つみたてNISAは結局オルカン1本——SBI証券205本を全部ソートした結論

月城ミオが世界地図と株価チャートを背に、つみたてNISA200本→1本の絞り込み結論を提示するアイキャッチ インデックス投資

「つみたてNISAで投信を1本選んでください」と言われたとき、即答できる人は少ない。SBI証券で買える積立投資枠の銘柄は、インデックス系だけでも200本を超える。だから私は、全部並べてソートしてみた。本記事ではその絞り込みプロセスを段階的に開示し、最終的に「実質6本」、さらに2強の壁を経て「結局オルカン1本」に収束する筋道を、データで示していく。

※本記事は、直近で公開した 信託報酬の本当の意味とつみたてNISAでの選び方 の続編にあたる。信託報酬の理屈を理解した上で、では実際にどの銘柄が残るのか? を実データで詰めた回となる。

205本→186本→23本→20本→6本→1本

結論を先に言ってしまえば、200本以上をソートしても答えは eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) 1本に収束する。逆説的に聞こえるかもしれないが、データを取れば取るほど選択肢は消えていく。これから示すのは、その納得のための地図だ。

絞り込みのフロー

段階条件残った件数
1SBI証券・つみたて投資枠・インデックス全件205本
2信託報酬 0.55%以下(実質効かない)186本
3投資地域=グローバル/北米 + 純資産2,581億円超23本
4トータルリターン3年20%以上(株式100%系のみ)20本
5同一/類似指数を純資産最大で代表化6本
62強の壁(純資産11兆円超)2本
7長期+特にこだわりなし1本(オルカン)

段階1-2:信託報酬は事実上「効かない」

SBI証券の信託報酬フィルタは、最も厳しい設定が「0.55%以下」となっている。数値入力ができない仕様で最初は不便に感じたが、結果的には問題なかった。

「0.55%以下」を選ぶと186本残る。「指定しない」でも186本。つまり、つみたてNISAインデックス枠の母集団は そもそも全部0.55%以下 という設計になっている。これは制度設計の優秀さでもある。1%超のような割高なインデックスは最初から候補に入らない。安心していい部分だ。

段階3:純資産で殴ると、地域差が見える

純資産規模の業界感覚として、以下が一般的な目安になる。

  • 1兆円超:メガクラス。国民的人気銘柄
  • 1,000億円超:大型。「ちゃんと資金が集まっている」最初の安心ライン
  • 100億円超:中型。実質的な運用効率の最低ライン
  • 30億円未満:小型。繰上償還リスクあり、避けるのが無難

そしてここで衝撃的な数字が出てくる。投資地域別の最大純資産を並べると——

投資地域本数最大純資産
グローバル(全世界)111本112,011億円(オルカン)
北米(主に米国)28本111,301億円(eMAXIS Slim S&P500)
日本50本6,498億円(eMAXIS Slim TOPIX)
新興国15本3,684億円

日本株インデックスは、最大でも全世界系の 17分の1以下。これは「日本人だから日本株を」というホームバイアスの誘惑がいかに弱いかを示している。世界中の投資家が買う商品 vs 日本人しか買わない商品の差だ。

そこで本記事では、グローバル+北米のみに絞り、純資産2,581億円以上の23本を主戦場とした。

段階4-5:トータルリターン3年20%でバランス排除、指数で集約

過去3年のリターンが20%未満になっているファンドは、ほぼ全てバランス型(株式に債券・REIT等を混ぜた商品)だった。直近の好景気の上昇を取り切れない構造的な弱点だ。本記事では「攻めるためのつみたてNISA」を前提にするので、バランス型は除外して20本に絞った。

ここから、同じ指数を追っているファンドを純資産最大の1本で代表させる。すると——

最終6本(指数別代表)

#ファンド名追跡指数信託報酬純資産TR3年
1eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)MSCI ACWI0.05775%112,011億円23.51%
2eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)S&P5000.0814%111,301億円24.72%
3楽天・全米株式インデックス・ファンドCRSP US Total Market0.162%24,245億円24.16%
4eMAXIS Slim 先進国株式(除く日本)MSCIコクサイ0.09889%12,429億円23.65%
5iFreeNEXT FANG+インデックスNYSE FANG+0.7755%11,409億円37.41%
6iFreeNEXT NASDAQ100NASDAQ1000.495%2,877億円28.63%

純資産6本比較(Graph 1)

純資産で並べると、オルカンとS&P500の2強が他を圧倒している様子が一目で分かる。

トータルリターン3年比較(Graph 2)

過去3年リターンでは、FANG+(37.41%)が突出している。ただし、これは指数が10銘柄集中で値動きが激しい結果でもある。S&P500/全米/オルカン/先進国は、いずれも23-25%レンジでほぼ均質。

段階6:2強の壁——純資産で殴ると2本しか残らない

S&P500を追跡するファンドは5本ある。全世界(MSCI ACWI / FTSE GAC)を追跡するファンドも5本ある。本来であればその中から「コストが安い」「純資産が大きい」「信託報酬が安い」で選ぶことになる。

ところが、純資産で見ると eMAXIS Slim の2強(オルカン+S&P500)だけが11兆円超。3位のSBI・V・S&P500(2.7兆円)を 4倍 引き離している。信託報酬の安さでも、eMAXIS Slimが最安。「同じ指数なら、純資産+信託報酬の二重で勝っているSlimを選ぶ」のは合理的判断として一意に決まる。

つまり、200本以上を全部調べても、答えは2本に収束する。 情報を取るほど、選択肢が消えていく

あなたはどのタイプ? 6本の選び方フローチャート

とはいえ「2本でいい」と言われても、人によって最適は変わる。下記のフローチャートで、自分に合う1本が見つかる。

  1. Q1:米国だけに集中したいか? 全世界に分散したいか?
    • 米国集中 → Q2へ
    • 全世界 → オルカン(これが最適解)
  2. Q2:S&P500(大型500社)で十分か? 中小型も含めた全米約4,000銘柄が欲しいか?
    • S&P500で十分 → eMAXIS Slim S&P500
    • 中小型も含めて分散 → 楽天・全米株式
  3. Q3:テック特化したいか?
    • NASDAQ100程度の分散 → iFreeNEXT NASDAQ100(ただしコスト注意・後述)
    • 10銘柄集中で攻める → iFreeNEXT FANG+(個別投資の世界)
  4. Q4:オルカンと同じ全世界系で、もっと米国比率を上げたい?
    • オルカンより米国寄り → eMAXIS Slim 先進国株式(除く日本)(米国比率約75%)

米国QQQ vs iFreeNEXT NASDAQ100——なぜS&P500に行き着くか

個人的な話を1つ。私が普段買っているのは「米国QQQ」(信託報酬0.2%)だ。これに対して、つみたて枠で買える「iFreeNEXT NASDAQ100」は 0.495%。倍以上のコスト差がある。

30年積み立てた場合のコストの累積差は、想像以上に大きい。仮に月3.3万円・年利10%・30年で試算すると、信託報酬0.2%と0.495%の差は、最終資産の 3-5%程度(約200-400万円)に達する場合がある。

つまり「テック特化」のコストプレミアムを払う価値があるか、という問いにぶつかる。NASDAQ100の構成銘柄上位を見れば分かるが、Apple/Microsoft/NVIDIA/Amazon/Alphabet/Meta…といった米国大型テック株が中心で、これらは S&P500の上位構成銘柄とほぼ重複 している。

S&P500(信託報酬0.0814%)で同じような企業群を、コスト1/6で買える。これでなお「NASDAQ100をつみたて枠で買う」理由は、私には見えなかった。 米国大型株を持ちたいだけなら、S&P500で十分——これが正直な感想だ。

FANG+はどう扱うか

FANG+(NYSE FANG+指数連動)は、Meta/Apple/Amazon/Netflix/Google等の10銘柄に集中投資する商品だ。過去3年のリターン37.41%は、リスト中ぶっちぎりトップ。ただ、これは 本来「個別株投資」の世界の商品だと考えている。

つみたてNISAは長期積立を前提にした制度。10銘柄集中型を毎月数万円ずつ何十年も積み立てる、というのは制度の本来の使い方ではない。お祭り銘柄として認識しておくのは悪くないが、 主軸には据えないのが私の判断だ。

本記事に含めたのは、「つみたて枠で買える=制度内の選択肢として存在する」ことを開示するため。買うかどうかは、別の判断ロジックに委ねる。

段階7:結論——特にこだわりなければオルカン1本

長期で握り続けるという観点で見ると、オルカンが最適解になる。

  • 信託報酬 0.05775%(国内最安級)
  • 純資産 11兆円超(国民的人気銘柄)
  • トータルリターン3年 23.51%(株式100%系の中央値レンジ)
  • 世界中の株式に約3,000銘柄超で分散
  • 米国比率約60%(全世界の経済重心と同期)

「こだわり」がある人は、6本の中から自分の判断で選べばいい。米国集中が好きならS&P500、テックが好きならFANG+。それでいい。

ただ、特にこだわりがない人——「とにかく長期で増やしたい、考えるのが面倒」という人なら、 オルカン1本でほぼ完成する。逆説的だが、200本以上を調べた結論として、これ以上シンプルな答えはなかった。

まとめ

  • つみたてNISA・SBI証券・インデックス枠の205本は、実質6本に集約できる
  • 2強の壁(純資産11兆円超)を踏まえると、選ばれているのはeMAXIS Slimの2本だけ
  • 長期+こだわりなしなら、最終解はオルカン1本
  • FANG+は積立向きではない(個別投資の世界)、NASDAQ100はコスト面でS&P500に劣る

「迷う」のは、情報が少ないからではなく、絞り込みのフローを持っていないからだ。本記事のフローを通れば、自分の答えに辿り着ける。長期保有を前提にする以上、自分で納得して選んだ1本のほうが、相場が荒れたときに耐えられる。

関連記事:信託報酬の本当の意味とつみたてNISAでの選び方 も併せて読むと、本記事の根拠がより立体的になる。


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【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(GLDM)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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