スマホの残クレは金利0%なのに、実質年率は最大17.2%でした|同僚に間違った理由を教えた私が各社シミュレーターで検算【2026年8月】

黒いセーラー服の月城ミオが、まったく同じ2台のスマートフォンに付いた大小の値札を見比べている。スマホの残価設定プログラム(残クレ)の実質年率を検証する記事のアイキャッチ画像 節約・節税

会社の同僚から、スマホの買い替えを相談されました。「通信は無制限がいい。でも本体はなるべく安く買いたい」という内容です。

私は即答しました。「メーカーで買ったほうがいいですよ。残クレは割高です」と。

結論は合っていました。でも、私が言った理由は間違っていました

残価設定プログラム、通称「残クレ」の割賦(分割払い)には、手数料が1円も乗っていません。実質年率0%です。私は「分割だから高くつく」と説明しましたが、それは事実ではありませんでした。

この記事では、各社のシミュレーション画面から取った数字だけを使って、残クレの本当のコストを分解します。そして、私のアドバイスが彼の出費を1円も減らしていなかった理由まで書きます。

結論:割高の正体は分割手数料ではありません。そして本丸は通信料です

先に答えを3つ出します。

1つ目。残クレの割賦手数料は本当に0%です。分割にしても一括にしても、キャリア内で払う総額は変わりません。「分割は損」という直感は成立しません。

2つ目。割高さは本体価格に埋め込まれています。同じ端末を Apple Store やメーカーの直販ストアで買った価格と比べると、キャリアは3.4万〜5.1万円高く売っています。この差額を借入コストとみなして換算すると、実質年率9.9〜17.2%に相当します。リボ払い、通称リボの年15%と同じ帯域です。

3つ目。それでも、家計へのダメージが最も大きいのは端末ではありません。4年間の総額で見ると、上乗せの内訳は端末が約12.5%、通信料が約87.5%でした。残クレを疑って調べ始めたのに、犯人の8割以上は毎月の通信プランだったということです。

私が同僚に教えて、間違えたこと

「分割は高くつく」は、数字で否定されました

まず、私が間違えた部分を検算します。ドコモのシミュレーション画面で、Xperia 1 VIII(256GB)を残クレで組んだ場合です。

月8,307円×23回に、残価81,840円を足すと 272,901円 になります。一括払いの価格は272,910円です。差はわずか9円で、端数処理の違いにすぎません。

24か月目に端末を返却しない場合、残価は自動的に24分割されます。このときも手数料は乗りません。47回払い切っても272,901円のままです。

iPhone 17 Pro(256GB)でも確認しました。こちらは月5,767円×23回に残価97,680円を足して 230,321円 です。一括価格は236,940円なので、むしろ残クレのほうが6,619円安く出ました。プログラム適用時に何らかの割引が乗っているようで、提供条件書の範囲では理由まで特定できませんでした。

いずれにせよ、「分割にすると高くなる」という現象はどこにも起きていません。私が同僚に伝えたのは、確かめずに口に出した思い込みでした。

私の助言で、彼の出費は1円も減っていません

ここが、この記事を書いた理由です。

彼はおそらく、私の話を聞いて一括で買うと思います。ですが一括か分割かは、総額に影響しません。つまり私のアドバイスによる節約額は、0円です

本当に効いたはずのレバーは2つありました。どこで買うか(3.4万〜5.1万円の差)と、どの通信プランにするか(4年で約26万円の差)です。

前者は「ドコモで買う」と言われて届きませんでした。後者にいたっては、私は話題にすらしていません。彼が「通信は無制限がいい」と言った時点で、私はそこを疑問に思わなかったのです。

私自身は、残クレを組んで1台も返していません

偉そうに書いていますが、我が家も残クレを使っていました。当時の私は、訳も分からず契約していました。覚えているのは、月々の支払いがただただ高かったことだけです。

2年で乗り換えるつもりなど最初からありませんでした。だから「もったいない」とだけ感じていました。その違和感の正体を、当時は説明できませんでした。

格安SIM(大手キャリア以外の通信サービス)に移すとき、家族の残クレをすべてたたみました。子どものスマホは支払いの途中だったので、残金を一括で払って買い取りました。妻のスマホは48回を払い終えていたので、すでに手元の資産になっていました。

結果として、我が家は残クレを組んで、1台も返却していません。返却を前提にした仕組みを、返却せずに使い切った形です。今もその判断は変えていません。一括で自分のものにしたほうが、精神衛生上いいと考えています。

では、何が割高だったのか

一括価格を並べます。2026年8月時点、いずれも税込です。

販売元 iPhone 17 Pro 256GB Xperia 1 VIII 256GB
メーカー直販 194,800円(Apple Store) 235,400円(ソニーストア)
au 232,800円(+38,000円/+19.5%) 269,800円(+34,400円/+14.6%)
ドコモ 236,940円(+42,140円/+21.6%) 272,910円(+37,510円/+15.9%)
ソフトバンク 246,240円(+51,440円/+26.4%) 274,320円(+38,920円/+16.5%)
同一機種・同一容量の一括価格比較(出典:各社オンラインショップ/Apple Store/ソニーストア・2026年8月時点)

まったく同じ端末が、キャリアで買うと 3.4万〜5.1万円高いという結果になりました。

正直に言うと、私はこの感覚が今でも腑に落ちません。販売店がメーカーの定価より高く売っているという状態が、他の買い物ではあまり思い当たらないからです。当時の私は、これを知りませんでした。

「実質負担額なら安い」が表示していない2つの数字

キャリア側の言い分はこうです。2年後に端末を返却すれば、残価の支払いが免除されます。iPhone 17 Proなら残価97,680円が消え、実質負担は132,641円になります。19万円台の端末が13万円台で2年使える、という説明です。

この説明自体は嘘ではありません。ただし、画面に出てこない数字が2つあります。

1つ目:手放す端末の市場価値

2年落ちの iPhone 17 Pro(256GB)の中古相場は、購入価格の5割前後になると推計できます。おおよそ10万円です。

つまり返却とは、10万円の価値がある資産を引き渡して、9.8万円の免除を受ける取引ということになります。交換レートはむしろ不利です。

2年時点の選択肢を並べると、こうなります。返却して他社へ移る場合は、132,641円に後述のプログラム利用料22,000円を足して 154,641円 を払い、手元には何も残りません。残価を払って買い取り、中古で売る場合は、230,321円を払って約10万円が戻るので、実質 130,321円 です。

差は約2.4万円で、返却するほうが高くつきます。中古相場を9.5万円に置けば約1.9万円、10.5万円に置けば約2.9万円と、前提しだいで幅は動きます。それでも順序は変わりません。

2つ目:プログラム利用料22,000円

返却時に他社へ乗り換えると、最大22,000円の利用料がかかります。同じ会社で買い替えれば免除されます。

この費用は2026年3月5日に新設されたものです。つまり、事実上の転出違約金として機能します。かつて撤廃された「2年縛りの違約金」が、回線ではなく端末側に形を変えて戻ってきた構図ではないでしょうか。

残価の設定にも、機種による格差があります

同じドコモでも、iPhone 17 Proの残価は価格の41.2%です。Xperia 1 VIIIは30.0%しかありません。

Xperiaは2年使って返却しても、19.1万円を払うことになります。ソニーストアで買って2年後に売却した場合の実質コストとほぼ同じで、プログラムを使う意味がほとんど残りません。キャリア自身が「Androidの中古価値は低い」と値付けで認めている、と読むこともできます。

実質年率に換算すると、リボと同じ土俵に立ちます

Appleで194,800円で買える端末を、ドコモでは47回かけて230,321円払うことになります。この差額を借入コストとみなして、内部収益率(投資や借入の実質的な利回りを逆算する計算方法)を求めました。

結果は 年9.9% です。

ただしこの計算は、Appleが2026年7月に価格改定した直後の定価を基準にしています。家電量販店のポイント還元を織り込んだ実勢価格を基準にすると、数字は上がります。

現金で買える額 ドコモ au ソフトバンク
194,800円(Apple定価) 9.9% 9.6% 13.5%
185,000円(量販店還元後) 13.3% 12.6% 16.8%
175,000円 17.2% 16.1% 20.7%
iPhone 17 Pro 256GBの上乗せ分を借入コストとみなした場合の実効年率(筆者試算)。ドコモの列は、実際の支払回数と金額(23回×5,767円+残価97,680円の24分割)から内部収益率を再計算して一致を確認しています。

実勢価格を基準にすれば、年率13〜17%台です。リボ払いの手数料は年15.0〜18.0%が一般的なので、まったく同じ土俵に立っていることになります。

違いは見え方だけです。リボは「手数料 年15.0%」と数字で明示されます。残クレは「実質年率0%」と表示され、コストは本体価格のほうに埋め込まれます。どちらが気づきにくいかは、言うまでもありません

それでも、本丸は通信料でした

ここまで端末の話をしてきましたが、金額のインパクトはこの先のほうがはるかに大きくなります。

Xperia 1 VIII をドコモの無制限プラン「ドコモ MAX」で4年使った場合と、ソニーストアで買って ahamo(アハモ・ドコモのオンライン専用ブランド)で4年使った場合を比べます。

組み合わせ 端末 通信(4年) 4年総額
ドコモ+ドコモ MAX(月8,448円) 272,910円 405,504円 678,414円
ソニーストア+ahamo(月2,970円) 235,400円 142,560円 377,960円
Xperia 1 VIII 256GBを4年使った場合の総額比較(出典:各社公式・2026年8月時点)。ドコモ MAXは各種割引適用後の月額で、基本料金は11,748円です。

差は 300,454円 です。内訳は端末が37,510円、通信が262,944円でした。

4年間の上乗せ 300,454円は、何でできているか 端末の差 37,510円(12.5%) 通信の差 262,944円(87.5%) 残クレを疑って調べたら、犯人の約9割は毎月の通信料でした
4年総額の差300,454円の内訳。棒の長さが金額に比例しています(筆者試算・2026年8月時点の各社料金)。

残クレの3.7万円は確かに割高です。ですが、毎月5,478円ずつ流れ出る通信料の前では小さく見えます。ahamoはドコモ本体と同じ回線を使うので、電波品質を落とさずにこの差だけが消えます。

我が家の実額は、家族3人で月5,150円になりました

私は20年間 au を使い続け、月7,458円を黙って払っていました。今は povo(ポヴォ・auのオンライン専用ブランド)です。

家族3人の内訳は、私が30GBで2,780円、子どもが5GBで1,380円、妻が3GBで990円です。合計 月5,150円 になりました。通話のトッピングを足す月もあるので、実感としては6,000円前後です。

義母は日本通信SIMの「合理的シンプル290」にしました。1GBで 月290円 です。電話とメッセージが中心の使い方なら、これで足ります。

ちなみに、ドコモには長期利用者向けの「長期利用割」があります。10年以上で月110円、20年以上で月220円です。20年通い続けて、年2,640円という計算になります。同じ会社で端末を1台買うだけで4.2万円上乗せされることを思うと、釣り合いが取れているとは考えにくいのではないでしょうか。

まずは1か月、実際の通信量を測ってください

プランを変える前にやることは1つだけです。スマホの設定画面で、先月1か月に実際に使ったデータ量を確認してください。

自宅に光回線があれば、外で使う量は月3〜10GBに収まることが多くなります。「無制限」を選ぶ理由が本当にあるのか、実測してから決めれば十分です。

私が使っている povo と、義母が使っている日本通信SIMは、どちらも当ブログの紹介プログラムの対象外です。そのうえで、他の選択肢も置いておきます。

通信プランの他の選択肢

私の主軸は povo ですが、必要なデータ量・通話の頻度・サポートの手厚さで最適解は変わります。以下は代表的な格安SIMです。私が使っているから勧める、という意味ではありません

HISモバイル 格安SIM 公式サイト mineo 格安SIM 公式サイト LIBMO 格安SIM 公式サイト BB.exciteモバイル 格安SIM 公式サイト

8社を実際に比較した記録は 7,458円→2,780円で年5万円浮く|20年auの投資ブロガーが格安SIM8社を本気で比較した結論 にまとめました。親世代に持たせる場合は 親にスマホを持たせるなら、中古iPhone+月680円で十分だった のほうが実用的です。自宅の光回線も同じ構造だったので、光回線、10Gプランは罠でした も合わせてどうぞ。

何年使うのが正解か——4年で効果の7割が取れます

端末は長く使うほど、月あたりのコストが下がります。本体価格にバッテリー交換代(2年ごとに1回)を足し、手放すときの中古価値を引いて、保有月数で割った試算が次の表です。

保有年数 iPhone 17 Pro Xperia 1 VIII
2年 月3,896円 月6,866円
4年 月3,164円 月4,519円
6年 月2,784円 月3,442円
保有年数別の月あたりコスト(筆者試算)。メーカー直販価格にバッテリー交換代を加え、想定中古価値を差し引いています。中古相場は推計値です。
長く持つほど月あたりは下がるが、効きは4年で鈍る 3,896 6,866 2年 3,164 4,519 4年 2,784 3,442 6年 iPhone 17 Pro Xperia 1 VIII
縦軸は月あたりコスト(円)。棒が短いほど安く済むことを示しています(筆者試算)。

比較として、ドコモの2年返却サイクルは iPhone で月5,527円、Xperia で月7,961円です。他社へ移る場合はプログラム利用料22,000円が乗るので、それぞれ月6,443円・月8,878円まで上がります。6年保有と比べて2.0〜2.6倍という水準です。

ここで注目したいのは、この2年サイクルが安く見えるのは「一生その会社から出ない」ことが条件だという点です。出ようとした瞬間に22,000円が乗ります。

改善幅は、4年目以降で急に鈍ります

月あたりコストは6年目まで下がり続けます。ただし、下がり方が変わります。

iPhone は2年→4年で月732円下がるのに対し、4年→6年では月380円です。Xperia は2年→4年で月2,347円、4年→6年で月1,077円でした。どちらも、2年→4年の区間で全体の約7割が取れています

上限を決めるのは経済性ではなく、セキュリティアップデート(不具合や脆弱性を修正する更新)の提供期間です。Xperia 1 VIII は発売から最大6年・OS更新最大4回と公表されています(終了日は未公表のため、6年なら2032年6月頃という逆算になります)。iPhoneは実績ベースで6〜7年です。

読者向けの現実的な答えは 「4年を基本線、調子が良ければサポート終了まで」 になります。私個人は6年を目安にしていますが、これは私の使い方に合わせた判断であって、そのまま勧めるものではありません。

買い替えの理由を、売り手に決めさせない

残価設定プログラムの本質は、24か月目という期限を先に置くことにあります。目的があるから買い替えるのではなく、期限が来たから買い替える形になります。22,000円の利用料が、その期限に効き目を持たせます。

「実質132,641円」という表示が巧妙なのは、目的の代わりに数字を置けるところです。必要かどうかを考える前に、安いかどうかの土俵に乗せられます。実際には、10万円の資産を無償で引き渡す取引でした。

投資と同じで、金融商品は出口の自由度で評価すべきだと私は考えています。残クレは、返却期限・査定リスク・転出時の利用料・4年間のネットワーク利用制限(分割代金が未払いだと通信を止められる仕組み)と、出口をことごとく縛る設計になっています。

一括で買い切った端末には、この縛りが1つもありません。いつでも売れて、どの回線でも使えて、何年使うかを自分で決められます。私が「精神衛生上いい」と感じているのは、たぶんこの部分です。

買い替えの理由になるもの、ならないもの

成立する理由は3つだけだと考えています。バッテリーの実用的な劣化(ただし交換1.2万〜1.94万円で解決するなら理由になりません)、セキュリティアップデートの終了修理費が残存価値を超える故障です。

成立しないのは、新モデルが出た・キャンペーンが今だけ・2年経った、の3つです。後者はすべて売り手が用意したトリガーではないでしょうか。

打ち手を、削減額の大きい順に並べます

1. 通信プランを実際の使用量に合わせる。まず1か月、設定画面で実測してください。ahamo や povo に変えれば、4年で20万〜26万円変わります。ここが最大のレバーです。

2. 端末はメーカー直販で買う。3.4万〜5.1万円の差になります。分割にしたければ、メーカー側の無金利分割で十分です。

3. 4年以上使う。2年サイクルと比べて、月あたりコストが半分前後まで下がります。

4. 支払い方法では悩まない。一括も分割も同額です。ここに使う思考時間はゼロで構いません。私が同僚に語ってしまったのは、まさにこの「考えなくていい部分」でした。

なお、残クレが合理的になる型が1つだけあります。2年ごとにMNP(携帯番号そのままの乗り換え)を続け、必ず期限内に返却する人です。MNPなら残価が中古相場を上回るケースがあり、制度の歪みを取りにいけます。ただしそれは、査定リスクと手続きの手間を背負って歪みを収穫する作業であって、放っておいて得をする仕組みではありません。

放っておいて得をするのは、キャリアのほうです。

まとめ

  • 残クレの割賦手数料は本当に0%です。分割にしても一括にしても総額は変わらないので、支払い方法で悩む必要はありません。割高さは本体価格のほうに埋め込まれています。
  • メーカー直販との差を借入コストに換算すると、実質年率9.9〜17.2%になります。リボ払いと同じ帯域ですが、「実質年率0%」と表示されるぶん気づきにくくなっています。
  • 4年間の上乗せ30万円のうち、87.5%は通信料でした。端末を疑うより先に、毎月のプランを疑うほうが金額は大きく動きます。

まずは、スマホの設定画面で先月1か月に使ったデータ量を確認してみてください。所要時間は1分です。そこで出た数字が「無制限」を必要としていなければ、4年で20万円以上が手元に残ります。私はその浮いたお金を、そのまま新NISA(少額投資非課税制度)の積立に回しました。

私は同僚に、正しい結論を間違った理由で伝えました。反省すべきは、確かめずに答えたことのほうです。売り手が用意した期限ではなく、自分の必要で買い替えを決める。それだけで、この記事の数字はほとんど自分の側に戻ってきます。

あわせて読みたい

固定費をこれから見直す方へ

浮いたお金の置き場所を決めたい方へ

支払い方法の落とし穴をもっと知りたい方へ

※価格・残価・プログラム条件は2026年8月時点の各社オンラインショップおよびシミュレーターの数字です。改定が頻繁なため、購入時には必ず提供条件書をご確認ください。実質年率の換算は筆者の試算であり、各社が開示する金利ではありません。中古相場は推計値で、実際の買取価格は状態・店舗により変動します。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。