バフェットが再び動いた──円債2101億円の衝撃
2025年11月14日、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが、
日本円建てで総額2101億円の社債を発行すると発表しました。
発行内訳:3年・5年・10年・15年の4本建て
主幹事:BofAセキュリティーズ、米国みずほ証券
規模:前回(4月の900億円)から倍増
📊 図表1:バークシャーの円建て社債発行推移
| 年 | 発行額(億円) | 主な動き |
|---|---|---|
| 2019 | 4,300 | 商社株初取得(2020年夏) |
| 2021 | 1,600 | 保有比率引き上げ |
| 2023 | 1,300 | 伊藤忠・三井の買い増し |
| 2025年4月 | 900 | 円安期の静観 |
| 2025年11月 | 2,101 | 次の投資フェーズへ? |
出典:Bloomberg / 日経報道を基に筆者作成
なぜ円なのか──低金利+日本株投資の「自然ヘッジ」
バークシャーは2019年以来、毎年のように円建て債を発行しています。
最大の理由は、**「円の低金利」と「日本投資の自然ヘッジ効果」**です。
💡ポイント
- 日本の金利は依然として世界最低水準(10年国債利回り=約0.9%)
- 円で借りて円資産(商社株など)を買うと、為替リスクを相殺できる
- 「円安で利益が増える商社株」と「円債発行による低コスト資金」が噛み合う構図
📊 図表2:バークシャーの商社株保有(2025年時点)
| 商社名 | 保有比率(概算) | 時価総額(兆円) | 配当利回り |
|---|---|---|---|
| 三菱商事 | 約9% | 12.2 | 2.9% |
| 伊藤忠商事 | 約9% | 10.8 | 2.8% |
| 三井物産 | 約9% | 10.5 | 3.1% |
| 丸紅 | 約9% | 7.4 | 3.3% |
| 住友商事 | 約9% | 6.1 | 3.0% |
出典:Bloomberg(2025年11月)
市場が読む“バフェット・シグナル”──商社株買い増しの可能性
市場では「再び日本商社株を買い増すのでは?」との見方が急浮上しています。
なぜなら、過去にも円債発行→商社株買い付けの流れが繰り返されてきたからです。
バークシャーの資金調達が倍増した今、日本株市場全体にも資金流入の期待が高まっています。
円債の裏にあるのは「次の買い場」への布石。
特に商社株は“割安・高配当・円安メリット”の三拍子。
各商社の現状を比較──株価・PBR・RSIの一覧
以下は、2025年11月時点の主要商社5社の株価・PBR・RSI(テクニカル指標)です。
RSIが70を超えると「買われすぎ」、30を下回ると「売られすぎ」とされます。
📊 図表3:5大商社の投資指標(2025年11月14日時点)
| 銘柄 | 株価(円) | PBR | RSI | 投資評価(短期) | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 三菱商事 (8058) | 3,750 | 1.59 | 55.2 | ★★☆ | RSI中立、長期で堅実 |
| 伊藤忠商事 (8001) | 9,448 | 2.20 | 72.8 | ★☆☆ | RSI過熱、短期調整警戒 |
| 丸紅 (8002) | 約2,900 | 1.0前後 | 68付近 | ★★☆ | 割安+上昇トレンド持続 |
| 三井物産 (8031) | 約3,900 | 1.12 | 50前後 | ★★★ | 割安+テクニカル余地大 |
| 住友商事 (8053) | 約3,000 | 1.20 | 66〜70 | ★★☆ | 上昇中、押し目待ち有効 |
出典:日経平均・Bloomberg・minkabu・nikkeiyosoku 各種データより筆者集約
🧭 テクニカル視点での解釈
- RSI50前後(中立):エントリー余地あり(例:三井物産、三菱商事)
- RSI70以上(過熱):押し目待ちが無難(例:伊藤忠商事)
- PBR1倍前後:依然として割安バリューゾーン(丸紅、三井物産)
日本株ポートフォリオへの示唆──商社株は“円安時代の防御と攻め”
バークシャーの円債発行は、単なる資金調達ではなく、日本市場への長期コミットメントを再確認させるシグナルです。
個人投資家にとっても、この動きは次のような戦略的ヒントを与えます。
✅ 長期ポートフォリオ戦略(例)
| 資産クラス | 目的 | 配分例(参考) |
|---|---|---|
| 米国ETF(VOO・QQQ) | グローバル成長・米国主導 | 50% |
| 日本商社株(個別またはETF) | 円安・資源・配当 | 30% |
| 債券(円建て・外債) | 安定収益 | 15% |
| 金・コモディティ | インフレヘッジ | 5% |
💬 投資家へのメッセージ
- バフェットの円債=「円資金を有効活用し、日本資産へ投資する」構図。
- 商社株は、**“円安で利益拡大・PBR1倍前後・配当3%台”**の黄金バランス。
- RSIで過熱していない銘柄(三井物産・三菱商事など)に注目。
- 長期NISAでの積立・再投資にも好適な銘柄群。
📈 図表4:5大商社のRSIとPBR分布(視覚マップ)
| 銘柄 | RSI | PBR | 投資妙味(◎高/○中/△低) |
|---|---|---|---|
| 三菱商事 | 55 | 1.59 | ○ |
| 伊藤忠商事 | 73 | 2.2 | △ |
| 丸紅 | 68 | 1.0 | ◎ |
| 三井物産 | 50 | 1.12 | ◎ |
| 住友商事 | 67 | 1.2 | ○ |
RSIとPBRが低めの「左下ゾーン」が長期投資の好機。
三井物産・丸紅が割安&成長余地の両面で注目。
まとめ:バークシャーの“円債戦略”が照らす日本株の未来
- 円債発行は、日本市場への信任と資金投下の準備サイン。
- 商社株は依然として世界的に見て高配当×低PBRの優良セクター。
- RSIの冷えた銘柄を選び、押し目買い・分散投資で長期保有を狙うべき。
- 円安・インフレ・資源高の局面では、商社株が「防御と攻め」を兼ねる存在に。
✍️ 筆者コメント(編集後記)
VOO・QQQのような米国ETFと並行して、日本商社株をポートフォリオの30%程度に組み入れることは、円安下のリスクヘッジにも有効です。
バークシャーの円債発行は、単なるニュースではなく「資金の流れがどこを向いているか」を示すシグナル。
今こそ、日本市場の“静かな黄金期”を見逃すべきではありません。
下記は自分のネット環境や情報の参考にしているものです。ご参考までに。
