金利が上がった、という事実より重要なこと
日本の長期金利は1.9%台まで上昇し、
「金利のある世界」に本格的に戻りつつある。
重要なのは
金利が上がったこと自体ではない。
金利が下がらなくなった
これが本質だ。
なぜ金利は下がりにくいのか
背景は3つある。
① 国の借金が増え続けている
財政拡張が続き、国債は今後も増える見通しだ。
国債が増えれば、価格は下がり、金利は上がる。
これは一時的な需給ではなく
構造の問題である。
② 日銀が「全部は支えられない」と意識され始めた
日銀は長年、国債を買って金利を抑えてきた。
しかし
- 保有量はすでに巨大
- これ以上の買い支えは円安・インフレを招く
市場は
「日銀が最後の買い手であり続ける前提」
を疑い始めている。
③ 正解のない政策環境
- 利上げ → 景気と財政に痛み
- 据え置き → 円安・物価高が続く
どちらを選んでも副作用がある。
この不確実性そのものが、金利を押し上げる。
金利上昇で相場はどう変わるのか
結論はシンプルだ。
株は全部一緒には上がらない
低金利時代は
「成長期待」だけで株が買われた。
だが金利がある世界では
現実に稼げるかどうかが問われる。
金利上昇局面で評価されやすい企業の条件
銘柄分析で見るべき軸は、次の4点。
① 借金に依存していない
金利が上がると、借金はリスクになる。
財務の健全性は最重要項目だ。
② 価格転嫁ができる
インフレ下でも利益を守れるか。
ブランド力・技術力が問われる。
③ 海外で稼いでいる
円安は国内企業にとって
「輸入コスト増」でもあり
「輸出・外貨収益増」でもある。
後者を持つ企業は強い。
④ キャッシュフローが安定している
将来の夢より、今の現金。
配当・自社株買いの源泉を見るべきだ。
具体例:構造に合致する代表的な銘柄
※以下は「この相場環境と条件に当てはまりやすい例」であり、
個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
■ 銀行(=金利上昇の直接的な受益者)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
- 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
- みずほフィナンシャルグループ(8411)
理由
金利が上がるほど利ざやが改善しやすく、
「金利が下がらない世界」に最も素直に適応できる業種。
■ 総合商社(=円安・インフレ・金利耐性)
- 三菱商事(8058)
- 伊藤忠商事(8001)
- 三井物産(8031)
理由
- 外貨建て収益が多い
- 資源・非資源の分散
- 強いキャッシュフロー
金利上昇局面でも「耐える力」がある。
■ グローバル製造業(=実際に稼げる企業)
- トヨタ自動車(7203)
- キーエンス(6861)
- 東京エレクトロン(8035)
- 信越化学工業(4063)
理由
- 海外売上比率が高い
- 価格転嫁力がある
- 技術・規模で代替が効きにくい
「期待」ではなく「実力」で評価されやすい。
■ 守りの位置づけ(インフラ・通信)
- KDDI(9433)
- NTT(9432)
理由
大きく伸びなくても、
キャッシュフローと配当の安定性がある。
金利上昇局面での緩衝材。
逆に注意が必要な銘柄タイプ(再確認)
銘柄名ではなく構造の問題。
成長ストーリー先行でCFが弱い企業
借金に依存した不動産関連
国内需要一本足の企業
金利ゼロ前提で評価されてきた高PER銘柄
まとめ
- 金利上昇は一過性ではない
- 相場は「選別の時代」に入った
銘柄選びの基準が、これまでとは変わっている。
下記は自分のネット環境や情報の参考にしているものです。ご参考までに。
