「全部替えたら100万円」は提案する側の合理性——実家の防犯カメラを、壊れた1台とHDDだけ替えて10万円で直した【投資で毎回起きている構造】

セーラー服姿の月城ミオが小さなドライバーを持ち、壁に並んだ4台の防犯カメラを見ている。3台は緑のランプ、1台だけ赤いランプが点いている 節約・節税
業者の口頭の概算は全部入れ替えて100万円前後。壊れていたのは4台のうち1台だけで、部材約10万円で直りました

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実家の防犯カメラが、1台だけ夜に役に立たなくなりました。

業者に聞いた概算は「全部入れ替えて100万円前後」。見積書ではなく、口頭で聞いた数字です。

結論から書きます。壊れていたのは、4台のうちカメラ1台だけでした。そのカメラと、7年使って寿命が見えていた録画用のハードディスク(HDD)を替えて、部材はカメラ約9万円、HDD約1万円。合計約10万円で直りました(交通費は別)。

差額の90万円は、オルカンに月3万円ずつ積み立てるなら30か月分です。

ただ、この記事は「業者に100万円ぼったくられかけた」という話ではありません。100万円と聞いて、私も最初は高いと思いました。でも、あとで妥当な値段だと気付きました。100万円を出す側にも、10万円で済ませた私の側にも、それぞれの理屈があります。

そして、この「提案する側と払う側で、正しい答えが違う」という形は、投資で毎回起きていることと同じでした。

なお、作業の手順・工具・設定の方法は書きません。書くのは「なぜ100万円の提案が出て、なぜ10万円で済んだのか」の中身です。

結論:100万円と10万円の差は、「どこが壊れているかを見たかどうか」だった

先に、全体を1枚にします。

全部替えたら100万円、壊れた所だけなら10万円 全交換 (口頭の概算) 部材 約48万円 工事・設定・保証 約52万円 (屋内の配線・屋外の取り付け・設定) 合計 約100万円 実際 (部材だけ) カメラ1台 約9万円 + HDD 約1万円 = 約10万円(交通費は別) 差額 約90万円 = オルカン月3万円の積立 30か月分 新NISAのつみたて投資枠(年120万円)の75%にあたります
図1:100万円と10万円の内訳(筆者作成)。全交換の部材はカメラ4台約36万円+レコーダー約12万円で計算

100万円のうち、カメラ4台とレコーダーの部材が約48万円です。残りの約52万円は、配線・取り付け・設定という技能と、保証の値段です。

私が払ったのは、壊れていたカメラ1台と、ついでに替えたHDDの部材代だけでした。作業は自分でやったので、作業費はかかっていません。

何が起きたか:4台のうち、夜に白黒にならない1台

実家の防犯カメラは業務用で、録画用のレコーダー1台にカメラ4台がつながっています。付けてから約7年たちます。

そのうち1台が、夜になっても白黒に切り替わらなくなりました。防犯カメラは、暗くなると白黒に切り替えて暗いところを映します。それが切り替わらず、映像が青っぽくなって、何が映っているのか分からない状態でした。

防犯カメラは、夜に役に立たないのがいちばん困ります。

4台のうち、壊れていたのは1台だけ カメラA 夜に白黒にならない カメラB 正常・そのまま カメラC 正常・そのまま カメラD 正常・そのまま レコーダー 正常・そのまま 中のHDD:7年・ついでに交換 替えたのは、網掛けのカメラ1台と、黄色のHDDだけです
図2:実家の防犯カメラの構成と、替えた場所(筆者作成)

業者の概算は、カメラ4台とレコーダーを丸ごと新しくして100万円前後でした。繰り返しになりますが、見積書ではなく口頭の数字です。

私がやったのは2つだけです。

  • 壊れたカメラ1台の交換(約9万円)
  • 寿命が見えていたHDDの交換(約1万円)

残りの3台とレコーダー本体は正常に動いていたので、触っていません。作業したのは9月の3連休です。

結果、壊れていた1台は昼はカラー、夜は白黒に戻り、録画も回っています。

HDDは「壊れていないのに」替えた

HDDは壊れていませんでした。ただ、7年間ずっと録画を書き込み続けてきた部品です。いつ止まってもおかしくありません。

カメラの交換でレコーダーの設定を触る以上、HDDを替えるなら今がいちばん手間が少ない、と判断しました。壊れてから替えると、その間の録画が残りません。

9月10日にNISAの金融機関変更を書いたときも、「変える理由がある人だけ変えればいい」と書きました。HDDには、変える理由がありました。残りの3台には、ありませんでした。

100万円と聞いて、最初は高いと思った。でも、妥当な値段だった

正直に書きます。100万円と聞いたとき、私は最初、高いと思いました。

でも、あとで妥当な値段だと気付きました。中身を分けると、理由が見えます。

まず、部材だけで計算してみます。今回替えたのと同じカメラは1台約9万円で、4台なら約36万円です。レコーダーを今売られている機種にすると約12万円。部材だけで約48万円になります。

残りの約52万円は何か。これは、次の3つの技能と、保証の値段です。

一から付けるのに要る3つの技能と、私の手持ち 屋内の配線 × 私にはできない 今回は既存の配線が そのまま使えた 屋外の取り付け ○ できた 手持ちの工具だけ レコーダーと カメラの設定 △ 調べながら 電気の知識では足りない 3つそろう人は多くない → だから提案は「全部交換」になりやすい 約52万円は、私が持っていないものの値段でもある
図3:防犯カメラを一から付けるのに要る3つの技能(筆者作成)

防犯カメラを一から付けるには、「屋内の配線」「屋外での機器の取り付け」「レコーダーとカメラの設定」の3つが全部要ります。この3つがそろっている人は、多くありません。

業者は、この3つをまとめて引き受け、そのうえで保証も付けます。古い機器を残せば、どこかがまた壊れたときに「どこが悪いのか」の切り分けからやり直しになり、メーカーのサポートが切れた機種も抱えることになります。全部を新しくすれば、手間が読めて、保証も一本にまとまります。仕事として受ける側にとって、全交換はいちばん自然な提案です。

業者のサイトに出ている相場も調べました。カメラ4台の費用は、おおむね40万〜80万円が中心で、屋外に付けるなら60万〜120万円という目安もありました。100万円前後は、その中では上のほうです。ただ、屋外の工事や古い機器の撤去、保証まで含めた金額なら、高すぎる値段ではありません。

だから私は、あの100万円を「不当」だとは思っていません。提案する側から見て、いちばん合理的な値段だったのだと思います。

私にできたのは、3つのうち1つだけだった

では、なぜ私は10万円で済ませられたのか。

私の仕事は施工管理で、電気の資格も持っています。ただ、今回それで何かが楽になったかというと、そうでもありません。

屋内の配線は、私の技量ではできません。今回できたのは、7年前に付けた配線がそのまま使えたからです。配線からやり直す必要があったら、私も業者に頼んでいました。

レコーダーの設定も、電気の知識だけでは乗り切れませんでした。新しいカメラをレコーダーに登録する。管理者のIDとパスワードを設定し直す。HDDを取り外す準備をして、新しいHDDを使えるようにする。どれも、調べながらやりました。

3つのうち、自分でできたのは屋外での取り付けだけ。設定は調べながらで、屋内の配線は最初からできません。「専門家だからできた」のではありません。今回は、たまたま配線をやり直さなくてよかったから、できたのです。

なお、資格について1つだけ書いておきます。100Vの電源に触る工事は、自宅でも、お金をもらわなくても、電気工事士の資格が要ります(電気工事士法第3条)。また、これを仕事として受けるには、電気工事業の登録と、営業所ごとの「主任電気工事士」が必要です(電気工事業法第3条・第19条)。主任電気工事士になれるのは第一種電気工事士か、第二種を取って3年以上の実務経験がある人で、施工管理の資格ではなれません。

どこまでなら資格なしで触ってよいかは、この記事では書きません。迷ったら業者に頼むのが正解です。

提案する側と払う側、どちらも正しい

ここまでを、表にまとめます。

業者(提案する側) 私(払う側)
最適な選択 全部を新しくする(約100万円) 壊れた所だけ替える(約10万円)
根拠 手間が読める。保証が一本になる。古い機種のサポート切れを抱えない 壊れていたのは1台だけ。残りは動いている
成り立つ条件 払う側が、どこが壊れているかを自分で確かめられない ①どれが壊れているか確かめられる ②残りが正常だと確かめられる ③設定ができる
図4:提案する側と払う側で、正しい答えが違う(筆者作成)

どちらも間違っていません。正しい答えが、立っている場所で違うだけです。

そして大事なのは、表のいちばん下の行です。私の10万円は、3つの条件を満たせたから成り立った答えです。条件を満たせない人にとっては、全交換のほうが正しい選択になります。「業者に頼むのは損」という話ではありません。

7月21日に「客と株主の2つの財布」という記事を書きました。同じ出来事でも、どちらの財布から見るかで、朗報にも凶報にもなる、という話です。業者の100万円も、業者の財布から見れば正しい。私の10万円も、私の財布から見れば正しい。それだけのことです。

投資でも、同じことが毎回起きている

この形は、お金の世界でもそのまま起きています。

防犯カメラ 投資
全部お任せ 全交換(約100万円) ファンドラップ、銀行窓口のNISA、貯蓄型の保険
必要な所だけ 壊れた1台+HDD(約10万円) オルカン1本+個人向け国債
分かれ目 どこが壊れているか確かめられるか 自分に何が要るか確かめられるか
上乗せ分で買っているもの 私が持っていない技能と保証。払うのは1回 商品を選ぶ手間。手数料は毎年かかる
図5:防犯カメラと投資で、同じ形が起きている(筆者作成)。網掛けの行だけ、中身が違います

ファンドラップや、銀行の窓口で勧められるNISA、貯蓄型の保険が売れるのは、自分に何が要るのかを確かめられる人が少ないからです。売る側から見れば、全部をまとめて引き受けるのは自然な提案です。そこは防犯カメラと同じです。

確かめられる人にとっては、オルカン1本と、安全資産の置き場所としての個人向け国債で足ります。

ただ、1か所だけ、防犯カメラとは中身が違います。上乗せ分で何を買っているかです。

防犯カメラの約52万円は、屋内の配線と設定という、私が持っていない技能の値段でした。しかも払うのは1回です。だから私は、あの100万円を妥当だと思えました。

一方、ファンドラップの手数料で買っているのは、商品を選んで配分を決める手間です。その手間は、オルカン1本を選べば1回で終わります。それなのに、手数料は預けている間、毎年かかり続けます。5月にファンドラップの記事で「初心者が手を出してはいけない」と書いたのは、この理由からです。その考えは今も変わっていません。

提案する側の理屈を否定する必要はありません。見るべきなのは、上乗せ分で自分が何を買っているのかと、自分がどちら側に立っているのかの2つです。

4月に「NISAは銀行で買えるけど、私はネット証券を選ぶ」と書いたのも、8月に解約した保険と、残した3つを書いたのも、同じ見方です。全部を捨てたのではなく、1つずつ確かめて、要るものだけを残しました。

壊れた1台を理由に、全部を替えない

6月に「HDVが新NISAから外れる、でも慌てて売ってはいけない」という記事を書きました。良いETFが、制度の都合に巻き込まれただけだった、という話です。

今回も似ています。4台のうち3台は、何の問題もなく動いていました。1台が壊れたことを理由に、動いている3台まで替える必要はありません。ポートフォリオの一部が悪く見えたときに、全部を入れ替えたくなる気持ちと、形は同じです。

9月19日の電気代の記事では、請求書を分解して「自分に動かせる場所」を探しました。今回、動かせる場所は、カメラ1台とHDDでした。

「全部替えましょう」と言われたら、3つだけ聞く

読者のあなたが、業者や金融機関から「全部替えましょう」と言われたときに、確かめてほしいことは3つです。

  1. 壊れているのはどれか。1つずつ確かめたか。
  2. 残りは本当に正常か。
  3. 直すのに要る技能のうち、自分に何があるか。

3つ目で「自分には何もない」と分かったら、全部を任せるのは正しい選択です。そのときは、上乗せ分で何を買っているのかだけ確かめてください。1回払えば終わる技能なのか、毎年払い続ける手間なのか、です。

8月24日のお金を失う7つのサインで、「貯める力と守る力は別物」と書きました。今回の守る力は、防犯カメラそのものではありません。100万円と言われたときに、1回だけ確かめる手間のほうです。

私がやらなかったこと

屋内の配線には触っていません。自分の技量でできないと分かっている所は、業者に頼みます。確かめることと、全部を自分でやることは別です。

もうひとつ:IDとパスワードを控えておく

今回手間取ったことの1つが、レコーダーの管理者のIDとパスワードでした。7年前に付けたときの管理者の情報が、誰にも分からなかったのです。結局、設定し直すことになりました。

新しく決めたIDとパスワードは、控えておく必要があります。証券口座と同じです。6月に証券口座の乗っ取り対策を書きましたが、ログインの情報を自分で管理できていないと、いざというときに手が出せません。

実家の話として

これは、親のお金の話です。

9月8日に、母がフジクラを買った話を書きました。母は母の判断で株を買い、私は買いませんでした。親の判断に口を出さない、という私の立場は、今回も同じです。

ただ、「全部替えましょう」と言われたときに「1回だけ見せて」と言うのは、口を出すこととは違うと思っています。どこが壊れているかを確かめる手間を、こちらが引き受けるということです。確かめた結果、全部替えるべきだと分かったら、そのときは全部替えればいい。今回は、そうではなかったというだけです。

今回使った部材

型番は、ここにだけ書きます。

■ 今回使った部材

カメラ:i-PRO WV-S1536LDN(屋外用ネットワークカメラ・1台)
私は別の通販店で買い、払ったのは約9万円でした(2026年9月)。下のリンク先は楽天市場の店で、91,300円です(2026年9月22時点)。


HDD:WESTERN DIGITAL WD10JFCX(WD Red・2.5インチ・1TB)
私が買ったときは約1万円でした。こちらはリンクを貼りません。アフィリエイトで紹介できる店の価格が、私が買ったときの値段と離れているためです。

■ 参考:一から付けるなら

レコーダー:i-PRO WJ-NU101/1(4チャンネル・1TB)
実家のレコーダーは、この前の世代の機種です。今回は替えていません。全部を新しくするなら必要になる、今売られている機種として載せています。楽天市場の店で119,900円です(2026年9月22時点)。


全交換の部材費は、カメラ約9万円×4台=約36万円と、レコーダー約12万円で、合わせて約48万円です。業者の概算100万円との差の約52万円が、配線・取り付け・設定と保証の値段、という計算になります。

まとめ

  • 実家の防犯カメラ(レコーダー1台+カメラ4台・約7年)のうち、1台が夜に白黒に切り替わらなくなった
  • 業者の口頭の概算は全部入れ替えて100万円前後。見積書はない
  • 壊れていたのはカメラ1台だけ。そのカメラ(約9万円)と、7年使ったHDD(約1万円)を替えて、部材は約10万円で直った(交通費は別)
  • 100万円は、最初は高いと思ったが、妥当な値段だった。部材約48万円のほかの約52万円は、屋内の配線・屋外の取り付け・設定という3つの技能と、保証の値段
  • 私が自分でできたのは3つのうち1つだけ。配線をやり直さずに済んだから、10万円で済んだ
  • 提案する側と払う側で、正しい答えが違うだけ。投資でも同じ形が毎回起きている。ただし、ファンドラップの手数料で買っているのは「1回で終わる手間」で、手数料は毎年かかる。そこが防犯カメラとの違い
  • 「全部替えましょう」と言われたら、①壊れているのはどれか ②残りは正常か ③自分に何の技能があるかを聞く

100万円と言われて、1回だけ確かめる。私がやったのは、それだけです。

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※本記事の内容は2026年9月22日時点の情報です。※業者の「100万円前後」は口頭で聞いた概算で、見積書ではありません。※カメラとHDDの金額は筆者が購入したときのおおよその金額です。楽天市場の価格は2026年9月22時点で、変わることがあります。※全交換の部材費(約48万円)は、楽天市場の同じカメラ4台分とレコーダー1台分の価格から筆者が計算した概算です。※相場は、防犯カメラ業者3社(Safie、アルコム、アクソン)のサイトに掲載された目安によります。※法令の記述は、電気工事士法第3条・第14条、電気工事業の業務の適正化に関する法律第3条・第19条(e-Gov法令検索)によります。個別の工事で資格が要るかどうかは、工事の内容によって変わります。※本記事は作業の手順を説明するものではありません。電気工事は、必要な資格を持つ人か、登録を受けた業者に依頼してください。※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。本記事には楽天アフィリエイトのリンクが含まれています。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(サクっと純金)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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