退職金の魔力と投資ブームの落とし穴
人生で最も大きなお金が振り込まれる瞬間――それが「退職金」です。
そのまとまった資金を見た瞬間、「このお金を増やしたい」「投資で殖やさないと損かも」と思う方は少なくないでしょう。新NISAがスタートした今、投資の機運は一気に高まり、「オルカン」や「S&P500」のインデックスファンドに資金を投じる人が急増しています。
しかし、いま日本で起きているのは**「ほったらかし投資」への過信**と、それに乗る形で生まれた「伝聞投資家」の増加です。
YouTubeやSNSで「オルカン買っとけばOK」と聞いて、そのまま購入している人――それ、あなたの意思ですか?
新NISAとインデックス投資の魅力と誤解
新NISA制度は、確かに素晴らしい制度です。
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 非課税保有期間:無期限
この制度を使って、全世界株式(オルカン)や米国株式(S&P500)に投資することで、長期的に資産を増やす戦略は理にかなっています。特に「eMAXIS Slimシリーズ」は手数料も低く、コツコツ積み立てには最適です。
ただし、この「インデックス投資=安心安全」と思い込むのは危険です。
実は、オルカンもS&P500も米国株に大きく依存しており、その成長が前提となっている商品です。2024年に米国株が大きく伸びたことで、「これは必ず上がる商品だ」と思ってしまった方もいるでしょう。
でも、それは幻想かもしれません。
米国依存のリスクと「投資ブームの終わり」
2025年現在、再びトランプ政権が誕生し、貿易政策が不透明化。高関税政策が現実になれば、企業収益は圧迫され、米国株の上昇にもブレーキがかかる可能性が高いです。
加えて、S&P500を牽引してきたのはエヌビディアなどの一部のテック株だけ。すでに割高な水準にあるとも言われています。
こうした中で、「オルカン最強」「S&P500でOK」と信じ込んでいる伝聞投資家たちが、今後の下落局面でパニックに陥るリスクは非常に高いのです。
もし、「話が違う」と売却が広がれば、今度は「投資から貯蓄へ」という逆流が起きてしまうかもしれません。
退職金運用の原則:「シンプルに・分散して・冷静に」
退職金を受け取った方が絶対に避けるべきなのは、以下のような行動です:
❌やってはいけないこと | ✅代わりにやるべきこと |
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全額を一括でリスク商品に投資 | 目的別に資金を分けて管理 |
SNSやYouTubeの情報を鵜呑みに | 自分で調べて理解する |
株価が上がったから安心だと思い込む | 上がる時もあれば下がる時もあると心得る |
特に退職金は、「一生の生活資金」です。介護費や医療費、住居のリフォーム費などを目的別に確保した上で、余裕資金の一部だけをコツコツ投資することが重要です。
インデックス投資は決して万能ではありません。「理解して選ぶ」ことで初めてあなたの味方になります。
📝まとめ|投資の答えは「人それぞれ」
- ✅ 新NISAは長期投資の強い味方
- ❌ でも「S&P500とオルカンが正解」は思考停止
- ✅ 退職金は目的別に分け、冷静に扱うこと
- ❌ 他人の意見をそのまま信じて投資するのは危険
資産運用に「絶対の正解」はありません。ですが、「自分で理解し、自分の意思で選ぶ」ことはすべての人にとっての正解です。
焦らず、慌てず。あなたの退職金を、未来の安心に変えるために、今日から正しい一歩を踏み出しましょう。来の安心を買うための投資を、今日から始めてみてはいかがでしょうか?