもので、オルカン(円建て)の値動きとは為替の分などが異なります。1322の信託報酬は日本取引所グループの資料(2026年2月27日現在)によります。※本記事は特定の銘柄・国の株式の売買を勧めるものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。本記事にはアクセストレードのリンクが含まれています。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
