VOO(バンガード S&P500 ETF)は、米国の代表的な株価指数S&P500に連動するETFだ。運用会社は世界最大級のバンガード社、経費率は驚異の0.03%。米国大型株500社に低コストで丸ごと投資できる。
筆者がVOOを買った理由
eMAXIS Slim S&P500で十分だと思っている。でも、VOOを買ったのには理由がある。
きっかけは、海外駐在の外交員が書いたブログだった。彼らは海外赴任中、日本の証券口座が凍結されるため、ドル建てでしか投資できない。そこでVOOを活用して資産形成をしていた。給与も手当も多い分、投資に回せる資金も大きく、VOOで大きなリターンを得ていた。
それを読んで、ドル建てで投資することへの興味が湧いた。ドルへの憧れ、と言ってもいいかもしれない。当時は1ドル110円程度。今は円安が進んでいるため、為替だけでも含み益が出ている。株価の上昇と円安の2つで資産が増えている計算だ。
ドル建てで保有しているので、株価も為替も数字で見えやすい。「今何ドル分持っていて、それが円換算でいくらか」がリアルタイムで計算できる。これがVOO保有の面白さのひとつだ。
なぜVOOを選んだのか — コロナショック前からの目線
実は、VOOに狙いをつけていたのはコロナショックより前の話です。
理由はシンプルでした。円安になると思っていたからです。当時から今も、その見立ては変わっていません。だからドル建てで資産を持ちたかった。日本円だけを保有するリスクを下げたい、というのが出発点でした。
VOOを選んだのは、VOOで運用して成果を上げているブログをいくつか読んでいたからです。「実際に勝っている人間がいる」という事実は、理屈以上に説得力があります。投資の本を10冊読むより、続けて勝っている個人の記録を1つ追う方が腑に落ちる、という感覚です。
「アメリカ人も買っている」という安心感
VOOを調べていると、もう一つ印象的だったのが、アメリカ人自身がVOOを大量に保有しているという事実でした。
VOOはS&P500に連動するETFですが、運用会社のバンガード(Vanguard)はアメリカで圧倒的な支持を集めています。日本人がアメリカ株を買うとき、つい「外国の株に手を出している」感覚になりますが、実態は違います。アメリカ人自身が、自国のインデックスに長期で投資している。それを真似する形で日本人も買っているわけです。
「自国民が信頼して買っている商品」というのは、買い材料として大きい要素でした。
DRIPという仕組み — 米国にあって日本にないもの
VOOを調べる中で知ったのが、米国のDRIP(Dividend Reinvestment Plan、配当再投資制度)です。
DRIPは、株式やETFから出た配当金を現金で受け取らず、自動的に同じ銘柄の買い増しに充てる仕組みです。米国の証券会社では一般的に導入されています。
ここで素人向けに用語を補足します。配当金とは、企業が利益の一部を株主に分配するお金のことです。VOOの場合、年4回(3月・6月・9月・12月頃)に配当が出ます。配当金は通常、現金で証券口座に振り込まれます。受け取った後、自分で同じ銘柄を買い増しすれば「再投資」になりますが、手間がかかるうえ、買付手数料も発生します。
DRIPの本質的なメリットは2つです。
メリット1: 1株に満たない端株でも買い増しできる
たとえば配当金が30ドル入ったとして、VOOが1株500ドルの場合、通常は1株も買えません。しかしDRIPなら、0.06株という端株として自動で買い増しされます。配当が出るたびに、端株単位で着実に持株数が増えていきます。
メリット2: 買付手数料が無料
米国のDRIPでは、買付手数料がかかりません。配当金が少額でも、手数料負けせずに再投資できます。
日本の証券会社にDRIPはあるのか
日本の大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)では、米国型のDRIP制度は導入されていません(出典: 野村證券「証券用語解説集」)。
マネックス証券は2021年から「配当金再投資サービス」を開始していますが、これは米国DRIPとは別物です。マネックスは公式に「米国のDRIP制度には該当しません」と明記しています(出典: マネックス証券「よくあるご質問」)。違いは以下の2点です。1株未満の端株は買い足されない(配当が少額だと買えないことがある)、通常の買付手数料がかかる、という点です。
国内でDRIP相当を使えるのはサクソバンク証券くらいですが、特定口座に対応していないなどの制約があり、メインの証券口座として使うには不便です。
ちなみに、よく「DRIPは税金がかからないから複利効果が大きい」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。米国DRIPでも配当は米国側で源泉徴収された税引き後の金額で再投資されます(出典: 野村證券、八ツ役公認会計士事務所)。日本の「配当金再投資サービス」と税金面での本質的な違いは、ほぼないと考えていいです。
それでも、日本のVOO投資は十分機能する
DRIPがないのは確かに残念です。配当のたびに自分で買い直す手間は、米国の投資家と比べて確実に存在します。
ただ、インデックスの長期保有という戦略の本質は、DRIPの有無で大きく変わるものではありません。配当再投資の手間が気になるなら、S&P500やオルカンに連動する投資信託(eMAXIS Slimなど)に任せる、という整理にしています。投資信託は内部で自動的に分配金を再投資する仕組み(分配金再投資型)があるので、手間がかかりません。
VOOは「ドル建てで持ちたい資産」として、引き続きコア保有を続けるつもりです。
VOOの基本データ
※2025年6月時点のデータ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運用会社 | Vanguard(バンガード) |
| 連動指数 | S&P500 |
| 経費率 | 0.03%(100万円で年300円) |
| 基準価額 | 559.50ドル(2025/06/25時点) |
| 純資産総額 | 6,568億ドル(2025/05/30時点) |
| 分配金 | 四半期ごと(年4回) |
| 設定日 | 2010年9月7日 |
| 通貨 | 米ドル建て |
手数料が「格安すぎる」理由
経費率0.03%というのは、感覚的に理解しにくい数字だ。具体的に計算してみる。
100万円を預けた場合の年間手数料
100万円 × 0.03% = 年間300円
300円 ÷ 365日 = 1日あたり0.82円
→ 1日1円以下。格安すぎる。
バンガード社は世界屈指の資産運用会社だ。日本の国家予算の数倍規模の資産を運用している。規模が大きいからといって必ず安心とは言えないが、金にシビアな運用の姿勢は信頼できる——少なくとも日本政府よりは信頼している。
組入上位銘柄(2025年6月時点)
| 順位 | 銘柄名 | 比率 |
|---|---|---|
| 1 | Microsoft | 6.83% |
| 2 | NVIDIA | 6.60% |
| 3 | Apple | 6.02% |
| 4 | Amazon | 3.86% |
| 5 | Meta | 2.83% |
騰落率(分配金再投資後・2025年6月時点)
| 期間 | 騰落率 |
|---|---|
| 1ヶ月 | +5.11% |
| 1年 | +12.67% |
| 2年 | +44.70% |
| 3年 | +62.84% |
| 5年 | +118.02% |
| 設定来 | +634.24% |
落とし穴:配当への外国税10%
VOOの見落とされがちなコスト
米国ETFの配当には米国での源泉徴収税10%が自動的に引かれる。
eMAXIS Slim S&P500などの国内インデックスファンドにはこの税金がかからない(ファンド内部で処理される)。
→ 配当を重視するなら、この税負担は無視できない
これは筆者自身も調査不足で後から気づいた点だ。反省している。この税金の問題があるため、多くの人にVOOを積極的に勧めてはいない。eMAXIS Slim S&P500やeMAXIS Slim オルカンで十分だ。
VOOが向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| ドル建てで資産を持ちたい人 | NISAで積立投資したい人(VOOはつみたて投資枠対象外) |
| 海外在住・海外口座を持っている人 | 配当の税負担を避けたい人 |
| 長期で資産を最大化したい人 | 円建てで完結させたい人 |
まとめ
VOOはS&P500連動ETFの中で最高水準のコスト効率を誇る。経費率0.03%、100万円で年300円——これは本物の格安だ。
ただし、日本在住者がNISAで積立投資を考えているなら、eMAXIS Slim S&P500の方が配当税の面で有利だ。VOOはドル建てで資産を持ちたい人、海外口座を活用したい人に向いている。
バンガード社は日本の国家予算の数倍規模を運用している。金の管理に関しては、少なくとも日本政府よりは信頼している。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

