※元記事は2025年4月9日公開。2026年4月27日に1年検証セクション(「答え合わせ」「対策の評価」「Hiroの振り返り」など)を大幅追記しました。青字部分が追記内容です。リアルタイム本文(黒字)は当時のまま残しています。
2025年4月初旬、トランプ米大統領が全輸入品に対する一律10%の関税、いわゆる「相互関税」の導入を発表しました。この措置により、世界の株式市場は急落し、「トランプ不況」とも称される同時株安が発生しています。
米国市場の動向
S&P500指数は、4日連続で下落し、5,000ポイントを下回りました。2月19日の直近高値から18.9%の下落となり、弱気相場入りが目前となっています。
欧州市場の反応
欧州市場も大幅な下落を記録し、STOXX欧州600種指数は約8カ月ぶりの大きな下落率となりました。ドイツのDAX指数は一日で3.0%安、イタリアのFTSE MIB指数も3.6%安と、主要国株価指数がそろって大幅安となりました。
日本市場の影響
日本市場も影響を受け、日経平均株価は前営業日比1,298円55銭安の31,714円03銭と大幅に反落しました。一時は1,700円超安となる場面もあり、投資家心理の悪化が顕著となっています。
内需・生活関連セクターの底堅さ:関税影響が小さい業種は?
急落局面でも、関税の直接的な影響が小さい内需型のセクターは比較的下落が小幅にとどまる傾向が見られました。輸出比率の高い自動車やハイテク株が売り込まれる一方で、鉄道や小売、不動産などの内需株は相対的に底堅く推移しています。市場関係者も「電鉄や小売、不動産などは下げが小さいかもしれない」と指摘しており、実際に鉄道株などディフェンシブ性の高い銘柄は限定的な下落に留まりました。
- 鉄道(旅客輸送)セクター: 首都圏の鉄道大手であるJR東日本は、関税発表直後の4月3日でも下落率はわずか0.5%前後にとどまりました。同じ日にはJR九州が逆行高(株価上昇)を記録するなど、鉄道各社の株価はリスクオフ下でも底堅さを発揮しました。公共性が高く内需中心の鉄道事業は、関税の影響を受けにくい典型と言えます。
- 小売・生活必需品セクター: 国内消費を主力とするスーパーやコンビニ、ドラッグストア株も比較的堅調でした。4月初旬の暴落局面において株価が上昇した銘柄は全市場で50銘柄程度しかありませんでしたが、その多くは通信や小売など海外動向に左右されにくい内需株が占めました。例えば、インターネットサービスのGMOインターネットはグループ再編の材料もあって株価が+44.7%と急騰し、逆行高の代表例となっています。日用品や食品メーカーなど生活必需品株も下落率は相対的に小幅で、資金の逃避先となりました。
- 不動産・公益セクター: 景気後退期に強いディフェンシブ業種として、不動産株や電力・ガスなど公益事業株にも買いが入っています。実際、世界的にも投資家は景気後退期に底堅い不動産・公益株を買い越す動きを見せており、日本市場でも同様の傾向が確認されました。例えば大手不動産REITや都市ガス会社の株価は下げ渋り、安値圏での推移にとどまっています。
以上のように、関税ショックによる悪影響が小さい業種(内需型・生活関連・レジャー関連)は比較的健闘しており、暴落相場の中でも一部の銘柄は値上がりや小幅な下げに踏みとどまっています。初心者の方は、こうした内需・ディフェンシブセクターに注目して銘柄を選ぶことで、急激な外部要因による変動リスクをある程度抑えることができるでしょう。
押し目はどこで買う?フィボナッチ・リトレースメントで見る買いタイミング
暴落局面では「いつどこで買い始めれば良いか」判断が難しく、不安になる方も多いでしょう。そんな時に参考になるテクニカル指標の一つがフィボナッチ・リトレースメントです。フィボナッチ・リトレースメントは、トレンド相場における一時的な反発・反落ポイントを予測するためのテクニカル手法で、過去の値動きから算出した比率(フィボナッチ比率)を用いて相場の転換点を探ります。
図:フィボナッチ・リトレースメントの例(上昇相場に対する押し目)。たとえば株価が100から200まで上昇した後に下落へ転じた場合、フィボナッチ比率にもとづき「どの程度下がったら再び反発しやすいか」をある程度推測できます。一般的によく使われる比率は38.2%・50%・61.8%の3水準で、これらは上昇幅(今回の例では+100)の何%押し戻したかを示します。図のケースでは、200をピークに50%押し(150まで下落)や61.8%押し(約138まで下落)の水準に水平線を引いています。過去の経験則では、この半値戻し(50%)前後や黄金比に近い61.8%押しの水準でサポート(下値支え)が入りやすいと言われており、実際に150付近から下げ止まって反発する展開が多く見られます。
もちろんフィボナッチ分析は万能ではなく、「38.2%や61.8%のラインで反発すると予想していたが、そのまま割り込んでトレンド転換してしまった」というケースもあります。あくまで目安の一つではありますが、急落後の買いタイミングを図る材料としてフィボナッチ・リトレースメントを活用する価値は十分にあります。実際のチャートに当てはめて計算することで、「どの水準まで下がればおしめ買いを検討できるか」の指針が得られるでしょう。初心者の方も、過去の高値と安値に基づいてフィボナッチ線を引き、自分なりの買いポイントをシミュレーションしてみると良いでしょう。
空売り・レバレッジ取引には要注意!リスク管理を忘れずに
相場急落の局面では、「空売り(信用売り)で大きな利益を狙いたい」「レバレッジをかけて一気にリターンを出したい」という誘惑もあるかもしれません。しかし、初心者の方には信用取引や高レバレッジ取引は特に慎重な対応が必要です。
信用売り(空売り)は、株価下落局面で利益を得る手法ですが、予想に反して株価が急反発した場合には損失が青天井になるリスクがあります。またレバレッジ取引(証拠金取引)は自己資金の数倍ものポジションを持てる反面、下落時には損失も倍率で膨らみます。今回のような乱高下相場では、短期間での相場急変により追加入金(追証)が発生し、強制的な決済を余儀なくされるケースも多発します。実際、今回の暴落局面でも信用取引の追証発生による投げ売り(換金売り)が下落に拍車をかけたとの指摘があります。
★ワンポイントアドバイス★
信用取引やCFDなどでレバレッジを効かせれば下落相場で大きな利益を狙えますが、その反面リスク管理を誤ると資産を大きく減らしかねません。特に初心者は「余力以上の取引をしない」「損切りラインを明確に決めて順守する」など、慎重すぎるくらいのスタンスで臨みましょう。また、マーケットが不安定な時こそ現物取引を中心に据えるのも有効です。守りを固めつつチャンスを伺い、焦らず計画的な投資を心掛けてください。
▼ ここから下は2026年4月時点の検証・追記セクションです(青字部分が追記内容)
1年経って答え合わせ:あの時の予想は当たったか
本記事を書いてから1年が経ちました。当時の主張・予想が、実際にどうなったのか答え合わせをします。情報の鮮度を上げ、リアルタイム記事の価値を残すための追記です。
主要指数の1年後パフォーマンス
| 対象 | 2025年4月時点(記事掲載時) | 2026年4月時点 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 3.1万円台(底値) | 5.3万円台(約+70%) | ✅ 想定以上の回復 |
| S&P500 | 5,000ポイント割れ・弱気相場入り目前 | 底値比+32%・2025年通年+16.39% | ✅ 弱気相場入り回避 |
| 金(ドル建て) | 記事内では言及なし | 年間+65%超 | △ 言及外で機会逃す |
結論を先に言えば、本記事で示した「弱気相場入り目前」という見立ては外れました。S&P500も日経平均も、底値から1年で大きく回復しています。当時の悲観論は、長期投資家にとっては絶好の買い場だったということです。
「内需株は底堅い」という主張は当たったか
本記事では、関税の影響を受けにくい内需株として、JR東日本・JR九州・GMOインターネット・不動産REITを挙げました。1年後の株価を確認します。
| 銘柄 | 2026年4月24日終値 | 52週高値 | 現状 |
|---|---|---|---|
| JR東日本(9020) | 3,461円 | 4,211円(2026/1) | 年初来安値圏 |
| JR九州(9142) | 3,656円 | 4,154円(2026/2) | 年初来安値圏 |
| GMOインターネット(9449) | 3,153円 | 4,118円(2026/1) | 高値から-23% |
| 東証REIT指数連動ETF(1343) | 2,058.5円 | 2,250円(2026/1) | 横ばい〜やや軟調 |
判定:△(短期は当たったが、長期では崩れた)
関税ショック直後の数日間は、確かに内需株は底堅さを示しました。しかし1年を通して見ると、JR東日本・JR九州はいずれも年初来安値圏、GMOインターネットも高値から-23%と、決して「勝ち組」ではありませんでした。
同時期に日経平均が+70%、S&P500が+32%という大相場を演じる中、これらの内需株は完全に取り残されています。「ショック時のディフェンシブ性」と「長期のリターン」は別物だったということです。
当時推した対策、機能したか検証
フィボナッチ予想(50%/61.8%押し)は当たったか
判定:❌ 大きく外れた
本記事では、フィボナッチ・リトレースメントの50%押し・61.8%押しを「サポートが入りやすい水準」として紹介しました。短期的な反発タイミングを読む手法としての話です。
しかし1年経って見れば、日経平均は底値3.1万円から現在5.3万円台と、フィボナッチで想定する戻り幅をはるかに超える「全戻し以上の急騰」となりました。フィボナッチの押し目で「ここが買い場」と細かく刻んでいた人より、底値圏で何も考えずに買い続けた人の方が圧倒的に報われた結果です。
テクニカル分析は短期トレード向けの道具です。長期インデックス投資家にとっては、フィボナッチで買いタイミングを刻むより、淡々と積立を続ける方が再現性が高いと、改めて確認できました。
空売り・レバレッジ取引の警告は的中したか
判定:✅ 完全に的中
本記事では「信用取引の追証発生による投げ売りが下落に拍車をかけた」「短期間の相場急変で強制決済を余儀なくされる」と警告しました。
結果として、関税ショック直後に「ここから更に下がる」と空売りを仕掛けた投資家の多くが、その後の急反発で大損失を被ったとの報道が相次ぎました。日経平均が底値から数日で+10%、1年で+70%という戻りを考えれば、空売りや高レバレッジ取引のリスクは当時の警告通りに顕在化したと言えます。
この点については、本記事の読者がリスク管理を徹底していたことを願います。
今だから言える、関税ショック型暴落への備え方
1年経って見えた、本当に効いた防御策と、効かなかった対策を整理します。次の同種ショックが来たときに役立つチェックリスト形式でまとめました。
本当に効いた防御策3つ
① インデックスファンドの積立継続
S&P500・日経平均ともに、1年で大きく回復しました。底値で売らず、淡々と積立を続けた人が最も再現性高く報われた選択です。タイミングを読む必要も、銘柄選定の手間も不要でした。
② ポートフォリオに金を組み込む
金は2025年から年間+65%超という歴史的な急騰となりました。株価急落時に資産全体の下落幅を抑え、感情的な売却を防ぐ「保険」として機能しました。リターンを上げる目的ではなく、株を売らずに済む環境を作る目的で持つ意味があります。
③ 生活防衛資金の確保
暴落時に生活費の心配をしながら相場を見るのと、半年〜1年分の生活費を別枠で確保した状態で相場を見るのとでは、心理的余裕が全く違います。「今売らなくても生活できる」という事実が、握力の根拠になります。
効かなかった/不要だった対策
個別銘柄でのディフェンシブ運用
本記事で推した「内需株への退避」は、短期では機能しましたが長期では報われませんでした。関税ショック直後の数日間こそ底堅かった鉄道株や生活関連株は、その後の上昇相場で取り残されています。
ディフェンシブ銘柄は「下げにくい」のは事実ですが、同時に「上げにくい」のも事実です。短期の値動きを抑えるために長期のリターンを犠牲にする取引と理解した方が良いでしょう。
次の同種ショックが来た時のチェックリスト
- ☐ 積立設定を止めない(暴落時こそ平均取得単価が下がる)
- ☐ 売却を検討する前に「20年後にこの判断は正しかったと言えるか」と自問する
- ☐ 生活防衛資金は別枠で温存しているか確認する
- ☐ 信用取引・空売りには手を出さない
- ☐ SNSの「終わった」「全部売った」という声から距離を取る
- ☐ 余剰資金があれば、底値圏での淡々としたスポット買いを検討する
市場は必ずまた揺れます。次の同種ショックが来たときに、このチェックリストを思い出してもらえれば、本記事の追記の役割は果たせます。
1年経って思うこと——Hiroの振り返り
ここから先は私(Hiro)個人の振り返りです。
トランプ関税で世界が右往左往した1年でしたが、振り返ってみると、結局それほど大きな痛手にはならずに済みました。
それ以上に大きかったのは、誰も予想できなかった事態の連続です。ベネズエラへの強襲、イラン戦争の勃発、そして決定打となったホルムズ海峡の閉鎖。世界中が大混乱に陥りました。
つまり、わかっていたことではありますが、先を読むことはどれだけ難しいか——というか、ほぼ不可能だということが、改めてよくわかった1年でした。
そんな中でS&P500を眺めていると、淡々と積み立てを続けた人が、今のところは正解だったと言えます。
この先もどうなるかは誰にもわかりません。それでも、個人ができることは、やはりコツコツと積み立てを続けることに尽きるのではないでしょうか。
まとめ: トランプ政権の高関税発表による今回の急落は、初心者にとっても貴重な経験となりました。主要指数の下落率や下落銘柄数から相場全体のインパクトを把握し、比較的影響の小さいセクターに注目して銘柄選択を行うことが重要です。そして、フィボナッチ分析なども活用しながら冷静に買いタイミングを見極めつつ、信用取引やレバレッジ取引のリスク管理にも十分注意を払いましょう。乱高下の荒波に飲み込まれず、長期的な視点で着実に資産形成していくことが、こうした“不況”相場を乗り切るカギと言えます。初心者の皆さんも、萎縮しすぎずチャンスとリスクを正しく理解して、この局面をぜひ投資スキル向上に繋げてください。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

