中東停戦・原油急落・VOO資金流入が交錯した“2日間”を読み解く
1. 背景――わずか2週間で終息した中東危機
6月24日午前1時、トランプ大統領はイスラエル‐イラン間の停戦成立をTruth Socialで発表しました。これにより「夏場の原油供給ショック懸念」が急速に後退し、WTIとブレントは同日▲3.7%急落。過去2日間の下落率は▲12%を超えましたが、翌25日のプレマーケットでは売られ過ぎ修正で+0.3%反発しています。
2. 原油安はインフレ観測を冷却、VOOは連騰
原油急落 → インフレ懸念後退 → 長期金利低下という連鎖がリスク資産を押し上げ、S&P500連動ETF「VOO」は
- 24日:プレマーケット+0.7%、終値559.44 ドル(+1.1%)
- 25日:プレマーケット+0.3%、終値559.77 ドル(+0.1%)
と2日連続高を記録しました。
セクター別には、停戦で受注期待がしぼむ防衛株(LMT・RTX・GDなど)が▲0.8〜1.6%下落し、エネルギー株も原油安で軟調。一方でハイテク大型株とクルーズ・レジャー株(CCL+9.2%)が買われ、指数上昇を牽引しました。
3. 主要企業決算――“良決算+弱気ガイダンス”が続出
企業 | 25年4Q実績 | 26年度ガイダンス | 市場反応 |
---|---|---|---|
FedEx | 売上・EPSともにビート | Q1売上横ばい、通期EPS2.90–3.50 ドル | 良決算も先行き慎重姿勢で株価反落 |
General Mills | EPS0.73 ドル(予想+0.03) | 26年度オーガニック売上=±0%、調整後EPS▲10〜15% | 終日上値重い |
KB Home | EPS1.50 ドル(予想+0.04) | 売上15億ドル(予想一致) | 小幅高 |
Carnival | EPS0.35 ドル(予想大幅超) | 2026年予約堅調 | 株価+9.2% |
4. VOOは“逃避先”から“主役”へ──年初来流入額は82 億ドル超
Vanguard ETFの資金フローを見ると、2025年はVOOが年初来で約82 億ドルを吸収し、全ETF中トップとなっています(6月23日時点)。同社のVTI、VO、VUGも2〜10 億ドル規模の流入が続き、リテール投資家の「押し目買い・長期保有」スタンスが鮮明です。
ETF全体でも2025年の累計流入額は5,000億ドルを突破し、VOOの存在感が際立ちます。テック比率の高さと経費率0.03%という低コストが、ボラティリティ局面での“安全資産”として機能している格好です。
5. 今後3つの注目ポイント
- 停戦の持続性
- イスラエル・イラン間では小規模な報復も報じられ始めており、原油価格の再燃リスクは残存。
- パウエルFRB議長の議会証言(7/2予定)
- インフレ鈍化が確認されれば、年内0.25%✕2回の利下げ観測が強まり、株式に追い風。
- 7月上旬の決算シーズン
- ハイテク大手のガイダンスが市場期待を裏切る場合、VOOを通じて広範に調整が波及する可能性。
6. 投資アイデア(筆者私見)
- コア:VOOを定期積立で保有しつつ、原油リスクに備えてエネルギーETF(XLE等)を10〜15%組み入れるバランス戦略。
- サテライト:停戦継続を前提に、クルーズ・旅行関連株や半導体指数ETFを短期トレードで狙う。
- ヘッジ:再燃シナリオでは、WTI原油先物ETF(USO)やディフェンシブな公共株(DUKなど)で下値をカバー。
7. まとめ
停戦による原油急落とインフレ懸念の後退が、米国株を一段と押し上げる格好となりました。VOOは「低コスト・広範分散」という本来の魅力に加え、巨額の資金流入と流動性で市場の中心に。今後も地政学リスクと金融政策の綱引きが続きますが、コア資産としてのVOO+リスク調整用サテライトETFという組み合わせが、個人投資家にとって現実的な選択肢となりそうです。引き続き、停戦の持続性と原油市場のボラティリティを注視しつつ、機動的にポートフォリオをメンテナンスしていきましょう。
下記は自分のネット環境や情報の参考にしているものです。ご参考までに。