米国債の利回りが、株の益回りに並んだ——金利5.28%と益回り5.2%。それでも私がS&P500を売って国債に移さない理由【2026年10月2日】

セーラー服姿の月城ミオが机の上の天秤を見つめ、片方に硬貨、もう片方に証書が載っている マーケット・相場分析
比べられるのは、入口の数字だけ

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10月2日、米国の10年国債の利回りが5.28%まで上がりました(米財務省)。S&P500の益回り(株価に対する1年の利益の割合)は5.2%前後です。国債の利回りが、株の益回りに並びました。

「国債の方が利回りが高いなら、株を売って国債に移すべきでは?」という声が出てくる数字です。

私は移しません。理由は3つあります。株の益回りは利益が伸びれば上がるが、国債の利回りは買った日で固定されること。税引後で並べ直すと、NISAで持つ株と特定口座で持つ国債では手取りが違うこと。そして、私の国債の線は「税引後5%」で、まだ届いていないことです。数字は2026年10月2日終値時点です。

結論:比べられるのは「入口の数字」だけ

  • 益回り5.2%と国債5.28%が並んだのは、今年の利益と今日の金利で割った、一瞬の数字
  • 国債は買った日の利回りで固定。株の益回りは利益しだいで来年変わる。固定と変動を同じ物差しで比べている
  • 税引後で並べると順番が変わる。私の線は「税引後5%」。30年債の指値5.7%は置いたまま、今週も何もしない

今週の数字

  • 米国の長期金利:10年国債は10月1日に一時5.34%、10月2日の終値で5.28%(米財務省)。30年国債は5.63%
  • S&P500:10月2日の終値は7,722.72(+0.73%)。予想PERは約19.2倍で、益回りは約5.2%
  • 米国の9月雇用統計:雇用者数の伸びは2.9万人で、予想(8.4万人)を下回った(報道)
  • 日経平均:10月1日に2,203円高の68,956円。10月2日は647円安の68,309円で、週では1,945円高(+2.9%)
  • 日銀短観(10月1日):大企業製造業の景気の良さを示す指数は+22から+24に(報道)

為替会社の外為どっとコムは、10月2日の見通し記事で「金利5.3%と株益回り5.2%が並ぶ」と書きました。ここでの5.3%は、10年国債が10月1日に一時つけた5.34%のことです。終値で見ると、10月2日は5.28%でした。

益回りとは:PERを裏返した数字

益回りは、会社が1年で稼ぐ利益を株価で割った数字です。PER(株価が1株あたり利益の何倍か)の逆数で、PER20倍なら益回りは5%です。

S&P500の予想PERは、10月2日時点で約19.2倍。裏返すと、益回りは約5.2%です。

株の益回りから国債の利回りを引いたものを、イールドスプレッドと呼びます。株を持つことで、国債より余分にもらえる「上乗せ」の目安です。今は、それがほぼゼロになりました。10月2日は、益回り約5.21%から10年国債5.28%を引いて、約−0.07ポイントです。

表面では並ぶ。税引後では順番が変わる 表面 税引後 5.2%株の益回り 5.28%米10年国債 5.2%NISAの株配当分は米国の税10%が残る 約4.7%特定口座のストリップス表面5.3%・30年・満期に一括課税
図1:表面と税引後の並び(2026年10月2日時点・筆者計算。益回りは受け取る額ではない点に注意)

理由1:国債は固定、株の益回りは変わる

国債の5.28%は、買った日に固定されます。10年持てば、10年間その利回りです。

株の益回りは、今年の予想利益で割った数字です。9月27日の記事で書いたとおり、株価は「利益×何倍」で決まります。利益が伸びれば、同じ株価でも来年の益回りは上がります。もちろん、利益が減れば下がります。

固定と変動(説明用のイメージ) 国債:買った日の利回りで固定 利益が伸びれば上へ 利益が減れば下へ 今日数年後
図2:国債は固定、株の益回りは利益しだい(数値ではなく形のイメージ)

もう1つ、性質の違いがあります。国債の利回りは、実際に受け取る額です。株の益回りは会社の利益で、そのまま受け取るわけではありません。利益の一部は配当として届き、残りは会社の中に残ったり、10月1日の記事で書いた自社株買いに使われたりします。性質の違うものを、同じ「%」で並べていることになります。

理由2:税引後で並べ直すと、順番が変わる

次に、税金です。同じ「%」でも、どの口座で、どんな形で持つかで手取りが変わります。

持ち方 表面 税 税引後の目安 将来
S&P500投信(NISA)益回り5.2%非課税(配当分は米国の10%が残る)ほぼ5.2%利益しだいで動く
米10年 利付債(特定口座)5.28%利息に毎年20.315%約4.2%固定
米10年 ストリップス(特定口座)5.28%満期にまとめて20.315%約4.4%固定
米20〜30年 ストリップス(特定口座・満期まで)5.3%満期にまとめて20.315%約4.6〜4.7%固定
米30年 ストリップス(私の指値)5.7%満期にまとめて20.315%約5.07%固定

表:税引後の目安(2026年10月2日時点・筆者計算。為替の変動と手数料は考慮せず。ストリップスは満期まで持った場合の年率換算)

NISAで持つS&P500投信は、売却益に税がかかりません。ただし、投信が受け取る米国株の配当には米国で10%の税がかかり、NISAではこれが戻りません。益回りのうち配当として出る部分は少ないので、目減りはわずかです。

米国債はNISAに入りません。特定口座で持つことになり、利付債なら毎年の利息に20.315%がかかります。10年・5.28%の利付債なら、税引後は約4.2%。NISAの株の益回りより低くなります。

ストリップス(利息がなく、満期に額面で戻る債券)は、税が満期にまとめてかかります。そのぶん税の効きが薄まり、同じ5.28%でも10年で約4.4%になります。期間が長いほど、この効果は大きくなります。表面5.3%のストリップスを残存20〜30年で満期まで持てば、税引後は約4.6〜4.7%。それでも、NISAの株の5.2%には届きません。

理由3:私の線は「税引後5%」で、まだ届いていない

9月15日に更新した米国債の記事で、私の線は「税引後で年5%」と書きました。30年のストリップスなら、表面で約5.7%です。

計算はこうです。30年・表面5.7%なら、100が満期に約528になります。増えた約428に20.315%の税がかかっても手取りは約441。年率に直すと約5.07%です。ちょうど5%になるのは表面5.63%なので、5.7%は少し余裕を持たせた線です。

米国債30年の利回りと、私の指値 指値 5.7%(30年ストリップスで税引後約5.07%) 5.22%8/28 5.35%9/11 5.29%9/17 5.56%9/28 5.64%9/30 5.63%10/2 米財務省の30年債(利付債)の利回り。ストリップスの利回りとは一致しない
図3:米国債30年の利回り(米財務省)と私の指値

10月2日の30年債の利回りは5.63%(米財務省)。10月4日の記事で書いたとおり、指値は置いたまま、約定していません。ただしこの5.63%は利付債の利回りで、実際に買えるストリップスの利回りとは一致しません。約定するかは、そのストリップスの値段しだいです。

この線は年限で変わることにも注意してください。同じ「税引後5%」を10年のストリップスで得るには、表面で約6.0%が必要です。10年の5.28%は、私の線から遠い数字です。

「並んだから移す」をしない理由

教科書的には、イールドスプレッドがゼロに近づくと「株は割高、債券へ」と読まれます。一方で「利益が伸びるなら、益回りは来年上がる。株のまま」という読み方もあります。週末には「日経平均7万円が視野」という見通しも出ていました。

私はどの読み方にも乗りません。スプレッドがゼロになったのは、今週の金利と今年の利益で割った一瞬の数字です。それを理由に株を売ると、9月27日の記事で書いたように、式の片側だけを見ることになるからです。株が割高になったとも、債券の時代が来たとも書きません。

それに、NISAの枠で持っている株を売って、特定口座で国債を買い直すと、税引後の手取りはかえって下がることが多い。表のとおりです。

自分で並べる3行

  1. 株の益回り:1÷PER
  2. 国債の利回り:買える債券の利回り(年限をそろえる)
  3. どちらも税引後で:NISAか特定口座か、利付債かストリップスか

「移す」かどうかは、比べた数字ではなく、自分の口座と線で決めます。国債を持ちたいなら、株を売るのではなく、新しく入れるお金の行き先として考えるのが自然です。円建てなら個人向け国債もあります(8月21日の記事)。10月8日には、個人向け国債の新しい募集について書く予定です。

私は、今週も何もしません。主力のVOOとQQQは特定口座で、S&P500投信はNISAでわずかに持ったまま。30年債の指値も置いたままです。

NISAの株と、特定口座の債券を分けて持つ

株の投信はNISAで、債券は特定口座で。口座の使い分けで税引後の手取りが変わります。私の主軸はSBI証券ですが、米国株や投資信託に強いマネックス証券、サポートの手厚い松井証券も候補です。どちらも新NISAでS&P500やオール・カントリーの積立ができます。

松井証券の口座開設バナー マネックス証券の口座開設バナー

まとめ

  • 10月2日、米10年国債の利回り5.28%と、S&P500の益回り約5.2%が並んだ
  • 比べられるのは入口の数字だけ。国債は固定、株の益回りは利益しだいで変わる
  • 税引後で並べると、NISAの株はほぼそのまま、特定口座の国債は利付債で約4.2%、30年のストリップスでも約4.7%
  • 私の線は税引後5%。30年ストリップスなら表面5.7%で、指値は置いたまま
  • 「並んだから移す」はしない。移すかどうかは、自分の口座と線で決める

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※本記事の数字は2026年10月2日終値時点です。米国債の利回りは米財務省の公表値(利付債)で、ストリップスの利回りとは一致しません。S&P500の予想PERはFactSet(9月30日時点で19.0倍)の予想利益をもとに、10月2日の終値で筆者が計算した値(約19.2倍)によります。税引後の利回りは筆者の計算で、為替の変動と手数料は考慮していません。ストリップスは満期まで持った場合の年率換算です。益回りは会社の利益であり、投資家が受け取る額ではありません。※本記事は特定の銘柄や商品の売買を勧めるものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。本記事にはアクセストレードのアフィリエイトリンクが含まれています。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。