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6月11日に、私は「なぜ金利が上がると株価は下がるのか」という記事を書きました。
9月には、アメリカと日本がそろって利上げしました。長期金利は、日本の10年債が約30年ぶり、アメリカの10年債が2007年以来の高さまで上がっています。
なのに日経平均は、9月25日まで5日続けて上がり、66,364円で終わりました。9月11日の64,011円から、2週間で約3.7%上です。
6月の記事が間違っていたわけではありません。ただ、正直に書きます。6月の私は、利益を一定と置いて、金利の側だけを書いていました。この記事は、その残り半分を書きます。
なお、利上げの日にどう持っていたかは9月18日の記事に書きました。今回は、6月の仕組みの答え合わせです。
結論:株価=利益×何倍。6月は「何倍」の側だけを書いた
株価は、ざっくり言うと次の掛け算でできています。
株価 = 1株あたりの利益(EPS)× 利益の何倍まで買われるか(PER)
- EPS(1株あたり利益):会社が1株あたり、1年でいくら稼ぐか
- PER(株価収益率):その利益の何年分まで、市場が払ってもいいと思っているか
金利が上がると、将来の利益を今の価値に直すときの割引が大きくなるので、PERが下がります。6月11日に書いたのは、ここです。
でも、同じ時期にEPS(利益)の方が伸びれば、PERが下がっても株価は上がりえます。9月に起きたのは、こちらでした。
アメリカの代表的な500社の株価指数、S&P500で見ると分かりやすいです。6月初めから9月下旬までに、12か月先の予想PERは21.1倍から19.2倍へ、約9%下がりました。金利が上がった分、「何倍」は確かに下がっています。
ところが同じ期間に、12か月先の予想EPSは約12%上がりました。掛け算の結果、株価は約1.6%上です。「何倍」の下げより、「利益」の伸びの方が大きかった、ということです。
2週間で何が起きたか
- 9月11日:日経平均は1,259円安の64,011円(9月13日の記事)
- 9月17日・18日:アメリカが政策金利を3.75〜4.00%へ、日本が1.25%へ上げる
- 日本の3連休中:アメリカでAI・半導体株が上がり、ナスダック総合指数は9月22日に最高値を更新
- 9月25日:日経平均は850円高の66,364円。5日続伸、週で1,345円高
この間、長期金利は下がるどころか上がり続けました。9月25日の時点で、日本の10年国債の利回りは3.07%(日中には一時3.115%と約30年ぶりの高さ)、アメリカの10年国債は5.18%です。金利が上がっているのに、株も上がった。6月の記事だけを読んだ人には、逆に見える2週間でした。
ただし、日経平均は6月25日の最高値(終値72,366円)から見ると、まだその9割あまりの水準です。「利上げでも株高」は、この2週間の話です。
6月11日に、私が書いたこと
6月の記事で、私はこう書いていました。株価は「将来の利益を今の価値に直して合計したもの」で、金利が上がると、同じ会社・同じ将来利益でも、株価の理論値は下がる、と。
この説明は、今読み返しても間違っていません。実際、6月初めのアメリカ株の下落について、三井住友DSアセットマネジメントは「金利上昇を受けたバリュエーション調整」で、「予想EPSが改善基調にあるなかで株価が下落」したと整理していました。6月も、利益は伸びていたのです。そのときは、金利による「何倍」の下げの方が勝ちました。
私の書き方の問題は、「同じ将来利益でも」と、利益を一定に置いたまま話を終えたことです。読んだ人が「利上げが来たら株は下がる」と覚えたとしたら、それは私の書き方の責任です。
| 6月初め | 9月(6月初め→9月下旬) | |
|---|---|---|
| 金利 | 上がった | さらに上がった |
| 利益(予想EPS) | 改善していた | 約12%上がった |
| 何倍(予想PER) | 下がった | 21.1倍→19.2倍 |
| 株価 | 下がった | 上がった |
違ったのは、「利益の伸び」と「何倍の下げ」のどちらが大きかったか、だけです(S&P500。FactSet・三井住友DSアセットマネジメントの資料から筆者作成)。
よくある3つの見方
見方A:「金利が上がると株価は下がる」
6月の私です。仕組みとしては正しい。ただし、利益が同じなら、という条件つきです。
見方B:「AIバブルだから、金利を無視して上がっている」
これは、利益が本当に伸びているかどうかで答えが変わります。9月11日の記事で、レーザーテックは高値の60.2%、フジクラは69.2%でした。9月25日には、レーザーテックは69.8%まで戻った一方、フジクラは62.9%に下がっています。同じ「AI関連」でも、一律には上がっていません。
見方C:「来週は配当取りの反動で下がる」
9月の中間配当の権利付き最終日は9月28日で、配当を取りにいく買いが相場を支えた、という見方も出ていました。その反動を心配する声もあります。下がるかもしれないし、下がらないかもしれません。ここは当てにいきません。
ひとつ付け加えると、「今の金利でも株の配当利回りの方が魅力」という説明も見かけました。9月25日時点では、日経平均の予想配当利回りは1.70%で、日本の10年国債の3.07%の方が高いです。指数で見る限り、この説明は数字と合いません。
私の見方:金利を見て売買しない理由が、1つ増えた
金利と利益は、別々に動きます。金利は中央銀行と債券市場が決め、利益は企業が稼ぎます。どちらが勝つかは、事前には分かりません。6月は金利が勝ち、9月は利益が勝ちました。
だから私は、金利を見て売り買いしません。9月11日に「金利が上がるから」と売った人は、2週間後に3.7%上で買い戻すことになりました。それは金利が悪かったのではなく、式の片側だけを見た結果です。
仕組みを知ることと、仕組みで相場を当てることは別です。仕組みは「なぜ動いたか」を後から説明する道具で、「次にどう動くか」を当てる道具ではありません。投資のベストタイミングは、後からしか分かりませんで書いたのと同じです。私自身、5月に日経6万円で買い増しを止めたときは、自分の見立てで動いた分だけ、上がった分を取り逃しました。
9月13日には、FOMCと日銀の結果が出る前に4つのマスへ答えを書き、9月18日に結果が出ても何も触りませんでした。触らなかった理由が、今回で1つ増えました。金利だけで動くと、式の片側しか見ていないことになるからです。
株より先に、家計には確実に来る
株価が金利でどう動くかは、事前には分かりません。でも、金利が上がると確実に動くものがあります。家計です。
- 住宅ローンの変動金利:政策金利が上がれば、上がる方向に動きます
- 普通預金の金利:上がりますが、遅れて、少しだけです。9月6日の記事で書いたとおり、預金金利は政策金利の上げ幅の4割ほどしか上がってきませんでした
株価が上がっても下がっても、ここは確実に動きます。利上げのニュースで見るべきなのは、株価の予想より、こちらの方です。
利上げのニュースで売りたくなったら
次に利上げのニュースを見て売りたくなったら、1つだけ確かめてください。
会社の利益(EPS)も、同時に伸びていないか?
見ていないなら、式の片側だけで判断しています。見ても、どちらが勝つかは当てられません。当てられないなら、見ないで積立を続ける方が合理的です。2026年の上半期に一番勝ったのは、何もしなかった人でした。
金利を見ずに積み立てる、土台の口座
指数の積立を始めるなら、口座はネット証券が基本です。私の主軸はSBI証券ですが、米国株や投資信託に強いマネックス証券、サポートの手厚い松井証券も候補です。どちらも新NISAでS&P500やオール・カントリーの積立ができます。相場のタイミングを狙うためではなく、長く積み立てる土台として選んでください。
まとめ
- 9月に日米がそろって利上げし、長期金利も上がったのに、日経平均は9月25日まで5日続伸の66,364円。9月11日から約3.7%上
- 株価=利益(EPS)×何倍(PER)。金利が上がるとPERは下がる。6月11日に書いたのはここ
- 6月の私は、利益を一定と置いて、金利の側だけを書いていた
- S&P500では、6月初めから9月下旬に予想PERが約9%下がり、予想EPSが約12%上がった。利益の伸びの方が大きかった
- 金利と利益のどちらが勝つかは事前に分からない。だから金利を見て売買しない
- 株価より確実に動くのは家計(住宅ローンの変動金利・普通預金)。見るべきはこちら
教科書は外れていませんでした。片側しか書いていなかっただけです。
あわせて読みたい
6月の記事(この記事の前半)
・なぜ金利が上がると株価は下がるのか——2026年6月、米国株下落の”本当の仕組み”を図解で
利上げの週の記録
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・政策金利2.5%でも、普通預金は1.0%です【リベ大動画の数字を全部計算し直しました】
※本記事の日経平均・米国株価指数・金利の数字は、2026年9月25日の終値(日本10年国債は日経の新発10年債利回り、日中の最高は3.115%)によります。※S&P500の予想PERはFactSet「Earnings Insight」(2026年6月5日号・9月25日号)によります。予想EPSは株価÷予想PERで筆者が逆算した概算です。※6月初めの米国株の下落の整理は、三井住友DSアセットマネジメントのマーケットレポート(2026年6月8日)によります。※日経平均の予想配当利回り・予想PERは日本経済新聞の株式指標(2026年9月25日)によります。※個別銘柄の高値比は、各社の52週高値(ザラ場)に対する2026年9月25日終値の比率です。※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨するものではありません。相場の方向を予想するものでもありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。本記事にはアクセストレードのアフィリエイトリンクが含まれています。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
