VOOを例にしつつ、短い運用期間を補う説得力あるポイントを解説
日本国内で米国株式に投資する方法の中でも大変人気が高いのが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)」です。設定日は2018年と比較的新しく、VOO(設定は2010年)よりも運用期間が短いものの、S&P 500に連動する設計自体はVOOと同様であり、長期的には非常に有望と見られています。
- eMAXIS Slim S&P 500 … 低コスト運用を目指すインデックスファンド。運用期間はまだ数年だが、S&P 500に連動し、日本の投資環境(特定口座・NISA等)との相性が良い。
- VOO … 米国ETF。経費率0.03%と超低コストで有名。2010年からの実績があり、長期リターンはS&P 500の平均を忠実に反映してきた。
以下、eMAXIS Slim S&P 500を中心に、VOOとの共通点・違いを踏まえながら、魅力と注意点を深堀りします。
1. 長期成長が見込まれるS&P 500に連動
米国の代表的株価指数であるS&P 500は、大型企業500社で構成されるため、米国経済全体の成長を享受しやすいという特徴があります。VOOは2010年からの運用実績で、この指数に沿った形で着実に資産を増やしてきました。
eMAXIS Slim S&P 500は同じ指数に連動するため、VOOほどの長期データこそまだないものの、米国の経済力を取り込む構造に変わりありません。日本円で直接投資でき、NISAなどの非課税制度とも相性が良いため、長期で育てるほど恩恵を受けやすいのがポイントです。
【グラフ1】eMAXIS Slim S&P 500の架空シミュレーション
以下のグラフは、設定から数年のイメージで「架空の値動き」を示しています。実際の過去データと異なる点にご注意ください。

- 2018年に設定 → その後、市場の乱高下を経ても着実に成長しているイメージを表しています。
- 短期的に下落(2022年あたりを想定)しても、長期目線では米国市場の回復力を期待できます。
2. 運用コストが低いから複利効果を最大化しやすい
eMAXIS Slim シリーズの最大の魅力は、信託報酬が非常に低い水準で維持されている点です。VOOも世界トップクラスの安さを誇りますが、ドル転や海外ETF購入の手間がかかることを考慮すると、日本円のまま購入できるeMAXIS Slim S&P 500のコストメリットは大きいといえます。
【表1】主なS&P 500連動商品のコスト比較(例示)
商品名 | 信託報酬/経費率 | 購入通貨 | 運用開始年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500) | 約0.09%前後(年率) | 円 | 2018年 | 購入手数料は基本的に無料。純資産総額が数兆円規模。 |
VOO (Vanguard S&P 500 ETF) | 0.03%(経費率) | 米ドル | 2010年 | 為替手数料(円→ドル)が必要。米国源泉徴収税10%。 |
他社S&P 500ファンド (例) | 0.10%~0.20%程度 | 円 | – | ファンドによってコストはまちまち。低コスト競争が進行中。 |
- eMAXIS Slim S&P 500は、他社と比べても相当低水準の信託報酬。
- VOOは運用実績も安定しているが、外国株扱いなので買い付けのハードルが若干高め。
3. VOOで裏付けられたS&P 500の安定性
eMAXIS Slim S&P 500は運用歴が短いため、実際の過去10年~20年のリターンを数字で示すことはできません。しかし、それを補う材料として、同じS&P 500を対象とするVOOの過去データが参考になります。
VOOは2010年の設定以降、いくつかの暴落局面(リーマンショックの直後~コロナショック)を乗り越えながら、長期リターンをしっかりと積み上げてきた事実があります。
【グラフ2】VOOのイメージ成長(サンプルデータ)

- 2010年に設定されたVOOは、約10年以上を経て右肩上がりで推移。
- 2020年前後の急落を一時的に含んでも、最終的には株価を回復し、さらに高値を更新するケースが多い。
- 同じS&P 500を追うファンドなら同様の成長力を期待できる、という説得力に繋がります。
4. 分散効果と底堅い回復力
S&P 500は金融、ハイテク、消費財、エネルギーなど多種多様な業種を含みます。つまり、あるセクターが不調でも、他のセクターの好調でカバーしやすい構造です。米国経済全体に投資する形となるため、一時的なショック相場でも回復が期待されます。
【グラフ3】S&P 500 セクター別構成比率(サンプル)

- テクノロジー分野が大きい比率を占めつつも、ヘルスケア・金融・工業など幅広いセクターを内包しています。
- 一部業種に依存していないため、長期的に安定しやすいと言われます。
5. 米国源泉徴収税はファンド内で処理、無配当型で複利効果
eMAXIS Slim S&P 500は、VOOと同じく米国株式からの配当金に米国源泉徴収税(10%程度)がかかります。しかし、ファンド内で再投資されるため、投資家が受け取る段階での課税はありません。
無配当型なので、自動で再投資→複利効果を享受でき、税制面の煩雑さも少なく、実質的に課税ロスを抑えた運用ができます。
6. 特定口座・NISAと相性抜群
- 特定口座 … 国内投信なので、分配金や売却益の税計算が証券会社で自動処理される。
- NISA口座 … 一定額まで売却益や配当の課税が非課税になる。eMAXIS Slim S&P 500なら、非課税枠の恩恵を効率よく受けられる。
VOOに直接投資する場合、外国株式扱いとなり税制がやや複雑になりますが、eMAXIS Slim S&P 500ならその手間が大幅に軽減されます。
7. 短期の暴落があっても長期保有がおすすめ
S&P 500連動ファンドは、短期的な下落時に売却してしまうより、むしろ積立を継続して口数を増やす方が、回復局面での恩恵を大きく受けられる可能性があります。
【グラフ4】積立投資での平均取得価格イメージ

- 一時的に価格が下がるほど、同じ金額でも多くの口数を買えるため、平均取得価格が下がる。
- 回復期に大きくプラスへ転じる可能性が高まる。
8. 純資産総額が巨大で繰上償還リスクが低い
eMAXIS Slim S&P 500は純資産総額が数兆円規模に成長しており、国内公募の投資信託としてトップレベルの資金が集まっています。ファンド自体が大きいほど、繰上償還(運用終了)のリスクは低く、安定した運用が期待できます。
9. 日本円で買えて為替手数料も抑えられる
VOOの場合はドル建てで売買する必要があり、円→ドルの為替手数料がかかります。一方、eMAXIS Slim S&P 500は日本円のまま購入可能で、最低100円からの積立にも対応。為替手数料がほぼゼロで済む点は大きなメリットです。
10. 運用期間が短い弱点はVOOの実績が補完
eMAXIS Slim S&P 500は2018年設定と日が浅いため、10年以上のロングトラックレコードはありません。しかし、S&P 500指数自体が非常に歴史ある指標であり、VOOがその実力を証明してきたという点を踏まえれば、同じインデックスに連動するeMAXIS Slim S&P 500も長期で見れば大きく報われる可能性が高いと推測できます。
まとめ
- eMAXIS Slim S&P 500は、日本円で手軽に米国大型株市場へ投資できるインデックスファンド。
- 信託報酬が低く、無配当・再投資型で複利効果を最大限に活かせる。
- VOOほどの長期実績はないものの、S&P 500指数自体の長期的な回復力と成長力は折り紙付き。
- 特定口座やNISA口座との相性が良く、税制面・手続き面のメリットが大きい。
- 暴落時にも継続投資を行うことで、将来的な回復局面の恩恵を受けやすい。
S&P 500の中長期成長が続く限り、eMAXIS Slim S&P 500をコツコツ積み立てる投資手法は堅実な選択肢と言えるでしょう。運用期間の短さはやや懸念材料ですが、VOOの実績がその有効性を後押ししてくれています。短期的な価格変動に惑わされず、是非長い目で運用を続けてみてください。