米国債|ストリップス vs クーポン、私はストリップス派の理由【2026年4月SBI最新データ】

米国債ストリップス債とクーポン債を比較する投資のイメージ 投資戦略・制度

結論:私はまだ米国債を買っていない、そして買うならストリップス債の理由

米国債の話を書きます。最初に正直に言っておくと、私はまだ米国債を保有していません。ずっと興味は持っていて、SBI証券の販売ページも定期的にチェックしています。それでも、いまの利回りでは買う気になっていません。

理由は単純で、私の心の中の「最低でも年利5%」という購入ラインに、まだ届いていないからです。

2026年4月時点でSBI証券で買える米国ストリップス債の最高利回りは4.946%(2051年2月償還、残存24.8年)。あと0.054%。惜しいけれど、私は待ちます。なぜそのラインなのか、そしてなぜ買うならストリップス債なのかを、SBI証券の最新データと一緒に整理します。

なぜ「最低でも5%」なのか — 3つの根拠

5%という数字には、3つの理論的な背景があります。なんとなく決めたラインじゃありません。

① 株式の「4%ルール」を明確に上回りたい

FIRE運動で有名な「4%ルール」は、株式ポートフォリオから毎年4%を取り崩しても、長期では資産が枯れにくい、という研究結果です。これを裏返すと、株式の長期実質リターンの安全圏が約4%ということでもあります。

もし米国債に資金を振り分けるなら、この4%を明確に上回る利回りが欲しい。そうじゃないと、わざわざ債券に置き換える意味が薄い。1%程度のクッションを上乗せして、5%を最低ラインに置いています。

② インデックス投資の長期平均と並ぶ・上回りたい

S&P500の長期平均リターンは年7〜10%と言われますが、悪い年も含めて長く慣らせば、おおよそ年5%程度の実質リターンに収まると言われます(過去データの話で、未来を保証するものではありません)。

米国債を買うとは、本来株式に投資できる資金を、その期間ずっと債券に振り向けるということ。インデックス投資の長期平均と並ぶ、もしくは上回らないと、機会費用としての旨みが薄い。これが2つ目の理由です。

③ 米国債は「価値を生まない商品」だから、プレミアムが必要

これは大事な視点なので少し丁寧に書きます。米国債は、米政府が発行する借金です。つまり、新しい価値を生む経済活動の対価ではありません。

一方、株式は、企業が事業活動を通じて価値を生み出した結果として配当や株価上昇をもたらします。生産的な活動の対価です。

つまり米国債は本質的に「価値を生まない、ディフェンシブな商品」。だから、価値を生む株式と同程度の利回りなら、株式の方が魅力的になってしまう。

たとえば米国の高配当株ETF(VYM・HDV・SPYDなど)は、年3〜4%の配当に加えて株価成長の余地もあります。「定期的に現金が欲しい」が目的なら、米国債のクーポンより高配当株のほうが合理的です。成長性ゼロのディフェンシブ商品より、成長性のある配当商品が良いに決まっている。

米国債を選ぶなら、この「価値を生まないというハンディ」を補って余りあるプレミアムが乗っていないとおかしい。だから5%超え、というのが私の結論です。4.9%では、まだ「価値を生まないハンディ」の方が勝っている。

クーポン債とストリップス債の違い(基本構造)

米国債を買うとき、大きく2種類あります。専門用語を使わず、貯金のたとえで仕組みを書いてみます。

クーポン債(利付債)— 毎年利息をもらいながら満期を待つタイプ

たとえば、額面100ドル・利率4%のクーポン債を98ドルくらいで買ったとします。

  • 毎年4ドルの利息(クーポン)が口座に入ってくる
  • 満期が来ると100ドルが戻ってくる

銀行の定期預金で「毎年利息をもらいながら、満期に元本が戻る」感覚に近いです。途中で現金が入ってくるので、定期収入が欲しい人向け。

ストリップス債(ゼロクーポン債)— 安く買って、満期にまとめて受け取るタイプ

同じ額面100ドルのストリップス債を、たとえば30ドルで買ったとします。

  • 途中の利息はゼロ。買ってから満期まで、何ももらえない
  • でも満期になると、100ドルが戻ってくる

つまり「30ドル払って、寝かせていたら100ドルになる」という構造です。途中の利息がない代わりに、買値が大幅に安い。「割引券で買って、満額で精算される」とイメージするとわかりやすいかもしれません。

違いを一言でまとめると:

  • クーポン債 → 途中で利息を受け取りながら、満期に額面を受け取る
  • ストリップス債 → 途中は何もなし、満期にまとめて額面を受け取る

どちらの商品も、米国財務省の信用力という土台は同じ。違いは「お金の受け取り方」だけです。あとは、どちらが自分の投資スタイルに合うかの話になります。

米国債の魅力と、私が見ているリスク

米国債は、世界で最も信用力の高い金融商品のひとつです。発行体は米国財務省。元利金の支払いは米ドル建てで保証され、信用リスクは事実上ゼロに近い。

ただ、日本人投資家から見ると、米国債には2つの大きなリスクが常につきまといます。

  • 為替リスク:満期で受け取るのは米ドル。円安なら得、円高なら損。30年寝かせる前提なら、為替の振れは無視できません
  • 金利リスク:保有中に金利がさらに上がれば、市場価格は下落します(満期まで持てば額面で戻りますが、途中売却なら損する可能性あり)

未来の金利は誰にも見えません。だから私は、「いま入る入口の金利」が高ければ高いほど安心、というシンプルな指標で見ています。それが「最低でも5%」という個人的ライン。理屈というより、自分が後悔しないための心理的バーです。

私がストリップス派の3つの理由

① 複利が「自動で」効く

ストリップス債は、内部で利息が再投資されているのと実質同じ構造です。買った瞬間から満期まで、何もしなくても複利で増えていく。

クーポン債で同じ複利効果を得ようとすると、半年ごとに受け取るクーポンを同じ利回りで再投資する必要があります。でも、その時の金利が下がっていれば、再投資できる利回りも下がる。これを再投資リスクと呼びます。ストリップス債にはこのリスクが構造的に存在しません。

② キャッシュフロー管理がシンプル

クーポン債だと、半年ごとに少額の米ドルが口座に入ります。これを「再投資する」「為替で円転する」「次のクーポン債を買う」など、何かしらアクションが必要です。

ストリップス債なら、買って寝かせて、満期日に一度だけ受け取るだけ。「ほったらかし」と最も相性が良いのがストリップス債です。

③ クーポンが欲しいなら、別の商品で十分

毎年現金が入ってくる魅力はわかります。ただ、それが目的なら米国の高配当株ETF(VYM・HDV・SPYD等)のほうが合理的だと私は思っています。前の「3つの根拠 ③」で書いたように、ディフェンシブな債券より、成長性のある配当商品のほうが魅力的だからです。

クーポン債は、株と債券の2つの間に挟まる中途半端なポジションに見えてしまう。これが、私がストリップス派になる3つ目の理由です。

簡易計算式(自分で利益を計算してみる)

SBI証券の販売ページを見るたびに数字が変わります。最新の価格で自分の利益を概算する式を覚えておくと便利です。

ストリップス債の場合

受取倍率 = 100 ÷ 単価
利益(額面$100あたり) = 100 − 単価
円換算利益 = 利益 × 為替レート × 投資数量

例:単価30で買うと、満期に約3.33倍になって戻る。$1,000投資すれば約$3,333(為替を考慮しなければ)。

クーポン債の場合(再投資なし・単純合計)

受取総額(額面$100あたり) = 利率% × 残存年数 + 100
利益(額面$100あたり) = 受取総額 − 単価

※クーポンを再投資しない前提の単純計算。実際の利回り(YTM)は再投資込みなので、表の「利回り」を使うほうが比較には正確です。

100万円シミュレーションの簡易式

【ストリップス債】
満期受取(円) = 100万円 × (100 ÷ 単価)

例:単価29.80のストリップス → 100万円 × (100 ÷ 29.80) ≈ 約336万円

【クーポン債】(再投資前提)
満期受取(円) = 100万円 × (1 + 利回り%)^ 残存年

例:利回り4.861%・残存24.3年 → 100万円 × (1.04861)^24.3 ≈ 約317万円

※ 為替を1ドル=150円固定で計算した概算です。実際には為替変動・税金・SBI証券の手数料がかかります。

【2026年4月・SBI証券】ストリップス債 残存期間別ベスト5

「単純に利回り順」で並べると、20年代後半の銘柄ばかりが並びます。それでは比較になりません。残存期間が長いほど金利変動・為替変動・人生イベント変動のリスクが累積するので、最高利回り=最適とは限らないからです。

ここでは残存期間の帯ごとに、それぞれの最高利回り銘柄を選びました。「自分が何年寝かせられるか」「どんな目的で寝かせるか」を起点に選んでください。

残存帯 償還日 残存 単価 利回り 100万円→満期受取 利益(目安) 想定用途
短期(5〜10年) 2035/5/15 約9.1年 69.21 4.121% 約144万円 +約44万円 教育費・近未来資金
中期(10〜15年) 2039/11/15 約13.6年 54.69 4.513% 約183万円 +約83万円 住宅頭金・進学費
中長期(15〜20年) 2046/2/15 約19.8年 38.39 4.900% 約260万円 +約160万円 退職前の蓄え
長期(20〜25年) 2051/2/15 約24.8年 29.80 4.946% 約336万円 +約236万円 老後資金の本丸
超長期(25〜30年) 2055/5/15 約29.1年 24.92 4.845% 約401万円 +約301万円 後世への資産
米国ストリップス債 残存期間別ベスト5(2026年4月時点・SBI証券データ/為替1ドル150円試算・税引前)

注目すべきは、残存20〜25年帯の利回りが4.946%でピークに達し、超長期(29年以上)では4.845%とむしろ下がること。「長く待てば利回りが上がる」とは限らないのです。

30年寝かせるリスク(為替・自分の人生・米国そのもののリスク)を考えると、20〜25年帯が最も投資効率と現実性のバランスが取れた領域、というのが私の見立てです。

【2026年4月・SBI証券】クーポン債 残存期間別ベスト5

同じく残存期間別で選びました。クーポン債の場合、「低クーポン・大幅ディスカウント」の銘柄が高利回りになる傾向があります(性質的にストリップス債に近い)。

残存帯 償還日 残存 利率 単価 利回り 100万円→満期受取 利益(目安) 想定用途
短期(5〜10年) 2036/2/15 約9.8年 4.125% 99.89 4.138% 約149万円 +約49万円 中期の定期収入
中期(10〜15年) 2040/2/15 約13.8年 4.625% 102.04 4.425% 約182万円 +約82万円 教育費フロー
中長期(15〜20年) 2046/2/15 約19.8年 4.625% 98.71 4.725% 約249万円 +約149万円 退職前後の収入
長期(20〜25年) 2050/8/15 約24.3年 1.375% 50.63 4.861% 約317万円 +約217万円 実質ストリップス的
超長期(25〜30年) 2055/2/15 約28.8年 4.625% 97.93 4.757% 約381万円 +約281万円 老後の年金代替
米国クーポン債 残存期間別ベスト5(2026年4月時点・SBI証券データ/為替1ドル150円・YTM再投資前提・税引前)

4位の2050/8/15(利率1.375%・単価50.63)は、半額近い価格で買って毎年1.375%の利息も入る、という「実質ストリップス債に近い」商品。クーポン債の高利回り銘柄は、こういう構造のものに偏ります。

クーポン債の場合、利益は「受け取るクーポンを同じ利回りで再投資できれば」という前提つきです。実勢では再投資レートが下がるリスクがあるので、表の数字は理論上限と考えてください。

データから見えるストリップス優位(100万円シミュレーション)

残存期間ごとに、ストリップス債とクーポン債で100万円を投資したらいくらになるかを並べました。

残存帯 ストリップス クーポン
5〜10年 約144万円
(利回り4.121%)
約149万円
(利回り4.138%)
クーポン +5万円
10〜15年 約183万円
(利回り4.513%)
約182万円
(利回り4.425%)
ストリップス +1万円
15〜20年 約260万円
(利回り4.900%)
約249万円
(利回り4.725%)
ストリップス +11万円
20〜25年 約336万円
(利回り4.946%)
約317万円
(利回り4.861%)
ストリップス +19万円
25〜30年 約401万円
(利回り4.845%)
約381万円
(利回り4.757%)
ストリップス +20万円
100万円投資シミュレーション(為替1ドル150円固定・税引前・クーポン債は再投資前提)

注目してほしいのは2点。

① 短期(5〜10年)はクーポン債のほうが有利 — 短期間ではストリップスの複利効果が小さく、わずかにクーポン債の利回りが上回ります。短期で米国債を持ちたいならクーポンも選択肢に入ります。

② 10年を超えるとストリップス優位が明確化 — 長期になるほどストリップスの複利効果が効いてきて、20〜25年帯で19万円差、25〜30年帯で20万円差。これは「再投資できれば」というクーポン債の前提が叶った場合の話で、実勢では差はもっと開いている可能性が高い

つまり、5年以下の短期で寝かせるならクーポン、10年以上の長期で寝かせるならストリップス。データから出る素直な棲み分けはこうなります。

結論:金利上昇シナリオを待つ

2026年4月時点でストリップス債の最高利回りは4.946%。あと0.054%足りない。私は待ちます。

ただ、「いつまで待つの?」「永遠に来ないかも」と聞かれたら、ある程度のシナリオは持っています。

地政学リスク → 金利上昇のシナリオ

地政学リスクが激化すれば、米国は軍事支出と財政支出を膨らませざるを得ません。財政赤字が拡大すれば、新しい国債を発行して資金を調達する。発行が増えれば、その国債を買ってもらうために利回りを引き上げる必要が出てくる

同時に、紙幣を多く発行することで米ドルそのものの価値が薄まり、通貨への信頼も揺らぐ。すると米ドル建て資産を持ちたがる投資家が減り、それを引き止めるためにさらに金利プレミアムを乗せる必要が出てくる。

この道筋をたどれば、米国債の利回りが5%を超え、状況によっては6%、7%という水準に達する可能性もある。その時こそ、米国債が「価値を生まないハンディ」を補って余りある投資商品になる、と私は考えています。

もちろん、これは私の予想であって、外れる可能性は普通にある。インフレが沈静化し、米国経済が安定し、利回りが下がっていく未来も普通にある。それなら米国債は買わずに、株式インデックスに乗り続けるだけ。それでも別に困りません。

「待つ」も投資のうち

「あと少しなんだから買えばいいじゃないか」と言われそうですが、私はこの5%ラインを動かしません。理由は、3つの根拠を組んで決めたラインだからこそ、動かしてはいけないと思っているからです。

動かし始めると、4.9%でも「いい線だ」、4.7%でも「悪くない」、4.5%でも「まあ買うか」とずるずる下がります。これは投資判断の規律としていちばん危ない。自分のルールを動かさない訓練として、5%は5%として置いています。

金利が上がる「その先」を待つ。来るかどうかわからないものを待つ。それも立派な投資戦略です。私の場合は、その間にS&P500投信を新NISAで積み立て続けるので、機会損失にもなりません。

もし金利環境が変わって5%を超えてくる日が来たら、その時にあらためて記事を書きます。買い向かうのか、それとも別の理由で買わない判断をするのか。どちらにしても、理由を残します。

米国債は、いま買う商品ではない。来るかもしれない時のために、知識として準備しておく商品。これが私のいまのスタンスです。

※ 本記事のデータは2026年4月時点のSBI証券公式情報をもとに作成しています。米国債の単価・利回りは日々変動します。最新情報はSBI証券の公式ページでご確認ください。米国財務省の公式情報はTreasuryDirectでも確認できます。投資は自己責任でお願いします。

関連記事:S&P500投信とVOO ETFについて、私のポートフォリオの中身はこちらでも触れています。米国経済全体に賭ける派の私が、なぜ債券にも興味を持っているか、合わせて読むと文脈が繋がります。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
この記事を書いた人
hiro

投資歴2007年から約18年。VOO・QQQ・金(GLDM)・eMAXIS Slim S&P500・オルカン・個別株を保有。「絶望買い×インデックス投資」で暴落局面こそ買い増すスタイル。長期的なアメリカ経済への信頼を軸に運用しています。AI×投資で資産運用ツールを開発中。完成次第フリーで公開予定。

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