親にスマホを持たせるなら、中古iPhone+月680円で十分だった——公衆電話が消えた時代の「連絡」と「見守り」【2026年・検討ルポ】

黒いセーラー服の月城ミオが、電話・LINE・地図など大きなアイコンのホーム画面のスマホを手に持つイラスト。背景に公衆電話と「月680円(税込)」の文字。親に持たせる中古iPhoneと格安SIMの検討記事のアイキャッチ。 節約・節税

きっかけは、たった一本の電話がつながらなかったことでした。

妻の母が外出先から家に連絡を取りたかったそうです。ところが、近くに公衆電話が一台も見つからなかった。結局、その日は連絡できずじまいでした。

公衆電話は、もう街から消えかけています。スマートフォン(以下スマホ)は「あれば便利」を通り越して、無いと連絡が取れない生活インフラになりました。

だから私は今、妻の両親にスマホを持たせようと検討しています。まだ導入前です。でも調べ尽くした結論は、はっきりしました。「高いスマホも、大手キャリアも要らない」。中古のiPhoneと月680円の格安SIMで、連絡も見守りも整うのです。この記事は、その検討の記録と提案です。

この記事の内容は、約10分の動画(音声・図解つき)でも解説しています。

なぜ今、親にスマホなのか——公衆電話が消えた

結論から書きます。固定電話だけでは、外出先で連絡が取れません。そして頼みの綱だった公衆電話は、急速に姿を消しています。

総務省の資料によると、国内の公衆電話は2025年3月末で約9万6千台です。前の年から12.9%も減りました。NTT東西は設置基準の緩和を受けて、2031年度までに約3万台まで減らす計画です。ピーク時(1980年代の約93万台)と比べると、9割近くが消える計算になります。

使われ方も激変しました。公衆電話の年間通話回数は、2002年度の約11億8千万回から、2020年度には約3千万回へ。およそ97%減です。「外で公衆電話を探しても見つからない」というのは、もはや珍しい話ではなく、時代の必然なのです。

公衆電話は急速に減っている(設置台数) 2025年 9.6万台 2026年度 6.5万台(計画) 2031年度 3.0万台(計画)
このグラフは公衆電話の設置台数が今後さらに減る計画を示しています(出典:総務省・NTT東西の削減計画)

妻の母とは、私たち夫婦は同居しています。それでも、本人が外に出れば連絡手段はありません。固定電話は家から動けないからです。「家にいる時しかつながらない」電話では、いざという時に困ります。スマホを持ってもらう。答えは一つでした。

結論:中古iPhoneと格安SIMで、月680円

先に着地点を見せます。私が親に持たせようと決めた構成は、次の通りです。

項目 選んだもの 費用の目安
本体 中古のiPhone 13(128GB) 4〜5万円(一度きり)
通信(格安SIM) 日本通信SIM 合理的シンプル290 290円/月(1GB付き)
通話オプション 月70分無料通話 390円/月
毎月の合計 電話とLINE中心の使い方 680円/月
親に持たせる前提で私が選んだ構成(料金は2026年6月時点・日本通信SIM公式)

格安SIM(かくやすシム。大手3社の回線を借りて安く提供する通信サービス)を使えば、月の通信費は680円に収まります。大手キャリアで同じように契約すると、月4千円台から5千円ほどが普通です。

その差は、ひと月で約3,800円。1年で約4万5千円です。中古iPhoneの本体代が、通信費の差額だけでほぼ1年で回収できてしまう計算になります。

毎月のスマホ代(電話中心の使い方の場合) 大手キャリア 約4,500円 日本通信SIM 680円 差額は1年で約4万5千円。中古iPhone代がほぼ回収できます。
このグラフは大手キャリアと格安SIMの月額差を示しています(出典:各社公式・電話中心利用の概算)

「親のスマホは高くつく」というのは思い込みでした。使い方を電話とLINEに絞れば、最新の高い端末も、大手キャリアの分厚い料金も、まったく必要ないのです。

なぜ「中古iPhone」なのか——新品の高い機種は要らない

私が選んだのは、最新のスマホではありません。中古のiPhone 13です。理由は、高齢の親にとっての「使いやすさ」と「長く使える安心」を、最も安く満たせるからです。

顔認証(Face ID)が、いちばんラク

義母は、これが初めてのスマホになります。本人の希望は「指紋より顔認証がいい」とのことでした。そこで、Face ID(顔認証。画面を見るだけでロックが解除される仕組み)に対応した機種から選びました。

暗証番号を覚える必要も、毎回入力する手間もありません。見るだけで開く。この手軽さは、スマホ操作に不安がある人ほど効いてきます。iPhone 13なら、6.1インチの見やすい画面と、長く使える性能(2028年ごろまでOSの更新が見込めます)を両立できます。

「物理ボタン」が欲しいなら分岐がある

一点だけ、知っておくべき分かれ道があります。顔認証と物理ホームボタンは、両方そろった機種が存在しません

物理ボタン(押せば必ず最初の画面に戻る安心感)が欲しいなら、指紋認証のiPhone SE(第3世代)になります。顔認証を優先するなら、ホームボタンの無いiPhone 13です。我が家は顔認証を選びました。ホームボタンが無い不安は、画面に擬似ボタンを出す設定(アシスティブタッチ)でほぼ解消できます。

中古で十分という「買わない」判断

新品の最新iPhoneは、安いモデルでも十数万円します。でも、電話とLINEが主役の使い方に、その性能は要りません。中古のiPhone 13は、状態の良いもので4万円前後から手に入ります。

私はふだん、投資の世界で「リターンを生まない過剰なコストは払わない」という規律を大事にしています。スマホ選びもまったく同じでした。必要のない性能にお金を払うのは、見えない手数料を払うようなものです。中古で必要十分。これが私の結論でした。

中古iPhone(バッテリー交換済みの再生品)

中古や整備済みのiPhoneは、店頭(じゃんぱら等)のほか、ネットでも探せます。下記はいずれもFace ID対応で、バッテリーを新品交換済みの再生品です。私が選んだのは価格と性能のバランスが良いiPhone 13ですが、予算に応じて14・15も選べます。

どうしても新品がいい、楽天経済圏でそろえたいという方は、新品のiPhone 17e(楽天モバイル)という選択肢もあります。

※中古品はバッテリー最大容量85%以上・SIMフリー(またはSIMロック解除済み)を選ぶと安心です。上記の再生品はバッテリー交換済みなので、その点も安心です。

なぜ「日本通信」なのか——電話中心なら最安級・しかも縛りなし

通信会社は、日本通信SIMを選びました。私自身、別の端末で日本通信を使っていて、勝手が分かっているという安心もあります。電話とLINEが中心の使い方には、これがそのまま正解でした。

料金の中身

基本になるのは「合理的シンプル290プラン」です。月290円で1GBのデータが付きます。回線はドコモを借りているので、電波の安心感もあります。高音質の通話(VoLTE)に対応し、通話用の特別なアプリも要りません。LINEのメッセージ程度なら、1GBを使い切ることはまずありません。

通話は、使った分だけ11円(30秒あたり)です。ただ、高齢の親は電話で長く話すこともあります。そこで私は、月70分まで無料になる通話オプション(月390円)を付けることにしました。これで基本料と合わせて月680円。料金が毎月ほぼ一定で読めるので、家計の管理も楽になります。もっと話すなら、5分かけ放題(月390円)や、回数無制限のかけ放題(月1,600円)も選べます。

縛りが無い、という安心

日本通信には、長期契約の縛りも、解約金もありません。合わなければ、いつでも別の会社に移れます。私はこれを、投資で言う「出口の自由度」と呼んでいます。入る時の安さより、いつでも抜けられることのほうが、ずっと大事です。

申し込みは、SIMカードを差す物理SIMでも、本体に直接書き込むeSIM(イーシム。カード無しで使える電子的なSIM)でも選べます。家族がセットアップしてあげるなら、その場で開通できるeSIMが手軽です。スターターパックを使えば、初期の事務手数料を抑えられます。

申し込み前に知っておくこと

一点だけ、つまずきやすい前提があります。日本通信の申し込みは、専用アプリで行い、契約者本人のマイナンバーカード(と、その暗証番号)が必要です。手続きの途中で、iPhoneにマイナンバーカードをかざして読み取る(スキャンする)場面があります。読み取りに対応するのはiPhone XS以降です。支払いは本人名義のクレジットカード(一部のデビットカードも可)になります。

ここで多くの人がつまずくのが、暗証番号です。マイナンバーカードには、カードを作った時に設定した暗証番号が3種類あります。

暗証番号の種類 桁数
署名用電子証明書用暗証番号 6〜16桁の英数字
利用者証明用暗証番号 4桁の数字
券面事項入力補助暗証番号 4桁の数字
マイナンバーカードの暗証番号3種類(出典:日本通信SIM公式・総務省)

この暗証番号を忘れていると、手続きが止まります。もし思い出せない場合は、お住まいの市区町村の窓口や専用アプリで初期化・再設定が必要です。親に持たせる前に、まずカードと暗証番号がそろっているかを確かめておくと安心です。

もう一つ、混同しやすいのが「新しく自分で決める番号」です。申し込みの途中では、アプリを使うためのPINコードなどを自分で設定します。これらは後から必要になり、忘れるとやり直しになることもあります。

厄介なのは、こうした入力画面ではパスワード管理アプリ(私は普段1Passwordという、パスワードを安全に保管するアプリを使っています)の自動入力が効かないことでした。そこで私は、設定した内容を画面のスクリーンショットで画像として残し、PINコードはメモとして控えました。設定した番号は、その場で必ず控える。これが、後で困らないための一番のコツです。なお、画像やメモは人目に触れない安全な場所に保管しておくと、より安心です。

つまり「誰を契約者にするか」を先に決めておくと、手続きがスムーズです。親本人のマイナンバーカードで契約するのか、同居の家族が手伝って進めるのか。我が家は、私が手元で開通まで済ませてから渡すつもりです。なお、マイナンバーカードが要るのは最初の登録時だけで、一度終われば以降は不要です。

なお、ここで紹介したのは「電話とLINE中心」の親世代向けの最小構成です。動画や地図をたくさん使う人には、もっとデータ量の多いプランや別の会社が向いています。データをしっかり使う方は、格安SIM8社を本気で比較した記事のほうを参考にしてください。

他の格安SIMも比べたい方へ

私が選んだのは日本通信ですが、電話中心で安く持てる格安SIMは、他にもあります。下記は、実際に申し込める各社です。料金や容量は、ご家庭の使い方に合わせて選んでください。

BB.exciteモバイル Fitプラン mineo(マイネオ) HIS Mobile ビタッ!プラン LIBMO(リブモ)

「見守り」は、iPhoneだけで完結する

親にスマホを持たせる目的は、連絡だけではありません。もう一つが見守りです。そして、これもiPhoneの標準機能でほぼ完結します。

iPhoneには「探す」という機能があります。家族で位置情報を共有すれば、親が今どこにいるかを、自分のスマホから確認できます。離れて出かけても、無事に目的地に着いたかが分かる。これは大きな安心です。

私は、それに加えてAirTag(エアタグ。鞄や鍵に付ける小さな紛失防止タグ)も用意してあります。鞄に一つ入れておけば、本人がスマホを持たずに出ても、持ち物の場所をたどれます。実は、もう買って準備だけは済ませてあります。あとは、いつ渡すかだけです。

高価な見守り専用サービスを別途契約しなくても、iPhoneとAirTagで「連絡」と「見守り」が一台にまとまる。これも、iPhoneを選んだ大きな理由でした。

渡す前の「ひと仕込み」——電話とLINEだけにする

機種と回線が決まったら、最後は渡す前の準備です。ここをやっておくと、初めてのスマホでも親が迷いません。考え方はシンプルで、使うものだけ残し、それ以外は隠すことです。

具体的には、次のような仕込みをしておきます。難しい設定はありません。

  • 画面を電話とLINEだけにする:使わないアプリは削除、消せないものはホーム画面から取り除きます。
  • 連絡先は家族数件だけ登録:名前は「息子」「孫」など、本人がすぐ分かる呼び方にし、顔写真も付けます。
  • 「よく使う項目」に入れる:名前をタップするだけで電話がかけられます。番号を探す手間が消えます。
  • 文字を大きく・着信音を大きく:見やすさと聞こえやすさを最優先に設定します。
  • 勝手なアプリ追加を止める:設定で、知らないアプリや課金が増えないようにします。

もっとシンプルにしたいなら、iPhoneには「アシスティブアクセス」という超シンプルモードもあります。文字とボタンが大きくなり、表示するアプリを絞り込めます。まずは上の仕込みで試し、物足りなければこのモード、という順番がおすすめです。

本人が自分で操作を覚えたいタイプなら、活字の大きいシニア向けの入門書を一冊そばに置いておくのも手です。『いちばんやさしい 70代からのiPhone 2026年版』(増田由紀 著)のように、電話とLINEから手順に番号を振って解説してくれる本があると、家族が付きっきりにならずに済みます。

これは「投資」の話でもある——固定費という見えない手数料

ここまで読んで、「投資ブログなのに、なぜスマホの話を?」と思った方もいるかもしれません。でも私にとって、これは立派に投資の話なのです。

高い端末、大手キャリアの分厚い料金。これらはリターンを生まないコストです。投資の世界では、運用成績に貢献しない高い信託報酬(投資信託を持っているだけで毎年引かれる手数料)を、私は徹底的に嫌います。毎月の固定費も、まったく同じ「見えない手数料」だと考えています。

大手から格安SIMへ替えるだけで、年に約4万5千円が浮きます。10年なら約46万円です。この差は、何かを我慢して生まれた節約ではありません。同じ「電話がつながる」という結果を、安く買っただけです。浮いたお金は、そのまま投資の燃料になります。

「高いものを買わない」「縛られない」。スマホ選びで私が貫いたこの2つは、そのまま私の投資哲学です。浮いた固定費を新NISA(少額投資非課税制度)でコツコツ積み立てれば、家計の「守り」が、静かに「攻め」へ変わっていきます。証券口座をまだ持っていない方は、ここから始めるのが入口です。

浮いた固定費を「攻め」に回すなら

私の主軸はSBI証券ですが、用途で口座を使い分けています。これから始めるなら、米国株や個別株に強いマネックス証券、サポートが手厚く少額・相談から始めたい人向けの松井証券が定番です(私が使っているから皆さんも、という意味ではありません。ご自身の用途で選んでください)。

マネックス証券の口座開設 松井証券の口座開設

固定費の見直しは、スマホだけではありません。あわせて光回線の乗り換えも見直すと、家計の「守り」がさらに厚くなります。

まとめ:たった一本の電話から始まった見直し

公衆電話が見つからず、一本の電話がつながらなかった。そこから始まった私の検討は、家計全体を見直すきっかけにもなりました。

  • 親のスマホは中古iPhone+格安SIMで十分です。最新の高い端末も大手キャリアも要りません。月680円で連絡と見守りが整います。
  • 顔認証(Face ID)のiPhoneと「探す」機能・AirTagで、連絡と見守りが一台にまとまります。専用サービスの追加契約は要りません。
  • 浮いた固定費は、年に約4万5千円。これは我慢ではなく、同じ結果を安く買う工夫です。そのまま投資の燃料になります。

まずは、ご実家やご両親の電話事情を一度確かめてみてください。「家にいる時しかつながらない」状態なら、見直しのサインです。私はまだ導入の直前ですが、構成はこれで決めました。同じように迷っている方の、検討の地図になればうれしいです。

たった一本の電話を確実につなぐこと。そして、その安心を、いちばん安く手に入れること。それは立派な、家族への投資です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。料金・仕様は2026年6月時点の各社公式情報に基づきます。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(GLDM)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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