米国関税ショックで世界市場急落、「●●不況」の対策

個別株

​2025年4月初旬、トランプ米大統領が全輸入品に対する一律10%の関税、いわゆる「相互関税」の導入を発表しました。​この措置により、世界の株式市場は急落し、「トランプ不況」とも称される同時株安が発生しています。​

米国市場の動向

S&P500指数は、4日連続で下落し、5,000ポイントを下回りました。​2月19日の直近高値から18.9%の下落となり、弱気相場入りが目前となっています。 ​

欧州市場の反応

欧州市場も大幅な下落を記録し、STOXX欧州600種指数は約8カ月ぶりの大きな下落率となりました。​ドイツのDAX指数は一日で3.0%安、イタリアのFTSE MIB指数も3.6%安と、主要国株価指数がそろって大幅安となりました。 ​

日本市場の影響

日本市場も影響を受け、日経平均株価は前営業日比1,298円55銭安の31,714円03銭と大幅に反落しました。​一時は1,700円超安となる場面もあり、投資家心理の悪化が顕著となっています。

内需・生活関連セクターの底堅さ:関税影響が小さい業種は?

急落局面でも、関税の直接的な影響が小さい内需型のセクターは比較的下落が小幅にとどまる傾向が見られました​。輸出比率の高い自動車やハイテク株が売り込まれる一方で、鉄道や小売、不動産などの内需株は相対的に底堅く推移しています​。市場関係者も「電鉄や小売、不動産などは下げが小さいかもしれない」と指摘しており、実際に鉄道株などディフェンシブ性の高い銘柄は限定的な下落に留まりました

  • 鉄道(旅客輸送)セクター: 首都圏の鉄道大手であるJR東日本は、関税発表直後の4月3日でも下落率はわずか0.5%前後にとどまりました​。同じ日にはJR九州が**逆行高(株価上昇)**を記録するなど、鉄道各社の株価はリスクオフ下でも底堅さを発揮しました​。公共性が高く内需中心の鉄道事業は、関税の影響を受けにくい典型と言えます。
  • 小売・生活必需品セクター: 国内消費を主力とするスーパーやコンビニ、ドラッグストア株も比較的堅調でした。4月初旬の暴落局面において株価が上昇した銘柄は全市場で50銘柄程度しかありませんでしたが、その多くは通信や小売など海外動向に左右されにくい内需株が占めました​。例えば、インターネットサービスのGMOインターネットはグループ再編の材料もあって株価が+44.7%と急騰し、逆行高の代表例となっています。日用品や食品メーカーなど生活必需品株も下落率は相対的に小幅で、資金の逃避先となりました。
  • 不動産・公益セクター: 景気後退期に強いディフェンシブ業種として、不動産株や電力・ガスなど公益事業株にも買いが入っています。実際、世界的にも投資家は景気後退期に底堅い不動産・公益株を買い越す動きを見せており、日本市場でも同様の傾向が確認されました。例えば大手不動産REITや都市ガス会社の株価は下げ渋り、安値圏での推移にとどまっています。

以上のように、関税ショックによる悪影響が小さい業種(内需型・生活関連・レジャー関連)は比較的健闘しており、暴落相場の中でも一部の銘柄は値上がりや小幅な下げに踏みとどまっています。初心者の方は、こうした内需・ディフェンシブセクターに注目して銘柄を選ぶことで、急激な外部要因による変動リスクをある程度抑えることができるでしょう。

押し目はどこで買う?フィボナッチ・リトレースメントで見る買いタイミング

暴落局面では「いつどこで買い始めれば良いか」判断が難しく、不安になる方も多いでしょう。そんな時に参考になるテクニカル指標の一つがフィボナッチ・リトレースメントです。フィボナッチ・リトレースメントは、トレンド相場における一時的な反発・反落ポイントを予測するためのテクニカル手法で、過去の値動きから算出した比率(フィボナッチ比率)を用いて相場の転換点を探ります​。

図:フィボナッチ・リトレースメントの例(上昇相場に対する押し目)。たとえば株価が100から200まで上昇した後に下落へ転じた場合、フィボナッチ比率にもとづき**「どの程度下がったら再び反発しやすいか」をある程度推測できます。一般的によく使われる比率は38.2%・50%・61.8%の3水準で、これらは上昇幅(今回の例では+100)の何%押し戻したかを示します。図のケースでは、200をピークに50%押し(150まで下落)61.8%押し(約138まで下落)の水準に水平線を引いています。過去の経験則では、この半値戻し(50%)前後黄金比に近い61.8%押し**の水準でサポート(下値支え)が入りやすいと言われており、実際に150付近から下げ止まって反発する展開が多く見られます。

もちろんフィボナッチ分析は万能ではなく、「38.2%や61.8%のラインで反発すると予想していたが、そのまま割り込んでトレンド転換してしまった」というケースもあります​。あくまで目安の一つではありますが、急落後の買いタイミングを図る材料としてフィボナッチ・リトレースメントを活用する価値は十分にあります。実際のチャートに当てはめて計算することで、「どの水準まで下がればおしめ買いを検討できるか」の指針が得られるでしょう。初心者の方も、過去の高値と安値に基づいてフィボナッチ線を引き、自分なりの買いポイントをシミュレーションしてみると良いでしょう。

空売り・レバレッジ取引には要注意!リスク管理を忘れずに

相場急落の局面では、「空売り(信用売り)で大きな利益を狙いたい」「レバレッジをかけて一気にリターンを出したい」という誘惑もあるかもしれません。しかし、初心者の方には信用取引や高レバレッジ取引は特に慎重な対応が必要です。

信用売り(空売り)は、株価下落局面で利益を得る手法ですが、予想に反して株価が急反発した場合には損失が青天井になるリスクがあります。またレバレッジ取引(証拠金取引)は自己資金の数倍ものポジションを持てる反面、下落時には損失も倍率で膨らみます。今回のような乱高下相場では、短期間での相場急変により追加入金(追証)が発生し、強制的な決済を余儀なくされるケースも多発します​。実際、今回の暴落局面でも信用取引の追証発生による投げ売り(換金売り)が下落に拍車をかけたとの指摘があります​。

★ワンポイントアドバイス★
信用取引やCFDなどでレバレッジを効かせれば下落相場で大きな利益を狙えますが、その反面リスク管理を誤ると資産を大きく減らしかねません。特に初心者は**「余力以上の取引をしない」「損切りラインを明確に決めて順守する」など、慎重すぎるくらいのスタンスで臨みましょう。また、マーケットが不安定な時こそ現物取引を中心に据える**のも有効です。守りを固めつつチャンスを伺い、焦らず計画的な投資を心掛けてください。

まとめ: トランプ政権の高関税発表による今回の急落は、初心者にとっても貴重な経験となりました。主要指数の下落率や下落銘柄数から相場全体のインパクトを把握し、比較的影響の小さいセクターに注目して銘柄選択を行うことが重要です。そして、フィボナッチ分析なども活用しながら冷静に買いタイミングを見極めつつ、信用取引やレバレッジ取引のリスク管理にも十分注意を払いましょう。乱高下の荒波に飲み込まれず、長期的な視点で着実に資産形成していくことが、こうした“不況”相場を乗り切るカギと言えます。初心者の皆さんも、萎縮しすぎずチャンスとリスクを正しく理解して、この局面をぜひ投資スキル向上に繋げてください。

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