2026年上半期の答え合わせ——日経+35%で一番勝ったのは、“何もしなかった人”だった【NISA・オルカン】

2026年上半期に日経+35%でも一番勝ったのは何もしなかった人だと、右肩上がりの緑のチャートを前に落ち着いて解説する月城ミオ インデックス投資

「日経平均が7万円を超えた」というニュースを見て、あなたはどう感じましたか。

今から買い増していいのか。それとも、一度売って様子を見るべきか。
6月には一時3,000円を超える急落もありました。積立を続けている手が、少し止まった人もいるはずです。

2026年の上半期(1月〜6月)が終わりました。ちょうど半年分の答え合わせができる時期です。
誰の成績が一番よかったのか。データで確かめてみました。

結論から言います。一番勝ったのは、「何もしなかった人」でした。

上半期の勝者は、結局「何もしなかった人」だった

まず、上半期に主要な指数と投資信託がどれだけ上がったかを見てください。

ここで言う「何もしなかった人」とは、年始に決めた積立設定をそのまま放置していた人のことです。
ニュースで売買せず、保有を崩さず、価格を眺めておしまいにした人です。

日経平均 +35.8% オルカン +13.9% スリムS&P500 +12.3% S&P500(現地) +9.6% 0%
2026年上半期(1月〜6月末)の騰落率。日経平均は2025年末比、投資信託は基準価額の年始比、S&P500は現地通貨ベース。(出典:各指数・各運用会社の公表値をもとに筆者作成)

数字だけ、先に言い切ります。
日経平均は年始から6月末で35.8%も上がりました。51,832円から70,062円です。

ただし、ここで大事な注意があります。
この「+35.8%」は日本株の指数(日経平均)の話です。あなたのNISAで多い全世界株や米国株の投資信託は、別の数字です。

全世界株の代表であるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンは、上半期で13.9%上がりました。
米国株のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、通称スリムS&P500は12.3%です。

日経平均ほど派手ではありません。
それでも、半年で10%以上です。年始に積立を設定して放置しただけの人が、これを自動で受け取りました。

動いた人は、どこで負けたのか

では、動いた人はどうだったのでしょうか。
上半期に「動きたくなった場面」は、大きく3つありました。そのどれで動いても、負けています。

①「今年の米国株はダメだ」と見限った人

米国のS&P500(米国の代表的な500社に分散する株価指数)は、上半期を通してみれば約9.6%のプラスでした。
ところが、中身はきれいな右肩上がりではありません。

0% 1〜3月 -2.2% 4〜6月 +13.4% 1〜3月に見限った人は、4〜6月の上げを丸ごと逃した
S&P500の四半期別リターン。前半のマイナスで降りると、後半の大きな上昇を取り逃す。(出典:市場データをもとに筆者作成)

1〜3月のS&P500は、2.2%のマイナスでした。
「今年の米国株は元気がないな」「一回、様子を見よう」と感じた人がいてもおかしくありません。

ところが、4〜6月にS&P500は13.4%も上がりました。
前半で降りた人は、この後半の上昇を丸ごと取り逃したことになります。

②6月の急落で、怖くなって売った人

6月8日、日経平均は一時3,000円を超える急落を演じました。終値は64,024円です。
ニュースは「歴史的な下落」という言葉で埋まりました。

ここで「これ以上下がる前に」と売った人は、どうなったか。
そのわずか2週間半後、6月25日に日経平均は72,366円の高値をつけています。

売った瞬間が、半年で一番安く手放すタイミングに近かった。
そして、その後の高値更新を、外から眺めることになりました。

③「7万円は高すぎる」と押し目を待った人

「さすがに高すぎる。少し下がったら買おう」
そう考えて、現金のまま待った人もいます。

皮肉なことに、押し目(一時的な下落)は6月8日に来ました。
けれど、いざ急落が来ると「まだ下がるかも」と怖くなって、結局買えません。

待っているあいだに、上半期の上昇はすべて過ぎ去りました。
「動かなかった」のではなく「動けなかった」結果、+35.8%をゼロで通過したのです。

これは理論ではなく、実際に起きたこと

私は以前、「投資家の行動によって、リターンは年3%も削られる」という研究(アドバイザーズ・アルファ)を記事にしました。
売買のタイミングを外したり、不安で降りたりする「行動のズレ」が、静かにリターンを奪うという話です。

上半期は、まさにその実演でした。
見限った人、売った人、待った人。動いた3タイプが、そろって「何もしなかった人」に負けたのです。

動いた場面 その人の判断 失ったもの
1〜3月の弱さ 米国株を見限って降りた 4〜6月の+13.4%
6月8日の急落 怖くなって売った 2週間半後の高値72,366円
7万円の高値圏 押し目を待った 上半期の上昇+35.8%まるごと
2026年上半期に「動いた人」が失ったもの。(筆者作成)

私の上半期は、「急落したんだっけ?」で終わった

正直に、私自身の上半期を書きます。

この記事を書くために6月8日の急落を振り返ったとき、私の最初の反応は「急落したんだっけ?」でした。
歴史的な下落とニュースが騒いだ日を、私は覚えていなかったのです。

これは自慢ではありません。むしろ、鈍感なだけです。
でも、この鈍感さこそが、上半期に効いた気がしています。

もちろん、何も感じなかったわけではありません。
「あーあ、売っておけばよかった」「取り崩しておけばよかった」と、頭の中では思いました。

けれど、思っただけで、何もしませんでした。
私が上半期にコアの保有と積立設定に対してやったことは、価格を眺めて終わり。それだけです。

ここが、私がずっと大事にしている一線です。
思うのは自由。でも、動かないのが規律。

「売っておけば」と思うこと自体は、止められません。人間だからです。
問題は、その思いに手を動かさせるかどうか。私は、動かしませんでした。

ちなみに、日経平均が7万円をつけた高値圏でも、私は「高すぎる」とは感じませんでした。
むしろ「もっと上がってほしい」と思っていたくらいです。

怖がる読者と、怖がらない私。
この温度差を隠すつもりはありません。ただ、その温度差の正体は、記事の最後で説明します。

動きたくなる誘惑だらけの、半年だった

「何もしない」と言葉で言うのは簡単です。
でも2026年の上半期は、じっとしているのが本当に難しい半年でした。

半導体関連の株が連日のように急騰しました。
6月にはSpaceX(イーロン・マスク氏の宇宙開発企業)が上場し、話題をさらいました。
下半期に入ってすぐ、今度はSKハイニックス(韓国の大手半導体メーカー)が米国市場に上場しています。

毎日のように「乗り遅れるな」という空気が流れていました。
こういう空気こそ、私がむしろ警戒するサインだと考えています。

正直に、私の本音も書いておきます。
最近は、AIもバブルの様相を呈してきたと感じています。

私は、AIが本当に利益を生む仕組みが、いまだにイマイチ理解できません。
誰がどこで儲けているのか、腑に落ちていないのです。

それでも、私の答えは変わりません。
分からないものを、当てにいかない。だから個別の銘柄は追わず、市場全体をまるごと持つだけです。

実は、市場全体を持っていれば、話題の会社の株主にはすでになっています。
この仕組みは、AIブームの利益がどこへ消えているかを追った記事で詳しく書きました。個別を当てにいかない理由の答え合わせでもあります。

「何もしない」は、意志ではなく仕組みにする

ここで、多くの人が誤解しがちな点を1つ。
「何もしない」は、強い意志で我慢することではありません。

意志で我慢しようとすると、急落のたびに消耗します。
そうではなく、「何もしなくても勝手に積み立つ仕組み」を最初に作るのが正解です。

具体的には、証券口座での自動積立の設定です。
毎月決まった日に、決まった額を、自動で買う。一度設定すれば、あなたが忘れていても続きます。

そもそも暴落で人が売ってしまうのは、意志が弱いからではありません。
信用取引や生活費のやりくりなど、「売らされる構造」に自分を置いてしまっていることが多いのです。逆に言えば、その構造さえ避ければ、人は意外と何もせずにいられます。

まだ証券口座を持っていない方のために、私の使い分けも正直に書いておきます。

口座開設の参考に(私の使い分け)

私の主軸はSBI証券ですが、用途によって使い分けています。あくまで私の個人的な使い方であり、「皆さんもこれを買いましょう」という話ではありません。米国株や個別株を触るならマネックス証券、サポートや少額から相談したいなら松井証券が、初心者には向いていると考えています。まずは1つ、自動積立の設定ができる口座を持つところからです。

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下半期も、たぶん答えは同じ

ここまで読んで、こう思った方もいるはずです。
「上半期はたまたま上がっただけ。下半期に暴落したらどうするの?」

もっともな疑問です。だから正直に答えます。
下半期に暴落が来ても、来なくても、私の答えは同じです。何もしません。

なぜそう言い切れるのか。テクニックの問題ではありません。世界観の問題です。

積立を続けられるかどうかは、結局これに尽きます。
「経済は成長していく」「人口は増えていく」という、長い右肩上がりを信じられるかどうか。

この土台を信じていれば、途中の急落は「安く買えるボーナス回」でしかありません。
信じていなければ、少しの下落でも夜眠れなくなります。同じ相場を見ても、見え方が正反対になるのです。

そして、揺さぶりはもう始まっています。
下半期に入った7月7日、日経平均は1,480円安、68,256円まで下げました。
上半期の答え合わせのインクが乾く前に、次の「売りたくなる日」が来ているわけです。

次の急落も、次の高値も、必ずまた来ます。
そのたびに、答えは同じです。

よくある3つの不安に、先に答えておきます

Q. 下半期に暴落が来たら?
私はむしろ買い増しのチャンスと考えています。安く買える機会だからです。売らされる構造さえ避けておけば、暴落は敵ではありません。

Q. もう高値だし、今から始めるのは遅い?
毎月一定額を積み立てる方法(時間分散)に、「遅すぎる」はありません。高い月は少なく、安い月は多く買えます。上半期のデータが示したのは、まさに「始めて放置した人が勝つ」でした。

Q. AIバブルが弾けたら、全部終わりでは?
市場全体を持っていれば、時代遅れになった会社は自動で外され、次の主役が組み入れられていきます。個別を当てにいかないのは、当てなくても入れ替わってくれるからです。

何を積み立てればいいか迷う方は、オルカンとS&P500の両方を買っても分散にならない理由もあわせて読んでみてください。上半期のリターンの差の背景も見えてきます。

関連書籍

投資の「常識」が危ない!怖がり屋さんのための資産形成マニュアル(小倉健一著)。情報に振り回されず冷静に積立を続けたい投資初心者向けの資産形成の本

投資の「常識」が危ない! 怖がり屋さんのための資産形成マニュアル」(小倉健一・2025年)— 情報に振り回されず、冷静に積立を続けたい人向けの一冊です。「何もしない」の根拠を、研究ベースで補強してくれます。

まとめ:上半期が教えてくれたこと

2026年上半期の答え合わせを、3つに絞ります。

  • 一番成績がよかったのは、積立を放置した「何もしなかった人」でした。オルカンで+13.9%、スリムS&P500で+12.3%を、自動で受け取っています。
  • 見限った人・急落で売った人・押し目を待った人は、そろって負けました。動くほど、リターンは削られます。
  • 下半期に暴落が来ても答えは同じです。続ける条件は、テクニックではなく「長い右肩上がりを信じられるか」という世界観です。

まずは、あなたの積立設定を「触らない」と決めるところから始めてみてください。
まだ仕組みがない方は、自動積立ができる口座を1つ用意するだけで十分です。

相場を当てる必要はありません。ただ、動かずに乗り続けるだけです。

▶ この記事を動画でも解説しています(約12分):


最後に:この「動じない規律」を、私はゲームからも教わりました

ここからは、完全な余談です。投資の分析ではありません。

私は「グリザイア」というシリーズのゲームを、すべてプレーしました。絵と文章で物語を読み進めるビジュアルノベル(小説のようなゲーム)で、投資とは何の関係もありません。

ただ、主人公がとても達観していて、その言葉の多くが、この記事で書いた投資の規律とそのまま重なるのです。

たとえば、彼は睡眠を何より大切にします。本文で「信じていないと、少しの下落でも夜眠れなくなる」と書きました。動じない投資とは、結局よく眠るための設計でもあります。

勝っている時こそ、努力を怠るな」という言葉もあります。日経平均が7万円をつけた高値圏で、油断せず淡々と続けることと、同じ心構えです。

他人の精進を笑う奴は、必ず最後に泣く」。地道な積立をばかにしていた人が、上半期に負けた——本文の答え合わせそのものでした。(いずれも、シリーズの主人公・風見雄二の言葉です)

ちなみに彼は「とにかく本を読め」とも繰り返します。先ほど紹介した一冊も、その実践のつもりです。

投資の名著から学ぶのもいいですが、私は達観したこの主人公からも、同じことを教わりました。気になった方は、どうぞ。

グリザイアの果実・迷宮・楽園(Nintendo Switch)グリザイア ファントムトリガー(Nintendo Switch)グリザイア ファントムトリガー 5.5 to 08(Nintendo Switch)

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