「安全資産」を探す問い自体が、罠です。守るべきは資産の種類ではなく、局面に応じて動ける「出口の自由度」です。
6月8日の朝、日経平均が一時3,100円を超えて下げていく板を見ながら、私が最初に思ったのは「やはりな」でした。わかっていたことが、来ただけ。冷静でした。ただその直後、一瞬だけ別の考えがよぎったのも正直に書いておきます。——これは、逃げ遅れか?
数秒考えて、答えは出ました。仕込み時期が来るのなら、悪くない。逃げ遅れたと感じるのは、降りる出口を持っていない人です。買い向かう余力と、降りられる出口を持っているなら、下落は脅威ではなく予定表に変わる。——この感覚の正体を言葉にしたのが、冒頭の一文です。
この記事は、その朝から3日間、私が「安全資産」の扉を一つずつ叩いて回り、全部閉まるのを見届け、最後に紙へ3行のメモを書くまでの記録です。そしてこれは、オルカンを積み立てているあなた自身の話でもあります。読み終えたとき、あなたの手元にも同じ3行——「出口の3行」——が残るように書きました。
先に申し上げておきます。この記事は、ホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合の最悪シナリオの思考実験です。停戦と通航をめぐる交渉は現在も継続しており、これが本線だと言うつもりはありません。ただ、投資歴18年の私は、最悪を一度だけ正面から考えておくと、相場の見出しに動じなくなることを経験で知っています。今日はその思考実験に、お付き合いください。
※用語の整理:ホルムズ海峡はペルシャ湾の出口にある、世界の石油輸送の約20%が通る「海の関所」です。ブレント原油は欧州産原油の国際指標価格。LNGは液化天然ガス。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンは、新NISA(2024年に始まった少額投資非課税制度)で最も人気の全世界株式の投資信託です。
まず事実——6月8日からの3日間で何が起きたか
📊 最新データ(2026年6月11日朝時点)
- 日経平均:6月8日朝に一時3,100円超の下落、2,500円超安で前場を折り返し(終値は前日比2,563円安の64,024円)。6月10日も1,237円安の64,179円と軟調が続く
- 米国株:6月10日(日本時間11日朝引け)もダウ953ドル安(マイナス1.87%)、S&P500がマイナス1.62%、Nasdaq総合がマイナス1.98%と続落。引き金は5月CPI(消費者物価指数)の見出し4.2%=3年ぶりの高水準と、トランプ大統領によるイラン追加攻撃の明言
- ブレント原油:6月8日に前日比プラス4.93%の97.68ドルへ急伸。交渉進展の観測でいったん90ドル台前半に一服したが、6月10日は追加攻撃の示唆を受けプラス1.8%の93.10ドルへ反発
- ドル円:約160円。52週レンジ(142.68円〜160.74円)のほぼ天井。日本の通貨当局は4月28日〜5月27日に730億ドル(約12兆円)超を投じ、2024年以来初の円買い介入を実施。160円は当局の防衛ラインと目される
- ホルムズ海峡:世界の石油輸送の約20%が通過。日本の輸入原油は約90%がここを通る。一方、LNGのホルムズ依存度は約6.3%
- 供給の実体:米エネルギー情報局(EIA)は世界の石油生産が2027年初めまで紛争前の水準に戻らないと試算(6月9日)。国内では製造業の4割が「封鎖が続けば半年以内に事業継続が限界」と回答(レジリア調査・5月実施)
- バークシャー・ハサウェイ:2026年1〜3月期に現金・短期米国債が過去最高の3,974億ドル(うち短期米国債が約3,390億ドル)
- 新NISA:開始1年半で総買付59兆円、普及率24.8%。オルカンの中身は米国株63.9%・新興国10.8%・日本株4.9%
「通れている」という空気の正体——封鎖は非対称です
ここが今回、最も誤解されている点だと私は見ています。ホルムズ海峡は「封鎖された」とも「通れている」とも報じられますが、実態は非対称な封鎖です。
米中央軍(CENTCOM=中東を管轄する米軍の司令部)の措置は、イランの港湾を対象にしたもので、海峡のすべての船舶を閉め出すものではありません。中国・ロシア・一部東南アジアの船は通航している。一方で、米国・EU・日本・韓国の船籍は、妨害や拿捕(だほ=船を強制的に押さえられること)のリスクに晒され続けています。
つまり「一部は通れている」。この構図が、「ホルムズは通航可能だ」という誤った空気を生みます。世界のどこかの船が通れていることと、日本の船が安全に通れることは、まったく別の問題なのにです。
時間軸——悪影響は「秋以降」に来る遅効性リスク
もう一つの事実は時間軸です。日本の石油備蓄は来年春頃までの目処があるとされます。ただし専門メディアの中には、需給の偏りによっては8月にも実質的な枯渇が始まり、コロナ禍を超える経済縮小につながると警告するものもあります。
いずれの見立てでも共通するのは、悪影響が出るのは”今”ではなく、2026年4〜6月期から7〜9月期にかけて顕在化する「遅効性のリスク」だという点です。蛇口を閉められても、タンクにはまだ水が残っている。苦しくなるのは、タンクが痩せてからです。
この時間軸は、すでに数字で裏付けられ始めています。米エネルギー情報局(EIA=米国政府のエネルギー統計機関)は6月9日、世界の石油生産が紛争前の水準に戻るのは2027年初めになるとの見通しを示しました。仮に海峡の通航が今年の夏以降に再開できたとしても、です。そして国内では、製造業の調達担当者500人への調査(サプライチェーン管理のレジリア社が5月に実施)で、4割が「封鎖が続けば、事業の継続は半年以内が限界」と回答しています。すでに67.2%の企業で原材料の調達コストが前年比10%以上上がり、それを価格に転嫁できた企業はわずか4.5%。「今は回っている」の水面下で、カウントダウンは静かに進んでいます。
私は「安全資産」を探しに行った——そして、扉は順番に閉まった
「やはりな」と思えた朝でも、手は探し物を始めるものです。この3日間、私は「安全資産」の扉を一つずつ叩いて回りました。叩いた順に、お見せします。
最初の扉は、株。これは叩く前から閉まっていました。原油高はコスト高と消費減速に直結します。オランダの大手金融グループINGは完全封鎖ならブレント140ドルを警告し、エネルギー専門家のフェレイドゥン・フェシャラキ氏は準封鎖の長期化で150〜200ドルに達しうると警告しています。明確な逆風。ここは避難所ではありません。
二つ目の扉は、債券。「安全資産の王様」のはずでした。ですが原油高はインフレ(物価が上がり続けること)の再燃を意味し、金利が上がれば債券価格は下がります。安全なはずの債券が、物価に殴られる。この扉も閉まりました。
三つ目の扉は、現金——円。日本は原油の9割をホルムズに依存します。輸入物価の急騰は、円の実質的な購買力を内側から削ります。しかもドル円は約160円と、防衛ラインの目前。財布の中の円すら、安心して座れる椅子ではありませんでした。
四つ目の扉は、金(ゴールド)。ここは私の持ち場です。金と原油の相関係数(2つの値動きの連動度。1に近いほど一緒に動く)は長期でおよそ0.85と高く、原油高なら金も上がりそうに見えます。ところが急性の流動性危機では、この相関が外れます(デカップル)。暴落で追証(おいしょう=信用取引の追加保証金)に迫られた投資家が、換金しやすい金から先に売って現金を作るからです。これは他人事ではありません。私はいままさに、金で含み損を抱えています。現在進行形です。金価格はこの局面でも下がり続けている。それでも私が問題ないと思えるのは、もっと下がれば買い増すだけ——そう決めてあり、そのための余力を残してあるからです。つまり金は「逃げ込む扉」ではなく、覚悟して持つ扉。避難所を探す人に、この扉は開きません。
株、債券、円、金。四つの扉が、全部閉まりました。「安全資産はどれか」という問いは、この局面では答えを持ちません。ゆえに、安全とは資産の種類ではなく、「出口の自由度」そのもの——探し物の旅で、最初に拾った結論です。
ただ、扉はあと一枚残っています。米ドル——世界が荒れるとき、最後に皆が駆け込む基軸通貨の扉です。これだけは、簡単には閉まりませんでした。その話の前に、旅の途中で何度も聞こえてきた「楽観」の声を、先に片付けておきます。
旅の途中で聞こえた楽観——「今は回っている」「最後は米国が止める」
日本のメディアの多くは「タンカーは今日も通っている」「ガソリン価格は今のところ落ち着いている」と、“今この瞬間は回っている”ことを伝えます。間違いではありません。ただそのぶん、備蓄が痩せていく秋以降が本番だという時間軸は、どうしても後景に退きます。
市場にはもう一つの楽観があります。「最後は米国が収束させる」——いわば”トランプ砲で収まる”という期待です。しかし報道を丁寧に追うと、イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ大統領の報復自制の要求に表向きは同意するそぶりを見せつつ、個別の攻撃は単独判断で踏み込んでいます。さらに6月10日には、そのトランプ大統領自身が「非常に激しく攻撃する」とイランへの追加攻撃を明言し、米国株の続落と原油の反発を招きました。収束させる側のはずの米国が、拡大の側に振れる日もある。「トランプ砲で収束」という市場の期待は、構造的にアテにできないのです。これは特定の政治家への批判ではなく、同盟国であっても利害が完全には一致しない、という構造の話です。
最後の扉、米ドル——バークシャーの帳簿で見たのは「待つ権利」だった
正直に言えば、私も一度こう考えました。「何が安全かなんて、わからない。でも、バークシャーが勝ち続けているのなら、米ドルを持つのが安全ではないか」と。
半分は正解で、半分は間違いでした。バークシャー・ハサウェイ(ウォーレン・バフェット氏が育てた米国の投資持株会社)の中身をよく見ると、彼らが積んでいるのは「ドルという資産」ではなかったからです。
同社は2026年1〜3月期に、現金と短期米国債をあわせて過去最高の3,974億ドル——日本円でおよそ60兆円——まで積み上げました。うち約3,390億ドルがT-bill(満期1年以内の米短期国債)です。バフェット氏の後を継いだグレッグ・アベルCEOの最初の四半期でも、株を買う以上に売り、現金を積み増した。
なぜ満期の長い債券ではなく、1年以内の短期なのか。理由は値付けにあります。いまの米国債は、満期を10年に延ばしても利回りの上乗せが年0.6%ほどしかありません(歴史的な平均はおよそ1〜1.5%)。インフレが再燃すれば価格が大きく沈む長期債のリスクに対して、対価が半分以下しか払われていない。だから彼らは、価格がほとんど動かない短期に留まる。割に合わない賭けには、利回りがついていても乗らない——それだけのことです。
これは「弱気」とは少し違います。現金とは、「次の局面で、好きなものを、好きな値段で買える権利」=待つ権利です。事実、バークシャーは過去の暴落のたびに、皆が投げ売る底で淡々と買い向かってきました。彼らは資産の種類に賭けているのではなく、出口と入口の自由度に賭けている。私はそう読んでいます。
つまり「米ドルという資産が安全」なのではありません。いつでも降りられる・いつでも乗り換えられる状態こそが安全——「何が安全か」という私の問いは、ここで答えに変わりました。守るべきは資産の種類ではなく、出口の自由度です。
帰り道で、鏡に気づいた——「ドルへの避難」は、日本中がもうやっていた
ここからが、この記事でいちばん伝えたい話です。私がこの構図に気づいたきっかけは、データではありません。投資に興味のなかった人まで、「オルカン」という言葉を口にし始めたことです。職場で、雑談で、それまで相場の話など一度もしなかった人から、その四文字を聞く。ああ、裾野の端まで広がったのだ——そう感じた時、頭の中で警報が小さく鳴りました。相場の世界では昔から、市場に縁のない人まで同じ銘柄を語り始めた時が、偏りの極みだとされてきたからです。
数字で確かめると、警報は裏付けられました。新NISAは開始1年半で総買付59兆円、普及率24.8%——国民のおよそ4人に1人——に達しています。その中心がオルカンです。「全世界に分散しているから安心」。そう感じている方は多いと思います。
ですが中身を見てください。オルカンの構成は米国株63.9%、新興国10.8%、日本株はわずか4.9%。実態は「ほぼ外貨建て、その6割超がドル建て」です。つまり日本の家計がオルカンを積み立てるという行為は、毎月の積立日に、全国で一斉に、機械的に、円を売ってドルを買う行為にほかなりません。
私はこれを「オルカン砲」と呼んでいます。国民総ドル買い。構造的な円売り圧力です。円安(約160円)の背景には、この”見えない片張り”がある。そして誰も、それを「52週レンジの天井である160円での、為替の集中ベット」だとは意識していません。ただ「積立は正義」と思っているだけです。
誤解しないでください。オルカンの積立そのものは、今も合理的な選択です。私は積立をやめろとは一度も言いません。問題は積立ではなく、「全員が同じ方向を向いている」ことに無自覚なまま、出口を考えていないことです。
国民の円売り59兆円 vs 政府の円買い12兆円——同じ国の、右手と左手
この記事で一番見てほしいのが、この一枚です。国民は新NISA経由で累計59兆円を買い付け——その大半は実質的な円売り・外貨買いです——、同じとき政府は730億ドル(約12兆円)超を投じてドルを売り、円を買い支えました。同じ国の中で、右手と左手が真逆を引き合っている。しかも、国民に円売りの積立を促した新NISAという制度を設計したのは、政府自身です。介入の弾(外貨準備)は有限ですから、円買いは構造を変える力ではなく時間稼ぎです。だからこそ、最後に自分を守るのは制度でも介入でもなく、自分で設計した出口だと私は考えています。
そして相場の鉄則です。参加者が一方向に偏った取引(crowded trade=混んだ取引)は、いつか必ず巻き戻す。行き過ぎた片張りほど、巻き戻しは急になる。全員がドルを買い切った後に来るのは、買い手の不在——つまり円高方向への逆回転です。ホルムズ危機が収束したとき、あるいは日米の金利差が縮み始めたとき、160円の片張りは静かに逆を向く。そのとき、米国資産の円換算評価額は音もなく目減りします。
115円の私と、160円のあなた——違うのは「混み具合」だけ
私は「絶望は買い」を信条にしてきた逆張り(コントラリアン)の長期投資家です。コロナショックでは下落の中でVOO(バンガード社のS&P500連動ETF)を買い増しました。その私の立場を、正直に開示します。
私は1ドル115円の時代にドルを仕込んだ側です。コロナの頃でした。これは円安に動く——そう読んだ私は、急いで、ありったけの資金をドル資産につぎ込みました。当時、円安に賭ける人はまだ少数派で、周りに同じことをしている人はほとんどいませんでした。
ここが大事なところです。当時の私のドル買いと、今のオルカン砲は、行為としては同じ「円売り・ドル買い」です。違うのは、混み具合だけ。115円の時、その取引は空いていました。160円の今、その取引には国民の4人に1人が乗っています。同じ行動でも、空いている時に乗るのと、満員の最後尾に乗るのとでは、出口での景色がまるで違う——逆張りで生きてきた私には、そう見えます。
だから今の160円は、私にとって「ドルを買い増す水準」ではありません。むしろ「どこで円に戻すか」という出口を測る局面です。同じドル資産でも、115円で買った人と160円で買う人とでは、立っている場所がまるで違います。ここを混同して「私が持っているから、あなたもどうぞ」とは、口が裂けても言えません。
実際に私がやっているのは、米国株からの配当の一部を円に転換し、SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)、愛称サクっと純金で受けていく設計です。これは金への信仰ではありません。ドル一辺倒だった出口を増やす——つまりドル安への備えとして、「出口の自由度」という考え方と整合しているから続けています。
「絶望は買い」と「出口の自由度」は、矛盾しません。むしろ同じ哲学の表と裏です。絶望の安値を買えるのは、その瞬間に動ける自由——現金・余力・降りられる出口——を残していた人だけだからです。バークシャーの3,974億ドルは、その自由の値段だと私は見ています。
旅の持ち帰り——「出口の3行」と、痛手の最小化
繰り返しますが、これは最悪シナリオの思考実験であり、停戦交渉は続いています。「全部売って現金にしろ」という話では決してありません。円安か円高か、株高か株安か——誰にも当てられない。だから私が選ぶのは、「どれが当たっても大儲けする」設計ではなく、「どう転んでも、痛手が最小で済む」設計です。具体的には3つだけ。
① 資産を3つに分ける(株・金・現金/円)。世界株(オルカン)は世界中の通貨に自動で分散された”株のエンジン”。金は、円もドルも両方が劣化する事態への保険。現金(とくに円)は、暴落を拾うための”弾”です。私の目安は円・ドル・金でおおむね35・35・30(読者のみなさんなら金は20〜30%が無難です——これは私の配分であって、推奨比率ではありません)。
※大事な前提:ここでいう”現金”は投資の軍資金(暴落で拾う待機資金)であって、生活費とは別物です。数か月分の生活防衛資金は、この配分に混ぜず、先に別の財布で確保してください。生活通貨と投資資金は、混ぜない。
② 時間を分ける(機械的に積み立てる)。160円での一括ドル買いは、為替の片張りそのものです。毎月の積立に分ければ、高値も安値も平均化されます。積立は止めない。止めるべきは「恐怖での全部売り」と「熱狂での一括買い」だけです。
③ 「出口の3行」を書く。これが、この記事であなたにお渡ししたい道具です。紙でも、スマホのメモでも構いません。三行だけ書きます。
✍️ 出口の3行
1行目:このお金は、何年後に使う?
2行目:どの通貨で使う?
3行目:どの水準(株価・為替)になったら、円に戻す?
使う通貨が円なら、為替の巻き戻しはあなた自身の問題です。配当や利益の一部をどの水準で円に戻すか、自分なりの目安を3行目に書く。この3行が書けた瞬間、明日の見出しはあなたへの脅威ではなく、予定表に変わります。
そして思い出してください。ホルムズの実害が出るのは、備蓄が痩せる秋以降——遅効性でした。つまり、嵐の本番までには、まだ時間があります。出口の設計は、嵐の中ではできません。今が、その準備のための猶予期間です。6月8日の朝、私が「仕込み時期が来るのなら悪くない」と思えたのも、この準備を平時に済ませてあったからです。
この設計の強さは、どのシナリオでも「全滅しない」ことにあります。
| もし、こう転んだら | 痛手を受けるもの | 守ってくれるもの |
|---|---|---|
| 円安が進む | 円の現金 | ドル資産(オルカン)・金 |
| 円高に巻き戻す | ドル資産(オルカン) | 円・”安く拾える”現金 |
| 株が強制売りで暴落 | 株 | 現金(拾う弾)・金 |
| 通貨そのものが劣化 | 現金(円・ドル) | 金・株(企業は値上げで対応) |
| 結局、何も起きない | 金・現金(機会損失) | 株(成長を取り込む) |
どの行にも、必ず守る側がいる。逆に、いちばん危ないのはどれか一つへの全張りです——160円で全部ドルへ、怖くて全部円へ、熱狂で全部株へ。外したとき、それだけが致命傷になります。
最後に、この表に載っていない資産をひとつだけ。稼ぐ力です。インフレでも、デフレでも、円安でも目減りしない資産は、突き詰めればこれしかありません。私自身、相場の見立てをどれだけ重ねても、最後はいつも同じ場所に着地します——未来が読めないなら、読めなくても困らない自分をつくる。暴落を拾う”弾”も、出口を待つ余裕も、もとをたどれば毎月の稼ぐ力が生み出しています。出口の自由度の土台は、口座の中ではなく、自分の側にあります。
まとめ:安全資産を探す旅の、終わりに
- ホルムズ封鎖の局面では、株・債券・現金・金が同時に怪しくなり、「安全資産」という問いは答えを失います。守るべきは資産の種類ではなく「出口の自由度」です。
- オルカン積立は、束になると「国民総ドル買い」=160円での構造的な片張りになります。混んだ取引の巻き戻し(円高)は、出口を決めていない人から削ります。
- 今やるべきはドルへの逃避ではなく、「どこで円に戻すか」という出口の設計——「出口の3行」です。バークシャーの過去最高3,974億ドルの現金は「待つ権利」のお手本です。
この記事があなたに渡したかったのは、恐怖ではありません。鏡——あなたの積立は毎月、円を売ってドルを買っているという自覚。免許——それでも積立はやめなくていい、という根拠。そして道具——「出口の3行」。この3つです。
まずは今夜、3行だけ書いてみてください。何年後に、どの通貨で、どの水準で円に戻すか。それだけで、明日の見出しの感じ方が変わります。
安全は、どこかに売っていません。出口の自由度として、自分で設計するものです。
🎥 この記事の内容は、約14分の動画版(5章構成)でも解説しています。通勤や家事のすきま時間に、音声だけでも内容が分かる作りです。
出口の自由度は、複数の選択肢を低コストで持てる口座があって初めて設計できます。私が選ぶなら、米国株・投資信託に強いマネックス証券か、サポートの手厚い松井証券。どちらも新NISAでオルカンやサクっと純金を扱えます。※相場のタイミングを当てるためではなく、いつでも動ける”土台”として。
📖 「まず負けない」を、もっと深く
この記事の背骨——リスクと守り、相場のサイクル、そして出口——を体系的に学ぶなら、ハワード・マークス(世界最大級の運用会社オークツリーの共同創業者)の『投資で一番大切な20の教え』が定番です。「賢い投資とは、勝ちを狙うことではなく、負けを避けること」。本記事と地続きで読めます。
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※本記事は最悪シナリオを点検する思考実験であり、情報提供を目的としたものです。特定の銘柄・商品の売買や為替取引を推奨するものではありません。記載の数値は各公的機関・報道に基づく概算で、情勢により大きく変動します。投資判断はご自身の責任でお願いします。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

