日経平均は2026年4月27日、終値ベースで 初めて6万円台 に到達しました。直近5月1日終値は59,513円。6万円圏での攻防が続いています。
結論を先に書きます。
僕は、この局面で「買い増し」を止めています。売ってはいません。機械的な積立も止めません。ただ、追加のスポット買いは停止して、弾を温存しています。
昨日(2026年5月8日)の記事では「『オルカンやめとけ』論はノイズ。動じない」と書きました。今回は、その裏側にある運用判断の話です。「降りない」と「何でも買う」は別の話だ、という整理になります。
- 1. 「積立継続/スポット停止」の2レイヤー(昨日記事との関係)
- 2. 理由1:絶望は買い、なら熱狂は?
- 3. 理由2:3つのシグナルが重なっている
- 4. 理由3:機械的積立とスポット買いは、レイヤーが違う
- 5. Hiro 保有 vs 読者推奨(2列比較)
- 6. 関連書籍 — 「弾を残す」を支える2冊
- 7. まとめ
1. 「積立継続/スポット停止」の2レイヤー(昨日記事との関係)
まず最初に、昨日の記事と矛盾しているように見えないように、運用を2つのレイヤーで整理します。
| レイヤー | 5月8日記事の主張 | 5月9日(今日)の補足 |
|---|---|---|
| ① 機械的なインデックス積立 (NISA・特定口座のつみたて枠) |
続ける。メディアに動じない。 | 続ける。今日も同じ。 |
| ② 暴落時に備えた余剰資金 (=弾。スポット買い用) |
暗黙に「下がったら撃つ」前提 | 今は撃たない。温存。 |
| ③ 売却・キャッシュ化 | しない | しない。同じ。 |
つまり、変えたのは レイヤー②(弾の使い方)だけです。土台のレイヤー①は何も変えていません。
「降りない・煽られない・でも、追加で踏み込まない。」これが、5月9日時点の僕の姿勢です。
2. 理由1:絶望は買い、なら熱狂は?
僕の投資哲学の核は、コロナで実証した 「絶望は買い」 です。
これを反対側から書くと、こうなります。
熱狂は、買わない。
これは新しい主張ではありません。投資の古典が繰り返し言ってきたことです。市場サイクルには強気期と弱気期の往復があり、コロナで売られていたとき強気だった人が報われた。逆に、誰もが強気の今、慎重派が報われやすい局面に入っています。
これは「下がる」と断言しているわけではありません。「上がり続ける確率が低い場面で、追加投資はしない」 という、僕個人の判断です。
3. 理由2:3つのシグナルが重なっている
ひとつだけなら、僕は無視します。3つ重なるなら、立ち止まります。
シグナル①:日経6万円タッチ
事実として、2026年4月27日の終値で日経平均は 初めて6万円台 に到達しました(5月1日終値59,513円)。
これは過去最高水準です。「割高」と断言はしません(PERや為替の影響もあります)。 でも、コロナの底値水準と比べれば、明らかに「絶望」の対極にいる場面です。
シグナル②:午年の相場格言「午尻下がり」
参考程度のアノマリーです。1950年以降の午年は6回しかなく、サンプル数が少ない点は注意してください。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 1950年以降の午年 | 6回(1954, 1966, 1978, 1990, 2002, 2014) |
| 平均年間騰落率 | -5.0% |
| 勝敗 | 3勝3敗 |
| 大きく崩れた年 | 1990年(バブル崩壊)/2002年(ITバブル崩壊後) |
これだけで判断はしません。ただし、過去の午年には大型の下落イベントが含まれているので、「気には留めておく」程度の材料です。
シグナル③:米国中間選挙年のアノマリー
2026年は米国の中間選挙年です。過去データで見ると、こうなります。
| 項目 | 数字(1980〜2025年・S&P500) |
|---|---|
| 中間選挙年の平均騰落率 | +3.3% |
| 46年間の全体平均 | +10.7% |
| 傾向 | 夏〜秋に上値が重く、秋口から回復 |
「米国は上がらない」という話ではありません。むしろ平均でプラスです。ただ、他の年と比べて上値が重い、というだけの話です。
このシグナルだけでは何もしません。しかし、シグナル①②と組み合わせると、「夏に弾を残しておきたい」という判断には根拠が出てきます。
3つの重なりが、判断を作る
大事なのは、ひとつ一つのシグナルは弱いという点です。アノマリーはあくまで過去データで、未来を保証しません。
でも、3つが同じ方向を指したとき、僕は無視せず立ち止まります。これが、18年やって作った僕のルールです。
4. 理由3:機械的積立とスポット買いは、レイヤーが違う
ここが今回の記事で一番伝えたい論点です。
多くの読者は「インデックス投資=何があっても淡々と積立」と理解していると思います。それは半分正しいです。
正確に言えばこうなります。
- 機械的な積立(NISAや特定口座の自動積立)は、止めない。これは時間分散の土台。
- スポット買い(余剰資金で「ここだ」と思ったときに撃つ追加弾)は、判断する。
後者まで「機械的に毎月入れる」ようにすると、暴落時に買い増す弾がなくなります。それは 絶望買い哲学の前提を壊す ことになります。
AI相場の過熱論と、その実態
ナスダック総合指数のPERは2025年10月時点で 約29.5倍。1990年以降の平均が25.7倍、2020年以降の平均が28.0倍なので、やや上です。
一方、ITバブルのピーク時は PER 68.3倍 でした。今のAI相場は、それと比べれば全然低い水準です。
つまり「AIバブル」と断言するのは早計です。野村證券・みずほ証券などの公開レポートも「ブームだがバブルではない」が主流見解です。
では、なぜ僕は身構えているのか。理由は 「断言できないから」です。
バブルだと確信できれば、もっと強くキャッシュ比率を上げます。バブルでないと確信できれば、追加で踏み込みます。 今は、どちらとも言いきれない。だから、「機械的積立は続け/スポット買いは止める」中間ポジションを取っています。
5. Hiro 保有 vs 読者推奨(2列比較)
ここで重要な前提を共有しておきます。「Hiroが何を持っているか」と「読者にどれを勧めるか」は、別の話です。
理由は、僕が投資歴18年で米ドル建てETFを直接売買できる前提なのに対し、読者には新NISAつみたて枠・為替手数料・配当二重課税といった制約があるからです。
| テーマ | Hiro 個人の今の動き | 読者推奨(日本投信で実装) |
|---|---|---|
| 米国S&P500 | VOO(ドル建てETF) 新NISA積立は継続。スポット買いは停止 |
eMAXIS Slim S&P500(信託報酬0.09%) つみたては継続 |
| NASDAQ100 | QQQ(ドル建てETF) 新規追加投入は止めている |
eMAXIS NASDAQ100インデックス(円建て・自動再投資) つみたては継続 |
| 全世界 | 個人主軸ではない | eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)(信託報酬0.06%) つみたては継続 |
| ゴールド | GLDM 約2.56%保有 暴落耐性枠として継続 |
必要に応じて少量(10%以下) |
| 米国債(ストリップス) | 未保有(5%超え待ち、現在 約4.946%) | 5%以上で購入を検討する余地 |
読者の方への結論はシンプルです。つみたて枠は止めずに続けてください。「Hiroが追加投資を止めたから自分も止める」という連動は不要です。むしろ、毎月の機械的積立こそ、こういう熱狂期に効いてきます。
6. 関連書籍 — 「弾を残す」を支える2冊
1. 『市場サイクルを極める』ハワード・マークス
世界最大級の運用会社オークツリー・キャピタルの創業者、ハワード・マークスの本。今回の論点に直撃する1冊です。
「市場には強気と弱気のサイクルがある」「投資家心理がサイクルを増幅する」「強気期に攻め過ぎず、弱気期に守り過ぎない」。 今回の僕の判断は、ほぼこの本の応用です。
2. 『マネーの公理』マックス・ギュンター
スイスの投資哲学を12の公理にまとめた1冊。インデックス投資の対極にある「アクティブ投資の心得」ですが、その中の 「弾を残せ」「分散と撤退の判断軸を持て」 という考え方は、長期投資家にも刺さります。
「動じない」と「思考停止」は違う、ということを思い出させてくれる本です。
7. まとめ
- 日経平均は2026/4/27に終値ベースで初の6万円台到達。コロナの底からは様変わり
- 機械的なインデックス積立(NISA・特定口座)は 継続
- 暴落時のための余剰資金(=弾)は 温存。スポット買いは停止
- 判断材料は3つの重なり:日経6万円タッチ/午尻下がり(午年-5.0%)/米国中間選挙年(夏〜秋上値重い)
- AI相場のPER水準(29.5倍)はITバブル時(68.3倍)よりだいぶ低い → バブル断定は早計
- 「動じない」と「全部買い続ける」は別の話。降りない・煽られない・でも、追加で踏み込まない、これも長期投資家の判断のひとつ
5月8日記事で「下がる理由がほしい」と書いた僕は、その「下がる理由」が来たときのために、今は弾を残しています。これは矛盾ではなく、ペアの運用です。
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※ 本記事は投資情報の提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。アノマリーや過去データは未来を保証しません。記事中のデータはすべて執筆時点(2026年5月)のものです。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
