副業FXはやめとけ?「毎月10%」を10年伸ばすと2万円が18億円になります|投資歴18年の私が触らない理由

副業FXの「毎月10%」を10年伸ばすと2万円が18億円になる計算 投資戦略・制度

探していたわけではありませんでした。noteのおすすめに、流れてきたのです。

「54歳からでも遅くない」「スマホで朝3分」「毎月、資金の10%が増える」。副業としてのFXを勧める投稿でした。

私は投資を18年やっていますが、FXには一度も手を出していません

ただ、頭ごなしに否定する前に、書いてある数字をそのまま計算してみました。この記事では、その計算の結果と、私が触らない理由を書きます。数字はすべて、公開されている情報と算数だけで確かめられるものです。

結論:「増えている」人の収入源を数えると、FXではないことがあります

先に答えを書きます。

「FXで増えています」と発信している人の収入源を数えると、FXの利益ではなく、教材や指導の販売である場合があります

私が読んだ3つの型

個人が特定される書き方はしません。構造だけを取り出します。

  • 実績報告型 — 毎月の収支を公開しながら、末尾で電子書籍と有料の教材へ誘導する
  • 指導型 — 手法そのものを教える個別指導と、参加者コミュニティの募集
  • AI活用型 — 生成AIに相場を分析させて勝っていると報告し、その活用法へ誘導する

3つとも、最後は「稼ぐ方法」を売るところに着地していました。しかもこれは、私が邪推したのではありません。本人が誘導先を明記しています

つまり、その人の収入が増えているのは事実だとしても、増やしているのがFXだとは限らないということです。

「毎月10%」を10年続けると、2万円が18億円になります

いちばん確かめやすいのは、書かれている数字を、そのまま伸ばしてみることです。

元手2万円、月に10%。それだけの計算です

複利で計算します。難しい仮定は何も置きません。

期間 2万円が到達する額
1か月22,000円
1年62,769円
3年618,254円
5年6,089,633円
10年約18億5,418万円
元手2万円・月10%の複利。税金・手数料・引き出しは考えない単純計算です

10年で18億円です。

ちなみに、その投稿に書かれていた実際の月間損益は+1,246円でした。元手2万円に対して月6.23%です。この利回りでも、10年後は約2,822万円になります。

下のグラフは、月10%の複利がどう跳ねるかを示したものです。

月10%の複利は、途中から紙に収まらなくなります 600万 300万 0 1年 6.3万 3年 61.8万 5年 608万 10年 約18億5,418万円 このグラフには収まりません (600万の約309倍)
縦軸は金額です。5年で608万円、10年で約18億5,418万円になり、同じ縮尺では描けません

あなたの数字で確かめてください

元手と月の増加率を入れると、同じ計算ができます。

「毎月◯%増える」を、そのまま伸ばす計算機

主張された月利がそのまま続いた場合に、いくらになるはずかを出します。

※ 税金・手数料・引き出しを考えない単純な複利計算です。実際の運用がこの通りに増えることを示すものではありません。

この計算で分かること

ここで言いたいのは「嘘だ」ということではありません。

言えるのは、こういうことです。主張どおりの利回りは、続いていない。続いていれば、10年で18億円になっているはずだからです。

つまり「毎月10%」は、ある月にそうだった、という話だと考えられます。続く前提で読むと、判断を誤ります。

私は18年間、一度も触っていません

ここからは私自身の話です。

投資は18年やっています。それでも、FXの口座は開いたことすらありません。理由は「損しそうだから」ではありませんでした。

調べていて、いちばん驚いたこと

正直に書くと、私はこの記事を書くまで、こう思っていました。

「FXに現物取引ってあるんだろうか」

答えは、ありません

FXは差金決済(現物のやり取りをせず、売買の差額だけをやり取りする方式)です。買った通貨が手元に届くわけではありません。

これが意味するのは、ひとつだけです。

必ず反対売買で終わる。つまり、持ち続けることができません。

株の現物なら、下がっても持っていられます。

私はコロナショックでVOOを買い増しました。VOO(Vanguard S&P 500 ETF)は、S&P500に連動する米国のETFです。

買い増してから6年、まだ持っています。持っている間、配当も入ってきました。

下がったときに何もしないでいられるのは、持ち続けるという選択肢があるからです。その選択肢が最初からない商品では、私の投資のやり方が成立しません。

FXには、その「持っている間」がありません。

私が触らない理由は、儲からないからではありません

整理すると、こうなります。

項目 株式(現物) FX
受け渡し 現物がある 差金決済=現物がない
持ち続けられるか できる 必ず反対売買で終わる
待っている間の収入 配当 ありません
最悪の場合 ゼロで止まる 原則はロスカット。急変時は不足金が出ることも
税金の扱い 株式どうしで損益通算できる 株式とは損益通算できない
株式の現物とFXの構造の違い(出典:国税庁 No.1521、各社の商品説明)

税金の扱いも別物です。FXは一律20.315%の申告分離課税で、損失の繰越は3年です。株式の利益や配当とは損益通算できません。制度の上でも、別のものとして扱われています。

「ロスカットがあるから安全」ではありません

国内のFXは、個人のレバレッジ(元手の何倍まで取引できるかの倍率)が最大25倍に規制されています。損失が一定水準に達すると強制的に決済されるロスカットもあります。

ですから、原則としては預けた証拠金の範囲で止まる設計です。

ただし、それが間に合わないことがあります。

2019年1月3日、正月で市場参加者が少ない時間帯に、ドル円が5分程度で約4円下落しました。108円台から、一時104.01円です。買いポジションを持っていた多くの人が、強制的に決済されました。

このような場面では、ロスカットが想定価格で執行されず、証拠金を超える不足金が生じることがあります。国内業者の多くは不足金を免除する制度を設けていますが、業者によって扱いは異なります。

株の現物なら、失うのは投じた額までです。この差は小さくありません。

考えなかったから、やらないのではありません

抜け道も考えました。そして自分で否定しました

調べているとき、こんなことを考えました。

2つの口座で同時に買いと売りを持てば、値動きの影響を消せるのではないか。そのうえでスプレッド(買値と売値の差)が縮んだところで決済すれば、差額が取れるのではないか。

結論から言うと、成り立ちません。

そうした価格差は一瞬で埋まります。個人が2つの画面を見て手で操作する速度では、間に合いません。そして往復の取引には、そのたびにスプレッドという実質的なコストがかかります。

自分で思いついて、自分で否定しました。やらないと決めたのは、考えなかったからではありません。

そして、いちばん引っかかったこと

FXは、誰かが得をすれば誰かが損をする仕組みです。為替そのものが利益を生むわけではありません。

株式が長期で増えてきたのは、企業が稼いで配当という現金を出してきたからです。この話は「インデックスはプラスサム」で詳しく書きました。

FXには、その現金の出どころがありません。参加者どうしでお金が移動し、そこにスプレッドという手数料が乗ります。

お金がどこから来るのか 株式(プラスサム) 企業が 稼ぐ 配当という 現金が出る 外から新しいお金が入る FX(ゼロサム+コスト) 参加者A 参加者B スプレッド分が 毎回引かれる 新しいお金は 入らない
株式は企業が稼いだ現金が外から入りますが、FXは参加者の間でお金が動き、取引ごとにコストが引かれます

見分ける3つの質問

誰かの「増えています」を見たとき、私はこの3つを見ます。

質問 見るところ
① その利回りを、10年伸ばすといくらか 非現実的な額になるなら、続かない前提の数字です
② 最後に何を売っているか 教材・指導・コミュニティへの誘導があるか
③ 元手を含む額なのか、含まない額なのか ここが曖昧だと、増えたのか減ったのかが読めません
「増えています」を見たときの3つの確認

③は、実際に判断できませんでした。「累計資産(元手2万円を含む)」という書き方だったからです。

その金額が2万円を上回るのか、下回るのか。読み手には決められません。

上回っていれば増えており、下回っていれば元本割れです。正反対の結論が、同じ一文から読めてしまいます。

検証できないこと自体が、ひとつの情報だと考えています。

ひとつだけ、投資と関係のない注意点

読んだ投稿のひとつに、こういう案内がありました。「Amazonアソシエイトで報酬を得て、その報酬で教材を買う方法もあります」。

これはAmazonアソシエイトの規約違反です。 運営規約は自己注文を明確に禁止しており、本人だけでなく家族・友人・知人が使う商品の注文も対象です。紹介料は支払われず、繰り返すとアカウントが停止されます。

投資の巧拙以前の話として、ここは書いておきます。

では、私は何をしているのか

「FXの代わりにこれを買いましょう」という話をするつもりはありません。

ただ、私が18年やってきたのは、持ち続けられて、待っている間に配当が入るものでした。具体的にはインデックスファンド(日経平均やS&P500など市場全体に自動で分散投資できる金融商品)です。

朝3分でも、スマホでもできます。違うのは、当てにいかないことだけです。

投資信託から始めるなら

私の主軸はSBI証券ですが、用途で使い分けています。以下は口座の候補です。私が使っているというだけで、読者のみなさんに同じ配分を勧めるものではありません。FX口座の開設を勧める記事でもない、という点は明記しておきます。

マネックス証券の口座開設 松井証券の口座開設

よくある不安

FXは絶対に儲からないのですか

そうは書きません。実際に利益を出している人はいます。

ただし、損失を出した人の割合は調査によって大きく幅があります。業界団体のアンケートでは39.7%、別の調査では7割から8割です。

業者別に見た調査では、54%から90%という開きも出ています。単一の確定した数字はありません。

「7割が負ける」という言い方をよく見かけますが、そう断定できる根拠は見つかりませんでした。ここは幅のまま受け取るのが正確です。

私が書けるのは「私は触らない」と「構造はこうなっている」までです。

少額なら大丈夫ですか

金額の問題ではないと考えています。

2万円で月10%を狙う行為と、200万円で月10%を狙う行為は、同じことをしています。少額で成立する方法なら、金額を増やせばそのまま増えるはずですが、そうならないところに理由があります。

AIに分析させれば勝てませんか

ここは、私が毎日AIを使っている立場としてはっきり書きます。

生成AIは、将来の為替レートを予測できません。 学習したデータには時点の区切りがあり、リアルタイムの価格を持っているわけでもありません。

「AIが損切りの位置を決めてくれた」というのは、AIが文章を出力したという意味です。その位置が正しいことを保証するものではありません。

私はAIで記事もツールも作りますが、相場を当てさせたことは一度もありません

まとめ

  • 「増えています」と発信している人の収入源は、FXではなく教材や指導の販売である場合があります
  • 月10%が続けば、2万円は10年で約18億5,418万円になります。そうなっていないなら、その利回りは続いていません。
  • FXは差金決済です。現物を持つという概念がなく、だから持ち続けられず、待っている間の配当も入りません。

もし気になる投稿を見つけたら、上の計算機に月の増加率を入れて、10年まで伸ばしてみてください。それだけで、判断できることがあります。

最後に、正直なことを書きます。

私の身近にも、FXを続けている人がいます。私は、その人に何も言っていません。損をしている確証もないのに口を出すことではないと思うからです。

言えないから、ここに書きました。

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動画でも解説しました(約12分)。この記事の内容を5章に分けて音声で解説しています。複利の計算を、順を追って追いかけられるように作りました。

第1章 流れてきた投稿/第2章 10年伸ばすと18億円/第3章 増えているのはFXではなかった/第4章 私が触らない理由/第5章 私は何も言っていません

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。また、特定の個人・事業者を批判する意図はなく、公開されている情報から読み取れる構造について述べたものです。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(サクっと純金)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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