
はじめに
投資信託を選ぶとき、「米国株に集中すべきか」「全世界に分散すべきか」という選択に迷うことはありませんか?この記事では、日本で最も人気の高い二つの低コストインデックスファンド、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」を徹底比較します。
過去のパフォーマンス、リスク特性、コスト、分散効果など多角的な視点から分析し、あなたの投資スタイルに合ったファンド選びをサポートします。
両ファンドの概要と特徴
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

- 運用方針: 米国の代表的な株価指数「S&P500」に連動
- 投資対象: 米国株500社
- 純資産総額: 約6.5兆円(国内最大規模)
- 経費率: 年率0.0814%(税込)
- 特徴:
- 経済大国である米国の主要企業に集中投資
- Apple、Microsoft、Amazon、Googleなどの世界的テック企業に投資
- 米国の経済成長に期待する投資家に適している
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)

- 運用方針: 日本を含む全世界の株式に幅広く分散投資
- 投資対象: 先進国+新興国約50か国、約8,000銘柄
- 純資産総額: 約5.4兆円(第2位)
- 経費率: 年率0.05775%(税込)
- 特徴:
- 地域や国による偏りを抑えた分散投資が可能
- 米国株だけでなく、欧州やアジア新興国の有望企業にも投資
- 地域分散によりリスクを抑えつつ、成長機会を逃さない投資を望む方に適している
過去5年のリターン比較
直近5年間の両ファンドのパフォーマンスを見てみましょう。
コピー┌─────────────────┬───────────────┬───────────────┐
│ │ 米国株式 │ 全世界株式 │
├─────────────────┼───────────────┼───────────────┤
│ 年平均リターン │ 28% │ 25% │
│ 5年間の元本増加 │ 3.5倍(+246%) │ 3.0倍(+204%) │
│ 100万円の成長額 │ 350万円 │ 300万円 │
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画像を表示
この5年間、両ファンドとも市場平均を大きく上回る成長を達成しました。100万円を投資していた場合、米国株式では約350万円、全世界株式では約300万円まで成長したことになります。
注意点: 過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。市場の変動により実際のリターンは変わる可能性があります。
長期(10年)の成長軌跡
10年という長期スパンで見ると、短期的な市場変動を経ても着実な成長を遂げていることがわかります。
10年間の投資サイクル
- 投資開始時点
- 10年前からの長期投資が重要
- 投資額を100とした場合の成長を追跡
- 初期成長期(1-3年目)
- 世界経済の回復と共に安定した成長
- 低金利政策も追い風に
- 中期成長(4-6年目)
- 米国株式:年率平均約12〜13%で成長
- 全世界株式:年率平均約9〜10%で成長
- テクノロジーセクターが牽引役に
- コロナショック(7年目頃)
- 2020年初頭に両ファンドとも30%以上急落
- パンデミックによる経済活動の停滞が影響
- 回復と成長(8-9年目)
- 下落分を取り戻し、過去最高値を更新
- 各国の経済政策と企業業績の回復により急速に反発
- 現在の状況(10年目)
- 米国株式:元本の3倍以上
- 全世界株式:元本の2.5倍以上
この結果からわかるように、短期的な市場変動に惑わされず、長期的な視点で投資を続けることが資産形成の鍵となります。
リスク(価格変動)の比較
投資リスクを理解することは長期的な投資成功の鍵です。以下のグラフは両ファンドのリスク指標を比較しています。

┌───────────────┬───────────┬───────────┐
│ リスク指標 │ 米国株式 │ 全世界株式│
├───────────────┼───────────┼───────────┤
│ 標準偏差 │ 18.5 │ 17.4 │
│ 最大ドローダウン│ 34.0% │ 34.2% │
└───────────────┴───────────┴───────────┘
- 標準偏差(ボラティリティ): 価格変動の大きさを示す指標。数値が大きいほど、価格の上下動が激しいことを意味します。米国株式の18.5に対し、全世界株式は17.4とやや低めです。
- 最大ドローダウン: ピークから底値までの最大下落率。米国株式が34%、全世界株式が34.2%とほぼ同等の値を示しています。大きな市場ショック時には両者とも同程度の下落を経験する可能性があります。
全世界株式は米国以外の多様な国々の株式も含むため、分散投資の効果によりボラティリティがやや小さめです。ただし、どちらのファンドも30%以上の大幅下落は起こりうるため、短期的な市場変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を継続することが重要です。
リスクに見合ったリターン(シャープレシオ)
投資判断において、単純なリターンだけでなく「リスクに対してどれだけのリターンが得られたか」という効率性も重要な指標となります。
┌────────────────┬───────────┬───────────┐
│ │ 米国株式 │ 全世界株式│
├────────────────┼───────────┼───────────┤
│ シャープレシオ │ 1.44 │ 1.37 │
└────────────────┴───────────┴───────────┘
シャープレシオとは
- 「リスク1単位あたりにどれだけリターンを得られたか」を示す指標
- 数値が大きいほど、少ないリスクで高いリターンを上げたことを意味する
- 一般的に0.5以下は良くない、1.0以上は良好、2.0以上は非常に優れていると評価される
米国株式ファンド: 直近5年間のシャープレシオは約1.44
- やや効率よくリターンを上げている
- 米国株式市場は成長性が高く、相対的に安定した経済基盤を持つ
- テクノロジーセクターの成長が全体のパフォーマンスを押し上げる効果
全世界株式ファンド: 直近5年間のシャープレシオは約1.37
- リスクに見合った十分なリターンが得られている
- 地域分散効果により、特定国のリスクが分散され、米国株式に近い効率性を実現
- 新興国市場へのエクスポージャーがあるため、やや数値が低くなる傾向
両ファンドとも1.0を大きく上回るシャープレシオを示しており、リスクに対して効率的なリターンが得られていることがわかります。長期投資の観点からは、どちらも優れた選択肢と言えるでしょう。
コスト(信託報酬)の違い

┌─────────────────────────┬───────────┐
│ ファンド │ 信託報酬 │
├─────────────────────────┼───────────┤
│ 米国株式(S&P500) │ 0.0814% │
│ 全世界株式(オールカントリー)│ 0.05775% │
└─────────────────────────┴───────────┘
eMAXIS Slimシリーズはいずれも業界最低水準のコストを実現しています。低コストの利点は複利効果によって長期間にわたり拡大していきます。例えば、年率1%の信託報酬の違いは、30年間で約30%もの資産差となって現れる可能性があります。
両ファンドとも非常に低い信託報酬で運用されているため、長期間にわたって保有する場合、コスト負担が資産形成に与える影響は最小限となります。低コスト運用の秘訣は、インデックス運用による効率化と規模の経済によるものです。
投資において「確実に得られる唯一のもの」はコスト削減だと言われるほど、低コストの重要性は高いのです。
長期分散投資のメリット
両ファンドの特徴とメリット
全世界株式のメリット
- 国際分散による安心感
- 地域や国による経済成長の差を取り込む
- リスクを分散できる
米国株式のメリット
- 米国の成長に対する集中投資による高いリターン期待
- 世界最大の経済大国である米国市場の力強い成長の恩恵
長期投資の重要性
- 複利効果: 早く投資を始め、長期にわたって積み立てることで複利効果が最大化
- 時間の力: 投資期間が長ければ長いほど、短期的な市場変動の影響を受けにくくなる
- 下落時の機会: 短期的な下落局面は割安に購入できるチャンス
まとめ:あなたに合った選択をするために
どのような投資家に米国株式が向いているか
- 高いリターンを優先する投資家
- 米国経済の優位性を信じる投資家
- テクノロジー企業への投資ウェイトを高めたい投資家
- リスクを取れる若年層の長期投資家
どのような投資家に全世界株式が向いているか
- グローバル分散を重視する投資家
- 特定国のリスクを避けたい投資家
- 新興国市場も含めた幅広い成長機会を求める投資家
- よりバランスの取れたポートフォリオを望む投資家
賢い選択のために
- ライフステージ考慮: 年齢や資産状況に応じた配分を検討
- 定期的な見直し: 投資計画を定期的に見直し、必要に応じて調整
- 両方の活用: 両ファンドを組み合わせることも一つの選択肢
eMAXIS Slimシリーズで始める長期・分散・積立投資は、将来の資産形成に向けた堅実な第一歩となります。投資は早く始めるほど時間の力を味方につけることができます。あなたの目標に合った投資計画を立て、着実に実行していきましょう。